合理的配慮とは、障害のある人とそうでない人の機会や待遇を平等に確保し、支障となっている事情を改善、調整するための措置です。事業主は障害のある人への合理的配慮の提供が義務付けられています。
雇用における合理的配慮を考える上で重要なのは、配慮の内容や程度は、障害の内容や周りの環境、配慮を行う側の状況により変わるということです。一人ひとりの特性や職場の状況を考慮し、どのような配慮が必要でどのように取り入れれば過度な負担がなく実現可能であるかを、障害がある人と企業、周りの人たちが話し合って無理のない範囲で職場環境を整えることが大切です。
「障害のある人とない人では、そもそものスタートラインが違う」ためです。
障害がある人に合理的配慮を行おうとすると、「障害者だけに特別な配慮をするのはおかしい。みなが平等であるべきだ」「差別ではないのか」と主張する人がいます。この主張は正論にも感じますが、実はとても大事なことを見落としています。それは、「平等」と「公平・公正」の違いです。その違いを図でわかりやすく表してみます。
上の画像は左図が平等を、右図では公平・公正を表しています。
左図の「平等」とは、全員に対して同じものを与えることを指します。背が高い人にも、低い人にも同じ高さの踏み台をあげるということです。この場合、同じスタートラインに立っていなければ、踏み台をもらってもパンダが見られない人が出ます。
一方、右図の「公平・公正」は、人々に同じ機会へのアクセスを確保することを表しています。つまり、「全員がパンダを見られるようにすること」を目標としているのです。障害がある人は抱えているハンディキャップの分、障害がない人と比べてそもそものスタートラインが違うのです。
合理的配慮が行われ公正さが保障されてからこそ、初めて平等な環境が得られます。平等になるようハンディキャップの分を埋めて、障害がある人とない人のスタートラインを合わせるためにも、合理的配慮は必要な措置なのです。
会議や打合せでの発言が聞き取りづらい
電話応対が困難
周囲の雑音で話し声が聞こえない/講習・研修での説明が聞こえない
補聴器をしていても、距離・環境次第で限界がある
【 コミュニケーション】
話すときは相手の正面に立ち、口元が見えるようにする
会議や打合わせは議事録や要点メモを共有、字幕
電話連絡をメールやチャットに切り替える
プレゼン資料に字幕・要点を明記
【就業規則・制度面】
必要に応じて通院や補聴器調整の時間を確保
障害者雇用として制度を利用する
社内で啓発研修を行い、理解を深める
【 環境面】
会議室などでマイクやスピーカーを活用
雑音が少ないスペースを選ぶ
補聴援助システム(FM補聴システム、ループシステムなど)の導入
~ロジャーについて~
スイスの補聴器メーカーPhonak(フォナック)で製造している補聴援助システムです。
ロジャーは、話し手が使用する「送信機」で音を集め、聞き手が使用する「補聴器」や 「受信機」に音声を届け、騒がしい環境や離れた場所での言葉の聞き取りを改善します。
ポイント
①誰でも簡単に操作可能
国内で販売されているほぼ全ての補聴器や人工内耳に対応
補聴器を使用していない方でも言葉の聞き取りに不自由を感じている方には、
専用受信機があり使用可能。
②たくさん繋がる
最新の受信機は台数は無制限で接続可能
さらに既存の音響システムや音声アプリなど様々な機器と一緒に利用も可能
③聞きたい声を届け、不要な音は取り除く
デジタル無線方式で高音質な音を届けるだけでなく、独自のテクノロジーで騒音を効率的にカットしてくれます。
職場やプライベートのさまざまな場面でも、ロジャーが役立ちます
大人数での会議、セミナーや研修
・送信機を卓上に置くだけで参加者の声が聞こえます。
・複数の送信機を組み合わせることで、大人数や拾い会議室にも対応
リモート会議
・パソコンやタブレットに接続すれば、音声をそのまま受信機に届けてくれます。
①ロジャーオン3
・首にかけたり、話し手に向けたり様々な用途で使用可能
・マイクロホンの指向性が自動で切り替わるので卓上に置いて使用することも可能。
②ロジャーセレクト3
・胸元につけたり、卓上に置いて使用可能
・複数の会話が同時に行われている場合は、6方向の指向性マイクロホンを自分でコントロールすることも可能。
③ロジャーテーブルマイク3
・卓上専用の送信機
・複数台使用することで、大人数の会議にも対応できます。
・付属のリモコンで、ミュート設定や集音範囲の設定ができます。
最後に
◆ 大切なのは「聞こえの限界を知ること」
補聴器をつけているからといって、すべてが完全に聞こえるわけではありません。
職場のちょっとした工夫や周囲の理解が、働きやすさに大きく影響します。
◆ 誰もが働きやすい職場を目指して
合理的配慮は特別扱いではなく、誰もが働きやすい環境を整えるための工夫です。
お互いを思いやる小さな配慮が、社員一人ひとりの力を最大限に引き出します。
【お問い合わせ】
弊社では、合理的配慮に関する研修や補聴援助機器の導入サポートも行っております。
詳しくはお気軽にご相談ください。