真空封止をともなったForce Rebalance型AM加速度センサ
真空封止をともなったForce Rebalance型AM加速度センサ[1][2]
高精度な自動運転や高度なロボットの制御に向けて、MEMS加速度センサの研究を行っています。本研究室では高精度化に向けて、以下の3つの特徴をもつAM加速度センサの研究を行っています(AM: Amplitude Modulation)。
高Q値化(真空封止)
センサ構造に空気分子が衝突することで発生するメカノイズによって加速度センサの精度が低下します。加速度センサを真空封止し、高Q値化することによってメカノイズを低減します。
FR(Force Rebalance)制御
真空化によって空気抵抗が小さくなると、加速度印加時の自由振動が収まらず、加速度センサの応答性が悪化するという課題があります。そこで、慣性力による変位がゼロになるようにFR制御電極で静電力を与えて、応答性を改善します。
デカップリング構造
ある軸に加速度が印加された際に、加速度が印加されていない軸にも加速度が検出されることを他軸感度と呼びます。X軸とY軸の加速度に対して、センサの動作が各軸で独立するデカップリング構造とすることによって、他軸感度を低減します。また、FR制御の軸独立性も向上します。
[1] 川野遥暉,武田悠吾,畑良幸,“高精度化に向けた真空封止とデカップリング構造をともなった振幅変調型加速度センサの動作検証 ”,令和6年電気学会全国大会,3-114, pp.162-163.
[2] 川野遥暉,武田悠吾,石井颯太,畑良幸,“真空封止とデカップリング構造をともなった Force Rebalance 制御式2軸加速度センサ”,第41回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム,26A2-D-4 (2024).
Force Rebalance型FM(Frequency Modulation)加速度センサ
FM (Frequency Modulation)加速度センサ
高精度かつ応答性が高いMEMS加速度センサに向けて、共振周波数の変化量から加速度を検出するFM加速度センサの研究を行っています。この方式は、信号の周波数成分を用いて加速度を検知するため、電気ノイズの影響を受けにくく、高精度化が期待できます。
FR (Force Rebalance)型FM加速度センサ[3]
本研究室では、FM加速度センサにFR制御システムを融合した新たなセンサの研究を行っています。センサ構造は2つのマスからなり、加速度印加時に2つのマスの逆相モードの共振周波数が変調します。FR制御は加速度印加による慣性力を抑制する方向に制御力を加えます。これによって共振周波数の変調をゼロに保つ制御力が発生し、これがセンサ出力となります。FR制御によって、加速度印加時の自由振動を抑制できるため、応答性の向上が期待できます。さらに、センサ出力である制御電圧が加速度に比例するため、線形性向上にも寄与します。 実際にセンサデバイスを試作し、実機検証により加速度印加時のセンサ出力(制御電圧)の変化を取得できたことから、提案する加速度センサの動作を実証しています。
[3] Y. Hata, D. Kondo, H. Kawano, and Y. Takeda, “Electrostatic Resonant Accelerometer with Force-Rebalance Control”, IEEE SENSORS 2024.