明治大学経営学部

三上ゼミナール

明治大学経営学部で市場と組織の経済学について研究している三上ゼミナールのホームページです。

活動内容

研究テーマ「市場と組織の経済学」とは?

私たちが生きる現代社会では、多くの経済活動は市場を基礎として調整されています。かつてアダム・スミスが見いだした「見えざる手」は、現代経済学では市場の価格メカニズムとして説明されるようになりました。一般に市場で十分な競争が行われれば、社会的に見て効率的な結果をもたらすことができるというのです。しかし、その場合の「市場」とはいったいどのようなものを指し、どのような仕組みで機能しているのでしょうか。また、そのように調整能力に優れた「市場」があるならば、他方で、企業や政府や非営利組織などの「組織」が存在し、日々その経営に人々が尽力しているのはなぜでしょうか。アルフレッド・チャンドラーは、近代企業では経営者の「見える手」によって調整が行われていると論じています。

現実の経済を見ると、市場は多くの組織や制度に支えられて成り立っていることがわかります。企業組織、非営利組織、政府などの階層的組織はもちろんのこと、人々が取引を行う際には、貨幣、会計、規則、法律、規範、慣習,ルールといった「制度」も必要となるでしょう。市場の「見えざる手」にせよ、経営者の「見える手」にせよ、その機能を理解するためには、さまざまな制度の存在を考慮に入れなければならないのです。そのような研究は、組織の経済学、制度経済学、進化経済学と呼ばれるような分野で行われてきました。そこで三上ゼミでは、とりわけ現代経済学において重要な位置を占め、経営学にとっても関連の深い、「新制度派経済学」のアプローチを体系的に学びながら、市場と組織の役割を考えていきます。

経営学部にありながら、なぜ経済学を学ぶゼミなのでしょうか。経営学や経営の実践については、日々、消費者という立場から垣間見ているので、身近に感じられるかもしれません。それに対して、経済学の「見えざる手」のような話は、気宇壮大で理解しがたく思われることでしょう。しかし、想像力を働かせて「見えざる手」を理解してこそ、経営という「見える手」の重要性が分かるのです。経済学は、社会主義と資本主義、計画経済と市場経済、集権化と分権化、企業と市場のように、大局的な観点からものごとを捉え、多様な解釈や複数の方策を比較しながら、最善の道を考える学問です。そのように経済社会の全体へと視野を広げることは、多かれ少なかれ経営に携わる者にとって不可欠な素養の1つだと考えています。

ゼミの参考文献

具体的に何をするの?

「市場と組織の経済学」を共通のテーマとして全体で学びつつ、経済学の広大なフィールドから興味があるテーマを見出して、グループや個人で研究していきます。

授業時間中の活動は、そのための文献輪読とグループ・個人研究が中心です。文献輪読では、上記のテーマに関する教科書をじっくりと読んで、市場経済の歴史や仕組み、経済組織の効率性やコーディネーションなどを学んでいきます。毎回、担当者が作成したスライドやレジュメをもとに、皆で疑問点・論点を出し合い、1つ1つ解決していくという地道な作業です。

他方のグループ・個人研究では、各グループ・各個人で経済学に関連するテーマを自由に選択し、プレゼンテーションをしていきます。発表内容について教員や他のゼミ生からの質問に答え、コメントをもらいながら研究を進めます。2年次と3年次はグループ研究を基本とし、4年次は卒業論文に向けて個人研究に取り組みます。

文献輪読においても、グループ・個人研究においても、担当者の入念な準備はもちろんのこと、担当者以外も積極的に発言し、互いの疑問点・論点を皆で共有し解決していく姿勢を大事にしています。三上ゼミでは、ゼミでの研究を通して、将来にわたり必要な力(論理的な思考力・表現力、問題発見・解決力、組織行動力、そして経済を読み解く力)を身につけることを目標としています。

  • 演習Ⅰ(2年次)

文献輪読では、新制度派経済学の入門的な文献を読み、経済学の観点から市場という制度の仕組みと役割を考えます。たとえば、市場とは何であるのか、市場はどのように発展してきたのか、市場を支えているものは何かといったことを学んでいきます。

グループ研究では、各グループで経済関連の興味のあるテーマを見つけ、自分達の考えをまとめて発表する練習をします。並行して、3年次からの本格的な研究に向けて、必要な準備を始めます。

  • 演習ⅡA・B(3年次)

文献輪読では、新制度派経済学の本格的な文献を読み、経済学の観点から市場における企業組織の役割を考えます。たとえば、市場経済が計画経済に勝利したのはなぜか、市場と組織はどのような原理で調整されているか、効率的な経済組織とは何かといったことを学んでいきます。

グループ研究では、関心の近い者同士でグループを作って経済関連のテーマを研究し、プレゼンテーションを行っていきます。並行して、4年次に執筆する卒業論文に向けて、必要な準備を始めます。

  • 演習ⅢA・B(4年次)

個人研究では、各自が選んだ経済関連のテーマで卒業論文の執筆に取り組み,進捗状況についてのプレゼンテーションを行います。卒業論文のテーマは1人1人異なりますが、担当者による発表と質疑応答・ディスカッションを通じて、互いのテーマの問題を共有し解決を図っていきます。卒業論文の完成に向けて、必要なスキルについても集中的に学びます。

授業時間外の活動については、ゼミ生の自主性が尊重されます。ゼミという組織は、共通のテーマについて深く学ぶだけでなく、自分たちでさまざまな活動を企画・立案し実現できる場です。たとえば、サブゼミとして読書会や勉強会を開いたり、フィールドスタディとして教室外で学んだり、ゼミ合宿に行ったりすることができます。また、ゼミプレ(ゼミ対抗プレゼンテーション大会)や懸賞論文やスポーツ大会といった学内のイベントのほか、他大学のゼミと対抗するインナー大会・インター大会への参加や合同合宿を企画することもできるかもしれません。実際にどのような活動をするかは各年のメンバー次第で異なりますが、春と夏のゼミ合宿、ゼミプレ・スポーツ大会への参加、春と秋のOB・OG会は毎年の恒例行事となっています。

(写真:三上ゼミTwitterより)