✿「すばらしいあした」曲解説

技術的には“In Terra Pax”や“季節へのまなざし”のレベルを想定しています。

《1曲目》

“風と自由と”―16分音符の流れるような風のモチーフにのって、

“自由に生きたい”とかなわぬ願いが歌われる。

《2曲目》

“すばらしいあした” タイトルロールの曲。

それは“待っていたってこない”。

この手でつかみ取ろうとしなければ明るい未来なんて幻想にすぎないのだ―

という強い意志が In jazz feelling で高らかに歌われる。

コーダのコラールはちょっといいかも…。

《3曲目》

“雪がふる” アダモの“トンブラネージュ”を連想させる、シャンソン風の

センチメンタルな小品。女声合唱、男声合唱、混声合唱の3つの形態が楽しめ、

エンディングにはショパンの革命のエチュードもコラージュされる

“フュージョン”な合唱曲。

《4曲目》

“生きてゆくには”―スケルツォ的な性格を持つ明快なワルツ。

混声、女性、男性、混声と

様々な形態と楽想の変化を伴いながら、平易で力強い言葉が歌われる。

《5曲目》

“鳩とかもめ”テーマとヴァリエーション、

各パートに性格を変えてテーマが何度もくり返される。

唯一のアカペラで永遠に叶わない平和を、それでも切に求めずには

いられない人の心を歌う。それは透明なリリシズムでもある。

《6曲目》

“美しいもの” 美しいものを暗示する和音モチーフが冒頭に示される。

そのレスポンスとしてあふれるやさしさも和音モチーフとして、

それぞれのセクションのエンディングに提示される。

やがて哲学的フーガを経て、この世で最も美しいものが願いを込めて歌われる。

コーラスの静かな和音の上に風のモチーフがさりげなく再現される。