物理学科2回生の絶対零子(ぜったいれいこ)さんが、物理にまつわるいろいろなトピックスについて「はかせ」とざっくばらんに対談(時に鼎談)するコーナーです。

What's New:

絶対零子の公式Twitterあります @RaycoZettai です。皆様のフォローをお待ちしてます🥰

https://twitter.com/RaycoZettai

3 APR 2024

1回生の皆さん!ご入学おめでとうございます🌸

理学部に常設されてる私の等身大パネルが4/3-4/12限定で高等教育推進機構の玄関に移動してます💜💜💜

新しい物理学科のパンフレットもできましたので、ぜひご覧ください一緒に写真も撮ってくださいね🥰🥰🥰

22 MAR 2024

令和6年度の物理学実験テキストが刷り上がりました!今年も新しいイラスト描き下ろしていただきました☆

新3回生の皆様、お楽しみに♡

2 MAY 2023

今年の北大祭も物理展やります……!
なんと今年は私のいろいろなグッズが

うれしいような、恥ずかしいような……笑
プレゼントのあるクイズ以外にも企画が盛りだくさん!!

きてくださいね~!🥰🥰🥰



20 JAN 2023

今日は大寒です!(実際に一年で一番寒いのは2月初旬頃と言われています)

道民の皆さんもそうでない皆さんもいかがお過ごしですか。

札幌市、今週末は雪と強風に見舞われる予報だそうです。交通機関の乱れも予想されます。ご注意下さい。

01 JAN 2023

本年もよろしくおねがいします!

成人の日から理学部5号館ロビーに新しい等身大パネルが登場しますのでお楽しみに☺️

23 MAR 2023

卒業生・修了生のみなさん、ご卒業・ご修了おめでとうございます!
本日は2号館ロビーに卒業記念のかっこいいバックボード&デジタルサイネージが設置されます。私も近くに居ますので、ぜひ私と写真を撮ってください。SNSにアップしてくださった方にはささやかなプレゼントを準備しております。(詳しくは下記のフライヤーをご覧ください。)

5 APR 2023

私が表紙の実験のテキストです!

またもや書下ろし……ありがたや~🙏

29 SEP 2022

元素周期表(プロトタイプ Ver. 5)を更新しました!


29 SEP 2022

質問箱(Peing)を設置しました!頑張って私、物理学科2回生が答えますので、物理に限らずいろんな質問お待ちしてます✨
こんな質問に答えてます「好きな物理公式はなんですか?」
「札幌で好きな場所をおしえてください!」
peing.net/ja/raycozettai

19 JUN 2022

私(絶対零子)とシュレちゃんのブラックサンダーが完成しました✨
7月4日に開催される「サイエンスグローブ」にて40個限定で配布します。
今年は素粒子・宇宙論研究室の瀬戸治先生による「スケールシームレス」なお話です☺️ 1年生の皆さんはぜひお越しください 🎶
http://phys.sci.hokudai.ac.jp/jp/info/2022/06/174.html

過去のお知らせはこちら >>  これまでの絶対零子

登場人物紹介

絶対 零子(ぜったい れいこ) 北大物理学科2年

出身地: 北海道礼文町 血液型: O(RH+)型
好きな食べ物:ちくわパン 好きな物理公式: Maxwell方程式

・物理が大好きでギークな女子。
・小3のクリスマスはサンタクロースに「旋盤」をお願いした。

Twitter: @RaycoZettai 

壱石 真理(いちいし まり) 博士

出身地: 不明 血液型: 不明
年齢: 不詳
尊敬する人: リチャード・P・ファインマン

・素粒子物理から物性物理まで幅広い分野をカバーする物理学者。猫好き。

Schrödinger(シュレディンガー)

出生地: 東欧のどこかの国
目の色: オッドアイ
好きな食べ物:礼文島産ウニ

・研究室で飼われている黒猫。ヒトの言葉を理解している。
猫こそが地球上でヒトを支配する種族だと思っている。
・あだ名は「シュレちゃん」

エピソード

第一話  「就職無理学部ってホント?」の巻


零子 「先生こんにちは!新二年生の絶対零子です。よろしくおねがいします!

はかせ 「こちらこそよろしく。まずは物理学科へようこそ。」

零子        「はいっ!無事学科分属が終わり、嬉しいのと同時に身が引き締まる思いがします。一所懸命がんばります!

はかせ          「うむ。わからないことがあったら何でも訊くのだよ。学生は無知の特権を持っているから。」

零子     「(無知って・・・)あ、ありがとうございます!そこで、いきなり質問なのですが、先日友人から、理学部は 『就職無理学部』って揶揄されているとききました。ひどい言われようですけど、本当に就職先が少ないのですか?」

はかせフフフ。辛辣なご意見だな(笑)。結論を先に言うと答えはNOある。

零子         「ほ、本当ですか? でも、理系である以上、事実に基づいたデータを見るまでは納得できません。見せていただけますか?」

はかせ       「よかろう。それでは、まずは学生諸君が理学部生の就職についてどういう印象を持っているかをデータで確認していこう。下のグラフは学科分属前の1回生のアンケート結果。」

零子      「就職の難易度は『(他学部と)同程度』と『難しい』が、だいたい半々の結果ですね。」

はかせ       「そうだな。近年の日本は就職率も良いので、学生の自由意見の中にも「結局、就職できるかどうかは個人の力量」という、冷静な見方も多い。ちなみに、アンケートの対象者は、医・歯・保健・農・工・理学部をランダムに含む多様な学生達の集団なので、これは平均的な理系大学生の意見として捉えることができる。」

零子        「へぇ…。だとしたら、理学部に対する「就職が難しい」という印象は就職氷河期と言われるバブル経済崩壊後の景気が低迷していた時代に生まれたのでしょうか?」

はかせ       「その時代はどの学部を卒業してもそれなりに就職難であったから、それだけが理由とも言い切れん。また、研究型大学か、教育型大学かの違いでも理学部卒業生の就職の実態は異なる。但し、一貫しているのは、「基礎科学は実生活に結びつきづらい」という印象が先行していること。応用に重きを置き、実生活との結びつきが想像し易い工学部等と比較された結果、根拠無き思い込みによって揶揄されることになったのだと考える。

さて、次に零子くんと同じ、物理学科に配属直後の2年生と、大学院生の先輩方それぞれにも同じ質問をぶつけてみたので、アンケート結果の変化をみてみよう。」

零子        「物理学科の2年生に尋ねた場合、就職が難しいと思っている人の方がずいぶん増えるのですね(汗)。

はかせ      「物理学科生は自虐的なのか、と思いきや、「(就職は)易しい」という意見を持つ学生も数名いる。その一方で、今は純粋に学問だけを追求したい!という思いを秘めている学生が多いのかもしれん。」

零子      「後者かもしれませんね

オタクは自分がオタクであることに心酔しがちですし…かくいう私も物理オタクですが(

さて、大学院生になると一気に就職に対する印象がポジティヴな方向に転換しています!これはどういうことですか?」

はかせ       「先輩方は、物理学以外にも様々な知見を得ている。その結果、視野が広くなり、本質が見えてきたのではないかな。更に、この大学院生に向けたアンケートが10月に行われているところに注目。10月は既に経団連関係の企業内定が出ており、実際に難なく就職していく同級生や先輩を間近に見ていることが大きな理由ろう。」

零子        「いきなり説得力ありすぎです!当の物理学科生は、勉強を進め、就職する先輩方の背中をみるにつれ、就職に関してネガティヴな印象が無くなっていくということですね。」

はかせ     「左様。わかっていただけたかな?」

零子      「それでは実際にどんな業種に就職できるのですか?」

はかせ       「物理学科卒業生の就職先のファクトについては最後に示すことにしよう。逆に質問が、零子くんは将来何になりたいのかな?」

零子        「私は・・・秘密ですっ!先生だって出し惜しみしているじゃないですか(笑)。データを見せてくださったら、教えてあげます♡」    

はかせ   「フフフ。よかろう。実は就職先についても学生が持つ印象と現実との間に乖離があるようなのでな。まずは学生の印象からみていこう。」

零子      「どひゃぁ!これまた、階層によって全く異なる結果ですね。」

はかせ       「うむ。理系1年生にとって、基礎科学を活かせる業種として、学校の先生か研究者くらいしか思いつかないのだろう。」

零子          「実は…私の出身高校の先生にも、似たようなことを言われたことがあります『物理学科を卒業しても先生か学者さんくらいしかなれないかもしれないよ。』と。」

はかせ       「残念ながら、未だ世間ではそう捉える人も多いような。実際のところ、理学部の学生には教員免許を取得する学生が多いのも確かではある。」

零子      「先生はなぜ、大学の先生になろうと思われたのですか?」 

はかせ   「そ、それは然るべき時が来るまで秘密。」

零子 「えっ。(触れてはいけない過去でもあるのかしら?)」

はかせ   「うぉっほん。(咳)さて、先程の結果に戻るが、学年が上がるにつれて、想定している就職先の業種の幅が増えていることに気づいたかね?」

零子 「はい!研究者・教員と同じくらい、製造業(メーカやIT関連のサービス業が多くなっていますね。」

はかせ       「そうなの。実は、ここが本日の最も重要なファクトなの。近年のグローバリズムと第四次産業革命と言われるIoTとAIの普及により、旧い職業が消え、新しい職業がどんどん生まれてる。10年前にはなかった業種や、10年後には消えてしまうであろう業種があることを実感しているだろう?であるから、すぐに陳腐化する技術を職業訓練的に学ぶよりも、そういった浮き沈みの激しい時代の流れに柔軟に対応できる、いわゆる『つぶしが効く』人材が求められてる。

零子          「世知辛いですね。これまで高度経済成長期に日本が得意としてきた「ものまね・改良」では新興国に勝つことが難しくなっているともききます。社会が高度になればなるほど、企業などの就職先が求める素養もより高度なものになっていくのですね。ということは…」

はかせ       「もうおわかりかな? そう、物理専攻の出身者は、基礎ができており、物理は汎用的であるため、守備範囲が広くどのような業種でもにも適応できる。だから、自然と就職先の選択肢も広く、多様になっていく。

それでは最後に、就職活動中の学生を含む『大学院生の先輩方が考える就職先』と、北大の物理専攻の学部・修士卒業生の『実際の就職先』を過去5年間さかのぼって積算した結果をお見せしよう。」

零子 「わー。赤と橙だ!えーっと、IT・情報通信、ソリューション、コンサルティング?」

はかせ      「これはいわゆる『ビジネスソリューションカンパニー』という新しい業種な。いわゆる、様々なバックグラウンドを持つ人材が智力を結集して問題解決を行う仕事。来るべきSociety 5.0では、各種専門知識をすばやく吸収し、自分で考えて問題を見つけ、解決し、高みを目指す能力が求められる。逆説的にいうと、ソリューションカンパニーへの就職が多い物理学科生には、そういった能力が備わっている人物が多く、物理学科はそういった稀有な人材を輩出していると見ることができるのではないかな。一方で、引き続き製造業にもしっかりと就職できてるし、大学院が研究者の登竜門であることはいわずもがなである。」

零子        「ガビーン。最初の『就職無理学部』とは真逆の結果じゃないですか!」

はかせ       「フフフ。最初にNOと断言した根拠がわかっていただけたかな。」

零子        「もしかして、話題の量子コンピュータや人工知能(AI)の分野にも向いているのですか?」

はかせ       「うむそれらの分野は 数学的能力が必須であるのは言うまでもないが、それに加えて、量子力学を理解しているか、実際にプログラミング言語でコードを書けるか、という実践的能力も不可欠である。企業の採用担当者曰く、物理学科出身の学生はそれら3つの能力を全て備えている割合が他学科に比べて高いという。

零子        「へぇ。。。
個人的には、研究者のキャリアパスにも「超」興味あります!実際に、物理学専攻を修了して研究者の道に進まれた方は、どんなところで活躍されているのですか?」

はかせ   「過去5年間の実績と、以下のようなアカデミックポスト(助教・博士研究員)に就職してる。 

国立天文台、京都大学、東北大学、大阪大学核物理研究センター、埼玉大学、弘前大学、高エネルギー加速器研究機構(KEK)、海外の大学・研究機関… etc

など。」

零子      「ふわー。すごい!そういう先輩が居る研究室で、私も学べるのですね。緊張してきたぁ…」

はかせ       「クラーク先生的に言えば、Girls be ambitiousな。 さて、零子くんは将来どんな道を目指しているのか、そろそろきかせてもらえるかな?」 


零子 「はい!私が物理学科を選んだのは、ヨーロッパでは科学者の地位がとても高くて、女性の理論物理学者が一国の首相になったりするから。

将来の夢は、日本にも科学者政党を作って、「政治的妥当性(ポリティカル・コレクトネス)」が重要視される政治の世界に「科学的妥当性(サイエンティフィック・コレクトネスに基づく判断力)」を持ち込むことです!

はかせ     「・・・・・(もしやこの子、実は、とんでもない逸材なのかもしれ。)」


(おわり)

ここまで読んでくれてありがとう!第二回につづく。


FACT SHEET

北大物理 学部・修士修了生 就職先(平成29年〜平成25年) 一部抜粋

(1)

教員(高校・中学校・小学校)、公務員 

(2)製造業

ソニー㈱/キャノン電子㈱/コニカミノルタ/住友電機工業㈱/新日鉄住金㈱/トヨタ自動車㈱/三菱自動車工業㈱/㈱ブリヂストン/三菱電機㈱/日立アプライアンス㈱/㈱日立製作所/富士通㈱/富士通アドバンストエンジニアリング㈱/㈱東芝/東芝エレベータ㈱/㈱東芝セミコンダクター&ストレージ社/㈱アルプス技研/ダイキン工業/伊藤忠ケミカルフロンティア㈱/今治造船㈱/㈱アドバンテスト/㈱HGSTジャパン/㈱OCC/㈱KELK/㈱ケミクレア/㈱JTEKT/ジヤトコエンジニアリング㈱/スタンレー電気㈱/セイコーインスツル㈱/㈱村田製作所/㈱富山村田製作所/日本航空電子工業㈱/日本電気㈱/日本電産㈱/㈱メガチップス/ルネサスエレクトロニクス㈱/双葉電子工業㈱/タイコ エレクトロニクス ジャパン合同会社/古河電気工業㈱/フルテック㈱/㈱マグネスケール/ユニパルス㈱

(3)産業系ソリューションカンパニー、企業コンサルティング、IT関連・情報通信

新日鉄住金ソリューションズ/㈱日立ソリューションズ東日本/三菱メカトロニクスソフトウェア㈱

㈱IDAJ/アクセンチュア㈱/ABeam Consulting㈱/京セラコミュニケーションシステム/日本電営㈱/㈱NTTドコモ/KDDI㈱/日本アイビーエム・ソリューション・サービス㈱/東日本電信電話㈱

㈱日立情報通信エンジニアリング/㈱インサイトテクノロジー/エスシーエスケー㈱/コーエーテクモホールディングス㈱/㈱ジャパンテクニカルソフトウェア/ビー・ユー・ジーDMG森精機㈱/㈱ホープス/㈱ワークスアプリケーションズ

(4)その他サービス業(金融・保険・小売等)

アフラック/㈱札幌進学プラザ/㈱シーアールイー/双日㈱/大丸㈱/㈱テレビ朝日/東京海上日動あんしん生命保険(株) /㈱野村総合研究所/PwGあらた有限責任監査法人/東日本旅客鉄道㈱(JR東日本) /㈱北海道ジェイ・アールシステム開発/みずほ証券㈱/㈱ゆうちょ銀行/りそな銀行/りそな銀行 ソリューションフィールド