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『オケ飯!』2026/7/15にハルキ文庫さまより発売されました。
横浜を舞台に、アマチュアオーケストラの面々が街を食べ歩くお話です。実は、昨年インタビューしていただいた、ほぼ日手帳さんの公式ガイドブックやwebサイトに、「取材風景」が映っているんです。
横長の画面で見ていただくと、1話と2話に登場する「あるもの」がチラリと、画面右端に出てくるはず。よかったらこちらもぜひ、作品の後にお楽しみください。
執筆の裏側をほんの少しお話すると、オーケストラのスコアをこんなに必死に読み込んだのは人生ではじめてでした(笑)。学生時代にほんの少し大学の管弦楽団に加わりましたが、当時よりもずっと熱心に読み込みました。あの頃こんなふうに読んでいたら、もうちょっと違ったろうなあ、などと思いつつ。
私自身の楽器の腕前はしずかちゃん並みですが、聴くのは結構好きで、オーケストラや室内楽など、演奏会に時々足を運んでいます。
みなさまに少しでも「音楽」と「お味」を味わって楽しんでいただけたら、とてもとてもうれしいです!
2023年の年の瀬、横浜Art and Syrupでのbonbon展に訪れてくれた俳優・坂巻佑ちゃんが、会期が終わってから連絡をくれました。
「物語が気に入ったから、朗読したいんだけど…」
彼女は同じ高校で学んだ同級生。同窓会を機にお付き合いが生まれた友でした。表現者同士では「いつか一緒に」というのはよく繰り返される定型句でもあるのですが、後日彼女から本当に朗読動画が送られてきて、ちょっと感動してしまったのです。その動画の裏に音楽が流れているのに気づいて、私の脳裏には同じく高校時代の旧友ピアニスト・吉田彩ちゃんが思い浮かびました。
高校の同級生三人でショウアップが実現したら、すてきじゃない?と。
物事が進み出す時には、勝手に追い風が吹くことがあります。この時もその例に漏れず、「こぢんまりやろうか」なんて話していたのに、思っていたよりも数倍大きな会場が取れてしまったり、お手伝いに名乗りをあげてくださるありがたい方々との出逢いがあったり、まるで導かれるようにして初演当日を迎えました。
震えそうな緊張感の裏で私たちが感じていたのは、お互いへの圧倒的な信頼感でした。主に映画や映像で活躍している佑ちゃんの言葉が持つ体温と手触り、演奏と教育の両輪で音楽と関わり続ける彩ちゃんの指先が奏でる音。分野こそ違えど、互いの領分を余すところなく差し出し合う空間は、きっと素晴らしいものになるはず、と思えてなりませんでした。
もっとも、自主公演ですから、何から何まで自分たちで行わねばなりません。三人で手分けし、私はデザインまわりを担当。チラシの作成、上演用の映像、受付フォームの作成のほか、配布用のプログラムやチケット、おみやげカードの作成、販売用の上演版冊子の作成、当日の映像出しや照明操作も担当しました。
中高時代の演劇部経験(照明係)を思い出しつつ、会場スタッフのみなさまのお力添えと、受付や物販で力をたくさん貸してくれた同級生たちのあふれるお心遣いに支えていただけて、なんとか実現できました。
意外とやっていたように見えませんか?笑。
だってこの公演の企画段階で、私の本来の仕事(物語)はもう終わっていたんです。ならば当日お客さまに物語を具現化してくれる二人を支える側に回るのは当然(とはいえ俳優も音楽家もたっぷりと慣れない裏方仕事をしてくれていましたよ、なにせ全て手作り公演なので…)。
自分のことば、世界が、多くの方に届くのはとてもうれしかったのですが、それ以上に、こんなにすてきな彼女たちの演技と音楽をぜひぜひ味わってください!という思いが強かったです。ありがたいことに、二人もそれぞれに対して、同様の思いを抱いてくれていた模様。自分はさておき「この二人の素晴らしさを見て!」が互いに作用しあった空間に、魔法のような力が作用していたのです。
佑ちゃんは衣装も自作、幾通りもの早着替えと類稀なる演技力で動物たちを演じ分け、彩ちゃんは繊細でうつくしい音楽を俳優のことばに寄り添うように奏で、年と年のあわいに生まれる宴の世界を、体現してくれていました。
いらしてくださったお客さま、あの空間・時間を味わってくださった方には、あの魔法のような、なんとも表現しきれぬ力が伝わっていたのでは、味わっていただけたのではないかなと思います。会場には、高校卒業以来でお目にかかれた演劇部の先輩方をはじめ、なつかしいお顔もたくさん見え、遠方からいらしてくださった読者さんにもお会いできて、ありがたくうれしいお時間を共有できました。
こんなふうに、私ひとりの机の上で生まれた世界が大きく広がってくれることが、ありがたくて仕方ありませんでした。出版されている小説とはひと味違った、御伽噺のような世界、ご堪能いただけていたら幸いです。
本の中に出てくるお料理に憧れたこと、ありませんか?
「これが食べられたらいいのに」と思ったこと、私もたくさんあるのです。その思いが実現したのが「ビストロつくしのハーブソルト」です。
これまでもありがたいことに、小説のメニューを食べられる機会に恵まれてきました。憧れのドゥマゴパリさんとのご縁や、森の図書室さんとのご縁で、「夕暮れブイヤベース」や「縁結びカツサンド」をお召し上がりいただくことができました。が、東京だからなぁ、と残念に思っておられるお声も聞きまして。どこにいらっしゃる方にでも、食べていただけるような機会があったらよいなと思っていました。
『すきだらけのビストロ うつくしき一皿』の文庫が、ありがたいことに小説家デビュー5年目の節目に刊行されることとなり、感謝の思いを兼ねて、霧鹿香草店さんやWEB販売チーム、カメラマンさん、版元のポプラ社のみなさんなど、たくさんのお力をお借りして、ハーブソルトの販売が実現いたしました。
もとはといえばこのハーブソルト、単行本発売時に、関わってくださったみなさまへ、「御礼」のつもりで開発し、関係者のみなさま(「チームつくし」)にi贈らせていただいたものでした。ありがたいことにご好評を賜り、いつか多くの方にお届けできたらいいなあと夢見ていたものです。
発売にあたって、ラベルや箱などのデザインも手がけました。メインとなる色彩は、物語に登場する「ビストロつくし」のテントの色である「パリの空の色」と「街並みの生成色」。WEB連載時の六つのお料理と六つの芸術分野を配置した、六角形のパッケージ。
実はお塩も、物語に準えて六つの材料(五種のハーブとお塩)からできていて、お塩も物語内の大切な場所である日本とフランスのをお味にこだわってブレンドしています。
『すきだらけのビストロ うつくしき一皿』の世界観ごと、物語とともに食卓を彩っていただけたらうれしいです。
ちなみに霧鹿香草店の名付け親は私。実家が営むハーブブランドで、ハーブ研究家である母が開発してくれた母娘コラボでもあり、個人的にも大切なお味です。