サロン効果検証(論文)

論文のタイトル:

Does social participation improve self-rated health in the older population? A quasi-experimental intervention study.

(日本語訳:社会参加は高齢者の主観的健康感を改善するか?準介入研究)

書誌情報:

Social Science & Medicine. 2013 Oct; 94: 83-90.

著者(掲載当時):

市田行信 政策基礎研究所

平井寛 岩手大学 工学部

近藤克則 日本福祉大学 健康社会研究センター

イチロー・カワチ ハーバード大学 公衆衛生大学院

竹田徳則 星城大学 リハビリテーション学部

遠藤秀紀 日本福祉大学 経済学部

論文要旨(和訳):

社会参加は、ヘルシーエイジングや高齢者の機能状態の独立と関連づけられてきたが、その因果関係までは考慮されてこなかった。例えば、健康意識の高い人ほど社会参加をするという逆の因果関係の可能性などがある。

我々は、日本の愛知県武豊町で、介護予防のために社会参加を促進する準介入研究を行い、サロンに参加した158人と、非参加者1391人の主観的健康感を比較した。アンケート調査は、サロンの新規設置前の2006年と設置後の2008年に行った。

図1 研究デザイン

図2 事前事後の比較(逆の因果関係の調整前)

逆の因果関係の存在が効果推定にバイアスを及ぼす可能性があるため、サロンへの距離を用いた操作変数法を活用した(「サロンへの距離」はランダム割り付けにおける「コイン」に相当)。

その結果、2006年の主観的健康感、年齢、性別、等価所得を調整しても、サロン参加と2008年の主観的健康感の間に統計的に有意な関連が見られ、そのオッズ比は2.52であった。本研究は、社会参加を促進するために地域社会へ投資することの意義を、新たに実証的に示したといえる。

図3 サロンAへの参加者(黄点) 図4 サロンへの距離(Km)と参加者割合

2015年6月、BioMedLib社によれば、弊社代表である市田行信が執筆した上記論文が、2013年以降の「social participation (社会参加)」「older population(高齢者)」のキーワードによりカテゴライズされる826本の査読付き英語論文のうち、最もアクセスされている論文として1位にランキングされました。

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