佛教大学歴史学部 教授
佛教大学民俗学研究会 顧問
八木 透
新入生の皆さん 佛教大学にご入学おめでとうございます。
今年は春以来、新型コロナウイルスの影響で、教室で授業をすることもままならず、さらにキャンパスに立ち入ることすらできなくなってしまいました。このような事態は100年から200年に一度あるかないかの稀有なことです。しかし、この時期になって少しずつ平常に戻りつつありますね。一日も早く、大学のキャンパスで新入生の皆さんと出会えますことを心から願っています。
ところで、新入生の皆さんの中には、民俗学は古い昔のことを調べる学問だと思っている人が多いのではないでしょうか。実はそのような認識は誤りです。民俗学は決して過去のことを探ることが目的ではありません。民俗学の目的は、現代に生きる私たちのくらしの中の文化について知ることであり、さらに私たちの未来のくらしについて考えることにあります。たとえば、今年のような感染症の蔓延のために普段通りの生活ができなくなるような事態は、過去にも何度か起きています。そんな時、昔の人々はどのようにして乗り越えてきたのでしょうか。過去の人々の考えや行動を知ることで、今の私たちがどうするべきかを学ぶことができるのです。それも、民俗学的な学知だといえるでしょう。
民俗学は、書物だけに頼ったいわゆる座学ではなく、フィールドワークという方法をもっとも重視するという特徴があります。フィールドワークすなわち野外調査は、一面では辛く苦しい経験ではありますが、ほかでは決して得られない達成感があり、また貴重な体験となること間違いなしです。
私たちの日常生活そのものを学問的に探究してゆく研究領域が民俗学なのです。ひとりでも多くの新入生の皆さんに、50年の伝統ある本学の民俗学研究会に入会していただき、大勢の仲間や先輩たちとともに、ぜひ民俗学の楽しさと醍醐味を味わっていただきたいと願っています。