ユパンキ工房

コラム Q & A

提案

レシピやマニュアルどおりに作るスタイルが今、大人気です。手軽に楽しむとき、確かにマニュアルは強い味方です。ただ、見本と同じではつまらない、もっと別のアイデアが欲しい、と思う人もいるでしょう。そういうあなたに向けてこのコラムを始めます。きっかけになりそうなヒントを提案していきます続きは右端の をクリック

まず、実際に手を動かして「なぜそうするの?」「なぜそうなるの?」と謎解きをする癖をつけてみませんか? 出た答えに「ああ、そうか、なるほど!」 と共感する嬉しさはまた格別です。その気づきを積み重ねるとき、私たちの興味は素材の糸や技法のしくみ・仕掛けへと自然に近づいて、その特徴への理解がいっそう深まるでしょう。そこからが自分らしい創作世界へと続く道のり技法を使いこなすために、まずは観察です

001. 簡単なのにすごい、 スプラングのしくみと仕掛け

1) タテ糸をセット。糸端は輪状に。

2)1段目の作業:2本落として1本上に

3) 段目の作業:1本落として1本上に

4) 輪ゴムの中央部を一回絡めると.....

5) 作業中、上下に編み目ができる。

6) インターリンキングの全体図。

7) 動画:インターリンキング

謎解き: 答え探しは右端の クリック

  • Q-1. なぜ上下同時に編み目が?

  • Q-2. なぜ面ができるのか?

  • Q-3. なぜヨコ糸が無い?

  • Q-4. なぜ布に伸縮性が?

答え探し: (番号は上の画像を参照)

  • Q-1. タテに並んだ糸と糸を絡めてつくるスプラング。作業は、はじめに糸を(1)のように輪状にセットします。糸操作を(2)(3)の順にくり返すと、(4)の輪ゴムと同じ理屈で編み目が上下に同時にできます(5)。これを次々に行うためです。


  • Q-2. (6)は隣同士の糸と糸が絡んでいる様子を示しています。ただし、同じ2本の糸をいつも絡めていても面はできません。そこで手順の(2) (3)をよく見比べると最初に1本ずらす工夫をしていて、実は3本の間で相方の糸が毎段変わるしくみですだから面に仕上がります。


  • Q-3. 作業中は上下の編み段それぞれに棒を入れて、一旦確保します実はこれが一時的にヨコ糸の役割を担っています。一段仕上がると前段の棒は不用になるので、それを引き抜いて次の作業に使います。いわば作業中は確かに存在するのに、実際には残らないヨコ糸です


  • Q-4. (6)最後に中央の止めが入って仕上がった状態ですが、この編み目をよく見ましょう。糸と糸は絡んでいるだけで固定されず、可動的な関係です。そのため伸縮性のある布になります。


言葉の説明だけでわかりにくい場合は、動画(7)じっくり観察しましょう。スプラングならではの特徴や魅力を共有できたら嬉しいです。

002.のかたちと表情(インターリンキングの場合)

フレーム上で糸の状態は平らです

仕上がった布をフレームから外すと、あら、まあ!?

1) フレーム上にタテ糸をセットし作業

2)シンプルなウール糸のサンプル

3)さまざまな白糸を使ったサンプル

4) サンプル(3)の

ディテール

5)素材と色の組み合わせサンプル

6) サンプル(5)の

ディテール

7) インターレイシングの組織図

8) インターレイシングのサンプル。右は完成した四方耳の布。

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  • Q-1. なぜ布全体がねじれる?

  • Q-2. なぜ布に凸凹が?

  • Q-3. なぜインターリンキングで起きる

  • Q-4. なぜ布には房が無い?

答え探し:

  • Q-1, Q-2. 前のコラム001.(6)のインターリンキング図を見ると、編み目が互いに絡み、その絡み方は中央を境に上下で逆向きです。糸を絡める = 撚りがかかる作業ゆえに、スプラングではこの撚りの力がだんだん溜まります。上下で撚りの方向が逆向き(S/Z)なために面はねじれ、ヨコ糸がないのでタテ糸がそのまま直に反映されます。フレーム上でピンとテンションがかかった糸(1)は、布になって外されると(2)(3)()のように変形します。

  • Q-3. (7)のインターレイシング図と前項のインターリンキングを比較します。インターレイシングは糸が絡まず、交差して斜めに動きます。()は実際のサンプルで、右側の完成した布は平らのままです。

  • Q-4. スプラングの輪状の糸セットが要点です。この仕掛けのおかげで房のない、四辺すべてが縁の「四方耳」の布が生まれます。

003. 帽子をつくる

手仕事には無縁そうな友人が何気に頭の丸みはどう出すの? と聞いた。

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  • Q-1. 丸い形にするには?

  • Q-2. 減目は必要か?

  • Q-3. 布端の仕末は?

答え探し:

  • Q-1. スプラングは伸縮自在なストレッチ布。仕上がりは普通は長方形で、中央に最後の止めが入ります。その止め部分に糸を通して、両方から絞って幅を適当に縮めて結ぶと、そこが頭頂部になります。上下を半分に折って、左右をとじ合わせれば、帽子の出来上がりです。

  • Q-2. 伸縮性や融通性に富むスプラングなので、簡単な形なら増し目、減らし目は不用です。

  • Q-3. 縁部分はそのままでも良し、好みでゴム編みやコマ編みを足して形を整えたり、サイズ調整もできます。

スプラングは本当に融通のきく、フレキシブルなゆる〜い世界です。奇抜で面白い新発想をぜひ楽しみましょう。

talleryupanqui@gmail.com への QA をお待ちしています

このコラムを見て実際にサンプルなどをつくられた方の質問やコメントを歓迎します。また興味深いテーマがあれば、このコラムでもシェアしてさらに謎解きを深めていきたいと思います。