研究について

電気・電子回路や電力網の電気電子分野、インターネットに代表される情報通信分野に、ネットワーク構造を有するシステムが数多く存在しています。本研究室では、これらのシステム上のさまざまな問題をモデル化し解析します。これには、グラフ・ネットワーク理論分野からの研究や、計算機を用いたシミュレーション実験を行います。

無線ネットワークにおける配信問題

例えば、左下図のようなコンピュータが無線を用いて直接通信するようなシステムを考えます。電波が届かないような遠くにあるコンピュータと通信する際には、いくつかのコンピュータを経由して通信します。これをマルチホップ無線ネットワークといいます。このネットワークでは、携帯電話には必要な基地局がいらないので、災害時の使用が可能で、研究が進められています。このようなネットワークで、混信しないようにするにはどうするか、効率よくデータを送るにはどの経路を通ればよいかなどなど、考えるべき問題がたくさんあります。これを、右下図のように構造を単純化したモデル化を行い、必要な情報を組み入れ解析します。

マルチホップ無線ネットワーク        モデル化したネットワーク


ネットワーク上への施設の配置問題


高速道路網にサービスエリアを設置する時には、どこでもよいわけではなく、適切な場所に建設することになります。同様に、ガソリンスタンドをおくサービスエリアも適切に決めることが必要です。このようにネットワーク上のいくつかの場所に施設を配置する問題は、いろいろな場面で見られます。例えば、以下のようなものがあります。


・ 各家庭が太陽光発電した電気を売る際に、電気が無駄にならないよう電力網のどこに変圧器を置くか。

・ インターネット上のどこにミラーサーバを設置すれば、特定のサーバに負荷が集中しないか。

・ 地滑り等の災害発生が懸念される場所のどこにどの程度の数のセンサを置けば、適切に情報が得られるか。

特に最後の例は、マルチホップ無線ネットワークを構成することにもなり、前述した問題と融合した研究が必要となります。


過去の研究テーマ


①ネットワークコーディングを用いたマルチホップ無線ネットワークの情報配信

②無線通信に対応するグラフ・ネットワークの彩色問題

③スマートグリッドにおける変圧器の配置問題

④広域分散システムにおける通信アルゴリズム

⑤センサネットワークにおける最適センサー配置と通信アルゴリズム

⑥フローネットワークにおけるロケーション問題