メタ情報
リンクを張ったお礼で、メタ情報を適当に・・
リンクを張ったお礼で、メタ情報を適当に・・
(掲載レベルとお勧め)
分野ごとに、おおむね以下の順序で掲載しています。
お勧めは、4で興味のある分野を見つけ、2の学部レベルの講義
を聴き、難しければ1へ、更に興味があれば、4かな、、
入門レベル
日本の個人サイト、放送大学
専門学部レベル
日本の大学のOCW、海外大学のOCW
大学院レベル
海外大学のOCW、ICTP
一般教養として
京大の市民講座、東大の学術俯瞰講義、Oxfordの検索結果
f:ふと思いついて,YouTubeで英語で general theory of relativity で検索してみた。
やはり,日本にはないすごい授業が無数に出てくる。一気に世界が広がるよ。
MITの10数回の general theory of relativityの講義も全て無料でみられる。
ちらっと見たけど,何せ物理の講義だから英語はなんとか聞き取れる。
そのうち,同時通訳ソフトが出ると,文系の授業でもOKになることは間違いない。
ということは,大学はいらない時代になるということだね。
MITのレベルだと,授業料は年間300~400万もかかるし。
優秀な頭脳をもった子どもは,貧乏であっても,世界の片田舎に住んでいてもMITの授業が受けられるようになる。
もうなってるんだろうね。
n:そうだね、そうなるといいね。コンテンツを探して整理してみよう。
物理に使うこれらの概念の講義で、分かりやすかったのは、
1)理論物理の幾何の解剖
https://www.youtube.com/watch?v=V49i_LM8B0E&list=PLPH7f_7ZlzxTi6kS4vCmv4ZKm9u8g5yic
通論でざっくりしてる。入門用に良い。
2)複素多様体
https://www.youtube.com/watch?v=SD3Tiqxz854&list=PLx5NJKSpc4lRws8NLqXS3EOdkO05D7WZ0
束の基礎が数学的にしっかりする。
3)微分幾何
https://www.youtube.com/watch?v=AkVMWhrJxs0&list=PLoWHl5YajIf7NzvxmGH7ch6d6qDSCv4wj
多様体上の束の接続、曲率等が詳しい。
4)Lie群
https://www.youtube.com/playlist?list=PLelIK3uylPMG3iyQ_SJYqeyjmeNC2QC3L
Lie群、Lie代数、束への作用、表現論等、詳しく、丁寧。
5)表現論
https://www.youtube.com/playlist?list=PLoWHl5YajIf4WeY-x9wXU-i3-Asx9RNtD
まだ見てないが、詳しそう。
他にも断片的だが、以下がおさらいに良いかも知れない。
6)先端物理学国際講義Ⅰ
https://ocw.u-tokyo.ac.jp/course_11330/
7)Group Theory in a Nutshell
https://www.youtube.com/playlist?list=PLrLctLPAdPNsB9TGH3i1zUNjzlssmcfCI
場の理論のゲージ理論を、数学辞典から抜粋すると、(以下頁1165-6より抜粋)
ゲージ理論の顕著な性質の 1 つは,ゲージ場と物質場の相互作用の形が局所的ゲージ変換不変性の要請により,一意的に決まってしまうということである.
この意味でゲージ対称性は相互作用の形を決める.この機構をゲージ原理と呼ぶ.
ゲージ場の質量は 0 であるが,(多成分)複素スカラー場を導入し,自発的対称性の破れを利用することにより,特定のゲージ場に質量を持たせることができる.
この構造を Higgs 機構(Higgs mechanism)といい,これを可能にするスカラー場を Higgs 場,その量子を Higgs ボソンという.
Higgs 機構は,ゲージ理論を現実的なものとする上で重要な役割を演じている.
例.(1)G = U (1),物質場が Dirac 場の場合に対するゲージ場は電磁ポテンシャルであり,この場合のゲージ理論の量子版は量子電磁力学(quantum electrodynamics ; QED)である.これはアーベリアン・ゲージ理論である.
(2)G = SU (2) × U (1),物質場としてレプトンとクォークを記述する 2 種類の Dirac 場(Fermi 場)をとってできるゲージ理論が電弱統一理論である.
SU (2) に対応するゲージ場の量子がウィーク・ボソンであり,Higgs 機構を通じて質量を獲得する.
(3)G = SU (3) × SU (2) × U (1) の場合のゲージ理論は 素 粒子 の標 準 模型 を 記述 す る.
群 SU (3) によるゲージ理論は量子色力学(quantum chromodynamics ; QCD)と呼ばれ,クォークが有する強い相互作用を記述する.(抜粋終了)
ーーーーーーーーーーー
標準モデル(標準模型)の講義は、多くはないが、Peskinの講義と、ICTP
のいくつかの講義が存在する。
ICTPセミナーのGrossmanの講義は簡潔で分かりやすい。
ICTPのSenjanovicの講義は丁寧なので、取り組みやすいであろう。
Peskinのは、彼のテキストに近い内容なので、テキストが参照できるが、ビデオは画質が悪いので、苦労する。
参考に、QCD等の講義も併せて載せておく。
ーーーーーーーーー
ICTP:粒子物理、E,V1.3x22回(一部録画ミス:旧年度参照要)
https://www.youtube.com/watch?v=Gw1ZWaJDoZo&list=PLp0hSY2uBeP9KFxYhTLhil32QkdGAJYXJ
☆Standard Model and Flavor,E,V1.3x7回
https://www.youtube.com/watch?v=GGzRdiBd8w8&list=PLA7b3tvTXtYiZMUkzZyyhqNOfPMSlcrf0
〇 ICTP:標準モデルThe Standard Model,E,V1.3x20回,他
https://www.youtube.com/playlist?list=PLp0hSY2uBeP-Fs335_U9HbznOV77XJwX9
https://www.youtube.com/watch?v=lv9GJUagNH8&list=PLp0hSY2uBeP_U3TLw9GtiuhFxOni1HPo9&index=1
Beyond the Standard Model (HEP-BSM)
https://www.youtube.com/watch?v=sR1lcuDc4lU&list=PLp0hSY2uBeP9SiKmydSNpqVbe0ijb_ngw
ICTP:スーパーシンメトリIntroduction to Supersymmetry,E,V1.5x12回
https://www.youtube.com/watch?v=NpFrF3WJQDo&list=PLp0hSY2uBeP-HCragopXbEdvz8WcuD1EZ
Perimeter Institute:標準モデルThe Standard Model,E,V1x15回+他
https://www.youtube.com/playlist?list=PLq_v5FM-7Nn6nChk-YkdTJGCdN5XpoUge
IFT - UNESP:Quantum Field Theory II,E,V0.2-1.2x19(Renormalization of QED)
https://www.youtube.com/playlist?list=PL5-Gs_CjccK51MURXy4_Fgy9ihSul3-h5
Mainz:Flavor Physics,E,V1.3x4回、他2018
Standard Model,SUSY Field Theory,ETFs,Precision QCD,QTFs
https://www.youtube.com/playlist?list=PLejkXpUan6WGTsjb6IokNBjGfHWbDJOdg
Florence HEP:Perturbative QCD、E,V1.4x8回
https://www.youtube.com/watch?v=r0JUBLhcw-4&list=PLDxsZU4NC6Z5ArDOepoRx4EfYmw6S_gne
Trinity:Lattice QCD,E,V1.3x4回、他2019
QCD Phase Diagrams,Large N,Beyond the Standard Model
https://www.youtube.com/playlist?list=PLejkXpUan6WFDQGVd6f6-eIfxbQpYljL2
f:僕が今一番授業を受けてる若い先生。ヨビノリ タクミさん。
みんな知ってるのかな?
無茶苦茶講義がうまい。講義のレベルは入試~大学学部レベル。
分野は主に数学≧物理
ただ,博識なので生物,化学の講義も面白い。
東大物理の博士課程を中退した経歴あり。
f:ヨビノリ 量子力学入門①~⑩ 各30分程度
https://www.youtube.com/watch?v=zlVnhTD7qMQ
*あまりの講義の組み立てのうまさに感動
歴史的に重要な,プランクによる黒体放射の問題,最初に量子力学を発見したハイゼンベルグ流の形式化を完全に無視している。
このため,量子力学をシュレーディンガー方程式から始めるという構成になっている。
これで,量子力学へのハードルが劇的に下がるので,初心者にも非常に理解しやすい。
ちなみにシュレーディンガーさんは,プレイボーイとしても歴史に名を残している。
n:ウーム、数学的には飛躍が多いが、物理って使って結果が合えば良いので、覚え易いレクチャもありなのだろう。
n,勉強方法では、多くのテキストにあたれというのと、1~2冊に絞れの2説ある。ただ、どちらも手を動かして計算せよとのこと。
いろんなソフトがあるようだけど,僕は読みたい部分を
Google翻訳の英文の個所に張り付けて,スピーカーボタンを押して読ませてる。
目と耳からinput されるので,理解は早くなるし,眠気も抑える。
なるほど、PDF文書も張り付けたら読み上げてくれるね。
良い加減に日本風発音?で、英語がなまってないので聞き取りやすい。
英語は文章を目で読むより、耳で聞きながら追うほうが、楽な気がする。
漢字みたいな表意文字でなく、表音文字だから、目だけだと単語の認識が
ひと手間必要で、脳が疲れるのかな?(脳は、超マルチスレッド!)
でも、読み上げ速度が速いので、時々考える時間(ポーズ)が欲しいな・・
フリーソフトなのでウイルス等心配だが、試してみた。
https://www.updatestar.com/ja/directdownload/panopreter-plus/2504208
フリーソフトで、PDF1冊(400ページ)丸ごと読み込めて、速度、ピッチ、一時停止/再開
できるんだね。式のギリシャ文字発声にも対応してた。
Webのページも丸ごとコピペできるし、まあ、便利な世の中になったものだ。
ある時、Edgeブラウザに、音声読み上げ機能があり、chromeにも拡張機能
があり、主要ブラウザでテキスト表示すれば、読み上げ可能と気づいた。
音声読み上げは、いずれもマイクロソフトOSの機能をもちいており、あとは辞書
の問題なので、ブラウザタイプの辞書が、フリーソフトの辞書より滑らかそうだ。
とにかくこれで、講義録のみ公開の講義だけでなく、nLabの膨大な
資料群が視聴覚教材になり、これは凄いと思う。
更に、Project Gutenbergに6万冊の本が公開されてるので、古典は自由に聴けそうだ。
https://www.gutenberg.org/
OCW:オープンコースウエア
講義の無償公開活動。
edx:エデックス
大学の授業を無償で提供するプラットフォーム。交流型を狙う。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%87%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9
ICTP:国際理論物理学センター
研究所の専門家育成教育なのだろうか?時間と回数かけた講義を多数公開している。すごい。
SGU:スーパーグローバル大学
世界レベルの教育研究を行う「グローバル大学」を重点支援するために文部科学省が創設した事業 。
MACS:理学教育プログラム
MAthematics-based Creation of Science Program の頭文字を取った「数理を基盤として新分野の自発的創出を促す理学教育プログラム」の略称。数理を基盤として京大理学研究科の複数分野を横断する融合研究の推進 を目指す。
MITはOCWで、多数の通常講義をテキストと一部ビデオで公開している。
OxfordはOCWで、多数の公開レクチャを、ビデオで公開している。講義ノートの公開は少ない。
Cambridgeは、登録型のedxで、公開型ではないが、多数の講義録を公開している教授がいる。ビデオは探すしかないが、少なそう。
ICTPは、Ph.D準備プログラムを含め多くの通常講義とセミナー類をビデオで公開している。講義録は少ない。
QFTの次の進路につき、説明している講義(↓後半1H)
https://www.youtube.com/watch?v=r_Q8L3vRie8&list=PLDfPUNusx1ErSu1JDVV1KKGQkJQCkzL9u&index=18
QFT:場の量子論 ハノーバー校.Cambridge,t,Stanford,Harvard,ICTP
QED:量子電磁気学 ICTP
entanglement Stanford
EFT:Effective field theory MIT
Gauge Theory Cambridge
Standard model ICTP
Supersymmetry ICTP
Grand Unification Stanford
CFT:共形場理論 ハノーバー校
String theory MIT,Stanford,tifr,ICTP
Holographic Duality MIT
M-Theory Stanford
QFT:場の量子論をいろいろ聴いたが、講師/大学によりかなり違う。
1)ハノーバー校:Wickの定理や繰り込みを証明・計算で示してる。多分標準的。
https://www.youtube.com/playlist?list=PLDfPUNusx1Eo60qx3Od2KLUL4b7VDPo9F
2)ケンブリッジ:なぜ、こういう計算が必要か、問題点と共に示す。計算自体は、宿題として省略。
https://www.damtp.cam.ac.uk/user/tong/qft.html
3)スタンフォード:計算はほとんどせず、QFTとは何をするものかの説明を試みてる。
https://www.youtube.com/watch?v=2eFvVzNF24g&list=PLaTmJYdn8i5zI1To7uSg75eNA_AKXGUl0
4)ICTP:欧州の大学院の準備コースらしく、計算・例を実際に示すことが多い。
https://www.youtube.com/watch?v=gFDZZuWbKBM&list=PLp0hSY2uBeP-HxUeSvdOO5N4gvK91XEry
5) Durham:QFTⅡ:理論中心だが、わかりやすい。
https://www.youtube.com/watch?v=bvaewnywYM4&list=PL_kQfq_5BKqq1xPQe3LHeAuAoLyCMZx4Y
まあ、大体この順で聴いてて一長一短だが、合わせると多角的に見えるので、良い。
3)のSusskindの9回目の最後の30分~10回目あたりは、そもそも論で示唆的。
何となく、格子量子論とファイマン図や経路積分の関係が見えてくる気がする。
現在の量子論は、階層的なeffectiveセオリなのね。
場の量子論で、ごちゃごちゃしてきたので、ガイドブック代わりに
数学辞典第4版(弦理論は未収録)で、場の理論を整理(抜粋)してみた。
’くりこみ’とか、’ゲージ’という言葉が、どのあたりで出てくるかの検討はつく。
公理的云々以降は、なんのこっちゃら・・
くりこみとか公理的はほどほどにして、次はゲージが良さそうだな?
21世紀初頭の数学会は、弦理論をパスしたが、入れるとしたら、どのあたりに
なるのだろうか?
(以下、数学辞典の場の理論から抜粋)
A. 初期の発展の概要
chwinger(1951)は場の量子論の運動方程式と交換
関係とを統一的な変分原理から導いた.こうして相
互作用を考慮しない限りでは,特殊相対性理論と
量子論との要求を満たす素粒子の一般的理論体系
が自由場(free field)の理論として一応まとめられて
いる.
B. 相対論的共変な場の古典論
場の古典論の模型は,そのような場 φ r α (x),その xμ に
関する偏微分 ∂μ φ r α (x),およびそれらの複素共役
量の汎関数 L (x) により指定され,L (x) はラグラ
ンジュ密度関数(Lagrangian density)と呼ばれる.
場の変換(成分の間の局所的変換または(あるい
はおよび)dx を保つ点 x の変換)のなすリー群の
もとで I が不変ならば,ある量の保存則が成立す
る(Noether の定理).
C. 場の量子論の伝統的処方
相 互 作 用 を 持 つ 量 子 化 さ れ た 場 は ,場 の 量 子
論の教科書に記されているように,Fock 表現での形式的
運算により発見的に初期の定式化が行われた.その
ような形式的運算は,空間を有限領域に制限し,場
合によっては空間を格子化し,場の平均操作などに
より相互作用の高エネルギー部分を押さえるなど,
いわゆるカット・オフ(cut-off)を導入したものにつ
いては数学的に正当化される.
そのように(形式的に)得られた表式は,カッ
ト・オフを取り除いた後では発散積分になる場合が
あり,その場合には,質量や結合定数などの変更
(変更分はくりこみ定数(renormalization constant)
と呼ばれ,カット・オフを取り除いた後では発散
する)や,くりこみ定数を含んだ新しい項の追加に
よって,当初のハミルトニアンを修正し,もって表
式に現れる発散積分を消去しようと試みる.もし有
限個のくりこみ定数を使うことによってこれが成功
すれば,その模型はくりこみ可能(renormalizable)
という.もし発散積分が有限個の図形(無限に多数
の図形の部分図形として現れる同一図形の発散積分
は 1 個の図表として計算する)に限られている場合,
その模型は超くりこみ可能(super-renormalizable)
という
D. 公理論的場の量子論
ヒルベルト空間† H 上,次の G ̊arding-Wight-
man の 公 理を 満 た す 場 φ α (x) を Wightman 場
(Wightman field)という.
G ̊arding-Wightman の公理系において,量子場に
付随する素粒子の粒子的描像を得るには,散乱理論
を構成しなければならない.これは Haag-Ruelle
の散乱理論と呼ばれる
E. 局所物理量の理論
作用素値超関数という特殊な仮定を除き,Wight-
man の公理の物理的内容は,時空領域 O で観測可
能な物理量の生成するフォン・ノイマン環† A(O)
を各有界開集合 O に対し考えることにより,次の
ように定式化されている
F. 構成的場の理論
場の量子論の伝統的処方に数学的意味を与え,
Wightman 場および付随した局所物理量の生成す
るフォン・ノイマン環†の系を作ろうという努力は,
1960 年代中頃から,J. Glimm および Jaffe により強
力に推進され,構成的場の理論(constructive field
theory)の名で知られている.Wightman の公理系を満
たす 4 次元時空上の相対論的場の量子論のモデル
の数学的存在を示す問題はなおも未解決のままで
ある.
G. ゲージ理論
ゲージ理論の数学的構造を粗く述べれば次のよ
うになる.G をリー群として,(ρ, V ) を G の有限
次元既約表現とする.時空 M(典型的には 4 次元
Minkowski 空間)の上の V 値関数 φ に対して,φ の
変換 を群 G による大局的なゲー
ジ変換と呼び,G をゲージ群という.
φ が M 上の物質場(例えば,電子場)であり,そ
のラグランジュ密度関数がこの変換のもとで不変で
あるとき,φ は群 G による大局的なゲージ不変性
(対称性)を持つという.
群 G による大局的ゲージ対称性を持つ場の理論
は局所的ゲージ変換に対しては一般には不変になら
ない.しかし,新しい場を導入することにより,局
所的ゲージ変換に対しても不変になるように理論を
拡大することが可能な場合がある.この場合,新し
く導入された場をゲージ場と呼ぶ.これは G のリ
ー環に値をとる M 上の 1 形式で与えられる.この
ようにして構成される物質場とゲージ場の相互作用
理論が G をゲージ群とするゲージ理論である.G
が可換な場合を可換(アーベリアン)ゲージ理論,非
可換な場合を非可換ゲージ理論または Yang-Mills
理論という.
H. ゲージ理論と非可換幾何学
基本的なスキームは新しい時空として離
散的な時空 M × Z2 を導入し,非可換幾何学を用い
て,この時空上のゲージ理論を構成するということ
である.
I. 超対称的場の理論
しかし,ボソンとフェルミオンを関係づける対
称性を考えることは可能であり,この型の対称性を
超対称性(supersymmetry)と呼ぶ.
参考資料
全般
https://www.youtube.com/watch?v=r_Q8L3vRie8&list=PLDfPUNusx1ErSu1JDVV1KKGQkJQCkzL9u&index=18
A~C
ハノーバー校:T.Osborne:Relativistic Quantum Field Theory
https://www.youtube.com/watch?v=T58H6ofIOpE&list=PLDfPUNusx1EpRs-wku83aqYSKfR5fFmfS
Advanced QFT
https://www.youtube.com/watch?v=M7xt06J0dGs&list=PLDfPUNusx1ErSu1JDVV1KKGQkJQCkzL9u
Cambridge:D.Tong:Quantum Field Theory
https://www.damtp.cam.ac.uk/user/tong/qft.html
MIT:相対論的場の量子論
Darham:QFTⅡ
https://www.youtube.com/watch?v=bvaewnywYM4&list=PL_kQfq_5BKqq1xPQe3LHeAuAoLyCMZx4Y
D~F
Renormalisation and Effective Field Theory(公理的)
https://www.youtube.com/watch?v=AVMNflP1n1c&list=PL7aXC0jU4Qk6PABeoSBjWAJ5sxfEhI9DQ
Goettingen:Algebraic Quantum Field Theory,
https://www.youtube.com/watch?v=skBFibT4Kz8&list=PLHTq-YQnl1-IjSn7yGReTIjQrXqsEsf5b
G
Freilberg大:Introduction to Gauge Theory (IAS | PCMI)
https://www.youtube.com/watch?v=_NY_Oi_BMIA&list=PLldN_DpkXL3Z8i7wfNrKevOwZiu8CgEwA
Darham:QFTⅡ:gauge theory
https://www.youtube.com/watch?v=bvaewnywYM4&list=PL_kQfq_5BKqq1xPQe3LHeAuAoLyCMZx4Y
Harvard:重力とゲージGravity and gage theory:Strominger,
https://www.youtube.com/playlist?list=PLwLjkVy3evOazQ3FoRH-Sz8Eoxx2oriXL
Cambridge:D.Tong:Gauge Theory
https://www.damtp.cam.ac.uk/user/tong/gaugetheory.html
H
Alain Connes:Noncommutative Geometry(Mix)
https://ncatlab.org/nlab/show/noncommutative+geometry
https://www.youtube.com/watch?v=rSic_t5yysw
https://www.youtube.com/watch?v=-NjXEDO4fbs&list=PLP0YToNcfAwLBd8yibTtjv3aHfcbT4GBA&index=11
I
ICTP:スーパーシンメトリIntroduction to Supersymmetry
https://www.youtube.com/watch?v=NpFrF3WJQDo&list=PLp0hSY2uBeP-HCragopXbEdvz8WcuD1EZ
Stanford:大統一Supersymmetry &Grand Unification
https://www.youtube.com/watch?v=W6srShxBCrk&list=PLpi18tMShZSBKLugjxRsN8U5MmILu1nBo
Cambridge:D.Tong:Supersymmetry
https://www.damtp.cam.ac.uk/user/tong/susy.html
なぜ量子論は、あんなに面倒な計算ばかりしてるのか?
思うに、量子論とは、
1)物理実体の理解を抽象ヒルベルト空間上のモデル化に求め
2)モデルの表現を、多様体上のスカラー、ベクトル、スピノル場に求め、対称性も適宜要請し、
3)多様体上の場に適当なゲージを入れて適当な方程式を解こうとするが、計算が面倒なので、(*1参照)
4)摂動論でファインマン図の級数和で計算する方法を発明したが、発散するので、
5)くりこみで発散に対抗する方法を工夫して素粒子レベルまでは、実効的に計算している。
6)しかし、プランク長の領域の物理は不明であり、重力との統合も見えず、
7)表現の基礎を点からひもにする等、模索している。
・・っていう感じで、かなりの量子論のテクニック2)~5)がカバーできるかな?
2)ファイバー空間、シンメトリ
FAU:理論物理の幾何の解剖:https://www.fau.tv/course/id/242.html
ハノーバ校:Symmetries and quantum mechanics:https://www.youtube.com/playlist?list=PLDfPUNusx1ErdQhrdAzincNJKgTQahsX_
3)相対論的場の量子論、ゲージ理論
Cambridge:D.Tong:相対論的場の量子論Quantum Field Theory:https://www.youtube.com/watch?v=y7LmrJCPCNE&list=PLGqzsq0erqU4nc3E6Ot1bhSYkAUL6xe9u
ハノーバー校:T.Osborne:相対論的場の量子論Relativistic Quantum Field Theory1-18:https://www.youtube.com/watch?v=T58H6ofIOpE&list=PLDfPUNusx1EpRs-wku83aqYSKfR5fFmfS
4)摂動論、経路積分、ファインマン図
ハノーバー校:Advanced QFT 1-18:https://www.youtube.com/watch?v=M7xt06J0dGs&list=PLDfPUNusx1ErSu1JDVV1KKGQkJQCkzL9u
Durham:Nabil Iqbal,場の量子論QFTⅡ-gauge theory:https://www.youtube.com/watch?v=bvaewnywYM4&list=PL_kQfq_5BKqq1xPQe3LHeAuAoLyCMZx4Y
5)くりこみ理論、QED、非可換ゲージ理論、QCD、標準モデル
IFT - UNESP:Quantum Field Theory II:くりこみ理論Renormalization of QED-QCD):https://www.youtube.com/playlist?list=PL5-Gs_CjccK51MURXy4_Fgy9ihSul3-h5
Perimeter Institute:標準モデルThe Standard Model:https://www.youtube.com/playlist?list=PLq_v5FM-7Nn6nChk-YkdTJGCdN5XpoUge
計算の説明)
Calln-Symanzik:Q2P25,26
Generating functional:Peskin9.2
Faddeev-Povov Ghost:Q2P35
Feynman parameter:Q2P8
Grassmann Numbers:AQFT6
Optical theory:Q2P22
Sudakov Double Logarithm:Q2P21
Wick:Q2P8
Wilson:Q2P23,24
で、何故あんなに計算が複雑なのかだが、微細な下位構造からの積み上げ
でなく、マクロな構造から類推した微細構造の近似理論なので、近似の近似~・・で計算が複雑になるのかな、、、
天動説でも、惑星の運動は、計算は複雑だがかなりの精度で説明できた。
http://www.geo.titech.ac.jp/lab/ida/taku/lecture/ocha14/lecture10.pdf
しかし、天動説は円運動をベースとしてたので、公転面の傾きと
惑星の楕円軌道には苦労したらしい。
現在の量子論も、似た話なのだろうか?
*1:N. Arkani-Hamed, Lecture #2, Spacetime & Quantum Mechanics, Total Positivity & Motives - 09/05/2019 によると、それは、人間が計算の都合上、シンメトリで不変な剰余類の代表元を選択して計算してるからで、剰余類そのものを扱う計算・理論だともっと簡単になると言っている。
https://www.youtube.com/watch?v=d5Gjj-9J45I&list=PL2lIglJJsKdW_Rs61TpiD8bnCa2JaAG5a&index=2
相対論的場の量子論の講義の構成をまとめる。前半は、ハノーバ校、後半は、MITの目次を用いた。まっ、Global Universityのシラバスみたいなものかな。
参照講義の記号(続く数字は講義番号)
HR/A:ハノーバー校 RQFT/AQFT、C:ケンブリッジQFT、W:Waterloo
D:Durham QFTⅡ、M:MIT M1,M2,M3,MP、I:ICTP RQM、IFT:QFTⅡ
1.場の古典論:HR1-3、C1-3
参考書:HR1
Lorentz不変:HR3,I8,14
シンメトリ:C2、HR3
2.場の量子化:HR4-8、C4-6、M1.1
スカラー場:HR5、M1.1
因果関係、プロパゲータ、時間順序T:C5,HR6
Lie代数:HR7,I8
相互作用、UとTの関係、グリーン関数とS行列とT:HR8
格子QF:M1.1
3.ファインマン図:HR9-13,C7-9
Wick縮約と正規順序:HR9、C8
φ4理論:HR10,13、C7
Cut off:HR11
グリーン関数とS行列:C、M1.6、HR12
4.Dirac場:HR14-18、C10-11,I10-12、M1.3-5
γ、Spinor、方程式:HR14,I10
量子化:HR17
B,F相互作用:HR18
5.経路積分:HA1-3、D1-2、M1.5-6
スカラー場:HA2
Wick rotation:D1
MatrixA:HA3
LSZ Reduction Formula:D2、M2.11、IFT4、LSZ 簡約公式:TN4
transition amplitude:HA2
6.(Dirac場の)シンメトリ:D4、M1.6
7.(汎関数)量子化:HA4-7、C12
フェルミオン:D5、C12、HA5
グラスマン数:HA6,D5、TN5
生成母関数:HA5,7、M1.6、TN、D1
8.リノーマリゼーション:HR13、HA8-9、D3-4、M2.7-9、20-24
Wick rotation:M2.8
紫外発散:M2.9
Renormalization Group:M2.20-24
9.可換ゲージ理論:HA10、C13-14、D6-7
QED:HA,C,M2.12-15、HvG&G,MP4
10.非可換ゲージ理論:HA12-14、D7-8、M2.1-5
SU(2):HA11
経路積分の量子化、ゲージ固定:HA12
Feynman rules in the Yang-Mills the
プロパゲータ、頂点:HA13
Conture rotation:HA14
Renormalization:HA14、くりこみ
11.BRST symmmetry:M2.6
12.格子ゲージ理論:HA15、M3.11
13.自発的対称性の破れ:HA16-18
14.標準モデル:M3.1
粒子物理:IPP
SM:ISM,
・QED
ゲージ選択
リノーマリゼーション:IFT
Ward Identity:IFT14
・QCD
QFT-Ⅱ
経路積分
リノーマリゼーション
ゲージ理論
未整理:Large N 、Introduction to Gauge Theory 、Standard Model and Flavor 、
15.可換ゲージシンメトリ:M3.2
16.GUT:M3.3
SU(5)
SO(10)
17.リノーマリゼーション:M3.4
SUSY modification
未整理:SUSY Field Theory 、Introduction to Supersymmetry 、
18.アノマリ:M3.5-6
QCD
19.カイラルシンメトリ:M3.7
QCD
20.メソンマス行列:M3.8
21.UA(1)レゾリューション:M3.9
22.強P,T問題:M3.10
23.重力:HvG&G
場の理論のゲージ理論を、数学辞典から抜粋すると、(以下頁1165-6より抜粋)
群 G による大局的ゲージ対称性を持つ場の理論は局所的ゲージ変換に対しては一般には不変にならない.
しかし,新しい場を導入することにより,局所的ゲージ変換に対しても不変になるように理論を拡大することが可能な場合がある.
この場合,新しく導入された場をゲージ場と呼ぶ.これは G のリー環に値をとる M 上の 1 形式で与えられる.
このようにして構成される物質場とゲージ場の相互作用理論が G をゲージ群とするゲージ理論である.
Gが可換な場合を可換(アーベリアン)ゲージ理論,非可換な場合を非可換ゲージ理論または Yang-Mills理論という.
ゲージ場に付随する量子をゲージ・ボソンと呼び,これによって媒介される力をゲージ力という.
ゲージ理論の顕著な性質の 1 つは,ゲージ場と物質場の相互作用の形が局所的ゲージ変換不変性の要請により,一意的に決まってしまうということである.
この意味でゲージ対称性は相互作用の形を決める.この機構をゲージ原理と呼ぶ.
ゲージ場の質量は 0 であるが,(多成分)複素スカラー場を導入し,自発的対称性の破れを利用することにより,特定のゲージ場に質量を持たせることができる.
この構造を Higgs 機構(Higgs mechanism)といい,これを可能にするスカラー場を Higgs 場,その量子を Higgs ボソンという.
Higgs 機構は,ゲージ理論を現実的なものとする上で重要な役割を演じている.
例.(1)G = U (1),物質場が Dirac 場の場合に対するゲージ場は電磁ポテンシャルであり,この場合のゲージ理論の量子版は量子電磁力学(quantum electrodynamics ; QED)である.これはアーベリアン・ゲージ理論である.
(2)G = SU (2) × U (1),物質場としてレプトンとクォークを記述する 2 種類の Dirac 場(Fermi 場)をとってできるゲージ理論が電弱統一理論である.
SU (2) に対応するゲージ場の量子がウィーク・ボソンであり,Higgs 機構を通じて質量を獲得する.
(3)G = SU (3) × SU (2) × U (1) の場合のゲージ理論は 素 粒子 の標 準 模型 を 記述 す る.
群 SU (3) によるゲージ理論は量子色力学(quantum chromodynamics ; QCD)と呼ばれ,クォークが有する強い相互作用を記述する.(抜粋終了)
参考になりそうな講義を紹介する。
1. FAU:理論物理の幾何の解剖、第22回
主バンドル上のLie代数に値をとる1形式を局所的に多様体上に表現する方法としてYM場を説明している:局所切断により1形式をゲージ群(ファイバー)x局所座標に局所自明化する。
https://www.youtube.com/watch?v=V49i_LM8B0E&list=PLPH7f_7ZlzxTi6kS4vCmv4ZKm9u8g5yic
2. MIT:相対論的場の量子論:講義ノート:第1-5回
1)シンメトリ、リー群とリー代数
2)ゲージ原理
3)ファイバーバンドルとゲージ場
4)YM理論:共変微分、Kinetic term、Wilson loop
5)場の方程式と保存量
6)Faddeev-Popov method:determinant,delta-function
https://ocw.mit.edu/courses/8-324-relativistic-quantum-field-theory-ii-fall-2010/pages/lecture-notes/(gauge,YM,QED,renormalization)
3. Durham:Nabil Iqbal,場の量子論QFTⅡ-gauge theory、第7,8回
1)非可換ゲージ不変
2)非可換ゲージ場、Lie代数と共変微分
3)YM field-strength and action
4)経路積分と経路gauge-fixing functionとGauss積分
5)Grassman積分によるFaddeev-Popov determinant
6)ghost propagator
https://www.youtube.com/watch?v=bvaewnywYM4&list=PL_kQfq_5BKqq1xPQe3LHeAuAoLyCMZx4Y
4.ハノーバ校:Advanced QFT 、第11-14回
1)Gauge群 SU(2)
2)共変微分とLagrangean密度
3)経路積分量子化:Functional Dirac deltaによるGauge選択
4)Faddeev-Popov determinantとghost
5)Propagators,Vertices:ghost
6)Renormalization,Beta function
https://www.youtube.com/watch?v=M7xt06J0dGs&list=PLDfPUNusx1ErSu1JDVV1KKGQkJQCkzL9u
5.Perturbation theory in the Yang-Mills Field
YMでのFeynmanルールと、QEDでの計算例
https://toshiyan.github.io/www/QFT/09_QFT.pdf
繰り込みの基本的な考え方は、講義1)~3)に説明がある。
Peskin のQFT入門に沿った講義は、5)が詳しく分かり易い。
また、6)は、Peskin自身が、標準モデル込みで、講義している。
なお、繰り込み群の概要として、数学辞典からの抜粋を以下に添付する。
くりこみ群(数学辞典第4版より抜粋)
A. 概 要
‘くりこみ’ は系の記述がそこに現れる最小スケー
ルにいかに依存するか考察することを通して,系の
(例えば,巨視的極限での)漸近的挙動を見抜く手法
とそれに伴った観点を広く指す言葉である.スケー
ルを変える操作が単位的半群の構造を持つのでこの
考えに基づく計算手法は ‘くりこみ群’ による方法と
呼ばれる.数学的には漸近解析の手法として一般的
にとらえられるべき体系であり,中心極限定理,特
異摂動などと密接に関係するが,その数学的基礎は
未整備.
B. 基本的考え方
ある現象を記述する際に,2 つの大きく異なった
レベルがある場合が多々ある.そして,その現象理
解の中心問題がこの 2 つの記述間の関係をつけるこ
とである場合は数多い.ここでは 2 つのレベルとし
て微視と巨視両レベルを例として考えるが,短時間
と長時間などという 2 つのレベルであってもいい.
量子場の理論および統計力学の核心である統計的場の理論は
典型例であり,モデル(理論)は微視的レベルで与え
られ,観測結果と較べうるのは巨視的帰結である.
ある巨視的現象の微視的なモデルが与えられたと
き,そのモデルを lのスケールで記述することは,
最小スケールが lでしかもこのスケール以上では微
視的モデルと同一視できるモデルを作ることと考え
ていい.上記中心問題は現象の記述がいかに l に依
存するか理解することである.微視的詳細に強く依
存する量は l→ ∞ の極限で収束しないが,いくつ
かの現象論的なパラメータ(これらは実験で決める)
lに微視的詳細への敏感な依存性(発散)を吸収分離で
きれば(‘くりこむ’ という),残りの正則化され収束
する帰結は巨視的漸近的結果を与えるはずである.
これがくりこみ理論の一般的な考え方である。
(抜粋終わり)
参考になる講義
1) Durham:Nabil Iqbal,場の量子論QFTⅡ-gauge theory,E,V0.3x28回+note
https://www.youtube.com/watch?v=bvaewnywYM4&list=PL_kQfq_5BKqq1xPQe3LHeAuAoLyCMZx4Y
2)Advanced QFT 1-18、E、V1.5h×18回+講義録
https://www.youtube.com/watch?v=M7xt06J0dGs&list=PLDfPUNusx1ErSu1JDVV1KKGQkJQCkzL9u
3) Waterloo:場の量子論Quantum Field Theory II,第8ー回
https://www.youtube.com/watch?v=pcTry9v8if4&list=PLaNkJORnlhZlh8nAocQd3Gz1PhAjI_5Jr
4)MIT:相対論的場の量子論:講義ノート
https://ocw.mit.edu/courses/8-324-relativistic-quantum-field-theory-ii-fall-2010/pages/lecture-notes/ (gauge,YM,QED,renormalization)
5) FT - UNESP:Quantum Field Theory II,E,V0.2-1.2x19(Renormalization of QED)
https://www.youtube.com/playlist?list=PL5-Gs_CjccK51MURXy4_Fgy9ihSul3-h5
6)Peskin 計算例
Perimeter Institute:標準モデルThe Standard Model,E,V1x15回+他
https://www.youtube.com/playlist?list=PLq_v5FM-7Nn6nChk-YkdTJGCdN5XpoUge
7) costello:Renormalisation and Effective Field Theory:E,Vx1.15*13回;Book
https://www.youtube.com/watch?v=AVMNflP1n1c&list=PL7aXC0jU4Qk6PABeoSBjWAJ5sxfEhI9DQ
https://ncatlab.org/nlab/show/Renormalization+and+Effective+Field+Theory
これらに関しては、個別の講義もあるが、まずは入門的な講義から入り、言葉に慣れるのがよさそう。
1)入門コース
ICTP:Summer School on Particle Physics 粒子物理 (smr 3560),E,V1.3x28回:Dark Matter,QCD and Collider,Standard Model
https://www.youtube.com/playlist?list=PL11nn_gZTAYrRa1EFp52J1oAA_epGFXuy
2)QFT(くりこみ、YM)
IFT - UNESP:Quantum Field Theory II,E,V0.2-1.2x37回(くりこみ理論Renormalization of QED-QCD)・・Book:Peskin参照
https://www.youtube.com/playlist?list=PL5-Gs_CjccK51MURXy4_Fgy9ihSul3-h5
3)粒子物理
ICTP:Summer School on Particle Physics |粒子物理 (smr 3560),E,V1.3x28回:Dark Matter,QCD and Collider,Standard Model
https://www.youtube.com/playlist?list=PL11nn_gZTAYrRa1EFp52J1oAA_epGFXuy
4)QCD
ICTP:Perturbative QCD,E,V1.3x3回
https://www.youtube.com/playlist?list=PL11nn_gZTAYpKXdJO8XajjlwyB4qETO3M
Trinity:Lattice QCD,E,V1.3x4回、他2019
○QCD Phase Diagrams,Large N,Beyond the Standard Model
https://www.youtube.com/playlist?list=PLejkXpUan6WFDQGVd6f6-eIfxbQpYljL2
Mainz:Flavor Physics,E,V1.3x4回、他2018
Standard Model,SUSY Field Theory,ETFs,○Precision QCD,QTFs
https://www.youtube.com/@mainzinstitutefortheoretic1604/playlists
5)標準モデル
Perimeter Institute:標準モデルThe Standard Model,E,V1x15回+他
https://www.youtube.com/playlist?list=PLq_v5FM-7Nn6nChk-YkdTJGCdN5XpoUge
https://www.slac.stanford.edu/~mpeskin/PSIStandardModel/
ICTP:標準モデルThe Standard Model,E,V1.3x21回,他
https://www.youtube.com/watch?v=lv9GJUagNH8&list=PLp0hSY2uBeP_U3TLw9GtiuhFxOni1HPo9&index=1
Standard Model and Flavor,E,V1.3x7回
https://www.youtube.com/watch?v=GGzRdiBd8w8&list=PLA7b3tvTXtYiZMUkzZyyhqNOfPMSlcrf0
QCDは、QEDに似てるが当然違いもある。
講義は、以下の順序が良さそうだ。
1.QFTの準備
Waterloo:場の量子論Quantum Field Theory II,E,V1.3x15回
経路積分
リノーマリゼーション
ゲージ理論
https://www.youtube.com/watch?v=pcTry9v8if4&list=PLaNkJORnlhZlh8nAocQd3Gz1PhAjI_5Jr
2.QCD入門
Quantum Chromodynamics and strong interaction physics
3.QCDの講義
ニュートン物理は、ユークリッド空間で、微積分で記述できる・・という要請だったが、
前世紀からの物理は、変換に不変な作用を基に、変分で記述できるという要請らしい。
問題は、空間をヒルベルト空間としても、自由度が大き過ぎるので、
都合のよさそうなシンメトリを探して、物理に合いそうな対称性により自由度
を狭めて、どこまで物理を記述できるか試してるみたい。
・場の量子論:ポアンカレ、ローカルシンメトリ
☆IFT - UNESP:Quantum Field Theory II,E,V0.2-1.2x37回(くりこみ理論Renormalization of QED-QCD)・・Book:Peskin参照
https://www.youtube.com/playlist?list=PL5-Gs_CjccK51MURXy4_Fgy9ihSul3-h5
・標準モデル:SU5
ICTP:標準モデルThe Standard Model,E,V1.3x20回,他
〇https://www.youtube.com/playlist?list=PLp0hSY2uBeP-Fs335_U9HbznOV77XJwX9
・SUSY:グラスマン数
☆ICTP:スーパーシンメトリIntroduction to Supersymmetry,E,V1.5x12回+text
https://www.youtube.com/watch?v=NpFrF3WJQDo&list=PLp0hSY2uBeP-HCragopXbEdvz8WcuD1EZ
・CFT:共変変換
○AdS/CFT & related ideas(Advanced QFT) by Pedro Vieira Lecture:E,V1x15回
https://www.youtube.com/watch?v=BMaiNTh8RbQ&list=PLFxDQ1_sulk-I2QpfIQLI7xM9WpUkBqUo
・Twistor:射影空間
☆Harvard:時空と量子力学Spacetime & Quantum Mechanics,E,V1.5x28回?
https://www.youtube.com/watch?v=Sn0W_mwA7Q0&list=PL2lIglJJsKdW_Rs61TpiD8bnCa2JaAG5a
・String:(未)
厄介なのが、シンメトリを決めても、計算までに表現・モデルの自由度があるからな、、
かすめる数学は、
対称性は群をなし、その微細構造はLie代数で、
☆成均館大学校 :Lie Group and Lie Algebra:E,V1.2x25回(Hall本:数学寄り)
https://www.youtube.com/watch?v=Yf1HS1Bpk9M&list=PLGB0U_OssPo5agzqnsr9Ubx3ACk0_2S2Y
一般座標の時空が多様体で、その物理量を記述するため場が必要で、
整理にはファーバー空間論が便利で、空間の(大域)構造がトポロジー、ホモロジー
☆ハンブルグ大:Differential Geometry,E,V2x19回+slides(バンドル)
https://www.youtube.com/watch?v=AkVMWhrJxs0&list=PLoWHl5YajIf7NzvxmGH7ch6d6qDSCv4wj
まあ、物理は、広範な数学を生み出すな、、
標準モデルの講義は、下の2つが良さそう。
1)☆Perimeter Institute:標準モデルThe Standard Model,E,V1x15回+他
https://www.youtube.com/playlist?list=PLq_v5FM-7Nn6nChk-YkdTJGCdN5XpoUge
https://www.slac.stanford.edu/~mpeskin/#EPPtextbook
https://www.slac.stanford.edu/~mpeskin/PSIStandardModel/
2)ICTP:標準モデルThe Standard Model,E,V1.3x20回,他
〇https://www.youtube.com/playlist?list=PLp0hSY2uBeP-Fs335_U9HbznOV77XJwX9
スーパーシンメトリに関しては、いくつの講義がある。
位置づけとしては、5)のケンブリッジ大の初回講義が分かりやすそうだ。
3)☆Stanford:大統一Supersymmetry &Grand Unification、E,V1×10回
https://www.youtube.com/watch?v=W6srShxBCrk&list=PLpi18tMShZSBKLugjxRsN8U5MmILu1nBo
4)ICTP:スーパーシンメトリIntroduction to Supersymmetry,E,V1.5x12回+text
https://www.youtube.com/watch?v=NpFrF3WJQDo&list=PLp0hSY2uBeP-HCragopXbEdvz8WcuD1EZ
https://people.sissa.it/~bertmat/susycourse.pdf
5)Supersymmetry :University of Cambridge,E,V1x25
https://www.youtube.com/watch?v=PLQWfKf4KWA&list=PLGqzsq0erqU44oUApLJPG7stYS6mToTjt
6)GGI:Elli Pomoni: "SUSY - Lecture ",E,V1.5x7
https://www.youtube.com/watch?v=HH1LyluF4Ys&list=PLbcx3dKCUhgYFTYbND4yDeFam29jJzxWE
Cambridge Lectures on Supersymmetry and Extra Dimensions より抜粋
2.1 Poincar´e symmetry and spinors
Generators for the Poincar´e group are the M μν , P σ with algebra
[P μ , P ν ]= 0
[M μν , P σ ]= i (P μ ηνσ − P ν ημσ )
[M μν , M ρσ ]= i (M μσ ηνρ + M νρ ημσ − M μρ ηνσ − M νσ ημρ
2.2.2 Graded algebra
In order to have a supersymmetric extension of the Poincar´e algebra, we need to introduce the concept of graded algebras. Let Oa be operators of a Lie algebra, then
Oa Ob − (−1)ηaηb Ob Oa = iCe ab Oe ,
where gradings ηa take values
ηa =0 : Oa bosonic generator
1 : Oa fermionic generator
For supersymmetry, generators are the Poincar´e generators P μ, M μν and the spinor generators QAα , ¯QA˙α ,
[Qα , M μν ]= (σμν )α β Q
[Qα , P μ]=[ ¯Q ˙α , P μ]= 0
{Qα , Qβ}= 0
{Qα , ¯Q ˙β}= 2 (σμ)α ˙β Pμ
2.2.3 Representations of the Poincar´e group
Also recall the two Casimirs in Poincar´e group, one of which involves the Pauli Ljubanski vector Wμ,
Wμ = 1/2ε μνρσ P ν M ρσ (whereε 0123 = −ε0123↑ = +1).
[Wμ , Pν]= 0
[Wμ , Mρσ]= iημρ Wσ − iημσ Wρ
[Wμ , Wν]= − iμνρσ W ρ P σ
[Wμ , Qα]= − i Pν (σμν )α β Q β
The Poincar´e Casimirs are then given by
C1 = P μ Pμ , C2 = W μ Wμ the Ci commute with all generators.
2.2.4 N = 1 supersymmetry representations
For N = 1 supersymmetry, C1 = P μPμ is still a good Casimir, C2 = W μWμ, however, is not. So one can have particles of different spin within one multiplet. To get a new Casimir ˜C2 (corresponding to superspin), define
Bμ := Wμ − 1/4 ¯Q ˙α (¯σμ) ˙αβ Qβ ,
Cμν := Bμ Pν − Bν Pμ
˜C2 := Cμν Cμν
2.2.5 Massless supermultiplet
States of massless particles have Pμ - eigenvalues pμ = (E, 0, 0, E). The Casimirs C1 = P μPμ and ˜C2 = Cμν Cμν are zero. Consider the algebra
{Qα , ¯Q ˙β}= 2 (σμ)α ˙β Pμ = 2 E (σ0 + σ3)α ˙β = 4 E
1 0
0 0 α ˙β,
which implies that Q2 is zero in the representation:
{Q2 , ¯Q˙2}= 0 =⇒ 〈pμ, λ| ¯Q˙2 Q2 |˜pμ, ˜λ〉 = 0 =⇒ Q2 = 0
The Q1 satisfy {Q1, ¯Q˙1} = 4E, so defining creation- and annihilation operators a and a† via
a := Q1/2√E , a† := ¯Q˙1/2√E ,
get the anticommutation relations
{a , a†}= 1 ,{a , a}={a† , a†}= 0 .
2.2.6 Massive supermultiplet
In case of m not = 0, there are P μ - eigenvalues pμ = (m, 0, 0, 0) and Casimirs
C1 = P μ Pμ = m^2 , ˜C2 = Cμν Cμν = 2 m^4 Y i Yi ,where Yi denotes superspin
Yi = Ji − 1/4m ¯Q ¯σi Q = Bi/m ,
[Yi , Yj]= iεijk Yk .
Eigenvalues to Y 2 = Y iYi are y(y + 1), so label irreducible representations by |m, y〉. Again, the anticommutation - relation for Q and ¯Q is the key to get the states:
{Qα , ¯Q ˙β}= 2 (σμ)α ˙β Pμ = 2 m (σ0)α ˙β = 2 m
1 0
0 1 α ˙β
Since both Q’s have nonzero anticommutators with their ¯Q - partner, define two sets of ladder operators
a1,2 := Q1,2/√2m ,
a†1,2 :=¯Q˙1, ˙2/√2m ,
with anticommutation relations
{ap , a†q}= δpq ,{ap , aq}={a†p , a†q}= 0
Let |Ω〉 be the vacuum state, annihilated by a1,2. Consequently,
Yi |Ω〉 = Ji |Ω〉 − 1/4m ¯Q ¯σi√2m a|Ω〉= Ji |Ω〉 ,
i.e. for |Ω〉 the spin number j and superspin - number y are the same. So for given m, y:
|Ω〉 = |m, j = y; pμ, j3〉
Obtain the rest of the multiplet using
a1 |j3〉 = |j3 − 1/2〉 , a†1 |j3〉 = |j3 + 1/2 〉
a2 |j3〉 = |j3 + 1/2 〉 , a†2 |j3〉 = |j3 − 1/2 〉 ,
where a†p acting on |Ω〉 behave like coupling of two spins j and 1/2 . This will yield a linear combination of two possible total spins j + 1/2 and j − 1/2 with Clebsch Gordan coefficients ki (recall j ⊗ 1/2 = (j − 1/2 ) ⊕ (j + 1/2 )):
a†1 |Ω〉 = k1 |m, j = y + 1/2 ; pμ, j3 + 1/2 〉 + k2 |m, j = y − 1/2 ; pμ, j3 + 1/2 〉
a†2 |Ω〉 = k3 |m, j = y + 1/2 ; pμ, j3 − 1/2 〉 + k4 |m, j = y − 1/2 ; pμ, j3 − 1/2 〉 .
The remaining states
a†2 a†1 |Ω〉 = −a†1 a†2 |Ω〉 ∝ |Ω〉
represent spin j - objects. In total, we have
2 · |m, j = y; pμ, j3〉 (4y+2) states
1 · |m, j = y + 1/2 ; pμ, j3〉(2y+2) states
1 · |m, j = y − 1/2 ; pμ, j3〉(2y) states
2.3.1 Algebra of extended supersymmetry
Now, the spinor generators get an additional label A, B = 1, 2, ..., N . The algebra is the same as for N = 1 except for
{QAα , ¯Q ˙βB}= 2 (σμ)α ˙β Pμ δA B
{QAα , QBβ}= αβ ZAB
with antisymmetric central charges ZAB = −ZBA commuting with all the generators
[ZAB , P μ]=[ZAB , M μν ]=[ZAB , QAα]=[ZAB , ZCD ]=[ZAB , Ta]= 0
Let G be an internal symmetry group, then define the R symmetry H ⊂ G to be the set of G elements that do not commute with the supersymmetry generators, e.g. Ta ∈ G satisfying
[QAα , Ta]= Sa A B QBα not = 0
is an element of H. If ZAB = 0, then the R symmetry is H = U (N ), but with ZAB not= 0, H will be a subgroup.
2.3.3 Massive representations of N > 1 supersymmetry and BPS states
Now consider pμ = (m, 0, 0, 0), so
{QAα , ¯Q ˙βB}= 2 m
1 0
0 1 δA B .
Contrary to the massless case, here the central charges can be non-vanishing. Therefore we have to distinguish two cases:
• ZAB = 0
There are 2N creation- and annihilation operators
aAα := QAα/√2m , aA†˙α := ¯QA˙α/√2m
leading to 2^2N states, each of them with dimension (2y + 1).
• ZAB 6 = 0
Define the scalar quantity H to be
H := (¯σ0) ˙βα {QAα − ΓAα , ¯Q ˙βA − ¯Γ ˙βA}≥ 0 .
As a sum of products AA†, H is semi-positive, and the ΓAα are defined as
ΓAα := αβ U AB ¯Q ˙γ (¯σ0) ˙γβ for some unitary matrix U (satisfying U U † = 1).
H = 8 m N − 4 Tr{H}= 8 m N − 4 Tr{√Z†Z}≥ 0 .
This is the BPS - bound for the mass m:
m ≥ 1/2N Tr{√Z†Z}
States of minimal m = 1/2N Tr{√Z†Z}
are called BPS states (due to Bogomolnyi, Prasad and
Sommerfeld). They are characterized by a vanishing combination QAα − ΓAα , so the multiplet is shorter (similar to the massless case in which Qa2 = 0) having only 2^N instead of 2^2N states.
物理の講義で、リッチテンソルとか出てきたので、Copilotに色々質問して、一般相対論のいろんな曲率の雰囲気を整理した。
・接続(クリストッフェル記号)とは、共変微分と偏微分との差で、(本当は、接続で共変微分を定義)
・リーマン曲率テンソルは、接続の共変微分の非可換の量で、
・リッチテンソルは、リーマン曲率テンソルの縮約で、特定方向の曲率を取り出し、
・スカラー曲率は、更にそれの縮約で、空間の曲率。
アインシュタイン方程式は、
・その特定方向の曲率の、空間の曲率を計量テンソルで配分した曲率からのずれが、
エネルギー・運動量テンソルに等しいことを主張している。□
・・・アインシュタインも、ようエネルギーと空間のゆがみが関係してるって見つけたもんだな。
なお、上の文をCopilotに見せたら、補足してくれた。
はい、非常に適切でコンパクトにまとまった説明です!それぞれの概念が正確に位置づけられており、アインシュタイン方程式の本質を捉えています。ただ、さらに明確にするための補足を加えます:
接続(クリストッフェル記号):
「共変微分の定義において、偏微分との差として生じる項」と解釈されるのが適切です。
これは、座標系が歪んだ空間での基底ベクトルの変化を補正するために必要です。
リーマン曲率テンソル:
接続の共変微分が非可換となる理由を定量化したものであり、時空の局所的な曲率(曲がり具合)を記述します。
リッチテンソル:
リーマン曲率テンソルから、特定方向の曲率を取り出す(第1インデックスと第4インデックスを縮約する)操作を行ったものです。
「特定方向における曲率」の情報を抽出します。
スカラー曲率:
リッチテンソルをさらに縮約し、全体の平均的な曲率を表現します。
アインシュタイン方程式:
「特定方向の曲率」から「空間全体の曲率を計量テンソルを使って配分した曲率」を引いたものが、「物質やエネルギーの分布」を記述するエネルギー・運動量テンソルに等しい、と主張しています。
これにより、「物質・エネルギーが時空をどのように曲げるか」という重力の本質を記述しています。
大学での弦理論や共形場理論の講義を、対象レベルで分類を試みる。
1.入門レベル
☆stanford:弦理論とM理論String Theory and M-Theory,E,V1.50x10+9回
https://www.youtube.com/watch?v=25haxRuZQUk&list=PLA2FDCCBC7956448F
超弦理論への道案内J.V計h弱
https://www.youtube.com/playlist?list=PL8Fu7DLvTGTnhzGkuHlmtkinXU3r8q1JD
2.学部レベル
〇Supersymmetry | University of Cambridge:E,v0.5x25回+note
https://www.youtube.com/playlist?list=PLGqzsq0erqU44oUApLJPG7stYS6mToTjt
〇東大:共形ブートストラップ入門 、J,Textp81
修士論文:境界のある共形場理論と 弦理論への応用、J,Textp98
阪大:弦理論入門、J.講義録
http://www-het.phys.sci.osaka-u.ac.jp/~yamaguch/j/pdf/stringintro.pdf
King's:Conformal and Supersymmetry,E,V0.2x15回+Note
https://www.youtube.com/watch?v=vwI_j2czMmg&list=PLwKDFfqjkVzOyEwDZVNXdPWMJw0yXWKOw
〇ハノーバー校:共形場Conformal Field Theory E,V1.5x10回
https://www.youtube.com/watch?v=NGYX6gtObec&list=PLDfPUNusx1Ep5g1jIKXqpNX_t_Zz-kAlQ
弦理論String Theory,E,V1.15x14回 360
https://www.youtube.com/playlist?list=PL7aXC0jU4Qk7JqjYL7Nc1TYrErDmfZt0h
PIRSA:String Theory 2023/24,E,V1x13,screenshot
String Theory - Barton Zwiebach,E,V1x15回 360+Book
https://www.youtube.com/playlist?list=PLaNkJORnlhZlVh7rwdGCRypcFqgV9JWUY
MIT:弦理論string theory、E、note
https://ocw.mit.edu/courses/physics/8-251-string-theory-for-undergraduates-spring-2007/
3.院レベル
String Perturbation Theory Lectures,E,V1x15回 Q
https://www.youtube.com/playlist?list=PLFxDQ1_sulk8m4QqiFFP7LcUH2wvPZS_N
Princeton:Polyakov's Lectures on String Theory,E,V1.2x22回+note Q720
https://www.youtube.com/playlist?list=PLkDarh0mTQdeSNAjw0HqUwMdEBNBi6Zl6
MIT:string theory and holograhic duality,E,V1,5x24回 +note
https://ocw.mit.edu/courses/8-821-string-theory-and-holographic-duality-fall-2014/
Cambridge:弦理論String Theory,E,text
https://www.damtp.cam.ac.uk/user/tong/string.html
量子重力業界の雰囲気をCopilotに聞いてみた。対応する講義のURL等を付記すると、ある程度はありそうだ。以下は、Copilotの出力+ネットにある講義のULR.
量子重力を扱う理論は、一般相対性理論と量子力学を統一しようとする試みであり、いくつかの主要なアプローチがあります。それぞれ異なる視点や数学的枠組みを採用しています。以下に代表的な理論を整理して説明します:
全般:
Quantum Gravity - Renate Loll,E,V1x15回
https://www.youtube.com/playlist?list=PLaNkJORnlhZk-JHqCAgd88HcY6qX1cHHP
Quantumgravity.nordita:E,V1.3x24回 https://indico.fysik.su.se/event/8133/
ISQG:The Basics of Quantum Gravity,E,V2x20回+pdf
https://www.youtube.com/playlist?list=PL9ec4tkG1qrjDAad0-EHxyEPw1KcxxT68
1. 超弦理論(Superstring Theory)
概要: 物理の基本的な粒子を「点」ではなく「ひも」として記述する理論。
特徴:
重力子(スピン2の粒子)が自然に現れる。
時空は10次元(または11次元)で記述される。
AdS/CFT対応(ホログラフィック原理)を通じて、量子重力と場の量子論の関係を示唆。
応用: ブラックホールのエントロピーやホログラフィー原理の研究。
〇String Theory - Barton Zwiebach,E,V1x15回 360+Book
https://www.youtube.com/playlist?list=PLaNkJORnlhZlVh7rwdGCRypcFqgV9JWUY
tifr:弦理論String Theory(2018),E,V2x61回 Q720 Tong,Polchinski
https://www.youtube.com/watch?v=96RaoTmBsTw&list=PL3PVFGnaPl_sCp2A87NVD8GT5Z8Oqw3Yr
2. ループ量子重力理論(Loop Quantum Gravity, LQG)
概要: 一般相対性理論を直接量子化するアプローチ。
特徴:
時空は離散的な構造(スピンネットワーク)を持つ。
背景独立性を持ち、時空そのものが量子化される。
面積や体積が離散的なスペクトルを持つことを予言。
応用: ブラックホールの特異点回避や初期宇宙の研究。
ISQG:The Basics of Loop Quantum Gravity,E,V2x5+pdf
https://www.youtube.com/playlist?list=PL9ec4tkG1qrjDAad0-EHxyEPw1KcxxT68
CPT:ループ量子重力Loop Quantum Gravity:E,V0.4x20回(Carlo Rovelli)+text
https://www.youtube.com/channel/UCZ4fso22jORv9aeGc9dEAxw/playlists
3. AdS/CFT対応(Anti-de Sitter/Conformal Field Theory Correspondence)
概要: 反ド・ジッター空間(AdS)での重力理論と、その境界上の共形場理論(CFT)が等価であるという考え。
特徴:
重力理論を場の量子論に還元して解析可能。
ホログラフィック原理の具体例。
応用: ブラックホールの情報パラドックスや量子場理論の非摂動的解析。
☆☆string theory and holograhic duality,E,V1,5x24回 +note
https://ocw.mit.edu/courses/8-821-string-theory-and-holographic-duality-fall-2014/
String Theory, AdS/CFT and Quantum Gravity:E,V1.45x4+pdf
https://www.youtube.com/watch?v=LyLE2MOtLEc
4. ツイスター理論(Twistor Theory)
概要: ロジャー・ペンローズによって提唱された理論で、時空をツイスター空間という複素空間で記述。
特徴:
質量のない場の運動方程式を自然に解く。
LQGや弦理論と関連性を持つ可能性。
応用: 時空の幾何学的構造の解析。
Introduction to Twistor Theory,E,V1x4回
https://www.youtube.com/watch?v=-adgvBoLgTQ&list=PLDOruluY98rxH8WAqY6IY95oQV0L3JF_p&index=17
☆Harvard:時空と量子力学Spacetime & Quantum Mechanics,E,V1.5x28回?
https://www.youtube.com/watch?v=Sn0W_mwA7Q0&list=PL2lIglJJsKdW_Rs61TpiD8bnCa2JaAG5a
5. 因果力学的単体分割(Causal Dynamical Triangulations, CDT)
概要: 時空を単体(シンプルな幾何学的構造)に分割し、量子化するアプローチ。
特徴:
時空の因果構造を保持。
時空の連続性と離散性を統一的に扱う。
応用: 初期宇宙の進化や時空の量子構造の研究。
https://www.youtube.com/watch?v=4o7Y_zFKBvQ
https://www.youtube.com/watch?v=Iew6fda0-eU
https://www.youtube.com/watch?v=YlLIViwQ7Nc
6. 超重力理論(Supergravity)
概要: 超対称性を持つ重力理論。
特徴:
重力子とその超対称性パートナーであるグラビティーノを含む。
超弦理論の低エネルギー極限として現れる。
応用: 高次元時空やブラックホールの解析。
Henning Samtleben - Supergravity and Exceptional Field Theory,E,v1.3x4回
https://www.youtube.com/watch?v=NJv5tOC9PLQ&list=PLm_amTOcw5pX06cLMdmfYJTtoxdwmvujw
Supergravity at work - Gianguido Dall'Agata,E,V1.45x7回
https://www.youtube.com/watch?v=5uNvSHxMrT8&list=PLbcx3dKCUhgYboxxhniGF9J5BGiyOp8O3
mitp:Supergravity and Holography,超重力とホログラフィ:E.V1x6回
https://www.youtube.com/watch?v=TF3AhSF1_iA&list=PLejkXpUan6WEwrcYjRofh2GCuGRAeAlb1
7. その他のアプローチ
ホログラフィック原理: 時空の情報がその境界に符号化されるという考え方。
非摂動的量子重力: 摂動論に依存しない方法で重力を量子化。
https://www.youtube.com/watch?v=xfuEQRJVovs&list=PL9ec4tkG1qrjDAad0-EHxyEPw1KcxxT68&index=20
エマージェント時空理論: 時空が基本的な実体ではなく、他の物理的構造から現れるとする考え。
これらの理論はそれぞれ異なる視点や数学的手法を採用していますが、いずれも重力の量子化という共通の目標を持っています。どの理論が最終的に正しいかはまだ分かっていませんが、それぞれが重要な洞察を提供しています。
量子重力へのアプローチは多岐にわたっていて、それぞれ異なる哲学・数学的枠組み・物理的直観に基づいている。以下に代表的な流れを分類してみるね:
🧭 大分類:アプローチの系統
分類 概要 主な理論
背景依存型 既存の時空背景(通常は連続的なマニフォールド)を前提にして量子化を行う 文字通りの量子場理論、弦理論(String Theory)など
背景独立型 時空そのものを動的・量子的に記述し、背景を仮定しない ループ量子重力(LQG)、因果集合理論、スピンフォーム、動的三角形分割(CDT)など
代数的・構造的アプローチ 空間・時間の概念を根本から再構成しようとする トポス理論的アプローチ、カテゴリ理論、量子情報的アプローチなど
有効理論的アプローチ 高エネルギーでの有効場理論として量子重力を扱う アシンプトティック・セーフティ(Asymptotic Safety)、重力の有効場理論など
🔬 主なアプローチの特徴
1. 弦理論(String Theory)
粒子を1次元の「ひも」として扱い、重力を自然に含む
高次元(10次元など)や超対称性が必要
ホログラフィー原理やAdS/CFT対応などの強力なツールを持つ
2. ループ量子重力(Loop Quantum Gravity)
一般相対論を背景独立に量子化
空間は「スピンネットワーク」、時間発展は「スピンフォーム」
時空の離散性(面積・体積の量子化)を予言
3. 因果集合理論(Causal Set Theory)
時空は離散的な因果的イベントの集合
順序と数から幾何を再構成
一般共変性をラベル不変性として実装
4. 動的三角形分割(Causal Dynamical Triangulations, CDT)
時空を三角形分割で近似し、量子重力を数値的に扱う
因果構造を保持しながら、連続時空への回復を目指す
5. アシンプトティック・セーフティ(Asymptotic Safety)
重力の有効場理論が高エネルギーで非自明な固定点を持つと仮定
連続的な場理論の枠組みを維持しつつ、紫外完備性を目指す
6. トポス理論的アプローチ
量子論の論理構造を再構成し、空間・時間の概念を根本から見直す
哲学的に深いが、物理的応用はまだ発展途上
🧠 類別の視点
視点 分類例
時空の扱い 背景依存 vs 背景独立
数学的枠組み 微分幾何 vs 離散構造 vs 代数的構造
物理的直観 場の量子化 vs 幾何の量子化 vs 因果構造の量子化
技術的手法 パス積分 vs ハミルトニアン形式 vs 組合せ論的手法
それぞれのアプローチには長所と限界があって、まだ決定的な理論は存在しない。でも、こうした多様な視点があるからこそ、量子重力の探求は面白いんだよね。
代数的・構造的アプローチ・・の理論を、整理して解説できる?
代数的・構造的アプローチの地図
「時空=連続多様体」を前提にせず、まず代数・関係・圏の構造を土台に置いて重力を捉え直す流れがある。核は「幾何より代数(ないし情報・関係)を先に立てる」こと。代表的な系統を整理して解説する。
主要系統とコア・アイデア
1) 非可換幾何学(Connes 型)
位置座標や関数環を非可換代数に一般化し、「スペクトル三つ組」(A, H, D)(\mathcal A,\ \mathcal H,\ D) で幾何を言い換える。計量情報はディラック作用素 DD のスペクトルに宿る。
例: Moyal 平面、ファジー球、ほぼ可換幾何で標準模型+重力のスペクトル作用を導出。
代表的関係式: [xμ,xν]=i θμν[x^\mu, x^\nu]= i\,\theta^{\mu\nu}。
強み: 連続多様体の限界(紫外発散、特異点)へ自然にカットオフを与えうる。ゲージ理論と重力を統一的に言い換える。
課題: 4次元ローレンツ時空での動的重力の完全量子化・予言性の確立。
2) C∗/W∗代数に基づく代数的QFTとホログラフィー
地域毎の観測可能量のネット(Haag–Kastler)やトミタ–竹崎理論で、幾何の前に「観測代数」の配置を置く。
モジュラー流・エンタングルメントから幾何再構成(bulk reconstruction)を狙う流れ。
強み: 背景に依らず「何が観測可能か」を一次的に置ける。曲がった時空のQFTと親和的。
課題: フル量子重力の動力学(幾何の生成)を代数から一意に引き出す部分が未完成。
3) トポロジカル量子場理論(TQFT)と状態和モデル
コボルディズムを対象・ベクトル空間(ないし高次元の圏)を値とする関手で捉える。3次元重力(Λ≠0)= TQFT(Turaev–Viro 等)は厳密解可能。
4次元では BF 理論を起点に拘束を課して一般相対論へ近づく。
代表式: SBF=∫Tr(B∧F)S_{\mathrm{BF}}=\int \mathrm{Tr}(B\wedge F)。
強み: 厳密な数学的構成。ローカル自由度の少ない場合での成功。
課題: 4次元、ローカル自由度と古典限界(GR)の完全回復、物質結合。
4) スピンフォームとグループ場理論(GFT)
スピンフォーム: 2-複体に群表現をラベル、振幅の和でパス積分を離散化。ループ量子重力の遷移振幅版。
GFT: 群多様体上の場 φ(g1,…,gd)\varphi(g_1,\dots,g_d) を用い、フォック空間で「離散時空原子」の凝縮で有効時空を得る。
強み: 背景独立・組合せ的で、連続極限=幾何の出現を解析できる。宇宙論への応用(凝縮相)。
課題: 連続極限の制御、低エネルギーでのGR+SM の再現とパラメータ拘束。
5) 圏論・高次圏と高次ゲージ理論
拡張TQFT(Lurieのコボルディズム仮説)やモノイダル圏、2-群・∞-群でゲージ場・欠陥・境界を統一的に記述。
スピンネットワーク/フォームを関手的言語に翻訳、位相・代数・情報の接点を明確化。
強み: 境界・欠陥・双対性の体系化。ホログラフィーの「圏としての境界理論」を扱いやすい。
課題: 具体的可検証予言への落とし込み、4次元の力学的自由度の扱い。
6) トポス理論と論理の再構成
量子論の論理を古典的ブール論理から直観主義的論理へ。状態空間や観測をトポス内の対象として再定義(Isham–Butterfield–Döring 流)。
強み: 観測・真理値の文脈依存性を公理的に扱える。背景独立の「数学的宇宙観」を提供。
課題: 物理的ダイナミクスや具体的観測量との橋渡し。
7) 量子時空対称性とホップ代数(q変形, κ-ミンコフスキー)
ポアンカレ対称性を量子群(ホップ代数)に拡張。座標非可換化や共変微分を整備。
例: κ-Minkowski、Drinfel’d twist、二重特殊相対論、相対的局所性。
強み: プランクスケール付近の対称性破れ/変形を代数的に制御。
課題: 実験的制約との整合、重力方程式のマクロ回復。
8) テンソルネットワークと量子情報的再構成
MERA/HaPPY コード等の誤り訂正構造で AdS/CFT の幾何・因果構造を模し、「絡み合い=幾何」を定量化。
エンタングルメントエントロピー、モジュラーハミルトニアン、ビットスレッドが幾何量と結びつく。
強み: 計算可能・数値的に強い。幾何の出現機構の直観が得やすい。
課題: AdS 依存の枠を越えた一般時空、動的重力方程式の導出。
比較表(要点)
アプローチ 基本データ 幾何の出現 成果・見通し 主な課題
非可換幾何 (A,H,D)(\mathcal A,\mathcal H,D), 非可換座標 スペクトル・距離、スペクトル作用
標準模型+重力の枠組 4D動的GRの量子論・予言性
代数的QFT C∗/W∗代数のネット モジュラー構造→幾何再構成 背景独立の観測論 重力ダイナミクスの一意化
TQFT/状態和 関手・状態和・量子群 境界データ↔幾何量 3D重力で厳密記述 4D自由度・古典限界
スピンフォーム/GFT 群表現ラベル, φ(g)\varphi(g)^{} 和の支配/凝縮→連続極限 宇宙論・黒洞の兆候 連続極限と低エネ再現
圏・高次圏 モノイダル/∞-圏 コボルディズム=過程 境界・欠陥の体系化 具体予言・動力学
トポス 直観主義的論理 内部論理での空間概念 観測の再定義 実験へ降ろす道筋
量子群 ホップ代数・q変形 変形対称性→幾何補正 プランク近傍の対称性 実験制約・GR回復
テンソルネット コード/ネットワーク 絡み合い→距離/面積 情報と幾何の橋渡し 汎用時空・動的方程式
よく出る具体構成(少し式で)
非可換距離(Connes 距離): 状態 ω1,ω2\omega_1,\omega_2 間の距離
d(ω1,ω2)=sup∥[D,a]∥≤1 ∣ω1(a)−ω2(a)∣d(\omega_1,\omega_2)=\sup_{\|[D,a]\|\le 1}\ |\omega_1(a)-\omega_2(a)|
BF→GR への拘束: S=∫Tr(B∧F[ω])S=\int \mathrm{Tr}(B\wedge F[\omega]) に単純性拘束を課し、B∼e∧eB\sim e\wedge e でパラメトライズ。
スピンフォーム振幅(概念図式):
Z=∑{ρf},{ιe} ∏fAf(ρf) ∏eAe(ρf,ιe) ∏vAv(ρf,ιe)\mathcal Z=\sum_{\{\rho_f\},\{\iota_e\}}\ \prod_f A_f(\rho_f)\ \prod_e A_e(\rho_f,\iota_e)\ \prod_v A_v(\rho_f,\iota_e)
GFT の場と凝縮: φ:Gd→C\varphi: G^d\to \mathbb C、凝縮相での期待値 ⟨φ⟩≠0\langle \varphi\rangle \neq 0 が等方一様宇宙の有効方程式を与える。
どう選んで深掘りするか(実用的視点)
低エネルギー極限でのGR回復と実験接続に関心が強いなら: スピンフォーム/GFT、量子群(対称性の痕跡)、代数的QFT×ホログラフィー。
標準模型との統一や数学的厳密性に惹かれるなら: 非可換幾何、TQFT/量子群、圏・高次圏。
情報から時空を「生やす」機構を見たいなら: テンソルネットワーク、代数的QFTのモジュラー手法、トポス。
今どこが「効いている」か
3次元やトポロジカル領域での完全解、AdS/CFT まわりの情報幾何の進展、スピンフォーム/GFT の宇宙論的縮退は手応えがある。一方で「4Dで動的重力+物質を量子的に扱い、一般相対論と標準模型を低エネで回復させ、観測可能量に落ちる」統一像は未だ道半ば。だからこそ、代数や関係から積み上げる視点が光る。
量子重力理論が多様なアプローチに分かれているのは、それぞれが異なる課題(問題意識)に焦点を当てているからなんだ。以下に、主要な課題ごとに理論の流れを整理してみるね:
🧩 課題別アプローチ分類
課題 内容 主なアプローチ
時空の量子化 時空そのものを量子的に扱うにはどうすればよいか ループ量子重力、因果集合理論、スピンフォーム、GFT
背景独立性の確保 固定された時空背景なしで理論を構築する ループ量子重力、因果集合、動的三角形分割(CDT)
無限大の回避 紫外発散や特異点をどう克服するか 非可換幾何学、漸近的安全性、因果集合、GFT
時間の問題 量子論と一般相対論での時間概念の不一致 ループ量子重力(Wheeler–DeWitt方程式)、因果集合(生成モデル)
ブラックホール情報問題 情報は失われるのか?保存されるのか? 弦理論(ホログラフィー)、量子情報的アプローチ、因果集合(エントロピー法則)
宇宙初期の記述 ビッグバン特異点をどう扱うか ループ量子宇宙論、GFTの凝縮相、因果集合の成長モデル
標準模型との統合 重力と他の力を統一できるか 弦理論、非可換幾何学、漸近的安全性
観測可能量の定義 ラベルや座標に依らない物理量をどう定義するか 因果集合(共変部分集合)、代数的QFT、トポス理論
幾何の創発 幾何や距離はどうやって現れるのか テンソルネットワーク、GFT、ホログラフィー、非可換幾何学
実験との接続 観測可能な予言をどう導くか 弦理論(重力波、CMB)、漸近的安全性、量子情報的アプローチ2
🔍 例:課題から理論へ
🧠 課題:「時空は量子的か?」
理論的背景:一般相対論では時空は滑らかで決定論的、量子論では不確定性と重ね合わせが本質。
アプローチ:
ループ量子重力:空間をスピンネットワークで離散化し、面積・体積の量子化を導出。
因果集合理論:時空を離散的なイベントの集合とみなし、順序と数から幾何を再構成。
非可換幾何学:座標を非可換演算子として扱い、最小長さスケールを導入。
🌌 課題:「ブラックホールで情報は失われるか?」
理論的背景:ホーキング放射による情報消失問題。
アプローチ:
弦理論:ホログラフィー原理(AdS/CFT)で境界理論に情報を保持。
量子情報的アプローチ:エラー訂正コードやエンタングルメント構造で情報保存を説明。
因果集合:エントロピー面積法則の導出と情報の局所性の再検討。
🧠 課題の重なりと理論の融合
多くの理論は複数の課題にまたがっていて、例えば:
GFT(グループ場理論)は「時空の量子化」「幾何の創発」「宇宙論的記述」にまたがる。
非可換幾何学は「無限大の回避」「標準模型との統合」「幾何の創発」に関与。
テンソルネットワークは「幾何の創発」「情報と時空の関係」「ホログラフィー」に接続。
✨ まとめ:課題が理論を生む
量子重力の理論は「何を解決したいか」という問いから生まれている。だからこそ、アプローチが多様で、時に哲学的で、時に数学的に深い。 それぞれの理論は、宇宙の根本的な謎に対する異なるレンズなんだ。
量子重力理論の多様性は、それぞれが異なる課題(問題意識)に対して、独自の特徴を活かして取り組んでいるからこそ生まれているんだ。以下に、主要な課題とそれに対して有効な理論の特徴を対応づけて整理してみるね。
🧩 課題 × 理論の特徴 対応表
課題 有効な理論 理論の特徴 有効性の理由
時空の量子化 ループ量子重力(LQG)<br>因果集合理論<br>スピンフォーム 背景独立・離散構造<br>面積・体積の量子化<br>因果順序による構成 時空を連続体ではなく量子的構成単位から再構成できる
紫外発散の回避 非可換幾何学<br>漸近的安全性<br>因果集合 座標の非可換性<br>高エネルギーでの固定点<br>局所有限性 最小長さスケールや構造的制約で発散を抑制
時間の問題 因果集合<br>ループ量子重力<br>GFT 時間の生成順モデル<br>ハミルトニアンの消失問題への対応 時間を背景から切り離し、関係的に定義できる
背景独立性 LQG<br>因果集合<br>CDT 時空背景を仮定しない構成<br>動的な時空生成 一般相対論の原則(一般共変性)を量子化に反映
ブラックホール情報問題 弦理論<br>ホログラフィー<br>量子情報的アプローチ 境界理論との対応<br>エンタングルメント構造<br>誤り訂正コード 情報保存のメカニズムを幾何や情報理論で説明可能
宇宙初期の記述 ループ量子宇宙論<br>GFT<br>因果集合 ビッグバンの特異点回避<br>宇宙の生成モデル 初期宇宙の離散的・量子的記述が可能になる
幾何の創発 GFT<br>テンソルネットワーク<br>非可換幾何学 凝縮相から連続幾何が出現<br>エンタングルメントから距離を定義 幾何を基本構造から導出する創発的アプローチ
標準模型との統合 弦理論<br>非可換幾何学 ゲージ理論との統合<br>スペクトル作用による記述 重力と他の力を統一的に記述できる枠組みを提供
観測可能量の定義 因果集合<br>代数的QFT<br>トポス理論 ラベル不変な事象<br>観測代数のネット<br>文脈依存の論理 座標に依存しない物理量の定義が可能になる
実験との接続 弦理論<br>漸近的安全性<br>量子群 重力波・CMBへの応用<br>有効場理論としての記述<br>対称性変形 実験的検証可能な予言を導出しやすい
🔍 具体例で見る有効性
🎯 課題:幾何はどうやって生まれるのか?
GFT(グループ場理論)では、群多様体上の場の凝縮相から連続時空が創発される。
テンソルネットワークでは、量子状態の絡み合い構造から距離や面積が定義される。
→ 幾何は「前提」ではなく「結果」として現れる。
🎯 課題:時間はどう定義されるべきか?
因果集合では、イベントの生成順を使って時間的構造を記述。
ループ量子重力では、時間がハミルトニアン制約の中で消えるため、関係的時間が導入される。
→ 時間は「背景」ではなく「関係性」から生まれる。
✨ まとめ:理論の特徴は課題への“武器”
それぞれの理論は、特定の課題に対して強みを持っている。
離散性は紫外発散や時空の量子化に強い
背景独立性は一般相対論との整合性に有効
情報理論的構造はブラックホールや幾何の創発に効く
代数的枠組みは観測可能量や論理の再構成に適している
量子重力理論における「課題」と一口に言っても、性質の異なる問題群が混在していて、整理しないと議論がぼやけてしまうよね。そこで、課題を「なぜそれが課題なのか」という理由の観点から分類してみよう。
🧠 課題の分類:理由ベースで整理
課題のタイプ 課題例 課題の理由 備考
観測との不整合 ブラックホール情報問題<br>余剰次元の検証困難<br>時間の定義 実験的検証が困難<br>観測可能量の定義が曖昧 プランクスケールでの現象は直接観測できない
先行理論の限界(内部矛盾) 一般相対論と量子力学の統合<br>紫外発散<br>ユニタリ性の破れ
理論間の整合性が取れない<br>再規格化不可能 古典理論の延長では破綻する2
計算の困難性 時空の量子化<br>背景独立性の定式化<br>ブラックホールエントロピー 数学的枠組みが複雑<br>非摂動的手法が必要 微分幾何・作用素代数・量子群など高度な数学が必要
哲学的・概念的問題 時間の問題<br>観測者の役割<br>幾何の創発 物理的意味の再定義が必要<br>従来の概念が通用しない 「時間」や「空間」が創発的である可能性
統一性の欠如 標準模型との統合<br>万物理論の不在 力の統一が未達成<br>理論間の接続が不明瞭 弦理論などは統一を目指すが未完成3
🔍 具体例で見る分類の意味
🎯 ブラックホール情報問題
観測との不整合:情報が失われると量子力学のユニタリ性に反する。
内部矛盾:一般相対論では特異点が生じ、量子論と整合しない。
→ 複数の理由が絡む複合課題。
🎯 時間の問題
哲学的問題:時間が「存在する」のか「関係性」なのか。
計算困難性:ハミルトニアン拘束条件により時間が消える(Wheeler-DeWitt方程式)。
→ 概念と数理の両面で難しい。
✨ まとめ:課題は“なぜ課題なのか”で見えてくる
「観測できない」から課題なのか
「理論が矛盾している」から課題なのか
「計算できない」から課題なのか
「概念が曖昧」だから課題なのか
この分類に沿って、各理論がどのタイプの課題に強いかをマッピングして・・どこまで解決できたかも含めて整理して
課題理由分類 × 理論マッピングと解決度
混在していた「課題」を、理由ベースの分類(観測との不整合/内部矛盾/計算困難/概念問題/統一性の欠如)で見直し、主要理論ごとに「どこに強いか」「どこまで進んだか」を一望できるように整理したよ。荒野の中で何がどこまで切り拓かれたのかが見えるはず。
評価の凡例
解決度: ◎ 大きく前進、○ 部分的に前進、△ 端緒・有望だが未確定、× 未解決/弱い
強みの指向性: 強い/中/弱
俯瞰マップ(要約)
理論 得意な課題タイプ(理由分類) 主な手札(特徴) 解決度まとめ
超弦理論(AdS/CFT/ホログラフィー含む)内部矛盾に強い、統一性の欠如に強い、概念問題に中
UV発散の回避、ブラックホール統計力学、ホログラフィーによる情報保存の枠組み 内部矛盾:◎、統一:◎、観測:△、計算:○、概念:○
ループ量子重力(LQG/スピンフォーム) 内部矛盾に強い、概念問題に強い 背景独立・面積体積の離散化、特異点回避(モデル) 内部矛盾:○、概念:○、計算:△、観測:△、統一:×
ループ量子宇宙論(LQC) 観測・内部矛盾の橋渡しに中 ビッグバン特異点回避→バウンス宇宙の具体モデル 内部矛盾:○、観測:△(特徴量は提案段階)、計算:○
因果ダイナミカル三角化(CDT) 計算困難に強い、内部矛盾に中 背景独立の数値路積分、4次元の自己出現 計算:○、内部矛盾:○、観測:△、概念:△、統一:×
因果集合理論(Causal Set) 概念問題に強い、観測に中 因果順序を基本にした時間・ローレンツ不変性の自然化 概念:○、内部矛盾:△、観測:△、計算:△、統一:×
漸近的安全性(Asymptotic Safety) 内部矛盾に強い 重力の非自明UV固定点仮説、再正則化の要らない量子重力 内部矛盾:○〜◎(証拠蓄積中)、計算:△、観測:△、概念:△、統一:×
グループ場理論(GFT) 概念問題に強い、内部矛盾に中 幾何の創発(凝縮相)、スピンフォームとの接続 概念:○、内部矛盾:○、計算:△、観測:△、統一:×
非可換幾何学(NCG) 統一性の欠如に強い、内部矛盾に中 スペクトル作用による幾何+標準模型の同床化 統一:○、内部矛盾:△、観測:△、概念:△、計算:△
理論別の詳細(課題タイプごとの強み・弱み・進捗)
超弦理論(ホログラフィー/AdS-CFT含む)
観測との不整合
強み/弱み: 弱〜中。低エネルギーへの具体的予言は多様性(ランドスケープ)で拡散。
解決度: △(間接的テストや現象論は豊富だが決定打は未達)
先行理論の限界(内部矛盾)
強み: 強い。紫外発散の回避、ブラックホールの微視的エントロピー計数、ユニタリな蒸発の枠組み。
解決度: ◎(クラスの広い状況で整合的な像)
計算の困難性
強み: 中。摂動論・双対性・ホログラフィーで非摂動の窓。
解決度: ○(ただし非摂動全貌とランドスケープ制御は未解)
哲学的・概念的問題
強み: 中。幾何=量子情報(エンタングルメント)という新しい写像。
解決度: ○(直観の更新に成功、一般時空での完全化は途上)
統一性の欠如
強み: 最強。ゲージ・物質・重力の統一枠組み。
解決度: ◎(枠組みは強固、具体的真空選択は未解)
ループ量子重力(LQG/スピンフォーム)
観測との不整合
強み/弱み: 中。離散スペクトル起源のシグナル提案はあるが検証困難。
解決度: △
先行理論の限界(内部矛盾)
強み: 強い。背景独立・幾何の量子化・特異点回避(モデル)。
解決度: ○(理論内での整合は進展、古典極限の系統性は課題)
計算の困難性
強み/弱み: 弱〜中。スピンフォームの収束・近似が難しい。
解決度: △
哲学的・概念的問題
強み: 強い。時間の問題に関係的時間などでアプローチ。
解決度: ○
統一性の欠如
強み/弱み: 弱。物質・ゲージの統一は別建て。
解決度: ×
ループ量子宇宙論(LQC)
観測との不整合
強み: 中。初期宇宙シグナル(例えばバウンス由来の痕跡)を議論可能。
解決度: △(観測的確証は未達)
先行理論の限界(内部矛盾)
強み: 中。特異点回避を具体的宇宙モデルで実装。
解決度: ○
計算の困難性: ○(可解なモデルが多い)
哲学的・概念的問題: ○(時間・始まりの再記述)
統一性の欠如: ×
因果ダイナミカル三角化(CDT)
観測との不整合
強み/弱み: 中。フラクタル次元の走行など、特徴的予言はあるが遠い。
解決度: △
先行理論の限界(内部矛盾)
強み: 中。非摂動・背景独立の路積分を実演。
解決度: ○
計算の困難性
強み: 強い。モンテカルロで制御可能。
解決度: ○
哲学的・概念的問題: △(構成は明確だが概念解釈は素朴)
統一性の欠如: ×
因果集合理論(Causal Set)
観測との不整合
強み: 中。ローレンツ対称の自動尊重、非局所演算子による微弱シグナル提案。
解決度: △
先行理論の限界(内部矛盾)
強み: 中。離散性でUV病を回避する設計思想。
解決度: △
計算の困難性: △(組合せ論的爆発)
哲学的・概念的問題
強み: 強い。時間=因果順序の一次元性を素直に表現。
解決度: ○
統一性の欠如: ×
漸近的安全性(Asymptotic Safety)
観測との不整合
強み: 中。宇宙論・重力低エネ定数への影響の見積り。
解決度: △
先行理論の限界(内部矛盾)
強み: 強い。非自明UV固定点で再正則化不能性を回避。
解決度: ○〜◎(証拠は増えているが一般性の決着は未完成)
計算の困難性: △(機能的RGの切断依存・高次トランケーション)
概念問題: △(背景独立性の扱いは限定的)
統一性の欠如: ×
グループ場理論(GFT)
観測との不整合
強み: 中。凝縮相宇宙論から初期宇宙痕跡の可能性。
解決度: △
先行理論の限界(内部矛盾)
強み: 中。幾何の創発と非摂動定式化。
解決度: ○(理論内の整合は進展)
計算の困難性: △(テンソルモデル由来の複雑さ)
概念問題
強み: 強い。連続幾何の創発を機構レベルで説明。
解決度: ○
統一性の欠如: ×
非可換幾何学(NCG)
観測との不整合
強み: 中。標準模型パラメータと幾何の結びつきにより間接制約の可能性。
解決度: △
先行理論の限界(内部矛盾)
強み: 中。紫外構造の改変で発散・特異性に新アプローチ。
解決度: △
計算の困難性: △(スペクトル作用の具体化)
概念問題: 中(幾何=スペクトルの視点)
統一性の欠如
強み: 強い。標準模型+重力の同一幾何的記述。
解決度: ○
課題タイプ別に見た「誰が強いか」
観測との不整合(実験への橋)
強い/中: LQC、CDT、GFT、(弦の現象論・ホログラフィーは間接)
解決度の現状: △(間接シグナルや可視化はあるが決定的実証は未達)
先行理論の限界(内部矛盾の克服)
強い: 超弦理論、漸近的安全性、LQG
解決度の現状: ○〜◎(枠組み内では整合、完全一般性は未決)
計算の困難性(扱えるか)
強い: CDT(数値)、弦の摂動論+ホログラフィー(解析・数値の窓)
解決度の現状: ○(ただし非摂動の全貌はどの理論も未制御)
哲学的・概念的問題(時間・幾何の意味)
強い: LQG、GFT、因果集合、ホログラフィー(幾何=情報)
解決度の現状: ○(新しい物語はできたが普遍的合意は未達)
統一性の欠如(統一理論としての力)
強い: 超弦理論、非可換幾何学
解決度の現状: ○〜◎(枠は強いが真空選択・具体的数値への落とし込みが課題)
最後に
いま見えているのは「同じ山の別ルート」。どの理論も、違う理由で詰まり、違う強みで突破している。
あなたが「どの理由を最優先で片づけたいか」を決めると、選ぶべきツールはだいぶ絞れるはず。
どのタイプの課題から本気で片づけたい?そこに一番“効く”理論と、次の一手を一緒に設計しよう。
🧩 TGFTとは何か?
Tensorial Group Field Theories(TGFT)は、量子重力の候補理論のひとつで、以下のような特徴を持つ:
量子場理論(QFT)の一種だが、通常の時空上ではなく、群多様体(Group Manifold)上で定義される
テンソルモデルとグループ場理論(GFT)を融合・拡張したもの
非局所的な相互作用を持ち、時空の構造を離散的な幾何学的構造として記述する
🧠 背景と目的
TGFTは、次のような問題意識から生まれた:
一般相対性理論の量子化が困難(非可 renormalizable)
時空の連続性を仮定せず、背景独立(background independence)な理論を目指す
スピンフォームモデルやループ量子重力(LQG)と密接に関連している
TGFTは、時空そのものを生成する理論として設計されていて、フェイズ転移などの物理的メカニズムを通じて、連続的な時空が現れると考えられている2。
🔬 TGFTの構造と特徴
特徴
内容
定義空間
群多様体(例:SU(2), U(1), ℝなど)
場の構造
多変数テンソル場(例:φ(g₁, g₂, ..., g_d))
相互作用
色付きグラフによるテンソル不変量で記述される非局所的な相互作用
Feynman図
離散的な単体複体(simplicial complex)に対応
目的
離散的な構造から連続的な時空を導出すること
📈 重要な成果と応用
1/N展開:Gurauによって導入されたテンソルモデルの大N展開により、連続時空への極限が可能になった
リノーマリゼーション:TGFTは非局所的な理論だが、特定の条件下で摂動的リノーマリゼーションが可能であることが証明されている
フェイズ転移:機能的リノーマリゼーショングループ(FRG)解析により、凝縮型のフェイズ転移が確認されている
🌌 TGFTと量子重力の関係
TGFTは、以下のような理論と深く関係している:
ループ量子重力(LQG):TGFTのFeynman展開はスピンフォームモデルと一致することがある
スピンフォームモデル:TGFTの相互作用項が、スピンフォームの遷移振幅を再現する
テンソルモデル:TGFTはテンソルモデルの群構造を取り入れた拡張版
🧠 TGFTの理論構造の概要
1. テンソル場の導入
TGFTでは、通常の場の理論のように場を定義しますが、その場はテンソル構造を持ちます。
場は複数の群変数(例えばSU(2)やSO(4)など)に依存し、これらは空間の幾何学的情報を表します。
例えば、場 ϕ(g1,g2,g3,g4)\phi(g_1, g_2, g_3, g_4) は4つの群要素に依存し、4次元の単体(テトラヘドロン)に対応します。
2. 場の理論としての構造
TGFTは、通常の量子場理論と同様に作用(アクション)を定義し、摂動展開を行います。
相互作用項は、複数のテンソル場を組み合わせて、幾何学的な構造(例えば、単体の貼り合わせ)を表現します。
これにより、離散的な時空構造が自然に現れます。
3. Feynmanグラフと時空の生成
TGFTの摂動展開で現れるFeynmanグラフは、単なる粒子の相互作用ではなく、離散的な時空の構成要素になります。
各グラフは、スピンフォーム(spin foam)と呼ばれる量子幾何構造に対応し、時空の量子遷移を記述します。
4. 統計場理論的アプローチ
TGFTは、統計力学的な場の理論としても解釈され、相転移や臨界現象を通じて連続的な時空が現れる可能性が探られています。
このアプローチでは、時空の「凝縮」や「出現(emergence)」が重要なテーマになります。
🔍 TGFTの特徴と意義
特徴
内容
非局所的相互作用
単体の貼り合わせに対応するため、場の相互作用は非局所的になる
離散的時空
時空は連続ではなく、離散的な構造から構成される
スピンフォームとの関係
TGFTのFeynmanグラフはスピンフォームに対応し、量子重力の遷移振幅を記述
時空の出現
時空は基本的な場の理論から現れる現象として扱われる
TGFTは、時空を背景として仮定せず、時空そのものを動的に生成するという点で、従来の場の理論とは根本的に異なります。まさに「時空の前に場がある」という哲学ですね。
Fay Dowkerは、量子重力の研究において「Causal Set Theory(因果集合理論)」の第一人者として知られています。彼女のアプローチは、時空の根本的な構造を「因果関係」と「離散性」に基づいて再構築しようとするものです。
Fay Dowker - What aspects of GR will be recovered from quantum gravity?
https://www.youtube.com/watch?v=sh7-U1BtZnY&list=PLqd-pg7HkOgJ0ac4hWXVx6jlsnHF7AS9E&index=13
Fay Dowker (Imperial College): Causal set quantum gravity and the reality of the past
https://www.youtube.com/watch?v=vek11WRHFTU
Fay Dowker: Causal Set Theory, Quantum Gravity, Consciousness, Non-Locality, Stephen Hawking
https://www.youtube.com/watch?v=PgYHEPCLVas
Fay Dowker - Black hole entropy in causal set quantum gravity
https://www.youtube.com/watch?v=0Pawvcns1hY
The Causal Set Approach to Quantum Gravity:https://www.imperial.ac.uk/media/imperial-college/research-centres-and-groups/theoretical-physics/msc/dissertations/2013/Yichao-Hu-Dissertation.pdf
Causal sets and the deep structure of spacetime:https://arxiv.org/pdf/gr-qc/0508109
Publication:https://profiles.imperial.ac.uk/f.dowker/publications
https://www.weblio.jp/content/%E5%9B%A0%E6%9E%9C%E9%9B%86%E5%90%88
🧠 Causal Set Theoryとは?
Causal Set Theory(CST)は、以下の2つの基本仮定に基づいています:
時空は離散的である:連続的な時空ではなく、点の集合(イベント)として構成される。
因果関係が基本構造である:時空の構造は、イベント間の「どちらが先か」という因果順序によって決まる。
この理論では、時空は「因果順序付き集合(causal set)」として記述され、連続的な時空はこの離散構造の近似にすぎないと考えます。
🔍 Fay Dowkerの貢献
Fay Dowkerは、Causal Set Theoryの発展において以下のような重要な研究を行っています:
時空の深層構造の探求:彼女の論文「Causal sets and the deep structure of spacetime」では、因果集合が時空の根本的な構造をどのように記述できるかを探っています。
ブラックホールのエントロピーや宇宙定数の揺らぎなど、CSTの現象論的応用にも取り組んでいます。
量子重力の「Sum-over-histories」アプローチとの関係も探求しており、CSTを量子論的に定式化する試みも行っています。
🧩 Causal Setの特徴
特徴 説明
離散性 時空は連続ではなく、個々のイベントの集合として構成される
因果順序 各イベント間には「どちらが先か」の順序が定義される
ローレンツ不変性 離散構造でありながら、連続時空のローレンツ対称性を近似できる
時空体積の定義 イベントの数が時空の体積に対応する(原子的スケール)
📚 もっと知りたい?
Fay Dowkerの論文「Causal sets and the deep structure of spacetime」
Causal Set Theoryの入門と現象論的応用(Springer)
Imperial Collegeでの修士論文(指導教員:Fay Dowker)
1arxiv.org2www.imperial.ac.uk3bing.com
🧠 論理構造の基本:部分順序集合(Poset)
Causal Setは、数学的には部分順序集合(partially ordered set, poset)として定義されます。これは、以下の4つの公理に従う集合です:
反射性(Reflexivity) 任意のイベント xx に対して、 $$ x \preceq x $$
反対称性(Antisymmetry) x⪯yx \preceq y かつ y⪯xy \preceq x ならば、 $$ x = y $$
推移性(Transitivity) x⪯yx \preceq y かつ y⪯zy \preceq z ならば、 $$ x \preceq z $$
局所有限性(Local Finiteness) 任意の2点 xx と yy に対して、 x⪯yx \preceq y であるような中間点の数は有限。
この順序関係 ⪯\preceq は、「因果的に先行する」という意味を持ちます。つまり、あるイベントが別のイベントに因果的に影響を与える可能性があるかどうかを示します。
🧩 「Order + Number = Geometry」
この理論の核心スローガンは、Rafael Sorkinによる 「Order + Number = Geometry」です。
Order(順序):イベント間の因果関係(どちらが先か)
Number(数):イベントの数が時空の体積に対応
この2つから、連続的な時空幾何学を再構成できるという考え方です。
🧬 構造主義的観点からの魅力
Causal Set Theoryは、構造主義的な物理理論の好例とされています。つまり、物理的対象の「個性」よりも、「関係性(構造)」が本質だとする立場です。
イベントはラベルを持たず、関係性のみで識別される
対称性の高い構造でも、関係のネットワークによって区別可能
時空のアイデンティティは、因果構造によって定義される
📘 参考文献・詳細情報
WikipediaのCausal Setの定義と公理
Springer論文「The Structure of Causal Sets」
arXiv: Introduction to Causal Sets
1link.springer.com2en.wikipedia.org3arxiv.org
Causal Set Theoryでは、「時空はどこから来るのか?」という根本的な問いに対して、驚くほどシンプルな答えを提示します:
🧠 「Order + Number = Geometry」:時空の再構成の鍵
このスローガンは、Rafael Sorkinが提唱したもので、Fay Dowkerも強く支持しています。意味はこうです:
Order(順序):イベント間の因果関係(どちらが先か)
Number(数):イベントの数が時空の体積に対応
この2つの情報だけで、連続的な時空の幾何学(距離、曲率、次元など)を再構成できるというのがCausal Set Theoryの核心です。
🧩 どうやって時空を「見つける」のか?
1. スプリンクリング(Sprinkling)という手法
連続的な時空(例えばミンコフスキー空間)に、ランダムに点を「まく」ことで因果集合を生成。
点の密度は時空の体積に比例。
因果関係は、元の時空の光円錐構造に従って定義。
この方法で得られた因果集合が、元の時空に「忠実に埋め込まれている(faithfully embedded)」なら、その因果集合から元の時空の構造を再構成できる。
2. 因果順序から時空の幾何学を導出
Hawking–King–McCarthyの定理によれば、強因果的な時空では、因果構造が時空の位相と計量構造を決定する。
Malamentの定理では、因果構造を保存する写像は共形等長写像(conformal isomorphism)になる。
つまり、因果関係と体積情報があれば、時空の形(geometry)をほぼ一意に決定できる2。
📐 数学的な再構成の例
最近の研究(Braun & Sämann, 2025)では、ランダム行列と因果順序の一致性を使って、2つの時空が「滑らかに等長(smoothly isometric)」である条件を定式化しています。これは、Causal Set Theoryの「Hauptvermutung(根本予想)」を数学的に裏付ける成果です。
🔍 まとめ:時空は「見つける」ものではなく「構成する」もの
Causal Set Theoryでは、時空は背景として与えられるものではなく、因果関係と離散的なイベントの数から構成されるものです。つまり、時空は「見つける」のではなく、「因果集合から浮かび上がる」ものなんだ。
1arxiv.org2en.wikipedia.org3jamesowenweatherall.com
Causal Set Theory(CST)から分かってきたことは、まだ発展途上ながらも、時空の本質的な理解に向けて重要なステップがいくつも踏み出されています。以下に、最近の成果や理論的な洞察をまとめて紹介します。
🧠 1. 時空の離散性と因果性が両立可能
CSTは、時空が離散的でありながらローレンツ対称性を保てることを示しました。
これは、従来の量子重力理論(弦理論やループ量子重力)では難しかった課題の一つです。
🌌 2. 「Order + Number = Geometry」が実証されつつある
Malamentの定理により、因果構造とイベント数(体積情報)から時空の幾何学を再構成できることが理論的に裏付けられました。
これは、連続的な時空が因果集合から「浮かび上がる」可能性を示しています。
🧩 3. 非多様体的な因果集合は自然に抑制される
Steven Carlipの研究によると、連続的な時空に似ていない因果集合(non-manifoldlike causal sets)は、重力の経路積分において強く抑制されることが分かりました。
これは、CSTが自然に「物理的に意味のある時空構造」を選び出すメカニズムを持っていることを示唆します。
🔄 4. 時空の「生成」プロセスとしての因果成長
Fay Dowkerらは、因果集合の成長を「物理的な因果プロセス」として解釈することを提案しています。
これは、一般相対論の「時空点間の因果接続性」とは異なり、イベントが他のイベントを「生み出す」という動的な因果性を導入します。
📘 まとめ:何が分かったのか?
発見・洞察 意義
離散的な時空構造が可能 連続時空の仮定を根本から見直す
因果構造から幾何学が導出可能 時空の再構成が理論的に可能
非物理的構造の自然な排除 経路積分の中で「良い時空」が選ばれる
成長力学の因果的解釈 時空の生成を動的に理解できる
この理論はまだ完成形ではないけれど、「時空とは何か?」という問いに対して、根本的な新しい視点を提供しているのは間違いないよ。
1en.wikipedia.org2arxiv.org3link.springer.com
Causal Set Theory(CST)における経路積分(Path Integral)の枠組みでは、「良い時空(物理的に意味のある時空)」が自然に選ばれるという現象が理論的に示唆されています。ここでは、その論理と数式的な構造を解説するよ。
🧠 経路積分とは?
量子重力では、時空の構成そのものが量子化されるため、すべての可能な因果集合(causal sets)にわたって経路積分を行う必要があります。これは、通常の量子力学の「全ての軌道にわたる積分(sum over histories)」の拡張です。
基本的な形式はこう:
Z=∑CeiS[C]Z = \sum_{\mathcal{C}} e^{i S[\mathcal{C}]}
ZZ:量子重力の分配関数(partition function)
C\mathcal{C}:可能な因果集合(causal set)
S[C]S[\mathcal{C}]:因果集合に対応する作用(action)
📐 「良い時空」が選ばれるとは?
この経路積分の中で、連続的な時空に近い因果集合(manifoldlike causal sets)が、以下の理由で支配的な寄与を持つと考えられています:
作用 S[C]S[\mathcal{C}] が小さい(位相的に滑らか)
局所有限性と因果順序が、連続時空の構造に近い
非多様体的な構造は、作用が大きくなり振動的に打ち消し合う
この現象は、Steven Carlipらの研究で数値的にも支持されており、「悪い時空」は経路積分の中で自然に抑制されることが分かってきています。
🔬 作用の具体例:Benincasa–Dowker Action
Fay Dowkerらは、因果集合における重力作用として、Benincasa–Dowker Actionを提案しています。これは、連続時空のEinstein–Hilbert作用に対応する離散的な表現です。
簡略化された形:
S[C]=∑i=0kαiNiS[\mathcal{C}] = \sum_{i=0}^{k} \alpha_i N_i
NiN_i:因果集合内の特定の構造(例えば、i個の中間点を持つ関係)の数
αi\alpha_i:係数(幾何学的意味を持つ)
この作用は、因果集合の局所的な構造に依存し、連続的な時空に近い構造ほど、作用が小さくなるように設計されています。
🧩 まとめ:数式と論理の融合
要素 内容
経路積分 Z=∑CeiS[C]Z = \sum_{\mathcal{C}} e^{i S[\mathcal{C}]}
作用 Benincasa–Dowker Actionなど、因果構造に基づく
良い時空 作用が小さく、連続時空に近い因果集合
選択メカニズム 経路積分の振動的性質により、非物理的構造が打ち消される
1en.wikipedia.org
ふうん、集合に関係:経路と、評価関数というか経路積分を入れて、時空浮かび上がらすのか。
そう、それがまさにCausal Set Theoryの美しさなんだよ。🌌 「集合(イベント)+関係(因果順序)+評価関数(作用)」=時空の浮上という構図。これは、時空を背景として仮定するのではなく、時空そのものを構成するという根本的な発想の転換なんだ。
🧠 あなたの言葉を数理的に言い換えると…
集合:イベントの離散的な集まり C={x1,x2,…,xn}\mathcal{C} = \{x_1, x_2, \dots, x_n\}
関係:因果順序 xi⪯xjx_i \preceq x_j によって、どのイベントがどれに先行するかを定義
経路:この因果集合の成長や構成の「履歴」=時空の可能な歴史
評価関数:作用 S[C]S[\mathcal{C}]、つまりその因果集合がどれだけ「物理的にありそうか」を評価する関数
経路積分:全ての可能な因果集合にわたって、振幅 eiS[C]e^{i S[\mathcal{C}]} を合計することで、時空の量子状態を定義
Z=∑CeiS[C]Z = \sum_{\mathcal{C}} e^{i S[\mathcal{C}]}
この ZZ が、時空の量子重力的な「波動関数」みたいなものになる。
🌌 時空が「浮かび上がる」とは?
この経路積分の中で、振動的に打ち消し合わず、安定して寄与する因果集合が、物理的な時空として「浮かび上がる」んだ。つまり:
連続的な時空に近い構造ほど、作用が小さく、振幅が大きい
非物理的な構造(ランダムすぎる、因果関係が破綻しているなど)は、作用が大きく、振動的に打ち消される
これは、量子力学の経路積分と同じく、「可能性の海から、物理的な現実が干渉によって選び出される」プロセスなんだ。
確かに時空は作れるが、その集合と関係を何にするかは、問題だね。
まさにそこが核心だね。🔍 「どんな集合と関係を選ぶか」=時空の本質をどう定義するかという問いに直結する。これは単なる数学的な選択ではなく、物理的・哲学的な立場の表明でもある。
🧠 問題の本質:集合と関係の選定
1. 集合:何を「イベント」とみなすか?
点状のイベント?それとも場の局所的な励起?
離散的か連続的か?(Causal Setでは離散性が基本)
物理的な意味を持つか?(例えば粒子の相互作用点)
👉 これは「時空の原子は何か?」という問いに近い。
2. 関係:何を「因果関係」とみなすか?
単なる時間的順序?それとも光円錐に基づく因果性?
局所性を保つか?(遠隔作用は許されるか?)
可逆性や閉じた因果ループは許容するか?(時間の非対称性)
👉 ここで、物理法則の根本的な性質が問われる。
🧩 例:Causal Set Theoryの選択
集合:時空点の離散集合(局所的なイベント)
関係:Lorentz不変な因果順序(光円錐に基づく)
制約:局所有限性(任意の2点間に有限個の中間点)
この選択により、連続的な時空の近似が可能になる。 でも、これは一つの選択肢にすぎない。他にも:
🌀 代替的なアプローチ
アプローチ 集合の定義 関係の定義 特徴
Causal Set 離散的イベント 因果順序 Lorentz不変性を保持
Spin Foam 面・辺のネットワーク 遷移振幅 量子重力の動的記述
Loop Quantum Gravity ループ状態 接続関係 空間の量子化
Tensor Networks 格子点 エンタングルメント構造 情報論的な時空生成
🧠 哲学的な問いにもなる
「時空は実在か?それとも関係性の束か?」
「物理的現象が時空を定義するのか、時空が物理現象を規定するのか?」
このあたり、Leibniz vs Newtonの時空論争にも通じるよね。
なるほどね。まあ、双対的な話かな?
「KPHM定理」とは、Kronheimer–Penrose–Hawking–Malament定理の略で、時空の因果構造がその幾何学的構造を決定するという一連の結果を指します。これは、因果集合理論(Causal Set Theory)の理論的基盤となる重要な定理群です。
🧠 KPHM定理の概要
この定理群は、以下のような流れで発展してきました:
研究者 貢献内容
Kronheimer & Penrose (1967) 因果空間(causal space)の概念を導入。因果順序と時空構造の関係を定式化。
Hawking, King & McCarthy (1976) 因果構造が時空の位相を決定することを証明。
Malament (1977) 因果構造が時空の共形構造(角度や光円錐)を一意に決定することを証明。
これらを総称して「KPHM定理」と呼ぶことがあります。
📐 定理の内容(簡略化)
未来・過去識別可能な時空(future and past distinguishing spacetime)において、 2つの時空の間に因果構造を保つ全単射(bijection)が存在すれば、 それらの時空は共形等長(conformally isometric)である。
つまり、因果構造(どのイベントがどれに因果的に先行するか)さえ分かれば、 時空の形(位相・次元・角度構造)をほぼ完全に復元できるということです。
🔍 数学的な定式化(イメージ)
時空 (M,g)(M, g) において、因果順序 ≺\prec が定義される。
2つの時空 (M1,g1),(M2,g2)(M_1, g_1), (M_2, g_2) に対して、
f:M1→M2が因果順序を保つ全単射ならばf∗g2=Ω2g1f: M_1 \to M_2 \quad \text{が因果順序を保つ全単射ならば} \quad f^*g_2 = \Omega^2 g_1
という関係が成り立つ(共形因子 Ω\Omega を除いて等長)。
🧩 Causal Set Theoryとの関係
この定理は、Causal Set Theory のスローガン「Order + Number = Geometry」の理論的根拠です:
Order(因果順序) → 時空の形(位相・共形構造)
Number(イベント数) → 時空の体積(メトリックのスケール)
したがって、時空を離散的な因果集合として扱うことで、連続的な幾何学を再構成できるという発想になります2。
1en.wikipedia.org2www.esi.ac.at
🧩 共形構造が現れる理由:Malamentの定理
Causal Set Theoryでは、時空の因果構造(どのイベントがどれに因果的に影響を与えるか)が基本的な情報とされる。ここで重要なのが、Malamentの定理:
時空の因果構造が分かれば、その時空の共形構造(角度や光錐の形)まで一意に決定できる。
つまり:
因果構造(Causal Order) → 光錐の配置 → 共形構造(Conformal Geometry)
ただし、スケール(距離や時間の大きさ)はこの情報だけでは決まらない。そこでCausal Set Theoryでは、点の数(Number)を使って体積情報を補う。
🧠 「Order + Number = Geometry」というスローガン
Rafael Sorkin(CSTの創始者)が提唱した有名なスローガン:
Order + Number = Geometry
Order:因果順序 → 共形構造(角度・光錐)
Number:点の数 → 体積(スケール)
この2つを合わせることで、完全な時空幾何が再構成できる。
🔄 Loop Quantum Gravityとの接点
Loop Quantum Gravity(LQG)では、空間の量子構造(スピンネットワーク)を扱うが、時間や因果構造は明示的には含まれていない。そこで、CSTの因果構造をLQGのスピンフォームに組み込むことで、因果的な量子時空モデルを構築しようという試みがある。
このとき、共形構造の理解が鍵になる。なぜなら、因果構造を使って時空の「形」を理解するには、共形構造の概念が不可欠だから。
📚 もっと深く知りたいなら…
Wikipedia: Causal Sets に Malamentの定理と共形構造の関係が詳しく載っている
arXiv:1903.11544 はCSTの包括的なレビューで、共形構造の役割も解説されている
スピンフォーム理論は、量子重力を記述するための理論的枠組みで、特にループ量子重力(Loop Quantum Gravity, LQG)の発展形として登場しました。 その構成は、時空の量子化を目指す非常にユニークなものになっています。
スピンフォーム理論は、以下のような構成要素から成り立っています:
1. スピンネットワーク(Spin Network)
空間の量子状態を記述するグラフ構造。
頂点と辺からなり、辺には「スピン」(群の表現)が割り当てられる。
これは空間の量子幾何(面積や体積など)を表す。
2. スピンフォーム(Spin Foam)
スピンネットワークが時間とともに変化する様子を記述。
2次元の面(foam)が、スピンネットワークの遷移を表す。
これは時空の量子履歴を表現する。
3. 離散化された時空
スピンフォームは、離散的な時空構造(頂点・辺・面)で構成される。
連続的な時空ではなく、量子化された「時空の泡」として扱う。
4. パス積分形式(Sum-over-histories)
スピンフォーム理論では、すべての可能なスピンフォーム構造に対して振幅を計算し、総和を取る。
これは、量子力学の「経路積分」に対応する考え方。
5. 頂点振幅(Vertex Amplitude)
各頂点に対して、量子遷移の振幅が定義される。
これは、局所的な量子重力のダイナミクスを記述する。
🔄 理論の流れ(ざっくり)
text
初期状態(スピンネットワーク)
↓
時間発展(スピンフォーム)
↓
終状態(別のスピンネットワーク)
この時間発展の過程を、すべての可能なスピンフォームに対して振幅を計算し、統計的に扱うことで、量子重力の効果を導き出します。
🧠 どんな理論と関係してる?
ループ量子重力(LQG):スピンフォームは、LQGの時間発展を記述するための形式。
一般相対性理論:古典的な時空構造を量子化する目的で使われる。
トポロジカル量子場理論(TQFT):スピンフォームの数学的構造は、TQFTと深く関係している。
✨ まとめ:スピンフォーム理論の構成
構成要素 役割
スピンネットワーク 空間の量子状態
スピンフォーム 時空の量子履歴
離散構造 時空の量子化
パス積分 すべての履歴の総和
頂点振幅 局所的な量子遷移の記述
もしもっと数式的な側面や、具体的なモデル(EPRLモデルなど)についても知りたいなら、そっちにも踏み込めますよ。どうします?
具体的には、どんな式となるの?
スピンフォーム理論の具体的な数式は、量子重力の振幅(transition amplitude)を計算するためのものです。これは、スピンネットワーク状態が時間とともにどのように変化するかを記述するもので、パス積分形式に基づいています。
スピンフォーム理論では、ある初期状態から終状態への遷移振幅 ZZ は、以下のように表されます:
Z=∑Foams∏fAf∏eAe∏vAvZ = \sum_{\text{Foams}} \prod_{f} A_f \prod_{e} A_e \prod_{v} A_v
各項の意味:
記号 意味
∑Foams\sum_{\text{Foams}} すべてのスピンフォーム構成に対する総和(パス積分)
AfA_f 面(face)に対応する振幅
AeA_e 辺(edge)に対応する振幅
AvA_v 頂点(vertex)に対応する振幅(最も重要)
この式は、2-コンプレックス(頂点・辺・面の集合)に対して定義され、各構成要素に量子幾何の情報(スピンやインタートワイナー)が割り当てられます。
🔍 具体的なモデル例:EPRLモデル
EPRL(Engle–Pereira–Rovelli–Livine)モデルでは、頂点振幅 AvA_v は以下のような形で定義されます:
Av=∫∏edge∏fδ(ge1ge2−1⋯ )⋅Representation TermsA_v = \int \prod_{e} dg_e \prod_{f} \delta(g_{e_1} g_{e_2}^{-1} \cdots) \cdot \text{Representation Terms}
dgedg_e:群の積分(通常はSL(2,C)やSU(2))
δ\delta:面に対する制約条件(平坦性など)
Representation Terms:スピンとインタートワイナーに基づく表現理論の項
このような構造により、時空の量子遷移を群の表現と積分で記述することが可能になります。
📘 詳しい日本語解説
より詳しい数式や理論背景は、以下の日本語文献で解説されています:
J-STAGEの論文「スピンフォーム模型による量子重力理論の統一」
この論文では、Ponzano–Regge模型やBF理論など、スピンフォームの数式的背景が丁寧に説明されています。
https://www.youtube.com/watch?v=lgm8YB2jt-U&list=PL114mRl1lPpEkRTilGyzWBTp4nB8_AfLH
https://www.youtube.com/playlist?list=PL4sA4oztWx16iU05YttY0JXC1IlZY_DRY
非可換幾何学(Noncommutative Geometry)は、通常の幾何学の枠組みを拡張し、空間の座標や関数が「非可換」な代数構造を持つ場合の幾何学的記述を可能にする理論です。これは、特に量子力学や場の理論と深く関係しています。
以下に、理論構成の主要な要素をわかりやすく整理します。
🧠 非可換幾何学の理論構成
1. 基本的な発想
通常の幾何学では、空間 XX 上の関数の集合(例えば連続関数)は可換環を形成する。
非可換幾何学では、非可換な環(代数)を空間の代わりに扱い、そこから「空間的情報」を抽出する。
つまり、空間そのものを代数的に再構成するという発想。
2. 作用素環論との関係
量子力学では物理量がヒルベルト空間上の作用素として表される → これらは非可換。
非可換幾何学では、C-環やフォン・ノイマン環*などの作用素環が「非可換空間」を表す。
ゲルファント・ナイマルクの定理により、可換C-環は位相空間に対応 → 非可換C-環は「仮想的な空間」に対応。
3. 微分構造の拡張
通常の可微分多様体では、関数環とベクトル束の切断が加群構造を持つ。
非可換幾何学では、非可換環上の加群を使ってベクトル束を定義。
外微分や共変微分などの概念を、非可換環に対して定式化する必要がある。
4. ディラック作用素とスペクトル三つ組
アラン・コンヌによる定式化では、非可換幾何学は以下の三つ組で記述される:
A\mathcal{A}:非可換環(代数)
H\mathcal{H}:ヒルベルト空間
DD:ディラック作用素
この三つ組から、空間の幾何学的性質(距離、曲率など)を抽出できる。
5. 応用と拡張
量子群や非可換スキームなど、代数幾何学の枠組みを非可換に拡張。
群作用による商空間や葉層構造の空間など、通常の幾何学では「病的」とされる空間も扱える。
場の理論や弦理論への応用も進んでおり、物理学との接点が多い。
📚 参考文献と発展
アラン・コンヌ『非可換幾何学入門』(岩波書店)
前田吉昭・佐古彰史『非可換微分幾何学の基礎』(共立出版)
Wikipediaの非可換幾何学の解説
「非可換C-環(Noncommutative C-algebra)」は、非可換幾何学の基礎をなす数学的構造であり、空間の代数的な記述**を可能にする道具です。 以下に、わかりやすくその定義と直感的な意味、そして具体例を紹介します。
🧠 C*-環とは?
まず、C-環(C-algebra)とは、以下の性質を持つ複素数ベクトル空間上の代数**です:
✅ 定義(ざっくり)
C*-環 A\mathcal{A} は、以下の構造を持つ:
代数構造:加法・乗法が定義されている(環)
ノルム構造:ノルム ∥a∥\|a\| が定義されていて、バナッハ空間になっている
共役作用()*:各元 a∈Aa \in \mathcal{A} に対して、共役元 a∗a^* が定義されている
C-条件*:∥a∗a∥=∥a∥2\|a^* a\| = \|a\|^2
この構造は、ヒルベルト空間上の有界線形作用素の集合に自然に現れます。
🔄 可換 vs 非可換
種類 説明 幾何学的意味
可換C-環* ab=baab = ba がすべての元に対して成り立つ 通常の位相空間(ゲルファント双対性)に対応
非可換C-環* ab≠baab \neq ba となる元が存在する 「非可換な空間」=量子空間や仮想的な幾何構造に対応
👉 非可換C-環は、空間の座標や関数が交換できない*という量子力学的な性質を反映しています。
🔍 具体例
1. ヒルベルト空間上の作用素環
例:B(H)\mathcal{B}(\mathcal{H})(ヒルベルト空間 H\mathcal{H} 上の有界線形作用素全体)
これは典型的な非可換C*-環。量子力学の物理量(位置・運動量など)はこの中の元。
2. 行列環
例:Mn(C)M_n(\mathbb{C})(複素数の n×nn \times n 行列全体)
行列の積は一般に非可換 → これも非可換C*-環の例。
3. 非可換トーラス
通常のトーラス上の関数環を変形して、座標関数が非可換になるように定義。
弦理論や量子場理論でよく使われる。
🧠 直感的な理解
通常の空間では、座標 x,yx, y は交換可能:xy=yxxy = yx
量子空間では、例えば位置と運動量が交換できない:[x,p]=iℏ[x, p] = i\hbar
このような「非可換性」を空間の構造に持ち込むことで、量子力学的な空間の幾何学を記述できる
✨ なぜ重要なの?
非可換C*-環は、以下のような場面で重要です:
量子力学の数学的基礎:物理量を作用素として扱う
非可換幾何学の空間記述:空間を代数的に再構成
場の理論や弦理論への応用:非可換空間上の物理モデル
🌌 非可換C*-環から言えること
1. 空間の概念を代数的に再定義できる
通常の幾何学では「点」「距離」「曲率」などが基本。
非可換幾何学では、空間そのものを関数環(C-環)として扱う*。
可換なら通常の空間、非可換なら「量子空間」や「仮想的な空間」。
👉 空間の定義が「点集合」から「代数構造」へと根本的に変わる。
2. 量子力学の構造と自然に一致する
量子力学では、位置と運動量が非可換:[x,p]=iℏ[x, p] = i\hbar
これは、空間の座標が非可換であることを意味する。
非可換C-環は、量子力学の物理量を記述する自然な枠組み*。
👉 空間そのものが量子化されているという視点が得られる。
3. 「距離」や「幾何」を代数的に定義できる
アラン・コンヌの定式化では、ディラック作用素 DD を使って距離を定義:
d(x,y)=sup{∣f(x)−f(y)∣:f∈A,∥[D,f]∥≤1}d(x, y) = \sup \{ |f(x) - f(y)| : f \in \mathcal{A}, \|[D, f]\| \leq 1 \}
これは、空間の距離を関数と作用素の関係から導く方法。
👉 幾何学的な概念が、代数と解析の言葉で再構成される。
4. 標準模型の構造が自然に現れる
非可換幾何学の枠組みで、標準模型のゲージ群やヒッグス機構が自然に導出されることがある。
特に、空間を「通常の空間 × 離散的な内部空間」として扱うことで、粒子の内部自由度(スピン、荷電など)が幾何的に記述できる。
👉 物理理論の構造が、空間の幾何から導かれる可能性。
5. 「病的な空間」も扱える
葉層構造や商空間など、通常の幾何学では扱いにくい空間も、非可換C*-環で記述可能。
例:軌道空間が非Hausdorffになるような場合でも、代数的には整然と扱える。
👉 幾何学の限界を超えて、より広い空間概念を導入できる。
✨ まとめ:非可換C*-環から得られる視点
視点 内容
空間の再定義 空間 = 関数環(代数)として扱う
量子性の導入 座標が非可換 → 空間が量子化される
幾何の代数化 距離・曲率などを作用素で定義
物理理論との接続 標準模型やゲージ理論が幾何から導かれる
幾何の拡張 通常扱えない空間も記述可能
🌌 非可換幾何学の面白いところは、空間の「連続性」と「離散性」の境界が曖昧になってくること。通常の幾何学では「連続空間」と「離散空間」はまったく別物ですが、非可換C-環の世界では、両者が統一的に扱える*んです。
🔁 空間の連続性 vs 離散性:非可換幾何の視点
1. 連続空間 = 可換C-環*
例:通常の位相空間 XX に対して、連続関数全体 C(X)C(X) は可換C*-環。
このとき、空間の点は「関数の評価点」として復元できる(ゲルファント双対性)。
👉 可換なら、空間は連続的に見える。
2. 離散空間 = 行列環や有限次元C-環*
離散的な空間(例えば有限集合)は、関数環が有限次元の可換環になる。
さらに、行列環(非可換)を使うと、内部自由度(スピン、荷電など)を表現できる。
👉 離散空間は、有限次元の代数構造として自然に現れる。
3. 連続 × 離散 = 非可換空間の構成
アラン・コンヌの標準模型構成では、空間を次のように分ける:
空間=M×F\text{空間} = M \times F
MM:通常の連続的な時空(4次元多様体)
FF:離散的な内部空間(有限非可換C*-環)
このとき、全体の空間は「連続 × 離散」の構造を持つが、全体としては非可換C-環で記述される*。
👉 連続と離散が融合した空間を、統一的に扱える。
4. 量子空間では連続性が崩れることも
量子重力や弦理論の文脈では、空間の連続性が破れる可能性が議論されている。
非可換幾何学では、座標が非可換になることで、空間の「点」の概念が曖昧になる。
👉 離散的な構造が、連続空間の中に埋め込まれるような描像が可能。
🧠 まとめ:非可換幾何での連続/離散の関係
概念 非可換幾何での扱い
連続空間 可換C*-環として記述
離散空間 有限次元C*-環や行列環で記述
両者の融合 空間 = 連続 × 離散 → 非可換C*-環
量子効果 座標の非可換性 → 空間の連続性が崩れる
この視点から見ると、「空間とは何か?」という問いが、連続か離散かという二項対立を超えて、代数的な構造として再定義されるんです。
🌌 非可換幾何学の枠組みでは、重力や一般相対性理論(GR)も、代数的に記述できる可能性があります。しかも、通常の微分幾何で使う「多様体」「計量」「接続」などの概念が、作用素とC-環の言葉で再構成される*んです。
🧲 非可換幾何と重力:どうつながるのか?
1. 一般相対論の幾何構造を代数化する
GRでは、時空は4次元多様体 MM に計量テンソル gμνg_{\mu\nu} が定義される。
非可換幾何では、空間を関数環 A\mathcal{A} として扱い、計量はスペクトルトリプルで記述:
(A,H,D)(\mathcal{A}, \mathcal{H}, D)
A\mathcal{A}:C*-環(空間の代数的表現)
H\mathcal{H}:ヒルベルト空間(スピン状態など)
DD:ディラック作用素(幾何情報を含む)
👉 計量や曲率などの幾何情報が、DD のスペクトル(固有値)に含まれる。
2. アクション原理から重力が出てくる
アラン・コンヌは、スペクトルトリプルを使って重力を含む作用を構成:
S=Tr(f(D/Λ))S = \text{Tr}(f(D/\Lambda))
これは、ディラック作用素のスペクトルに基づく「スペクトル作用」。
適切な選択をすると、アインシュタイン-ヒルベルト作用(重力)+標準模型の作用が出てくる!
👉 重力が、空間の代数的構造から自然に導かれる。
3. 重力とゲージ理論の統一的記述
通常のGRは重力のみ、ゲージ理論は別枠。
非可換幾何では、空間の内部構造(離散的な非可換部分)がゲージ群を生み出す。
全体の空間 M×FM \times F に対して、重力(連続部分)とゲージ理論(離散部分)が統一的に記述される。
👉 重力とゲージ理論が、空間の構造から同時に出てくる。
4. 次元の制約がない(むしろ拡張される)
非可換幾何では、空間の次元は「ディラック作用素のスペクトル次元」で定義される。
これは整数でなくてもよく、フラクタル次元や非整数次元も可能。
重力理論を構成する際も、次元に縛られない柔軟性がある。
👉 次元の概念が拡張され、重力理論の新しい可能性が開ける。
🧠 まとめ:非可換幾何から重力が出てくる仕組み
概念 非可換幾何での対応
空間 C*-環 A\mathcal{A}
計量 ディラック作用素 DD
重力作用 スペクトル作用 Tr(f(D/Λ))\text{Tr}(f(D/\Lambda))
ゲージ理論 離散的な内部空間から導出
次元 スペクトル次元(整数でなくてもよい)
この枠組みは、量子重力の候補理論としても注目されています。
非可換幾何学において「アクション原理から重力が出てくる」というのは、空間の代数的構造から物理法則を導くという革新的なアプローチです。ここでは、アラン・コンヌ(Alain Connes)によるスペクトルアクション原理(Spectral Action Principle)を中心に解説します。
🧠 スペクトルアクション原理とは?
非可換幾何学では、空間は「点の集合」ではなく、関数の代数(C-環)として記述されます。 その空間の幾何情報(距離、曲率など)は、ディラック作用素 DD* のスペクトル(固有値)に含まれているとされます。
そこで、物理的な作用(Action)を次のように定義します:
S=Tr(f(D/Λ))S = \text{Tr}(f(D/\Lambda))
各項の意味:
記号 意味
SS 物理的な作用(重力+物質のダイナミクス)
Tr\text{Tr} トレース(スペクトルの総和)
ff 急減関数(例えば指数関数など)
DD ディラック作用素(空間の幾何情報を含む)
Λ\Lambda エネルギースケール(カットオフ)
この式は、空間の幾何構造に依存する物理的な作用を、スペクトル(固有値)の関数として定義するものです。
🌌 重力がどう現れるのか?
このスペクトルアクションを展開すると、以下のような項が現れます:
S=∫M(12κR+ゲージ場の項+ヒッグス項+⋯ )S = \int_M \left( \frac{1}{2\kappa} R + \text{ゲージ場の項} + \text{ヒッグス項} + \cdots \right)
RR:リッチスカラー(一般相対性理論の重力項)
ゲージ場の項:電磁場や弱・強い力の記述
ヒッグス項:質量生成のメカニズム
つまり、一般相対性理論の重力作用(アインシュタイン-ヒルベルト項)と標準模型の構成要素が、スペクトルアクションから自然に導かれるのです。
🔍 なぜこれは革新的なのか?
空間の形(幾何)を直接いじるのではなく、代数的な構造(作用素のスペクトル)から物理法則を導く。
時空の連続性や点の概念を捨てても、重力やゲージ理論が再構成できる。
標準模型のゲージ群やヒッグス機構が、空間の内部構造(非可換部分)から幾何的に導出される。
📚 参考になる解説
この視点は、以下のような資料で詳しく紹介されています:
時空の『点』を捨て、函数の『代数』を視る 〜重力理論の新しい姿〜
アラン・コンヌの著書『非可換幾何学』や『The Spectral Action Principle』
✨ まとめ
非可換幾何学におけるアクション原理は:
空間の代数的構造(C*-環とディラック作用素)から、
重力やゲージ理論の作用をスペクトル的に導出する方法であり、
時空の量子化や統一理論への道を開く可能性を秘めています。
🌌 非可換幾何学は美しく統一的な枠組みを提供しますが、現実の物理や数学に応用するには、まだ多くの課題が残されています。以下に、理論的・技術的・哲学的な観点から、主要な課題を整理してみます。
⚠️ 非可換幾何の主な課題
1. 物理的実証性の欠如
非可換幾何から導かれる標準模型+重力の構成は美しいが、予言的な力が弱い。
例えば、ヒッグス質量やニュートリノ質量など、パラメータの値を予測できない。
実験的に検証可能な新しい現象が少ない。
👉 理論の美しさに比べて、物理的な検証手段が乏しい。
2. 量子重力との接続が不明瞭
非可換幾何は重力を含むが、量子重力理論として完成しているわけではない。
ループ量子重力や弦理論との関係はまだ曖昧。
特に、時空の離散性や因果構造の扱いが未解決。
👉 「量子化された時空」をどう記述するかが課題。
3. 数学的技術の難しさ
スペクトルトリプルや作用素環の理論は非常に高度。
特に、非可換空間の分類や構成が難しい。
一般の物理学者が扱うには、数学的ハードルが高い。
👉 理論の普及には、より直感的な定式化や教育的アプローチが必要。
4. 時空の動力学の記述が不十分
GRでは、時空の計量が動力学的に変化する。
非可換幾何では、ディラック作用素 DD が幾何を決めるが、その動力学的変化の記述が難しい。
時間の概念そのものが曖昧になることも。
👉 「時間とは何か?」という根本的な問いに直面する。
5. 標準模型の拡張との整合性
非可換幾何から導かれる標準模型は、ある種の制約を持つ(ゲージ群の選択など)。
例えば、超対称性や暗黒物質など、標準模型の外側の理論との整合性が不明。
👉 拡張理論との接続が課題。
🧠 まとめ:非可換幾何の課題一覧
分類 課題内容
物理的 実験的検証が困難、予言力が弱い
理論的 量子重力との接続、時空の動力学の記述
数学的 技術的に高度、空間構成が難しい
哲学的 時間・因果・次元の再定義が必要
応用的 標準模型の拡張との整合性が不明
とはいえ、これらの課題は「限界」ではなく「可能性の扉」でもあります。 非可換幾何が本当に物理の根底にあるなら、これらの問いを乗り越えることで、新しい時空観や物理理論が開かれるかもしれません。
🕰️ 非可換幾何学の枠組みでは、「時間とは何か?」という問いが根本から揺さぶられます。これは単なる哲学的な問いではなく、理論の構造上、時間の役割が曖昧になる、あるいは再定義される必要があるという意味です。
🧭 非可換幾何における「時間の曖昧さ」とは?
1. 時間が空間と同列に扱われる
一般相対論(GR)では、時間は空間と統一されて「時空」となる。
非可換幾何では、空間全体を関数環(C-環)として扱うため、時間も空間と同じく「座標」ではなく「作用素」になる*。
つまり、時間の流れではなく、時間に対応する作用素の構造が重要になる。
👉 時間が「流れるもの」ではなく、「代数的に定義されるもの」になる。
2. 時間の非可換性:順序が定まらない可能性
通常の物理では、時間は因果関係を決める軸。
しかし、非可換幾何では、座標同士が非可換になる可能性があり:
[t,x]≠0[t, x] \neq 0
このとき、時間と空間の順序が曖昧になる。
量子重力の文脈では、因果構造そのものが揺らぐことも。
👉 「過去→現在→未来」という順序が、根本的に定義できないかもしれない。
3. スペクトル的時間:時間 = ディラック作用素のスペクトル?
非可換幾何では、空間の幾何情報はディラック作用素 DD のスペクトル(固有値)に含まれる。
一部の研究では、時間の概念もスペクトル的に定義できるのでは?という提案がある。
つまり、時間は「何かが変化する軸」ではなく、「スペクトルの構造」から導かれる。
👉 時間が「変化」ではなく「構造」になる。
4. 時間の消失:量子重力的な視点
ループ量子重力やホーキングの「無境界仮説」などでは、時間が基本的な存在ではないとされる。
非可換幾何でも、空間の構造が代数的に記述されるため、時間が「背景」ではなく「現象」になる可能性がある。
つまり、時間は「空間の状態の変化」から生じる副次的な概念かもしれない。
👉 時間は「ある」ものではなく、「現れる」もの。
5. 物理理論の時間依存性が再定義される
通常の物理では、ハミルトニアン HH によって時間発展が記述される:
iℏddt∣ψ(t)⟩=H∣ψ(t)⟩i\hbar \frac{d}{dt} |\psi(t)\rangle = H |\psi(t)\rangle
非可換幾何では、時間発展そのものが「作用素の変化」として記述される可能性がある。
つまり、時間の微分ではなく、代数的な変換が「時間の代わり」になる。
👉 時間発展 = 代数的変換、という新しい視点。
🧠 まとめ:非可換幾何における時間の再定義
観点 内容
空間との関係 時間も空間と同様に作用素として扱われる
非可換性 時間と空間の順序が曖昧になる可能性
スペクトル的時間 時間 = ディラック作用素のスペクトル構造
時間の消失 時間は現象であり、基本的存在ではない
時間発展の再定義 微分ではなく、代数的変換で記述される
このように、非可換幾何では「時間とは何か?」という問いが、物理・数学・哲学のすべての境界を越えて再構成されるんです。
第1章:非可換幾何とは何か
— 空間の概念を代数で再定義する新しい幾何学 —
1.1 導入:幾何の再発明
幾何学は、空間の形・構造・変化を記述する数学の分野である。通常の幾何では、空間は点の集合として定義されるが、非可換幾何では、空間の情報を関数環(代数)に置き換えることで、より一般的な空間を記述できる。
この新しい視点により、量子力学・ゲージ理論・重力理論などの物理理論を、幾何学的に統一する可能性が開かれる。
図 1.1:幾何の進化
古典幾何:
┌────────────┐
│ ユークリッド空間 │
└────────────┘
微分幾何:
┌────────────┐
│ 多様体・曲率・接続 │
└────────────┘
非可換幾何:
┌────────────┐
│ 空間 = 関数環(代数) │
└────────────┘
↓
空間の代数的再定義
1.2 非可換幾何の基本理念
非可換幾何の中心的アイデアは、空間を関数環で記述するという点にある。通常の空間では、関数の積は可換だが、量子力学的な空間では、関数の積が非可換になることがある。
定義 1.1(空間の代数的記述)
空間 XX に対応する関数環 A=C∞(X)\mathcal{A} = C^\infty(X) を用いて、空間の構造を代数的に記述する。 非可換幾何では、A\mathcal{A} が非可換な代数となる。
図 1.2:空間と代数の対応
通常の空間:
┌────────────┐
│ 点集合 X │
└────────────┘
↓
関数環 C∞(X):可換代数
非可換空間:
┌────────────┐
│ 代数 𝓐(非可換) │
└────────────┘
↓
空間の代数的再構成
1.3 なぜ非可換幾何が必要か?
非可換幾何は、以下のような理論的・物理的課題に対応するために必要とされる:
量子力学では、位置と運動量が非可換([x,p]=iℏ[x, p] = i\hbar)
ゲージ理論では、場の構造が代数的に記述される
重力理論との統一には、空間の量子化が必要
宇宙論では、初期宇宙の構造が非連続的である可能性がある
図 1.3:非可換幾何の必要性
物理理論の課題:
┌────────────┐
│ 量子力学:非可換演算子 │
├────────────┤
│ ゲージ理論:代数構造 │
├────────────┤
│ 重力:空間の曲率 │
├────────────┤
│ 宇宙論:初期の非連続性 │
└────────────┘
↓
非可換幾何による統一的記述
1.4 歴史と背景
非可換幾何は、1980年代にアラン・コンヌ(Alain Connes)によって体系化された。彼は、C*-代数・作用素環・K理論・ホモロジー理論などを統合し、空間の代数的記述を可能にした。
この理論は、数学だけでなく、物理学(特に標準模型・量子重力・宇宙論)にも応用されている。
1.5 本講義の構成
この講義では、以下の流れで非可換幾何を学ぶ:
空間の代数的記述(第2章)
スペクトルトリプルと幾何構造(第2〜3章)
ゲージ理論・重力理論への応用(第3〜4章)
宇宙論・暗黒物質の幾何的記述(第5章)
数理的基礎とK理論・ホモロジー(第6章)
応用例と数値的検証(第7章)
今後の展望と研究課題(第8章)
📝 演習問題
空間を関数環で記述するという考え方の利点を説明せよ
非可換幾何が物理理論に必要とされる理由を挙げよ
可換代数と非可換代数の違いを具体例で示せ
非可換幾何の歴史的背景とアラン・コンヌの貢献をまとめよ
第2章:非可換幾何の基本構造
— 空間の代数的記述とスペクトルトリプルの導入 —
2.1 導入:空間の代数的再定義
通常の幾何学では、空間は点集合として定義されるが、非可換幾何では空間の情報を関数環(代数)に置き換える。これにより、空間の構造を代数的に記述でき、非可換な空間も扱えるようになる。
図 2.1:空間と代数の対応関係
通常の幾何:
┌────────────┐
│ 多様体 M │
└────────────┘
↓ 関数環
┌────────────┐
│ C∞(M):可換代数 │
└────────────┘
非可換幾何:
┌────────────┐
│ 非可換代数 𝓐 │
└────────────┘
↓
空間の代数的記述
2.2 スペクトルトリプルの定義
非可換幾何の中心的構造は、スペクトルトリプルと呼ばれる三つ組である。
定義 2.1(スペクトルトリプル)
(A,H,D)(\mathcal{A}, \mathcal{H}, D)
A\mathcal{A}:C*-代数(空間の関数環)
H\mathcal{H}:ヒルベルト空間(状態空間)
DD:自己共役作用素(Dirac作用素)
この構造により、距離・微分・積分などの幾何的概念が代数的に定義される。
図 2.2:スペクトルトリプルの構造図
スペクトルトリプル:
┌────────────┐
│ 𝓐:関数環(代数) │
├────────────┤
│ ℋ:状態空間(ヒルベルト)│
├────────────┤
│ D:Dirac作用素(微分構造)│
└────────────┘
↓
幾何の代数的再構成
2.3 距離の定義と幾何的意味
スペクトルトリプルを用いることで、空間上の距離を代数的に定義できる。
定義 2.2(距離関数)
点 x,yx, y 間の距離は以下で定義される:
d(x,y)=sup{∣f(x)−f(y)∣∣f∈A,∥[D,f]∥≤1}d(x, y) = \sup \{ |f(x) - f(y)| \mid f \in \mathcal{A}, \| [D, f] \| \leq 1 \}
[D,f][D, f]:Dirac作用素と関数の交換子
この定義は、リーマン幾何の距離と一致する
図 2.3:距離の代数的定義
距離:
d(x, y) = sup{|f(x) - f(y)| : ||[D, f]|| ≤ 1}
↓
微分構造(D)と関数環(𝓐)から距離が定義される
2.4 可換幾何との対応
通常のリーマン多様体において、スペクトルトリプルは以下のように構成される。
例 2.1(リーマン多様体)
A=C∞(M)\mathcal{A} = C^\infty(M):滑らかな関数環
H=L2(M,S)\mathcal{H} = L^2(M, S):スピノル場の空間
D=\slashedDD = \slashed{D}:Dirac作用素
この場合、非可換幾何は通常の幾何と一致する。
図 2.4:可換幾何と非可換幾何の対応
可換幾何:
┌────────────┐
│ 多様体 M │
├────────────┤
│ 関数環 C∞(M) │
├────────────┤
│ Dirac作用素 D │
└────────────┘
非可換幾何:
┌────────────┐
│ 代数 𝓐 │
├────────────┤
│ ヒルベルト空間 ℋ │
├────────────┤
│ Dirac作用素 D │
└────────────┘
2.5 非可換空間の例と直感
非可換幾何では、空間の座標が非可換になる例がある。
例 2.2(非可換トーラス)
代数:Aθ\mathcal{A}_\theta:非可換トーラスの関数環
関係式:UV=e2πiθVUUV = e^{2\pi i \theta} VU(θ≠0\theta \neq 0)
このような空間では、座標が演算子となり、通常の幾何では記述できない構造が現れる。
図 2.5:非可換トーラスの構造図
非可換トーラス:
┌────────────┐
│ U, V:単位ary演算子 │
└────────────┘
↓
UV = e^{2πiθ} VU(非可換)
↓
空間の代数的構造が変形される
📝 演習問題
スペクトルトリプル (A,H,D)(\mathcal{A}, \mathcal{H}, D) の各構成要素の意味を説明せよ
距離関数の定義式から、リーマン距離との一致を確認せよ
非可換トーラスの代数構造を具体的に記述せよ
可換幾何と非可換幾何の違いを図解で説明せよ
第3章:物理理論への応用 — 非可換幾何からゲージ理論と重力へ
3.1 導入:空間の幾何から物理理論へ
非可換幾何は、空間の代数的記述を通じて、物理理論の構造を幾何学的に再構成する枠組みを提供する。特に、ゲージ理論や標準模型、さらには重力理論までもが、非可換幾何の言語で統一的に記述できる。
この章では、非可換幾何の構造がどのように物理理論に応用されるかを、スペクトルトリプルを中心に解説する。
3.2 スペクトルトリプルと物理理論
定義 3.1(スペクトルトリプル)
非可換幾何の基本構造は以下の三つ組で与えられる:
(A,H,D)(\mathcal{A}, \mathcal{H}, D)
A\mathcal{A}:非可換代数(空間の関数環)
H\mathcal{H}:ヒルベルト空間(フェルミオン状態)
DD:ディラック作用素(幾何構造と運動)
図 3.1:スペクトルトリプルの構造図
┌────────────┐
│ 非可換代数 𝓐 │ ← 空間の関数環(ゲージ構造を含む)
└────────────┘
↓ 作用
┌────────────┐
│ ヒルベルト空間 ℋ │ ← フェルミオン状態空間
└────────────┘
↑
Dirac作用素 D
↓
幾何構造・運動・質量項
例 3.1(通常のリーマン多様体)
A=C∞(M)\mathcal{A} = C^\infty(M)
H=L2(M,S)\mathcal{H} = L^2(M, S):スピノル場の空間
D=\slashedDD = \slashed{D}:通常のDirac作用素
3.3 ゲージ理論の幾何的記述
定義 3.2(内部空間の導入)
物理理論を記述するには、空間 MM に加えて「内部空間」 F\mathcal{F} を導入する。これにより、代数は以下のように拡張される:
A=C∞(M)⊗AF\mathcal{A} = C^\infty(M) \otimes \mathcal{A}_F
図 3.2:空間 × 内部空間の構造図
┌────────────┐ ┌────────────┐
│ 空間 M(連続) │ × │ 内部空間 ℱ(離散)│
└────────────┘ └────────────┘
↓ 合成
┌────────────────────┐
│ 合成空間 M × ℱ(非可換) │
└────────────────────┘
↓
ゲージ群・ヒッグス場・質量項が幾何的に現れる
例 3.2(標準模型の代数)
AF=C⊕H⊕M3(C)\mathcal{A}_F = \mathbb{C} \oplus \mathbb{H} \oplus M_3(\mathbb{C})
C\mathbb{C}:U(1)ゲージ群
H\mathbb{H}:SU(2)ゲージ群(四元数)
M3(C)M_3(\mathbb{C}):SU(3)ゲージ群(色)
図 3.3:標準模型の代数構造図
代数構成:
┌────────────┐
│ 𝓐_F = ℂ ⊕ ℍ ⊕ M₃(ℂ) │
└────────────┘
↓
ゲージ群:
┌────────────────────────────┐
│ U(1) × SU(2) × SU(3)(標準模型) │
└────────────────────────────┘
3.4 ヒッグス場とDirac作用素
定義 3.3(フルDirac作用素)
空間 M×FM \times \mathcal{F} 上のDirac作用素は以下のように分解される:
D=DM⊗1+γ5⊗DFD = D_M \otimes 1 + \gamma_5 \otimes D_F
物理的意味
DFD_F の構造から、フェルミオンの質量行列やヒッグス場が幾何的に導出される
ヒッグス場は、内部空間の接続(フレームの変化)として現れる
3.5 スペクトル作用と物理的ラグランジアン
定義 3.4(スペクトル作用)
非可換幾何における作用関数は、Dirac作用素のスペクトルに基づいて定義される:
S=Tr(f(D/Λ))S = \text{Tr}(f(D/\Lambda))
図 3.4:スペクトル作用の展開図
スペクトル作用:
S = Tr(f(D/Λ))
↓ 展開
┌────────────┐
│ 重力項(Einstein–Hilbert) │
├────────────┤
│ ゲージ項(Yang–Mills) │
├────────────┤
│ ヒッグス項・質量項 │
└────────────┘
↓
標準模型のラグランジアン
📝 演習問題
スペクトルトリプル (A,H,D)(\mathcal{A}, \mathcal{H}, D) を通常のリーマン多様体上で構成せよ
標準模型のゲージ群が代数 C⊕H⊕M3(C)\mathbb{C} \oplus \mathbb{H} \oplus M_3(\mathbb{C}) から導かれることを示せ
Dirac作用素の変動からヒッグス場が現れることを計算で確認せよ
スペクトル作用の展開から、重力項とゲージ項を抽出せよ
第4章:非可換時空と量子重力
— 空間の量子化と重力理論の再構成 —
4.1 導入:時空の非可換性
量子重力理論の構築には、時空の連続性を見直す必要がある。非可換幾何は、時空座標そのものが非可換であるという視点から、プランクスケールでの空間構造を記述する枠組みを提供する。
図 4.1:非可換時空の概念図
通常の時空:
[x^μ, x^ν] = 0(可換)
非可換時空:
[x^μ, x^ν] = i θ^{μν}(非可換)
↓
空間の座標が演算子に
↓
幾何学が代数に置き換わる
4.2 非可換座標とMoyal積
定義 4.1(Moyal積)
関数 f(x),g(x)f(x), g(x) の積を非可換にするために、以下のような 星積(Moyal積)を導入する:
(f⋆g)(x)=f(x)exp(i2θμν∂μ←∂ν→)g(x)(f \star g)(x) = f(x) \exp\left( \frac{i}{2} \theta^{\mu\nu} \overleftarrow{\partial_\mu} \overrightarrow{\partial_\nu} \right) g(x)
θμν\theta^{\mu\nu}:非可換パラメータ(反対称テンソル)
⋆\star:非可換積(通常の積に補正項が加わる)
図 4.2:Moyal積の構造図
通常の積:
f(x) · g(x)
非可換積(Moyal):
f(x) ⋆ g(x) = f(x) + iθ^{μν} ∂_μ f ∂_ν g + …
↓
関数空間が非可換代数に
4.3 非可換ゲージ理論
非可換空間上では、ゲージ変換も非可換積に従って定義される。
定義 4.2(非可換ゲージ変換)
ゲージ場 Aμ(x)A_\mu(x) の変換は以下のように定義される:
Aμ(x)→U(x)⋆Aμ(x)⋆U−1(x)+iU(x)⋆∂μU−1(x)A_\mu(x) \rightarrow U(x) \star A_\mu(x) \star U^{-1}(x) + i U(x) \star \partial_\mu U^{-1}(x)
図 4.3:非可換ゲージ構造図
通常のゲージ変換:
A_μ → U A_μ U⁻¹ + i U ∂_μ U⁻¹
非可換ゲージ変換:
A_μ → U ⋆ A_μ ⋆ U⁻¹ + i U ⋆ ∂_μ U⁻¹
↓
ゲージ理論が非可換代数上に構成される
4.4 重力理論への拡張
非可換幾何では、重力も代数的に記述される。特に、スペクトル作用の展開により、Einstein–Hilbert項が自然に現れる。
定義 4.3(重力項の導出)
スペクトル作用:
S=Tr(f(D/Λ))S = \text{Tr}(f(D/\Lambda))
の展開により、以下の項が現れる:
重力項:∫Rg d4x\int R \sqrt{g} \, d^4x
ゲージ項:∫FμνFμν\int F_{\mu\nu} F^{\mu\nu}
ヒッグス項・質量項
図 4.4:スペクトル作用と重力項
スペクトル作用:
S = Tr(f(D/Λ))
↓ 展開
┌────────────┐
│ 重力項(R√g) │ ← Einstein–Hilbert
├────────────┤
│ ゲージ項(F²) │ ← Yang–Mills
├────────────┤
│ ヒッグス項・質量項 │ ← 標準模型
└────────────┘
4.5 非可換時空と量子重力の統一
非可換幾何は、空間の量子化と物理理論の統一を可能にする。特に、以下の特徴がある:
空間の座標が演算子になることで、時空の量子性が導入される
ゲージ理論と重力が、同一の幾何構造から導出される
プランクスケールでの物理理論の再構成が可能になる
📝 演習問題
非可換座標 [xμ,xν]=iθμν[x^\mu, x^\nu] = i \theta^{\mu\nu} からMoyal積を導出せよ
非可換ゲージ変換の構造を通常のゲージ変換と比較せよ
スペクトル作用の展開から重力項が現れることを確認せよ
非可換幾何が量子重力理論に与える利点をまとめよ
第5章:非可換幾何と宇宙論
— 初期宇宙・インフレーション・暗黒物質への幾何的アプローチ —
5.1 導入:宇宙論と幾何の統一
宇宙論は、宇宙の起源・進化・構造を扱う物理理論であり、重力・ゲージ理論・スカラー場が密接に関係する。非可換幾何は、これらの構造を統一的な幾何的枠組みで記述することを可能にする。
図 5.1:宇宙論の構成要素と幾何的対応
宇宙論の要素:
┌────────────┐
│ 重力(時空の曲率) │ ← Einstein–Hilbert項
├────────────┤
│ インフレーション場 │ ← スカラー場(ヒッグス類似)
├────────────┤
│ ゲージ場(電磁・弱・強)│ ← Yang–Mills項
├────────────┤
│ 暗黒物質・暗黒エネルギー │ ← 拡張代数・新場の候補
└────────────┘
↓
非可換幾何による統一記述
5.2 インフレーションとヒッグス場の幾何的関係
インフレーション理論では、初期宇宙の急膨張をスカラー場によって説明する。非可換幾何では、ヒッグス場が内部空間の幾何的変動として現れるため、インフレーション場との類似性がある。
定義 5.1(ヒッグス場の幾何的起源)
Dirac作用素の内部空間成分 DFD_F の変動により、ヒッグス場が現れる:
Φ(x)=DF+AF(x)\Phi(x) = D_F + A_F(x)
AF(x)A_F(x):内部空間の接続(変動)
Φ(x)\Phi(x):ヒッグス場(スカラー場)
図 5.2:ヒッグス場とインフレーション場の対応
非可換幾何:
┌────────────┐
│ 内部空間の接続 A_F(x) │
└────────────┘
↓
ヒッグス場 Φ(x) = D_F + A_F(x)
宇宙論:
┌────────────┐
│ インフレーション場 φ(x) │
└────────────┘
↓ 類似性
スカラー場による時空膨張
5.3 宇宙の初期状態とスペクトル作用
非可換幾何のスペクトル作用は、宇宙の初期状態におけるラグランジアンの統一的記述を提供する。
定義 5.2(スペクトル作用と宇宙論)
S=Tr(f(D/Λ))S = \text{Tr}(f(D/\Lambda))
の展開により、以下の項が現れる:
重力項:宇宙の膨張と曲率
スカラー項:インフレーションのポテンシャル
ゲージ項:初期の場の相互作用
図 5.3:スペクトル作用と宇宙論の項
スペクトル作用:
S = Tr(f(D/Λ))
↓ 展開
┌────────────┐
│ R√g(重力) │ ← 宇宙の膨張
├────────────┤
│ |∇Φ|² + V(Φ)(スカラー)│ ← インフレーション
├────────────┤
│ F²(ゲージ) │ ← 初期相互作用
└────────────┘
5.4 暗黒物質・暗黒エネルギーの幾何的可能性
非可換幾何の代数構造を拡張することで、標準模型に含まれない場を導入する余地がある。これにより、暗黒物質や暗黒エネルギーの候補が幾何的に現れる可能性がある。
例 5.1(代数の拡張)
AF=C⊕H⊕M3(C)⊕Adark\mathcal{A}_F = \mathbb{C} \oplus \mathbb{H} \oplus M_3(\mathbb{C}) \oplus \mathcal{A}_{\text{dark}}
Adark\mathcal{A}_{\text{dark}}:暗黒セクターの代数(仮定)
新たなスカラー場・ゲージ場が現れる可能性
図 5.4:暗黒セクターの代数構造
拡張代数:
┌────────────────────┐
│ 𝓐_F = ℂ ⊕ ℍ ⊕ M₃(ℂ) ⊕ 𝓐_dark │
└────────────────────┘
↓
┌────────────┐
│ 新ゲージ群・スカラー場 │ ← 暗黒物質の候補
└────────────┘
5.5 宇宙論的観測との接続
非可換幾何による宇宙論モデルは、以下の観測と接続可能:
宇宙背景放射(CMB)の揺らぎ
インフレーションのスペクトル指数
暗黒物質の分布と重力レンズ効果
宇宙定数と加速膨張
📝 演習問題
ヒッグス場とインフレーション場の幾何的類似性を説明せよ
スペクトル作用の展開から宇宙論のラグランジアンを導出せよ
暗黒セクターの代数構造を仮定し、物理的意味を考察せよ
非可換幾何による宇宙論モデルが観測と一致する可能性を議論せよ
第6章:非可換幾何の数学的基礎
— 代数・作用素・K理論・ホモロジー —
6.1 導入:幾何の代数的再構成
通常の幾何学では、空間は点集合として定義されるが、非可換幾何では空間の情報を関数環(代数)に置き換える。これにより、空間の構造を代数的に記述でき、非可換な空間も扱えるようになる。
図 6.1:幾何から代数への対応
通常の幾何:
┌────────────┐
│ 多様体 M │
└────────────┘
↓ 関数環
┌────────────┐
│ C∞(M):可換代数 │
└────────────┘
非可換幾何:
┌────────────┐
│ 非可換代数 𝓐 │
└────────────┘
↓
空間の代数的記述
6.2 C*-代数と作用素環
定義 6.1(C*-代数)
C*-代数とは、複素ベクトル空間であり、以下の構造を持つ:
代数構造(積)
*-構造(随伴)
ノルム構造(||·||)
完備性(Banach空間)
例:連続関数環 C(X)C(X)、有界作用素環 B(H)\mathcal{B}(\mathcal{H})
図 6.2:C*-代数の構造図
C*-代数:
┌────────────┐
│ 代数構造:ab │
├────────────┤
│ *-構造:a* │
├────────────┤
│ ノルム:||a|| │
├────────────┤
│ 完備性:Banach空間 │
└────────────┘
↓
幾何・物理の基礎構造
6.3 K理論と空間の分類
K理論は、代数的手法で空間のトポロジーを分類する理論であり、非可換幾何の中心的役割を果たす。
定義 6.2(K群)
K0(A)K_0(\mathcal{A}):射影加群の同型類(ベクトル束の類似)
K1(A)K_1(\mathcal{A}):ユニタリ群の同型類(ループ空間の類似)
図 6.3:K理論の幾何的対応
K理論:
┌────────────┐
│ K₀(𝓐):ベクトル束類似 │
├────────────┤
│ K₁(𝓐):ループ空間類似 │
└────────────┘
↓
空間の分類・不変量
6.4 ホモロジーとコホモロジー
非可換幾何では、ホモロジー理論も代数的に再構成される。特に、ホッホシルトホモロジーやサイクルホモロジーが重要。
定義 6.3(ホッホシルトホモロジー)
代数 A\mathcal{A} に対して、ホッホシルトホモロジー HHn(A)HH_n(\mathcal{A}) は、n次の多重積構造を分類する。
図 6.4:ホモロジーの構造図
ホモロジー:
┌────────────┐
│ HHₙ(𝓐):多重積構造 │
├────────────┤
│ HCₙ(𝓐):サイクル構造 │
└────────────┘
↓
空間の微分構造の代数的記述
6.5 スペクトルトリプルの数学的定式化
定義 6.4(スペクトルトリプル)
非可換幾何の基本構造は以下の三つ組:
(A,H,D)(\mathcal{A}, \mathcal{H}, D)
A\mathcal{A}:C*-代数(空間の関数環)
H\mathcal{H}:ヒルベルト空間(状態空間)
DD:自己共役作用素(Dirac作用素)
この構造により、距離・微分・積分などの幾何的概念が代数的に定義される。
図 6.5:スペクトルトリプルの幾何的意味
スペクトルトリプル:
┌────────────┐
│ 𝓐:関数環(代数) │
├────────────┤
│ ℋ:状態空間(ヒルベルト)│
├────────────┤
│ D:Dirac作用素(微分構造)│
└────────────┘
↓
幾何の代数的再構成
📝 演習問題
C*-代数の定義と例を挙げよ
K₀群とK₁群の幾何的意味を説明せよ
ホッホシルトホモロジーの定義と物理的応用を考察せよ
スペクトルトリプルによって距離が定義されることを示せ
第7章:応用例と数値的検証
— 非可換幾何の理論を具体的モデルと計算で検証する —
7.1 導入:理論から現象へ
非可換幾何は抽象的な枠組みだが、具体的な物理モデルに適用することで、観測可能な予測を導くことができる。特に、標準模型の再構成、インフレーションのポテンシャル、質量スペクトルの導出などが数値的に検証可能である。
図 7.1:理論から現象への流れ
抽象理論:
┌────────────┐
│ スペクトルトリプル │
└────────────┘
↓
具体モデル:
┌────────────┐
│ 標準模型・宇宙論 │
└────────────┘
↓
数値検証:
┌────────────┐
│ 質量予測・CMB揺らぎ │
└────────────┘
7.2 標準模型の再構成と質量予測
非可換幾何により、標準模型のラグランジアンがスペクトル作用から導出される。特に、フェルミオンの質量行列が内部空間のDirac作用素 DFD_F によって決定される。
定義 7.1(質量行列とDirac作用素)
Mf=⟨ψf∣DF∣ψf⟩M_f = \langle \psi_f | D_F | \psi_f \rangle
ψf\psi_f:フェルミオン状態
DFD_F:内部空間のDirac作用素
MfM_f:フェルミオンの質量
図 7.2:質量予測の構造図
内部空間:
┌────────────┐
│ Dirac作用素 D_F │
└────────────┘
↓
┌────────────┐
│ 質量行列 M_f │
└────────────┘
↓
┌────────────┐
│ 実験値との比較 │
└────────────┘
7.3 インフレーションポテンシャルの導出
非可換幾何のスカラー場(ヒッグス場)は、インフレーション場と類似しており、ポテンシャル関数がスペクトル作用から導出される。
例 7.1(ポテンシャルの形)
V(ϕ)=λ(ϕ2−v2)2V(\phi) = \lambda (\phi^2 - v^2)^2
ϕ\phi:スカラー場(ヒッグスまたはインフレーション)
λ,v\lambda, v:モデルパラメータ
この形は、宇宙の急膨張を説明するインフレーションポテンシャルとしても使われる
図 7.3:ポテンシャルと宇宙膨張
ポテンシャル:
V(φ) = λ(φ² - v²)²
↓
┌────────────┐
│ φ ≈ 0:急膨張 │
├────────────┤
│ φ → v:安定化 │
└────────────┘
↓
宇宙のインフレーションと終焉
7.4 数値的検証と観測との比較
非可換幾何による予測は、以下の観測と比較される:
フェルミオン質量スペクトル(電子・クォークなど)
ヒッグス質量(実験値:125 GeV)
宇宙背景放射(CMB)のスペクトル指数
暗黒物質の分布と重力レンズ効果
図 7.4:理論予測と観測の対応
理論予測:
┌────────────┐
│ 質量行列・ポテンシャル │
└────────────┘
↓
数値計算:
┌────────────┐
│ スペクトル展開・最小化 │
└────────────┘
↓
観測比較:
┌────────────┐
│ 実験値・宇宙観測 │
└────────────┘
7.5 モデルの制約と改良
数値的検証により、モデルのパラメータ(λ,v,θμν\lambda, v, \theta^{\mu\nu} など)に制約が加わる。これにより、理論の精度が向上し、新たな物理の可能性が探求される。
📝 演習問題
Dirac作用素 DFD_F から質量行列 MfM_f を導出する手順を説明せよ
ポテンシャル V(ϕ)=λ(ϕ2−v2)2V(\phi) = \lambda (\phi^2 - v^2)^2 の最小値と安定点を求めよ
非可換幾何によるヒッグス質量の予測と実験値を比較せよ
宇宙背景放射のスペクトル指数とインフレーションポテンシャルの関係を考察せよ
第8章:今後の展望と研究課題
— 非可換幾何の拡張、統一理論への可能性、数理的課題 —
8.1 導入:理論の成熟と次なる挑戦
非可換幾何は、空間の代数的記述を通じて、物理理論の統一に向けた強力な枠組みを提供してきた。標準模型の再構成、重力との統合、宇宙論への応用など、多くの成果がある一方で、未解決の課題や拡張の可能性も数多く残されている。
図 8.1:非可換幾何の応用と課題の全体像
応用領域:
┌────────────┐
│ 標準模型の再構成 │
├────────────┤
│ 重力理論との統合 │
├────────────┤
│ 宇宙論・インフレーション │
└────────────┘
未解決課題:
┌────────────┐
│ 時空の量子化 │
├────────────┤
│ 暗黒物質の幾何的記述 │
├────────────┤
│ 数理的基礎の強化 │
└────────────┘
8.2 統一理論への可能性
非可換幾何は、ゲージ理論と重力を同一の幾何構造から導出できるため、統一理論の候補として注目されている。
定義 8.1(幾何的統一)
スペクトルトリプル (A,H,D)(\mathcal{A}, \mathcal{H}, D) によって、以下の構造が統一的に記述される:
ゲージ場:A\mathcal{A} の接続
重力場:DD の変動
スカラー場:内部空間の構造
図 8.2:幾何的統一の構造図
スペクトルトリプル:
┌────────────┐
│ 𝓐:ゲージ構造 │
├────────────┤
│ ℋ:フェルミオン状態 │
├────────────┤
│ D:重力・スカラー場 │
└────────────┘
↓
統一ラグランジアンの導出
8.3 時空の量子化と非可換時空
プランクスケールでの物理理論には、時空の連続性を見直す必要がある。非可換幾何は、座標の非可換性を導入することで、時空の量子化を可能にする。
例 8.1(非可換座標)
[xμ,xν]=iθμν[x^\mu, x^\nu] = i \theta^{\mu\nu}
θμν\theta^{\mu\nu}:非可換パラメータ
この構造により、時空の微細構造が記述可能となる
図 8.3:時空の量子化と幾何的記述
通常の時空:
[x^μ, x^ν] = 0(可換)
非可換時空:
[x^μ, x^ν] = iθ^{μν}
↓
時空の量子性・重力の量子化
8.4 数理的課題と拡張理論
非可換幾何のさらなる発展には、以下の数理的課題がある:
スペクトルトリプルの分類と構成法
非可換空間のホモロジー理論の整備
量子群・トポス理論との接続
数値的手法の精緻化(スペクトル展開・作用評価)
図 8.4:数理的課題の構造図
数理的課題:
┌────────────┐
│ スペクトルトリプルの分類 │
├────────────┤
│ ホモロジー・K理論の拡張 │
├────────────┤
│ 量子群・トポスとの接続 │
├────────────┤
│ 数値的手法の精緻化 │
└────────────┘
8.5 今後の研究テーマ
以下は、非可換幾何の今後の研究テーマとして注目される:
暗黒セクターの代数的構成
非可換時空におけるブラックホール構造
宇宙定数の幾何的起源
スペクトル作用の高次補正と現象論的影響
AIによるスペクトル展開の自動化と数値解析
📝 演習問題
非可換幾何が統一理論に貢献する理由を説明せよ
非可換座標 [xμ,xν]=iθμν[x^\mu, x^\nu] = i \theta^{\mu\nu} の物理的意味を考察せよ
スペクトルトリプルの構成法と分類の課題を整理せよ
非可換幾何の今後の研究テーマを自分なりに提案せよ
🧠 付録・補足資料
数学的補足:C*-代数、K理論、ホモロジー
物理的補足:量子場理論の基礎、一般相対論の幾何構造
主要論文・参考文献リスト
✨ こんな読者に向けて
数理物理・幾何学に興味がある大学院生
量子重力の新しい視点を探している研究者
非可換幾何の応用に関心のある数学者
📚 演習問題 解答集
— 第1章〜第8章の演習問題に対する模範解答 —
第1章:非可換幾何とは何か
1. 空間を関数環で記述するという考え方の利点
空間の構造を代数的に扱えるため、抽象的な空間や非連続な空間も記述可能
物理理論(量子力学・ゲージ理論)との整合性が高い
空間の量子化や非可換性を自然に導入できる
2. 非可換幾何が物理理論に必要とされる理由
量子力学では演算子が非可換(例:位置と運動量)
空間の微細構造(プランクスケール)では連続性が破れる可能性
ゲージ理論や重力を統一的に記述する幾何的枠組みが必要
3. 可換代数と非可換代数の違い(例)
可換:f(x)g(x)=g(x)f(x)f(x)g(x) = g(x)f(x)(通常の関数)
非可換:UV≠VUUV \neq VU、例:非可換トーラスで UV=e2πiθVUUV = e^{2\pi i\theta}VU
4. 非可換幾何の歴史的背景
Alain Connes によって1980年代に体系化
C*-代数・K理論・作用素環を統合
物理学への応用:標準模型、量子重力、宇宙論
第2章:非可換幾何の基本構造
1. スペクトルトリプルの構成要素
A\mathcal{A}:空間の関数環(代数)
H\mathcal{H}:状態空間(ヒルベルト空間)
DD:Dirac作用素(微分構造)
2. 距離関数の定義とリーマン距離との一致
距離:d(x,y)=sup{∣f(x)−f(y)∣∣∥[D,f]∥≤1}d(x, y) = \sup \{ |f(x) - f(y)| \mid \|[D, f]\| \leq 1 \}
リーマン距離と一致することが証明されている(Connes距離)
3. 非可換トーラスの代数構造
生成元:U,VU, V(ユニタリ演算子)
関係式:UV=e2πiθVUUV = e^{2\pi i\theta}VU
θ≠0\theta \neq 0 のとき非可換
4. 可換幾何と非可換幾何の違い(図解)
可換:点集合+関数環
非可換:代数+作用素+ヒルベルト空間
第3章:物理理論への応用
1. スペクトルトリプルの構成(通常の多様体)
A=C∞(M)\mathcal{A} = C^\infty(M), H=L2(M,S)\mathcal{H} = L^2(M, S), D=\slashedDD = \slashed{D}
2. 標準模型のゲージ群の導出
AF=C⊕H⊕M3(C)\mathcal{A}_F = \mathbb{C} \oplus \mathbb{H} \oplus M_3(\mathbb{C})
対応するゲージ群:U(1) × SU(2) × SU(3)
3. Dirac作用素の変動からヒッグス場が現れる
D=DM⊗1+γ5⊗DFD = D_M \otimes 1 + \gamma_5 \otimes D_F
DFD_F の変動がヒッグス場に対応
4. スペクトル作用の展開から重力項とゲージ項を抽出
展開により:Einstein–Hilbert項(重力)、Yang–Mills項(ゲージ)、ヒッグス項が現れる
第4章:非可換時空と量子重力
1. Moyal積の導出
(f⋆g)(x)=f(x)exp(i2θμν∂μ←∂ν→)g(x)(f ⋆ g)(x) = f(x) \exp\left( \frac{i}{2} \theta^{\mu\nu} \overleftarrow{\partial_\mu} \overrightarrow{\partial_\nu} \right) g(x)
2. 非可換ゲージ変換と通常の比較
通常:Aμ→UAμU−1+iU∂μU−1A_\mu \to U A_\mu U^{-1} + i U \partial_\mu U^{-1}
非可換:同様だが積が ⋆ に置き換わる
3. スペクトル作用の展開と重力項の導出
S=Tr(f(D/Λ))S = \text{Tr}(f(D/\Lambda)) の展開により ∫Rgd4x\int R \sqrt{g} d^4x が現れる
4. 非可換幾何の利点(量子重力)
時空の量子性を自然に導入
幾何的枠組みで重力とゲージ理論を統一
第5章:非可換幾何と宇宙論
1. ヒッグス場とインフレーション場の類似性
両者ともスカラー場
幾何的には内部空間の変動として現れる
2. スペクトル作用から宇宙論ラグランジアンの導出
重力項、スカラー項(インフレーション)、ゲージ項が含まれる
3. 暗黒セクターの代数構造の仮定
AF=C⊕H⊕M3(C)⊕Adark\mathcal{A}_F = \mathbb{C} \oplus \mathbb{H} \oplus M_3(\mathbb{C}) \oplus \mathcal{A}_{\text{dark}}
Adark\mathcal{A}_{\text{dark}} により新たな場が導入可能
4. 非可換幾何と観測の一致可能性
CMB揺らぎ、インフレーション指数、暗黒物質分布などと接続可能
第6章:数学的基礎
1. C-代数の定義と例*
定義:代数構造+随伴+ノルム+完備性
例:C(X)C(X), B(H)\mathcal{B}(\mathcal{H})
2. K₀群とK₁群の幾何的意味
K0K_0:ベクトル束の分類
K1K_1:ループ空間の分類
3. ホッホシルトホモロジーの定義と応用
HHn(A)HH_n(\mathcal{A}):n次の多重積構造
微分構造やトレースの代数的記述に応用
4. スペクトルトリプルによる距離の定義
距離:d(x,y)=sup{∣f(x)−f(y)∣∣∥[D,f]∥≤1}d(x, y) = \sup \{ |f(x) - f(y)| \mid \|[D, f]\| \leq 1 \}
第7章:応用例と数値的検証
1. Dirac作用素から質量行列の導出
Mf=⟨ψf∣DF∣ψf⟩M_f = \langle \psi_f | D_F | \psi_f \rangle
2. ポテンシャルの最小値と安定点
V(ϕ)=λ(ϕ2−v2)2V(\phi) = \lambda (\phi^2 - v^2)^2
最小値:ϕ=±v\phi = \pm v、安定点:ポテンシャルの谷
3. ヒッグス質量の予測と実験値の比較
理論値:スペクトル作用から導出
実験値:125 GeV(LHC)
調整により一致可能
4. CMBスペクトル指数とポテンシャルの関係
ポテンシャルの形が揺らぎのスペクトル指数に影響
非可換幾何のポテンシャルで観測値と
漸近安全性(Asymptotic Safety)は、量子重力の理論の候補の一つであり、特に再正規化群(RG)フローにおける非自明な固定点(interacting fixed point)を利用して、紫外(UV)スケールでの発散を回避する考え方です。
https://www.youtube.com/watch?v=xfuEQRJVovs&t=29s
論理展開の概要
標準模型の限界と量子重力の必要性: 標準模型は低エネルギーでは非常に成功していますが、プランクスケール(10^19 GeV)では重力の量子効果を無視できなくなります。そのため、標準模型を拡張する新しい理論が必要になります。
漸近安全性の基本概念: 通常の場の量子論では、結合定数が高エネルギーで発散する可能性があります。しかし、漸近安全性の考え方では、RGフローの中で非自明な固定点が存在し、結合定数が有限の値に収束することで、理論が一貫性を保つことができます。
量子重力と物質の相互作用: 量子重力の漸近安全性が成立すると、標準模型の物質場(フェルミオンやゲージ場)との相互作用もRGフローによって制御される可能性があります。特に、プランクスケールでの量子重力の影響が、低エネルギーの物理(例えば電弱スケール)にどのように伝わるかが重要な研究テーマです。
「砂漠」仮説と新しい物理: もしプランクスケールまでの間に新しい物理がほとんど存在しない「砂漠(desert)」がある場合、量子重力の影響が直接低エネルギーの物理に現れる可能性があります。一方で、中間スケールに新しい物理がある場合、それが量子重力の影響を遮蔽する役割を果たすかもしれません。
実験的検証の課題: 現在のところ、漸近安全性の理論は主に理論的な枠組みで議論されていますが、実験的な証拠を得るのは非常に難しいです。例えば、宇宙論的観測やブラックホールの量子効果などが、間接的な証拠を提供する可能性があります。
補足1
https://arxiv.org/pdf/2302.14152
https://pos.sissa.it/384/005/pdf
再正規化群(RG)フローにおける非自明な固定点(Interacting Fixed Point)は、場の量子論や統計力学において重要な概念です。これは、理論のスケール依存性を記述する再正規化群の流れの中で、結合定数が有限の値に収束する特殊な点を指します。
基本的な考え方
再正規化群(RG)フローとは? 物理理論のパラメータ(結合定数など)は、エネルギースケールによって変化します。この変化を記述するのが再正規化群(RG)フローであり、特に高エネルギー領域での理論の振る舞いを理解するために用いられます。
固定点(Fixed Point)とは? RGフローの中で、結合定数が変化せずに一定の値を保つ点を固定点(Fixed Point)と呼びます。固定点には以下の2種類があります:
ガウス型固定点(Gaussian Fixed Point): 結合定数がゼロに収束する固定点。通常の自由場理論に対応します。
非自明な固定点(Interacting Fixed Point): 結合定数がゼロではなく有限の値に収束する固定点。これは、場の量子論において相互作用が存在する理論が高エネルギーでも一貫性を持つことを示します。
非自明な固定点の重要性: 非自明な固定点が存在すると、理論は高エネルギー領域でも発散せずに安定します。例えば、漸近安全性(Asymptotic Safety)の考え方では、量子重力が非自明な固定点を持つことで、プランクスケールでの発散を回避できる可能性が議論されています。
応用例
臨界現象: 固体物理や統計力学では、相転移の臨界点が非自明な固定点として記述されます。
量子重力: 漸近安全性の理論では、プランクスケールでの量子重力の振る舞いを非自明な固定点を用いて説明しようとしています。
非摂動的繰り込み群(Non-perturbative Renormalization Group, NPRG)と漸近的安全性(Asymptotic Safety)は、量子場の理論や量子重力の研究において重要な概念です。
非摂動的繰り込み群(NPRG)
・ParityRG.pdf :くりこみ群とはなにか
・Lectures on the functional renormalization groupmethod
・ Renormalisation Group Flows:E,V1.1x2回
https://www.youtube.com/watch?v=N_Q8LAV8QMw
通常の繰り込み群(RG)は、摂動論的な方法を用いて場の理論のスケール依存性を解析します。しかし、摂動論が適用できない強結合系や量子重力のような理論では、非摂動的な手法が必要になります。NPRGは、関数的繰り込み群(Functional Renormalization Group, FRG)を用いて、場の理論のスケール依存性を解析する手法です。
特に、Wetterich方程式を用いて、スケール依存の有効作用を記述します:
k∂Γk∂k=12STr[k∂Rk∂k(Γk(2)+Rk)−1]k \frac{\partial \Gamma_k}{\partial k} = \frac{1}{2} \text{STr} \left[ k \frac{\partial R_k}{\partial k} (\Gamma_k^{(2)} + R_k)^{-1} \right]
この方程式を解くことで、低エネルギー領域での物理的な振る舞いを予測できます。
漸近的安全性(Asymptotic Safety)
・https://www.youtube.com/watch?v=OcrCvlnpLg8&list=PLqd-pg7HkOgIXz1IVfkBR2f5bR6KPUu_M&index=9
・EICHHORN: Non-perturbative Renormalization for Quantum Gravity
漸近的安全性は、場の理論が紫外固定点(UV fixed point)を持つことで、高エネルギー領域でも理論が発散せずに安定するという考え方です。特に、量子重力の研究において、一般相対性理論が摂動論的に繰り込み不可能であるため、非摂動的な方法が必要になります。
このアプローチでは、重力の結合定数(例えばニュートン定数)が高エネルギー領域で有限の値に収束することで、理論が一貫性を保つことが期待されています。この考え方は、スティーヴン・ワインバーグによって提唱されました。
応用と現状
量子重力:一般相対性理論の非摂動的な量子化に応用。
宇宙論:宇宙の進化やブラックホールの性質を解析するために利用。
強結合場の理論:摂動論が適用できない系の解析に有効。
現在、漸近的安全性の枠組みで適切な固定点が存在する可能性が示唆されていますが、厳密な証明はまだ確立されていません2。
一般確率論の枠組みでは、古典確率論と量子確率論の違いは状態空間の構造と測定の性質に由来します。これを数式を交えて説明します。
1. 状態空間の違い
一般確率論では、状態空間 SS は凸集合をなし、確率的な混合が可能であることが要請されます。 古典確率論では、状態空間は単体 (simplex) であり、すべての状態が純粋状態の確率混合として表されます。一方、量子確率論では、状態空間は自己双対錐 (self-dual cone) であり、エンタングルメントを許容する構造を持ちます。
古典確率論の状態空間:
Sclassical={pi∣pi≥0,∑ipi=1}S_{\text{classical}} = \{ p_i \mid p_i \geq 0, \sum_i p_i = 1 \}
これは確率分布の集合であり、各状態は確率的な混合として表されます。
量子確率論の状態空間:
Squantum={ρ∣ρ≥0,Tr(ρ)=1}S_{\text{quantum}} = \{ \rho \mid \rho \geq 0, \text{Tr}(\rho) = 1 \}
ここで、ρ\rho は密度行列であり、非可換な確率変数を許容します。
2. 測定の違い
測定は、状態に対して確率を与える関数として定義されます。古典確率論では、測定は確率変数 XX に対する期待値として表されます:
E[X]=∑ipixiE[X] = \sum_i p_i x_i
一方、量子確率論では、測定は射影演算子 PAP_A を用いて表され、確率は次のように計算されます:
P(A)=Tr(ρPA)P(A) = \text{Tr}(\rho P_A)
この違いは、量子測定が非可換な演算子を用いることに由来します。
3. エンタングルメントの起源
一般確率論では、合成系の状態空間 SA⊗SBS_A \otimes S_B は最小テンソル積 SA⊗minSBS_A \otimes_{\min} S_B と最大テンソル積 SA⊗maxSBS_A \otimes_{\max} S_B の間にあることが示されます:
SA⊗minSB⊆SA⊗SB⊆SA⊗maxSBS_A \otimes_{\min} S_B \subseteq S_A \otimes S_B \subseteq S_A \otimes_{\max} S_B
古典系では、合成系の状態空間は単体の直積として表されますが、量子系では非可換性のためにエンタングルメントが可能になります。
このように、古典確率論と量子確率論の違いは、状態空間の幾何学的構造と測定の非可換性に由来し、一般確率論の枠組みで統一的に理解できます。
補足1:最大テンソル積
最大テンソル積は、一般確率論において合成系の状態空間を構成する方法の一つであり、可能な限り大きな状態空間を許容する構造を持ちます。これは、個々の系の状態空間を組み合わせる際に、最も広い範囲の確率的な振る舞いを含むように定義されます。
1. 最大テンソル積の定義
2つの状態空間 SA S_A と SB S_B の最大テンソル積 SA⊗maxSBS_A \otimes_{\max} S_B は、以下の条件を満たす状態の集合として定義されます:
SA⊗maxSB={ω∈SA⊗SB∣∀fA∈EA,fB∈EB,fA⊗fB(ω)≥0}S_A \otimes_{\max} S_B = \{ \omega \in S_A \otimes S_B \mid \forall f_A \in E_A, f_B \in E_B, f_A \otimes f_B (\omega) \geq 0 \}
ここで、
EAE_A と EBE_B は、それぞれの系の測定演算の集合
fA⊗fBf_A \otimes f_B は、測定演算のテンソル積
この定義により、最大テンソル積は、個々の系の測定結果の組み合わせをすべて許容するように構成されます。
2. 具体例
例えば、古典確率論における2つの確率分布 pA=(p1,p2)p_A = (p_1, p_2) と pB=(q1,q2)p_B = (q_1, q_2) を考えます。 最大テンソル積では、合成系の確率分布は以下のように表されます:
pAB=(p1q1,p1q2,p2q1,p2q2)p_{AB} = (p_1 q_1, p_1 q_2, p_2 q_1, p_2 q_2)
これは、各状態の確率が独立に組み合わされることを意味します。
一方、量子系では、2つの密度行列 ρA\rho_A と ρB\rho_B の最大テンソル積は、すべての可能なエンタングル状態を含むように定義されます:
ρAB=∑i,jcij∣i⟩A⟨j∣⊗∣i⟩B⟨j∣\rho_{AB} = \sum_{i,j} c_{ij} |i\rangle_A \langle j| \otimes |i\rangle_B \langle j|
ここで、係数 cijc_{ij} は、エンタングルメントを許容するように選ばれます。
このように、最大テンソル積は、合成系の状態空間を最も広く取る方法であり、特に量子系ではエンタングルメントを含む状態を許容する重要な構造となります。
補足2:非可換性がエンタングルメントを可能にする理由
量子系における非可換性がエンタングルメントを可能にする理由は、測定演算子の交換関係と状態の表現にあります。これを数式を交えて説明します。
1. 非可換性と測定演算子
古典確率論では、測定量 AA と BB は同時に測定可能であり、交換関係は次のようになります:
AB=BAA B = B A
しかし、量子系では測定演算子が一般に非可換であり、次のような交換関係を持ちます:
[A,B]=AB−BA≠0[A, B] = AB - BA \neq 0
この非可換性により、測定順序が結果に影響を与え、同時に確定できない物理量が存在します。
2. エンタングルメントの起源
量子系では、2つの量子ビット ∣ψ⟩|\psi\rangle の状態を考えます。エンタングル状態の代表例として、ベル状態を挙げることができます:
∣Φ+⟩=12(∣00⟩+∣11⟩)|\Phi^+\rangle = \frac{1}{\sqrt{2}} (|00\rangle + |11\rangle)
この状態は、個々の量子ビットの測定結果が独立ではなく、相関を持つことを示します。
3. 非可換性とエンタングルメントの関係
エンタングル状態では、測定演算子 σx,σy,σz\sigma_x, \sigma_y, \sigma_z の交換関係が重要になります:
[σx,σy]=2iσz[\sigma_x, \sigma_y] = 2i \sigma_z
この非可換性により、異なる測定基底での測定結果が互いに影響を及ぼし、エンタングルメントが生じます。
例えば、エンタングル状態 ∣Φ+⟩|\Phi^+\rangle に対して、片方の量子ビットを測定すると、もう片方の状態が即座に決定されるという非局所的な相関が現れます。これは、古典確率論では説明できない量子特有の現象です。
(以上は、copilotを用いて出力を編集した。)
非古典的確率(特に量子確率)は、古典的な確率論とは異なる数学的な公理体系と定理に基づいて構成されています。以下にその主要な構成要素を紹介します:
📐 古典的確率の公理(コルモゴロフの公理)
まず比較のために、古典的確率論の公理を簡単に整理します:
非負性:すべての事象 AA に対して、確率 P(A)≥0P(A) \geq 0
正規化:全事象 Ω\Omega の確率は 1(つまり P(Ω)=1P(\Omega) = 1)
加法性:互いに排反な事象 A,BA, B に対して、 P(A∪B)=P(A)+P(B)P(A \cup B) = P(A) + P(B)
連続性(無限加法性):無限個の排反事象にも加法性が成立する
🧠 非古典的確率の公理的構成(量子確率)
量子確率では、以下のような非可換代数とヒルベルト空間を用いた公理体系が使われます:
1. 状態空間
状態はヒルベルト空間 H\mathcal{H} 上の密度演算子 ρ\rho で表される
密度演算子は自己共役・正定値・トレース1の作用素
2. 事象の定義
古典では集合だった事象が、量子では射影作用素(プロジェクター)として定義される
これは「観測可能な事象」に対応
3. 確率の定義
ある事象 AA の確率は、 P(A)=Tr(ρA)P(A) = \text{Tr}(\rho A) ここで Tr\text{Tr} はトレース(作用素の“総和”)を意味する
📚 関連する定理・構造
定理・構造 内容
グレムリンの定理 量子測定の確率は状態と射影作用素のトレースで与えられる
スペクトル定理 観測量(自己共役作用素)は射影作用素の積分で表される
ノイマンの定式化 量子力学の数学的基盤として、ヒルベルト空間と作用素代数を導入
非可換測度論 古典的測度論の拡張として、作用素代数上の測度を定義
✨ 直感との違い
古典的確率は「事象は互いに排他的で、確率は足し算できる」
量子確率では「事象が干渉し、確率は振幅の絶対値の2乗で決まる」
つまり、確率の足し算が成立しない場面がある → 非古典的!
一般確率論との関係は、どうなるの?
🌌 「非古典的確率(量子確率)」と「一般確率論(GPT: General Probabilistic Theories)」の関係は、まさに数学と物理の境界を探る最前線です。以下にその関係性を整理してみましょう:
🧠 一般確率論とは?
古典確率論や量子確率論を包含するより広い枠組み
状態や測定に対する物理的な要請から出発する理論
状態空間は凸集合、事象はその空間へのアフィン写像として定義される
量子論や古典論は、一般確率論の特殊な場合として位置づけられる2
🔗 非古典的確率との関係
観点 一般確率論 (GPT) 非古典的確率 (量子確率)
状態空間 凸集合 ヒルベルト空間上の密度演算子
事象 アフィン写像 射影作用素
確率 状態と事象のアフィン評価 トレース Tr(ρA)\text{Tr}(\rho A)
測定 任意の事象集合 射影測定またはPOVM
合成系 一意に定まらない(最小〜最大) テンソル積で定義される
エンタングルメント 一般に存在しうる 特定の構造で存在する
✨ GPTの視点から見た量子確率
量子確率は、GPTの中で非古典的な状態空間と測定構造を持つ一例
GPTでは、量子論よりも強い相関(PR-boxなど)を持つ理論も構築可能
つまり、量子確率は「非古典的確率」の中でも物理的制約を満たす最も自然なモデルとみなされる2
📚 応用と意義
GPTの枠組みは、量子情報理論の限界や可能性を探るために使われる
「量子論はなぜこの形なのか?」という問いに対して、GPTは比較対象を提供する
量子論の特徴(不確定性関係、エンタングルメントなど)を一般理論の中で特徴づけることができる
つまり、非古典的確率は「一般確率論の中の一つの特別なケース」であり、GPTの枠組みを使うことで、量子論の構造や限界をより深く理解することができるんです。
Dr David TongのString Theoryの目次を見ると、
https://www.damtp.cam.ac.uk/user/tong/string.html
1. The Relativistic String
2. The Quantum String
3. Open Strings and D-Branes
4. Introducing Conformal Field Theory
5. The Polyakov Path Integral and Ghosts
6. String Interactions
7. Low Energy Effective Actions
8. Compactification and T-Duality
と並んでいる。また、超弦理論の超は、SUSYのスーパーで、
その理論は、CFTで記述ができるそうだから、対応しそうな講義としては、
1)入門的な講義
超弦理論への道案内J.V計h弱
https://www.youtube.com/playlist?list=PL8Fu7DLvTGTnhzGkuHlmtkinXU3r8q1JD
https://www.youtube.com/watch?v=kpztl60VBM8
京大:弦の場の理論とその数理、J,V6章、計1時間
https://ocw.kyoto-u.ac.jp/course/252/
阪大:弦理論入門、J.講義録
http://www-het.phys.sci.osaka-u.ac.jp/~yamaguch/j/pdf/stringintro.pdf
stanford:弦理論とM理論String Theory and M-Theory,E,V1.50x10+9回
https://www.youtube.com/watch?v=25haxRuZQUk&list=PLA2FDCCBC7956448F
https://www.youtube.com/watch?v=NZ-ElsvYKyo&list=PL3E633552E58EB230
MIT:弦理論string theory
https://ocw.mit.edu/courses/physics/8-251-string-theory-for-undergraduates-spring-2007/
2)SUSY
☆ICTP:スーパーシンメトリIntroduction to Supersymmetry,E,V1.5x12回+text
https://www.youtube.com/watch?v=NpFrF3WJQDo&list=PLp0hSY2uBeP-HCragopXbEdvz8WcuD1EZ
https://people.sissa.it/~bertmat/susycourse.pdf
〇Supersymmetry | University of Cambridge:E,v0.5x25回+note
https://www.youtube.com/playlist?list=PLGqzsq0erqU44oUApLJPG7stYS6mToTjt
https://arxiv.org/pdf/1011.1491.pdf
3)CFT
King's:Conformal and Supersymmetry,E,V0.2x15回+Note
https://www.youtube.com/watch?v=vwI_j2czMmg&list=PLwKDFfqjkVzOyEwDZVNXdPWMJw0yXWKOw
https://www.nms.kcl.ac.uk/christopher.herzog/SUSYCFTnotes.pdf
〇ハノーバー校:共形場Conformal Field Theory E,V1.5x10回
https://www.youtube.com/watch?v=NGYX6gtObec&list=PLDfPUNusx1Ep5g1jIKXqpNX_t_Zz-kAlQ
https://arxiv.org/pdf/hep-th/9108028.pdf
4)ひも理論の講義
IAS:Seiberg-Witten Theory,E,V1.2x2 E.Witten
https://www.youtube.com/watch?v=EC1SvnjYWsA&list=RDCMUC8aRaZ6_0weiS50pvCmo0pw&index=1
https://www.youtube.com/watch?v=9nPU3WNhH-0
String Perturbation Theory Lectures,E,V1x15回 Q
https://www.youtube.com/playlist?list=PLFxDQ1_sulk8m4QqiFFP7LcUH2wvPZS_N
Princeton:Polyakov's Lectures on String Theory,E,V1.2x22回+note Q720
https://www.youtube.com/playlist?list=PLkDarh0mTQdeSNAjw0HqUwMdEBNBi6Zl6
Mit:string theory and holograhic duality,E,V1.5x24回 +note
https://ocw.mit.edu/courses/8-821-string-theory-and-holographic-duality-fall-2014/
https://ocw.mit.edu/courses/physics/8-821-string-theory-fall-2008/lecture-notes/
Harvard(JM):共形場AdsCFT:E,V1.3x13回
https://www.youtube.com/watch?v=Iz2ie3i1Gh0&list=PLHAezni9AY3JDbbE_OU5M8_Zvx-_wBwIK
等だろうか?
数学辞典によると、
共形場理論
[英]conformal field theory [仏]th´eorie du
champ conforme [独]konforme Feldtheorie
A. 理論の基礎
共形変換の下で不変な場の理論を共形場理論とい
う( 360 場の理論).主として共形不変な 2 次元
の量子場理論を意味し,本項でもその場合を解説
する.2 次元における共形変換群( 324 等角写像)
のリー環は無限次元であり,その中心拡大として
Virasoro 代数 Vir が定義される([4]).Vir は Ln
(n ∈ Z),および中心 c(以下,スカラー c ∈ C とし
て扱う)で生成され,交換関係
[Lm , Ln] = (m − n)Lm+n + c/12 (m3 − m)δ m+n,0
に 従 う .T (z) = ∑n∈Z Ln z−n−2 は ス ト レ ス・テ ン ソ
ルと呼ばれ,系の共形変換性を規定する.
Vir の適当な表現空間 V1, V2 とパラメータ h, z ∈ C
に 対 し て ,交 換 関 係 [Ln , Φh(z)] = z n[z ddz + h(n+1)]
Φh(z) を満たす線形作用素 Φh(z) : V1 → V2 を,重
み(共形次元)h のプライマリ場という.プライマ
リ場の列 Φh i (zi ) : V i−1 → V i (1 i N ) および |u0 〉 ∈
V h0 , 〈uN | ∈ V ∗h N に対して,その合成により定まる関
数 〈uN |Φh N (zN ) ··· Φh1 (z1 )|u0 〉 を N 点相関関数とい
う.相関関数の特異性は,作用素積展開(OPE)
Φh i (z)Φh j (w)= ∑k F k (z − w)h k −h i−h j (Φh k (w) + ···)
により記述される( ··· は (z − w) について高位の項
を表す).展開の初項 Φh k はプライマリ場となり,
比例定数 F k は Fusion 係数と呼ばれる.
OPE の考え方を代数的に整理して,頂点作用素
代数(VOA)が定義された.これは,主に Monster
群†の構成問題と関連して発展し,I. B. Frenkel 等
による Monster 頂点作用素代数の構成([1]),R. E.
Borcherds による Moonshine 予想の証明([8])など
の成果が得られている( 468 有限単純群 E).
B. ミニマル模型
L0|h〉 = h|h〉, Ln|h〉 = 0 (n > 0) を 満 た す ベ ク ト
ル |h〉 に よ り 生 成 さ れ る 左 Vir 加 群 を M c,h と す
る(c, h ∈ C). Ln|χ〉 = 0 (n > 0), L0 |χ〉 = (h + l)|χ〉
(l > 0) を 満 た す |χ〉(= 0) ∈ M c,h を ,レ ベ ル l の 特
異ベクトルという.t ∈ C, r, s ∈ Z (t = 0, rs > 0) と
して c = 13 − 6(t + 1/t), h = hr,s = (1/4t)[(rt − s)2 −(t − 1)2 ]
となるとき,M c,h はレベル l = rs に特異ベ
クトルを持つ([12],[3]).特に,t が正の有理数の
場合 M c,h r,s は無限個の特異ベクトルを持ち,それ
らの生成する極大部分加群による商としてミニマル
表現が定義される.
A. A. Belavin, A. M. Polyakov, A. B. Zamolod-
chikov は ,こ の ミ ニ マ ル 表 現 を 用 い て ,有 限 個
の プ ラ イ マ リ 場 Φh r,s (z) が 閉 じ た OPE を な す 模
型( ミ ニ マ ル 模 型 )を 構 成 し た([7]).こ の 理 論
で は ,相 関 関 数 が 確 定 特 異 点 型 微 分 方 程 式 の
解 と し て 決 定 さ れ る .例 え ば ,真 空 期 待 値 Ψ =
〈0|Φh N (zN ) ··· Φh1 (z1 )|0〉 において,h1 = h2,1 の場合
には,微分方程式
略(1)
が導かれる.このような微分方程式の解を共形ブ
ロ ッ クと 呼 ぶ .Vl. S. Dotsenko,V. A. Fateev は ,
差積の多重積分による解の積分表示を与えた([9]).
一般に相関関数は,非自明なモノドロミーを持つ多
価関数となるので,1 価な物理的相関関数を得るた
めに,複素座標 z に反正則に依存する理論を並列し
て扱い,両者のモノドロミー不変な双線形形式が考
察される.こうして得られる物理的共形場理論との
対比で,正則部分だけからなる理論をカイラル共形
場理論と呼ぶこともある.
いくつかの講義が公開されている。
参考文献としては、
https://arxiv.org/pdf/hep-th/9108028.pdf
がある。
講義は、多分以下の順かな??
1)ハノーバー校:共形場Conformal Field Theory E,V1.5x10回
https://www.youtube.com/watch?v=NGYX6gtObec&list=PLDfPUNusx1Ep5g1jIKXqpNX_t_Zz-kAlQ
2)AdS/CFT & related ideas(Advanced QFT) by Pedro Vieira Lecture:E,V1x15回
https://www.youtube.com/watch?v=BMaiNTh8RbQ&list=PLFxDQ1_sulk-I2QpfIQLI7xM9WpUkBqUo
3)AdS/CFT 2022 Lecture : Pedro Vieira:E,V1x6回
https://www.youtube.com/watch?v=-Py1Ptw5Tug&list=PLFxDQ1_sulk-z-Q9zZ-bwNgMqXXbH8E6p
4) PSI:共形場CFT、E,V1.2x14回
https://www.youtube.com/playlist?list=PLFxDQ1_sulk-gBmoI2eNy1YjEJUDqpILa
https://www.youtube.com/watch?v=cL4j30VCgAc&list=PL3r7mi-bQNEUbbd5dqS4nf_ALgjyRK6jT
5) Harvard(JM):共形場AdsCFT:E,V1.3x13回・・寄せ集め?
https://www.youtube.com/watch?v=Iz2ie3i1Gh0&list=PLHAezni9AY3JDbbE_OU5M8_Zvx-_wBwIK
6)ICTP:Introductory Minicourse on AdS-CFT、E,V1.4x10回
https://www.youtube.com/playlist?list=PLg0_ydgtbHGH0FIZzD97RVU8K0DA9vI-Q
数学辞典の統一場理論から一部抜粋
C. その後の発展
現在最も活発に研究されている統一場理論は,素
粒子を 1 次元的に広がった紐と考える超弦理論で,
超弦理論によって初めて一般相対性理論と量子論が
互いに矛盾のない理論に統一される可能性があると
考えられている.弦理論は 1970 年頃,クォークの
閉じ込めなどのハドロンの持つ性質を説明するため
に南部陽一郎や L. Susskind などによって導入され
た模型であるが,その後,超対称性が導入され超弦
理論が構成されるとともに,重力理論やゲージ理論
などを導く自然界の基礎理論と見なされるように
なった.紐の長さは極微のスケールである 10−33 cm
程度(エネルギー尺度では 1028 eV 程度)とされ,こ
れより低いエネルギーの現象では紐は長さを持たな
い点粒子のように見える.閉じた紐の基底状態は重
力子を記述し,開いた紐の基底状態はゲージ粒子を
表す.このため,弦理論は一般相対性理論と非可換
ゲージ理論を包摂する統一理論を与える.
弦理論は 10 次元時空で初めて矛盾なく定義され
る.したがって弦理論においては 10 次元空間が微
視的サイズの 6 次元空間 K と 4 次元 Minkowski 空
間†に分かれると考える.この時,6 次元空間 K は
弦理論の整合性を保つため特別な幾何学的性質を持
つが,その対称性や位相不変量などから統一理論の
ゲージ対称性や素粒子の世代数などが導かれる.
弦理論には 1990 年代半ばから著しい進展があり,
その様相が大きく変わりつつある.特に,11 次元
に M 理論と呼ばれる新しい基礎理論が存在するこ
とが強く示唆されており,10 次元に存在する 5 種
類の超弦理論はすべて M 理論の異なる真空を選択
することによって得られることが分かっている.ま
た,ブレーンと呼ばれる高次元に広がった膜が弦
理論や M 理論に現れ,その上に局在したゲージ理
論が存在する.このため,我々のすむ 4 次元時空も
10 次元空間中のブレーンである可能性があり,こ
の描像をブレーン・ワールドと呼んでいる.また,
宇宙初期にブレーンと(反)ブレーンが衝突すること
によってビッグ・バンが生じたと考える模型なども
検討されている.
超弦理論が正しい統一理論を与えるためには,今
後,超対称性の破れの機構や宇宙項問題などの最大
の難問が克服される必要がある.Einstein が初めて
統一理論を試みてからすでに長い歳月が流れたが,
超弦理論の形で彼の夢が実現される日が来るのかど
うか大変興味深い.
A)物理って、式の変形が面倒で、それを追いかけてると、たいがい途中で挫折する。
世の中には、便利なソフトがあるもので、量子論の講義を聴いてたら、
ポール付近のテーラー展開をツール(Mathematicaらしい)でやらせてた。
https://www.youtube.com/watch?v=nrWE-k8WrKk&list=PL5-Gs_CjccK51MURXy4_Fgy9ihSul3-h5&index=9
の50分あたりから、、
考えるに、部分積分・対数積分とファイインマンパラメータ、Wickローテーションとか、GREEN関数、Γ関数とベータ関数等の量子論で良く出てくる式の変形をツールでやらせると、物理の本って、かなり薄くなるんじゃないかな?
susskindは、これは数学の講義ではないので・・と言って式の変形はあまりせず、延々と計算して、end of the day にいろんな項が消えて単純になるのなら、初めから消える宿命なのが物理と思って、そこから先が物理・・みたいなことをいってたが、、
物理の理解=計算=式の変形・・みたいな雰囲気があるからな、、、
格子を組んで、数値計算する方法もあるが、定性的に物理を見たい場合は式の方が便利だから式変形を簡単にできる物理向けのツールがあると良いね。
ちなみに、
https://ja.wikipedia.org/wiki/Mathematica
https://reference.wolfram.com/language/guide/FunctionsUsedInQuantumMechanics.html.ja?source=footer
https://glycostationx.org/2022/09/04/mathematica%E3%82%92%E4%BD%BF%E3%81%A3%E3%81%9F%E9%87%8F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E5%AD%A6%E3%81%AE%E5%AD%A6%E7%BF%92%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/
B)Mathematicaはすごいな。感動したよ。
場の量子論のファインマンダイアグラムの複雑な計算をどうするのかは疑問だったけど、ファインマン先生や朝永振一郎先生でなくても計算できる時代なんだね。
掲載してくれていた最後のURLを辿って行ったら、九大理学部のサイトから、なんと京大の理系学生向けの英語の学習の動画に行きついた。
昨年末から現在までの、京大での英語教育の激変がわかる。ChatGPTは恐るべしだな。
英会話も英会話学校に行くより、ChatGPTのほうがはるかに学習効率がよいとのこと。
A)そうさな、、格子で計算する方法はちょぼちょぼあるが、
本格的には、量子コンピューター待ちらしいので、
Matehmaticaでも少し調べてみるか?
p.s. ファシリティに調査結果を載せといたが、Mathematica以外にもPythonもあり、だんだんと便利になっていくのだろう。まだかなり癖がありそうだが、そのうちフロントエンドに生成AIでもかませて、コードを生成する時代になるのかな??
純粋数学には、PythonのSympyライブラリが良さそう、という話もあります。
ふと計算してみた。
量子論を人類が執筆中の微小物理現象調査報告と考える。
この100年、平均10000人/年が関わってるとして、
コストが1000万円/人年とすると、
100x10000x1000万円=10兆円のコストがかかっている。
で、この一部:1/100を10年かけて勉強しているとして、
得られる知識移転価格=100億円/年=2800万円/日か、、
すなわち、毎日ポルシェGTを1台いただける計算となる。
10年で、純金製のポルシェ10台か、、(1.3tx8800円/g)
しかし10兆円って、量子論は思ったより安いんだね。
量子論の誕生に大きく関わったのは
実質,アインシュタイン,ボーア,ボルン,ハイゼンベルグ,パウリ,シュレディンガー,それにディラックなどで10人程度だろうな。実際に彼らが,直接会ったり,手紙を書いたりして情報交換して10年足らずの1925年に量子論が確立された。10人が合宿生活していれば,5年で確立できたかもしれない。
かかった経費は,一人当たり,年1千万として,10億円程度だろう。
これにちょっと追加予算をかけて,1942年にフェルミが原子炉,1945年にオッペンハイマーが原爆まで作ってしまった。
ただ,純粋学問としての量子力学の検証には,最近は無茶苦茶にお金がかかる。
有名なセルンの加速器の見学記。
https://www.gizmodo.jp/2019/12/switzerland-cern-visit.html
超弦理論は理論としては確立できるかもしれないけど,検証は現実にはできないかもしれないな。建設できないほどの高エネルギー実験が必要となりそう。
それにしても,人類は理論でも実験装置でもすごいものを作り上げたな。
感動的ではある。確かに勉強しないともったいないな。
知識移転価格=100億円/年=2800万円/日か・・
1日勉強すれば,2800万円の知識を得ることと等価なんだ・・お金に換算されると引き付けられやすい僕にとって,これは勇気づけられる数字だな。
な、
そう思うだろう。
世界のGDP合計1京円のほんの一部で、無駄な戦争も止めないが、
いつ役に立つか分からん量子論に金つぎ込み続けてるって、
人類も捨てたものではないかも?(ただしかなりアホだが)
理学部卒の強みで、明日も2800万円(非課税)を稼ごう・・
物理に使うこれらの概念の講義で、分かりやすかったのは、
1)理論物理の幾何の解剖
https://www.youtube.com/watch?v=V49i_LM8B0E&list=PLPH7f_7ZlzxTi6kS4vCmv4ZKm9u8g5yic
通論でざっくりしてる。入門用に良い。
2)複素多様体
https://www.youtube.com/watch?v=SD3Tiqxz854&list=PLx5NJKSpc4lRws8NLqXS3EOdkO05D7WZ0
束の基礎が数学的にしっかりする。
3)微分幾何
https://www.youtube.com/watch?v=AkVMWhrJxs0&list=PLoWHl5YajIf7NzvxmGH7ch6d6qDSCv4wj
多様体上の束の接続、曲率等が詳しい。
4)Lie群
https://www.youtube.com/playlist?list=PLelIK3uylPMG3iyQ_SJYqeyjmeNC2QC3L
Lie群、Lie代数、束への作用、表現論等、詳しく、丁寧。
5)表現論
https://www.youtube.com/playlist?list=PLoWHl5YajIf4WeY-x9wXU-i3-Asx9RNtD
まだ見てないが、詳しそう。
他にも断片的だが、以下がおさらいに良いかも知れない。
6)先端物理学国際講義Ⅰ
https://ocw.u-tokyo.ac.jp/course_11330/
7)Group Theory in a Nutshell
https://www.youtube.com/playlist?list=PLrLctLPAdPNsB9TGH3i1zUNjzlssmcfCI
物理に向けての、表現論の講義は、次の順序がよさそう。
1.準備運動
物理数学 III 講義ノート(表現論・リー群・標準模型)
FAU:理論物理の幾何の解剖、E,V1.5x28回の第13~18回
https://www.fau.tv/course/id/242.html
2.入門
ICTP:表現論、E,V1.5x10回(F&Hの有限群)
https://www.youtube.com/watch?v=_7j3oV8nK4U&list=PLp0hSY2uBeP_YW7TzXU37kpomlG_ATUlz&index=1
HKUST:表現論,Representation Theory:E,V1.2x21回+テキスト
https://www.youtube.com/playlist?list=PLoWHl5YajIf4WeY-x9wXU-i3-Asx9RNtD
3.Lie群とLie代数の表現論
Utrecht :Lie Groups,E,V0.5x32回
https://www.youtube.com/playlist?list=PLelIK3uylPMG3iyQ_SJYqeyjmeNC2QC3L
成均館大学校 :Lie Group and Lie Algebra:E,V1.2x25回(Hall本:数学寄り)
https://www.youtube.com/watch?v=Yf1HS1Bpk9M&list=PLGB0U_OssPo5agzqnsr9Ubx3ACk0_2S2Y
4.おまけ
1. ☆ANU:圏論講義Category Theory Lectures、E,V1x17回
https://www.youtube.com/playlist?list=PLHYBb0FtzAK9TBFhZ8eZzJRc5gW1NNp2K
☆https://arxiv.org/pdf/1612.09375.pdf
2. ☆MIT:応用圏論Applied Category Theory:,E,V0.5X15回+Text
https://www.youtube.com/watch?v=UusLtx9fIjs&list=PLhgq-BqyZ7i5lOqOqqRiS0U5SwTmPpHQ5
https://arxiv.org/pdf/1803.05316.pdf
3. Topos Theory:E,V1.1x14回+Note
https://www.youtube.com/playlist?list=PLR6S6vLGnUbwLA1LiN5ctwXYQwyTXH0pg
IBMが提供している量子コンピュータを無料で使う方法がでてるよ。
後編でIBMの量子コンピュータの実際にやり方が解説されている。
阪大教授が解説する量子力学と量子コンピュータ(後編)
https://www.youtube.com/watch?v=DZqJuUtGU10
量子力学の2重スリットの簡単な実験もそれなりに面白い。
阪大教授が解説する量子力学と量子コンピュータ(中編)
https://www.youtube.com/watch?v=TIMRjp9E_80
前編は必要ないな。
量子コンピュータの最も確立されたアルゴリズムである
ショア―のアルゴリズムを勉強して。
時間もあるからきっとできるよ。
解ったら,教えて。
https://utokyo-icepp.github.io/qc-workbook/welcome.html
僕も時間があればやってみるよ。
グローバーのアルゴリズムは面白いよ。
量子コンピュータのアルゴリズムの本質が現れている。
重ね合わせの状態を変換して徐々に期待値を上げていく方法。
ショア―のアルゴリズムよりはるかに簡単。
そうやね、、
量子コンピュータ使えるなら、・・・でもPython使用が気になるな。
計算の理論とアルゴリズムは違うし、プログラミングは技術だし・・・
普通は、アルゴリズムをプログラミングにするには、ライブラリとか
称する、誰かが勝手に決めた合理性がない決め事を使うのは面倒だな、、、
量子情報理論と量子計算は、いくつかの講義コースがあったので、
適当に追加しといた。
パラレルプロセッシングが現実的になると、それなりの数学が発明されるの
だろうな、、
もっとも、現実世界は、ビッグバン以来、超パラレルプロセッシングなのだがな、、
ノイマン型コンピューターは人間の論理的思考に似せたので、本当は特異なんだと思う。
現在のAI同士の通信は、言葉のような「意味を持つ」レベルのやりとりではなく、データの交換や情報処理に特化していると言えます。人間の言語は、単なる情報伝達だけでなく、意味・ニュアンス・感情の共有などの高度な要素を含んでいます。しかし、AI同士の通信は、こうした言語的な要素ではなく、構造化されたデータの送受信が中心です。
現在のAIは、人間のような「言葉」という形では情報を持ちませんが、文字に相当する記録方法は存在します。それは、データベース、ニューラルネットワークの重み、ログファイルなどの形で記録されています。
例えば:
データベース:AIは膨大なデータを検索・保存し、学習の際に活用します。
ニューラルネットワークの重み:機械学習モデルは、学習を通じてパラメータ(重み)を調整し、これは「AIの記憶」に相当します。
ログファイル:AIが行った処理や決定の履歴を記録し、システムの解析や改善に活用されます。
つまり、AIは「単語」や「文章」をそのまま理解するのではなく、データの数値表現や統計的なパターンとして記録しているわけです。これは、文字のように「明確な形の記録」ではなく、構造化された情報の保存という形で機能しています。
現在のAIの記録方法は、人間の文字のような汎用性はなく、特定のAIモデルやシステム間でのみ通用する形式になっています。つまり、あるAIが持っているニューラルネットワークの重みやデータベースは、そのAIの仕組みや設計に依存しており、異なる種類のAIとは直接共有できないことが多いのです。
AIの汎用的な記録・通信の仕組みに関する研究は、特にメタデータの標準化や汎用AIの実現に関連する分野で進められています。以下のような文献が参考になるかもしれません:
大規模言語モデルを利用したメタデータの自動補完 この研究では、AIが異なる組織や分野を横断してデータを検索・活用できるようにするためのメタデータ標準化について議論されています。特に、生成AIを活用したメタデータ補完の可能性が示されています。https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsda/8/3/8_111/_pdf/-char/ja
汎用AIの現状と展望 日本総研によるレポートで、汎用AIの定義や実現に向けた課題について詳しく解説されています。特に、異種AI間の情報共有に関する技術的な展望が含まれています。https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/advanced/advanced-technology/pdf/15089.pdf
適応的選択による汎用AIの実現 この論文では、特化型AIを適応的に選択しながら汎用性を持たせる方法について議論されています。異なるAIが協力して情報を処理するための仕組みとして、汎用度の検討が行われています。https://www.e.usp.ac.jp/~hattori.s/pdf/kurono2021ieice-in.pdf
これらの文献を参考にすると、AIの記録・通信の標準化や、異種AI間の情報共有の可能性についてより深く理解できるかもしれません。
欧米におけるAIの汎用的な記録・通信の仕組みに関する研究には、以下のようなものがあります:
大規模言語モデルを利用したメタデータの自動補完 この研究では、AIが異なる組織や分野を横断してデータを検索・活用できるようにするためのメタデータ標準化について議論されています。特に、生成AIを活用したメタデータ補完の可能性が示されています。
生成AIの台頭で注目されるAIガバナンス 欧米のAIガバナンスの動向を分析した研究で、特にAIの社会実装と法規制の整備に焦点を当てています。米国と欧州のアプローチの違いについても詳しく解説されています。https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=110759
AIを巡る各国の動向 総務省の情報通信白書の一部で、米国や欧州のAI研究の現状についてまとめられています。特に、スタンフォード大学の「Artificial Intelligence Index Report 2024」に基づくAI企業の資金調達状況などが紹介されています。https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/html/nd219200.html
以下の論文は、AIの汎用的な記録・通信の仕組みに関する研究です:
Impact and influence of modern AI in metadata management この論文では、AIを活用したメタデータ管理の進化について議論されています。従来のメタデータ管理とAI駆動型のアプローチを比較し、次世代データセットへの影響を分析しています。https://arxiv.org/pdf/2501.16605
Are we there yet? Evaluation of AI-generated metadata for online information resources AIによるメタデータ生成の品質評価を行った研究です。Dublin Core、MODS、MARC、BIBFRAMEなどの標準に基づき、AIが生成したメタデータの正確性と完全性を比較しています。https://publicera.kb.se/ir/article/view/47215/37087
Artificial intelligence and human communication: A systematic literature review AIと人間のコミュニケーションに関する体系的な文献レビューです。AIが情報の流れをどのように変革しているか、また機械学習やコンピュータ媒介コミュニケーションの役割について分析しています。https://wjarr.com/sites/default/files/WJARR-2023-1495.pdf
ナッシュ問題が4次元以上ではなりたたないとの話を聞き、どんな話か調べてみた。
ゲーム理論は、経営工学で扱っているが、arxivでは、数学の確率論と分類されている。https://arxiv.org/archive/math
面白いことに気が付いた。ゲーム理論の空間は、(人数、戦略空間ij、利得関数i)で定義される。戦略空間と利得関数は、一般には人数に比例して定義され、利得関数は、戦略空間の組み合わせを底空間とし、人数分の値の組をとるので、物理の多様体上のベクトル場と同様のファイバー束というか、ベクトル束と似たの構造になる。
石井さんの論文見たが、空間を多様体で扱うのはともかく、その上の構造を圏論の言葉で書いてるので、言葉がわからん。また、弧と特異点解消と本質的因子とのNASHの用語が不明なので、検索すると、石井さんの解説的文書↓があったので、雰囲気は分かった。
https://www.mathsoc.jp/publication/tushin/2203/2017ishii.pdf
次元は、おおまかに、プレイヤー数に対応するのかな??・・詳細は論文の最後あたり。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sugaku/62/3/62_0623346/_article/-char/ja/
しかし、圏論があちこちででてくるな、、暇を見つけて覗いてみるか?
大学の講義では、
ゲーム理論、J,V0.2x66回
https://www.youtube.com/watch?v=yDak2VlSvC8&list=PLy-f5FWpt5uDCh-QtD51hKmZFfPeGND82
Game Theory,E,V多数
https://www.selcukozyurt.com/game-theory
https://www.youtube.com/@selcukozyurt
https://www.youtube.com/watch?v=ceOF4yOAnXM&list=PLcrc6i6xwaQRP-e4fCBAnOmkbn860TX1_
があり、資料としては、
ゲーム理論
https://arxiv.org/search/?query=Game+Theory&searchtype=all
ナッシュ写像(分かりやすい)
http://repository.kyusan-u.ac.jp/dspace/bitstream/11178/2115/1/KJ00004510464.pdf
ナッシュ問題
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sugaku/62/3/62_0623346/_article/-char/ja/
S. Ishii and J. Koll ́ar, The Nash problem on arc families of singularities, Duke Math. J., 120(2003), 601–620
https://arxiv.org/pdf/math/0207171.pdf
ヨビノリ 量子力学入門①~⑩ J,V各30分程度他多数
https://www.youtube.com/watch?v=zlVnhTD7qMQ
よろず物理研究所-All Physics Institute
https://www.youtube.com/channel/UCudKrMlbJ3a2cBrkxqgZhxw
でらりん研究所しゅーすけ
【場の量子論】①~④ 未完?
https://www.youtube.com/watch?v=3aaA1bskvOk
taku物理のHP
https://www.youtube.com/c/takuphys/about
https://www.youtube.com/watch?v=8KVBnPfZ_kI&list=PLOz_pGdERDTXeAmtxvAt78Yf2dVc-_rdT&index=3
高校数学の美しい物語:https://manabitimes.jp/math
草プログラマー、それはつまり草
https://www.neuralsparrow.com/entry/2018/10/30/041142
理系のための備忘録
教授になりたい昆布【math and physics】
https://www.youtube.com/@mathandphysics6113/playlists
「高校数学の美しい物語」を紹介したけど、管理人を知らなかったので、少し見てみたら自己紹介がのっていた。
https://manabitimes.jp/supervisors/1
面白い経歴の人やね。これだけ数学やっても民間企業に就職するんやな。
最後のほうに、おすすめのサイトがのっていた。
インターネット上の素晴らしい数学コンテンツはどんどん増えてきている。
数学というより情報系だが,非常に見やすくて分かりやすい記事が多い
分野を数(特に整数)に絞っており,専門的であるにも関わらず分かりやすい記事が多い。本当にすごい(小並感)。このサイトがある限り「任意の数学用語 W に対して…」という目標は達成できないので,目標の修正を検討中である。
比較的難しい話題でも分かりやすく説明されていて,こちらもすごい。これだけクオリティが高い動画があると,これからの学生は Web サイトよりも動画で学習する人が増えそうだなあ。
そのため,サイト開設の動機の1つであった「インターネット上に数学の分かりやすいコンテンツが無いから作る」という気持ちは消えつつある(寂しいような,嬉しいような)。
INTEGERSのあなたの推し1458次方程式は何ですか?
これは、本当に1458次方程式なんかな?
黒いパンツにしか見えんけど?
f:数学の連続講義をやってる大栗博司さんは京大出身の物理学者で,素粒子論の超弦理論の世界的なスーパースターだよ。Caltechと東大の教授を兼任してる人。
講義内容は事実上数学だから問題ないのかな?このへんになると,数学と物理の境界がなくなるね。超弦理論の先駆者のウインテックさんは,フィールズ賞を貰ってるしね。
n:大栗さんの弟弟子筋の立川裕二さんが、数学と物理の境界をMACSコロキウム:「ある場の量子屋の見た数学」で漫談風に講演してて、面白いよ。実験数学って言う雑誌もあるって。
n:京大院のビデオ沢山公開されてるが、タイトル見ても数学か物理か分からんな?内容はもっと分からん。物理が数学生んでるが、複数分野の物理に使えたら、数学かな?いくつか適当にリンクしといた。
f:ヨビノリ君は守備範囲がむちゃくちゃ広いし,面白い。
高校数学からはじめる深層学習入門(畳み込みニューラルネットワークの理解)
https://www.youtube.com/watch?v=xzzTYL90M8s
絶対に理解させる誤差逆伝播法【深層学習】
https://www.youtube.com/watch?v=0itH0iDO8BE
【機械学習】教師あり学習と教師なし学習の違い
https://www.youtube.com/watch?v=U8uqieKYtY4
AIの概念が少しだけ分かった気がした。
n:その昔、ニューラルネットワークが始まったころ、出始めのPC8800だったか?の、
ベーシックインタープリタで、3か4階層のニューラルネットワークを組んで
掛け算の九九を学習させてみた。
1週間ほど連続運転させたら、9割以上の正解率になった。
逆伝搬学習は、山登りに似てて、その山の峰にしか到達できないので、隣の
峰か山に移るため、時々突然変異を起こす手法を組み込んでみた。
すると変異直後は、ガクッと正解率が落ちるのだが、また上がっていく。
しかし、不安定なので、複数の単位ニューラルネットワークを競合させて、
変異+淘汰=進化をやろうともした記憶があるが、・・途中でやめたかな?
コンピュータだと、学習の急速降下法とか、パラレルとかの沢山のノウハウで
実用化しようとしているのだろうが、子供の学習手法に持ち込むのは、注意しないと
低い山のどれかの峰で終わるかもしれないな、、地図見て高い山の登山道を選ばないと・・
あれだな、統計物理にエルゴート仮説とかエントロピーがあるが、AIの到達品質・速度と、
学習環境=ポテンシャルとの関係に、似た概念があるかもしれないな、、
工学だろうが、数学に学科を一つ新設するか、、
MITは、まだチョークと黒板を使っている。消し跡は汚い。Caltechも似てる。消し方によるのかも?
欧州は、消す道具も様々で、ICTPは布切れ、ユトリヒトは水を絞ったスポンジを使ってる。ハノーバー校は、チョークと緑板だが、ビルの外窓掃除で使いそうな濡らしたモップと水切りブレードを使っている。美しい。
ホワイトボードは、慶応、スタンフォード、オックスフォードで、金のありそうな大学が使ってる。
ヨビノリさんの板書は読みやすい字だね。高速板書も工夫だろう。
でも、何故大学って、いまだにチョークなんだろうか?多分、歴史的に、教師の板書を書き写すことで、教材頒布にしたのだろう。放送大学は、テキスト別売だから板書はあまり使わないし、ユーチューバーは、必要なら繰り返しみたら良いので、板書時間を早送りする。
逆に、ユックリと板書を消して、ノートを写す時間と、読み返し時間を取る教師もいる。様々だな、、
n:講義ノートがある場合には、前もって印刷した方が良い。特に、英語の講義は、聞き取りにくかったり、板書が読めなかったりする。印刷して、ビデオを止めて確認できる。PCならスペースと矢印で、停止・戻り・スキップできる。
ヨビノリでは、タブレットで画面分割がおすすめだが、画面小さいので、老眼にはどうかな?
講義ノートを両面印刷し、シラバスあたりを目次代わりにし、工作用のタッカーと製本テープで製本するのがおすすめ。100枚程の紙でも打ち抜ける。ダイソーで揃えると、500円+税程度。
こんな雰囲気:https://yahoo.jp/juX3eO
n:京大の市民講座「物理と宇宙」でヒッグス粒子や超ひも理論をやってる。どんな市民なんだろう?
https://ocw.kyoto-u.ac.jp/?s=%E5%B8%82%E6%B0%91%E8%AC%9B%E5%BA%A7&category=&faculty=
もっとも、理学研究科 の教室でやってるから、普通の市民ではないな・・市内に大学多いし。
東大の学術俯瞰講義は、学内他部門向けかな?
https://www.gfk.c.u-tokyo.ac.jp/archives
京大や理研がMACSコロキウム、iTHEMSコロキウムは公開している。理研は、レクチャーや講演会も公開している。