年間行事

日本では、古来より稲作を中心とした文化を営んできました。 稲作に大きくかかわる、大いなる自然の神とともに生き、自然への感謝や畏怖の心を表し、稲の成長と共に人の心身の成長を祈願するような行事が四季の節目のなかで行われます。

こども園でも、このような日本の伝統的な行事をお祝いするなかで、自然と結びついた人の生活の土台、心の土台を作ります。そして、四季の節目を繰り返しお祝いしていくなかで、一年のリズムも体得していきます。

4月 入園式・お花見

5月 端午の節句・田植え

6月 夏越しの祓え

7月 七夕・夏祭り

9月 稲刈り・お月見

10月 亥の子祭り

11月 遠足

12月 おもちつき冬至の祭り

1月 とんど祭り

2月 節分

3月 桃の節句・梅見会卒園式

下線は保護者参加型行事)


その他、季節の収穫(梅、柿やイチジク採り、竹の子堀り、芋掘り、栗拾い等)を行います。米作り体験に加えて、季節に応じた野菜を作る畑仕事の体験も行います。



4月

お花見

お花見は元来、山に登り、花を見ながら山の神様と飲食をともにし、春の訪れを喜び、感謝するものです。また、この日には、春の訪れの象徴である春の花を探し、それを摘んで家に持ち帰り、天道花(おひさまの力の宿る花)として玄関の前や田にさして、田植え前の豊作祈願をしました。こども園では、森に春の花を探しに行き、園のさくらの木の下でお花見をします。桜餅を作り、春を感じながらいただきます。

5月

端午の節句

端午の節句は、田植え前のお清めに由来する菖蒲で邪気を払い、木々が芽吹くような生き生きとした生命力を得、これからも元気に、温かい心を持って力強く成長するようにという願いを込めてお祝いします。園では鯉のぼりを飾り、柏餅を作り、菖蒲湯をしてお祝いします。



田植え


泥田に入り、少しずつ稲の苗を手で植えていきます。子どもたちは、泥田のなかで一歩足を下げるだけでも一苦労ですが、美味しいお米ができるよう一生懸命苗を植えていきます。お米作りを通して、日本の文化の基盤を感じてほしいと思います。

6月

夏越の祓え

夏越の祓えは年越しの大祓えと対になる行事で、一年の半分を迎え、半年分の穢れをおとし、残りの半年の心身の健康を祈願する行事です。輪を8の字に3度くぐり抜ける茅の輪くぐりをし(園では笹竹でつくります)氷に見立てたお菓子である水無月を食べ、暑気払いをします。

7月

七夕

七夕は、七月七日の夜、天の川に隔てられた彦星と織姫が、年に一度だけ会うという中国の伝説と日本古来の神話や風習が重なった行事です。 願い事を書いた短冊や折り紙で作った飾りを笹の葉に吊るし、星にお祈りをします。“朝露”で磨った墨でお願い事を書くと、願い事が叶うと言われています。園でも集められた朝露で墨を磨りひとりひとり短冊に願い事を書き、飾りとともに笹の葉に吊るします。次の日には、七夕で書いた短冊を燃やして、天に願いを届けます。

夏祭り

夏は、水・土・風・火の4 大元素が最もいきいきと活動する季節です。こども園では、この自然界の息吹を共に体験し、感謝する意味をこめて、夏祭りを行います。お祭りの最後には、制作過程も含め、この4大元素を感じながら手作りした提灯に火を灯し、自然の力に感謝し、その力を心にいただいて帰路に着きます。

9月

稲刈り

稲刈りでは、子どもたちも鎌を持ち、一束ずつ手で刈り取ります。力を込めて刈り取り、稲の実りの重みを感じながら、藁でくくって束にし、はぜにかけて干していきます。自分たちで植えた稲が成長し、収穫する喜びを感じながら、日本古来から続く稲作文化を体感します。



お月見

十五夜は、古来、初穂祭が行われていました。収穫したもち米を粉にして作った団子や収穫したばかりの野菜を供え、作物の成長に深く関わる月を愛で、感謝する行事です。秋の収穫を祝うとともに、皆で分け合っていただく、又、わざと子ども達につまみ食いさせるという風習がありました。これは、収穫したものを、分け合、分け与えることで「他者を思いやる」精神や「無私の心」を体現したものです。園のお月見会では、輪遊戯の参観、人形劇を観た後、園庭にて月を愛でながら月見団子をいただきます。一皿の月見団子を家族で「分け合って」いただきます。

10月

亥の子祭り

亥の子祭りは、旧暦の10月10日に行われていたもので、多産で田の神様と言われるいのししの子に今年の収穫への感謝をし、山へお送りするという行事です。わらの棒を作り、地面を叩いて悪いものを祓い、いのししの子に見立てた亥の子餅を食べます。その後、園庭で木や竹を組み合わせ、“挑戦する遊び”をします。勇気と意志の力で、困難を乗り越える体験をします。


11月

遠足

「なみたき藤原園」まで往復6キロの道を歩いて行きます。この時期の「歩く遠足」には、12月の冬至、そして新年を迎えるにあたっての精神的な準備という意味合いがあります。色づいた木々のなか、自然を存分に感じながら、自分の力で歩ききることで、子どもたちは心も体も一回り大きく成長します。子どもたちが助け合い、励まし合うという姿も見られます。


12月

おもちつき

園で育て収穫したもち米を使い、新年の年神様が宿るというおもちをつき、新年を迎える準備をします。鏡餅、とんど用丸餅、給食用の小餅を作ります。その後、無事一年が終わろうとしていることに感謝をし、新年に想いを馳せながら、子どもたちが丸めたお餅を皆でいただきます。お父さんたちの力強い餅つきで、柔らかくおいしいお餅が出来上がります。

冬至のお祭り

冬至は一年で一番日が短い日であると同時に、太陽の光がこの日を境に力をまた増していくという節目の日です。外界が暗闇に包まれるなか、人の心に愛と命の光を灯す日であると考えています。子どもたちは毎日少しずつ太くしていった蜜蝋ろうそくに火をともして、螺旋の道の間の、自分で選んだ場所に灯したろうそくを置きます。その場所に置くことは、意志を持って個人としてこの地上で生きいくこと、それそれが意味を持って生まれこの地で光り輝くことを象徴しています。冬至は、日本でも古来から太陽の復活としてお祝いされてきました。

1月

とんど祭り

とんど祭りでは、生命力の象徴である“竹”を組んだものに火をつけて、門松や注連縄、鏡餅など、年神様をお迎えした正月飾りを焼き、煙に乗せて年神様をお送りします。この火で焼いたお餅をいただき、一年の無病息災をお祈りします。地域のとんど祭りに参加させていただきます。

2月

節分

季節の変わり目である「節分」。この日には豆をまき、寒い冬や邪気を払うとともに、全身を使って豆を投げ、大きな声を発し、自分の中にある「鬼」を追い払います。そして、福を巻き込んだ「恵方巻きを」いただき、福を体内に収めます。大いに発散した後は、大いに福が入ってくる。古来からの風習にも、「リズム」を感じます。


3月

桃の節句

桃の節句は、元来、髪やわらで人形(ひとがた)を作り、体をなで、心とからだのけがれを移して、川に流し、身を清める日と言われています。園では、和紙で小さな人形を作り、体をなでて、川に流しに行きます。そして、これまで無事に成長したというお祝いの散らし寿司、汚れた海には住まないという蛤のお吸い物、邪気を払い生気を得るという白酒をみんなでいただきます。大人にとっては、子どもたちの成長を願うと共に、年度の終わりに自己をふりかえり、また春に新鮮な気持ちでスタートできるよう心づもりをする日とも言えるでしょう。

梅見会

春の訪れを感じ、季節の巡りを感じるこの季節に、輪遊戯の参観をしていただき、一年の子ども達の成長を見ていただきます。その後、近くの梅園で梅見をしながら、お弁当をいただきます。親子でお弁当を囲み、よき思い出作りになればと梅見会を行います。