委嘱作品「すばらしいあした」について

荻久保 和明

コールクライスの第20回定期演奏会記念委嘱作品です。

34歳の時、コールクライスが発足して26年、つまり僕暦になったわけです。

委嘱にあたりコールクライスからは世にも恐ろしい条件が3つ提示されていました。

・1つ、明るく人類に夢と希望を与えるようなものであること。

 ・1つ、技術的、内容的に難解でないこと。

 ・1つ、世に歌い継がれる名曲であること。

う~ん、皆僕にあてはまらないことばかりだ・・・ ・・・困った。

1つ目、大震災の1年後に出てきた話としては極く当然のことだと思うし、

以前、何かの記念委嘱作品に「世の終わりのための2つのモテット」を

書いた前科のある僕に、多分釘をさしておきたかったのだろうな・・・ ・・・

2つ目は多分3つ目とも関係あるのだろうが、“縄文”や“縄文ラプソディ”

“あやとりの記”などを歌ったことのある合唱団としては、

あんなレベルでかかれちゃかなわんという思いがあったのだろうな。

3つ目に関しては、ま、そこまでは責任持てないという気持ちです。

そんなわけで門倉さんの詩集から6編を選んで組曲を構成してみました。

物事とは、すべからくはじまりとおわりがあります。

どんな時もすでにおわりのはじりの状態にあり、

おわりのおわりがくるまではおわらない。

だから今は常にはじまりのはじまりなのです。

この26年間のクライスに関わったすべての人々の

必然としてこの作品が生まれたと思っています。

そして今回

この新作の誕生に立ち会ったすべての人々の偶然を

はじまりのはじまりにしたいと望んでいます。