日本学術振興会協力会 産学研究委員会としてゲノムテクノロジー第164委員会は平成8年(1996年)に設置され、我が国の産学の研究者が新たなゲノム解析技術について情報交換を行うフォーラムとしての役割を果たして参りました。
初代委員長の榊佳之先生はまさに我が国のヒトゲノム計画を牽引され、第2代委員長の菅野純夫先生はゲノムの機能ユニットであるヒト遺伝子を網羅する完全長cDNAプロジェクトの推進を始め、新たなゲノム解析技術の開発普及に務められました。
2008年以降、次世代シーケンス解析によるヒトゲノム多様性や疾患ゲノムデータの大規模収集が進むなか、2018年より第3代委員長を拝命いたしました。
エピゲノムを始めとするオミクス解析への展開をすすめる一方でゲノム医療の普及を推進して参りました。2019年にはがん遺伝子パネル検査が保険収載され、実臨床において個別化医療、精密医療の実現が急速に進んでいることは喜ばしい限りです。このようにゲノム配列解析自体はcommodity化する一方、1細胞のマルチオミクス解析やロングリード解析などの新たなゲノム解析技術が続々と登場し、いまや生命科学の基盤技術といっても過言ではありません。
ゲノムテクノロジー第164委員会は国際会議(AGW:Advanced Genome Workshop)をこれまで13回開催し、初回のSydney Brenner, Craig Venterを皮切りに海外の旬の研究者、若手研究者を中心に招聘し、我が国の研究者との交流に貢献して参りました。近年では2年以上におよぶ新型コロナ禍におきまして学界委員121名、企業委員30社の皆様からのご支援を得ながら国内外の研究者によるセミナーを中心に分科会活動を継続してまいりました。
このたび、日本学術振興会の制度改革を機に、(旧)日本学術振興会産学協力研究委員会ゲノムテクノロジー第164委員会は(新)一般社団法人ゲノムテクノロジー研究会として活動を始める事と致しました。
がんゲノム医療が開始され、がん・難病についての大規模全ゲノム解析プロジェクトも昨年より開始されるなど、我が国におけるゲノムへの取り組みも活発化されております。しかるに個人ゲノム情報を共有しながらもいかに安全に管理するか、産出される大量の情報を如何に処理・活用するかという様々な課題にも新たに直面しております。164委員会の活動を継承する「ゲノムテクノロジー研究会」では、新規解析技術に関する情報交換はもちろんのこと、産学の研究者が研究倫理の話題で率直に意見交換できる常設的な場も提供することも予定しております。
ゲノム関連のアカデミアと企業をつなぐ産学フォーラムとしての「一般社団法人ゲノムテクノロジー研究会」にご期待ください。
理事長 油谷 浩幸
理事長: 油谷 浩幸
幹事:柴田 龍弘(東京大学 医科学研究所)
鈴木 穣(東京大学 新領域創成科学研究科)
松本 直通(横浜市立大学)
菅野 純夫(東京医科歯科大学)
運営委員: 油谷浩幸(東京大学)
菅野純夫(東京医科歯科大学)
松本直通(横浜市立大学)
柴田龍弘(東京大学)
鈴木穣(東京大学)
福嶋重信(キコーテック(株))
近藤直人((株)理研ジェネシス)
佐藤昭之(タカラバイオ(株))
吉崎史子(アジレント・テクノロジー(株))
高橋健太郎(エーザイ(株))
監 事:太田紀夫(JST)
会員: 学界87名 産業界31社