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現在の研究
1. 人為的に設計した mRNA からひもとく mRNA の一生
【目的】
教科書に書かれているような mRNA の一生には見落とされていることがないでしょうか。また、どこまでが本当なのでしょうか。新しい知識の発見は教科書を改訂することにつながります。
【興味のあること】
- 真核生物の mRNA が生まれて(転写されて)から死ぬ(分解される)までのイベント全般
【アプローチ】
mRNA に人為的に様々なパーツを埋め込んで特殊な人工 mRNA を生み出します。アプタマーやリボザイムなど機能性の RNA をパーツとして使うこともできますし、特定のRNA 結合タンパク質の認識配列を埋め込み、その RNA 結合タンパク質を介して任意のタンパク質を mRNA 上に繋留させることもできます。
このように人為的に設計した mRNA が細胞内でどのように振る舞うのか検証し、mRNA の一生や mRNA を取り巻く環境の理解を目指します。
2. 新しい研究アプローチの開拓
【目的】
新しい研究方法の開発は、これまでに見落とされていたことの発見につながります。また新しい研究分野を生み出すことができるかもしれません。
【興味のあること】
- もっと簡単にタンパク質と mRNA との相互作用の網羅的解析(インタラクトーム解析)ができないだろうか?
- (これまでのオーミクス解析のようにある瞬間の細胞状態の全貌を解析するのではなくて)生きた細胞内のできごとの前後関係を明らかにできないだろうか?
【アプローチ】
基本的には既存の研究方法を発展させます。これまでに開発された様々な研究方法をよく理解して、分類・整理して新しい組み合わせで使ってみたり、まったく別の目的に転用したりできないか検討します。また、細胞内で起こっている現象や反応を実験方法として流用できないか検討します。
3. 翻訳段階や mRNA 段階の制御を中心とした人工的な遺伝子発現制御系の構築
【目的】
人為的に設計した mRNA は新しい研究アプローチを産みだす可能性をもっています。また、新しい研究アプローチも新しい mRNA の設計につながる可能性があります。さらにいうと、産業技術などとして社会に役立てることもできるかもしれません。
【興味のあること】
- とにかくたくさんタンパク質を合成させるためにはどんな mRNA を設計したらいいだろうか?
- 抑制状態と活性化状態の発現量の違いを大きくさせるためにはどのような mRNA を設計したらいいだろうか?
- そもそも翻訳制御と転写制御を特徴づけているのはどのような性質だろうか?
- 翻訳制御ならではの遺伝子発現制御ネットワークはないだろうか?
【アプローチ】
新たに設計した mRNA や新たに開発した研究アプローチを多様な目的に流用できないか検討します。さらに、その人工 mRNA や研究アプローチを構成している部品を改良したり、別の原理に変更したりして、目的を達成する技術へ発展させていきます。
4. 真核単細胞モデル生物: 出芽酵母 を用いた in vivo 構成的生物学
【目的】
出芽酵母は、取り扱いの簡便さもさることながら、これまでに解明された知識や開発された実験方法の豊富さ、あるいは産業応用実績の豊富さなど、人類の研究の積み重ねがもっとも充実したモデル真核生物です。出芽酵母を使えば、過去の蓄積を総動員して新しいことがなんでもできる、、、はずです。
【興味のあること】
- 核と細胞質ってなんだろうか?
- オルガネラってなんだろうか?
- 多細胞生物ってなんだろうか?
- 生きているってなんだろうか?
【アプローチ】
どうやったら答えに近づけるか模索中です。そんななかでもできることは、実験可能なことや構築可能な系をどんどん増やしていくことです。新しい遺伝子発現制御系(部品やネットワーク)を構築して、細胞内で意図通りの挙動をするか確認します。
このような研究に興味のあるかたはお気軽にご連絡ください。
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