応用物理学コース説明会の実施内容とタイムスケージュールについての説明はこちらへ.
工学部独自の来年度学部移行の1年次学生の皆さんを対象としたコース紹介イベントです.
応用物理工学コースでは研究室・実験室を見学するラボツアーを中心とした内容を予定しています.
応物コースに興味を持たれた方は,ぜひ,こちらのイベントにもご参加ください.
私たちが日常で見る大きな物体の運動はニュートン方程式(古典力学)に,原子や電子のような微視的な運動はシュレディンガー方程式(量子力学)に従って説明できます.つまり,自然界のあらゆる現象には“基礎方程式”が存在するのです.
応用物理とは,この基礎となる物理法則を出発点にして,未知の現象を解き明かし,新しい機能や技術を切り拓く学問です.基礎物理が「自然の究極的な統一」を目指すとすれば,応用物理は「多様な現実の現象に挑み,それを理解し活かす」ことに重点を置いています.
物理学の究極の目標は,すべての現象を一つの理論で説明する「統一理論」にあります.重力をも含む標準理論の完成を目指すのは,本流の研究の一つです.
一方で,現実世界は多様で一筋縄ではいきません.ロケット工学や建築学のように,現象ごとに異なるアプローチや学問体系が独立して発展してきました.応用物理は,この多様性に満ちた世界を相手に,物理の知識を武器に挑む立場にあります.
実は,私たちの生活を支える多くの技術は応用物理の知見から生まれています.
情報通信分野
半導体素子(トランジスタやメモリ)は量子力学を理解したからこそ実現しました.スマートフォンやパソコンの根幹にある技術です.
医療分野
MRI(磁気共鳴画像)やPETといった先端医療機器は,物質中のスピンや放射線の物理現象を応用しています.人々の健康を支える技術も応用物理から誕生しました.
エネルギー・環境分野
太陽電池やLED照明は,固体中の電子のふるまいを解明することで実用化されました.持続可能な社会を支えるエネルギー技術に直結しています.
先端量子技術
量子コンピュータや量子暗号通信は,ナノスケールで現れる量子性をいかに自在に操作するかという課題に挑む研究です.これは今まさに世界的に研究が進展しているホットな分野であり,応用物理を学んだ人材が最前線で活躍しています.
応用物理の本質は,
自然法則に立ち返り,本質的な自由度を抽出する
複雑な現象を整理し,新たな学理として体系化する
その成果を社会や技術の発展に結びつける
という姿勢にあります.
「要素を極限まで分解して一つの理論に還元する」方向だけでなく,多様性に満ちた世界を理解する柔軟な視点も大切にしています.だからこそ研究テーマは多岐にわたり,人それぞれの「応用物理」が存在するのです.
この特設サイトでは,応用物理工学コースに関する情報や研究紹介へのリンクをまとめています.ここから興味を持ったテーマをさらに深掘りし,自分なりの「応用物理」を見つけてください.
応用物理工学コースでは,基礎となる物理の講義,それに付随する演習,そして実験が必修科目です.これらを通じて,物理の理論的基盤と実際の現象理解を体系的に学ぶことができます.
以下に,必修の講義と実験のシラバス(2024年度)を示します.
2年次:
3年次:
演習科目・選択科目の内容は,下記の「シラバス検索サイト」にて参照できます.
演習科目:
主要科目に付随する演習では,対応する講義内容に即した問題演習を行います.すべての演習科目には,教員に加えて大学院生のティーチングアシスタント(TA)が配置され,授業中に質問に丁寧に対応します.また,答案は採点されて返却されるため,理解度を確認しながら学習を進められます.
4年生になると研究室に配属され,1年間にわたり卒業研究に取り組むことになります.
研究活動では,基礎知識の習得,研究課題の設定,研究手法の選定,実験や計算の実行,結果の妥当性の検討や考察,さらに成果の口頭発表や論文執筆など,幅広い力が問われます.
もちろん,卒業研究の段階でこれらすべてを一人で完全に実行する必要はありません.しかし,それぞれのプロセスの中で本質的な貢献を果たすことが期待されます.
応用物理工学コースでは卒業研究を非常に重視しており,各研究室で教員が手厚く指導しますので安心してください.また,4年生の卒業研究であっても,真に新しい成果が得られれば,卒業時や修士課程進学後に学会発表に至ることもあります.
人的にも設備的にも大きなリソースが投入されるため,卒業研究での経験は大学4年間の学びの中で大きな比重を占めます.ここで得られる知識やスキルは,将来の進学や社会での活躍に直結する大切な財産となるでしょう.
教員リストと研究室HPへのリンク,各研究室で作成したPRスライド1枚を掲載しています.
コースのHPや,過去のコース紹介時に使用した説明ファイル,工学部広報誌に掲載された応物関係者に関する記事へのリンクなどをまとめています.
工学部によるコース紹介ページ,あるいは,コース紹介説明ファイルにて卒業後の進路や就職先などを確認することができます.
このサイトの文責はすべて鈴浦にあります.
このサイトに関する質問等は下記のメールアドレスにご連絡ください.
鈴浦秀勝 教授:Professor Hidekatsu SUZUURA
物性物理工学研究室:Laboratory of Theoretical Solid State Physics
E-mail : suzuura@eng.hokudai.ac.jp