「おがわ学」には二つの大きな「ねがい」が込められています。一つ目は、小川町に係わるすべての人々が充実したよりよい人生を送ることです。二つ目は、「おがわ学」を学んだ児童・生徒が将来、地域や社会を支え、世のため人のために力を尽くしてくれることです。この二つの「ねがい」が叶えられるよう、私たちは「おがわ学」を創り、小川町に係わる方々や児童・生徒と共に授業などを通した実践を行っています。
「おがわ学」は次のような「ねらい」を持って創られています。児童・生徒が、小川町の自然、歴史・文化、産業などを学んでいく中で知識や技能を身に付けるとともに、小川町を窓にして世界を見ることで身の回りで起きていることと世界の出来事を関連付けて考えたり、これからの社会を思い描いたり、将来どのような人生を歩んでいこうかを考えるきっかけとなることを狙っています。また「おがわ学」は、小川町の豊富な教育資源である人、物や情報を活用して、より実社会や実生活の複雑な文脈とのつながりを持った「真正の学び」を目指しながら、多様な人々との係わりや協働を通して、児童・生徒の情緒がより豊かになり、他者と互いを尊敬し合える関係を築ける人へと成長することを狙っています。
昨年度(令和元年度)から始まった「おがわ学」の構築・実践はまもなく2年を終えようとしています。本格的な実践を予定していた今年度(令和2年度)当初は、新型コロナウィルス感染症の感染拡大による2か月間の休校と3週間以上の分散登校などにより、予定通りの実践は行えませんでした。しかしながら7月以降、小中高の先生方が知恵を出し合い、「新しい学校の生活様式」を踏まえた方法に変更しながら「おがわ学」の授業実践を行ってきました。新型コロナウィルス感染症は未だ収まる気配がありませんが、私たちも感染症対策に十分気を配り、柔軟に方法を変えながら「おがわ学」に込めた「ねがい」や「ねらい」に向けて今後も実践を続けていきます。来年度(令和3年度)は、今年度の実践をより改善するとともに、小中高で「おがわ学」の更なる構築・実践を進め、系統性を伴った実践となるよう努めていきます。
最後になりましたが、この「おがわ学」の構築・実践を支えてくださっている文部科学省、埼玉県教育委員会、小川町、小川町教育委員会、そしていつも快く授業支援を引き受けてくださる小川町の企業やNPO、地域住民の皆様へ心から感謝の意を表したいと思います。
【参考・引用文献】
石井英真「未来の学校-ポスト・コロナの公教育のリデザイン-」(日本標準)2020