Les mémoires
卒論・卒業課題
*卒論を書くとは、どういうことか?
・「卒業論文を書く」とは、自分だけの問いに対して、自分だけの答えを出すことです。答えはどこにも転がっていません。誰もそれを教えてくれません。答えは、自分自身が出すのです。
・大学とは、ものの見方を学ぶ場、適切に考えるための方法を学ぶ場です。そうした見方や方法を考える作業を通じて、みなさん一人ひとりが、自分の抱く疑問に対し、自分の力で答えを出していくのです。先生は「正解」を教える指導者ではありません。先生は、みなさんが自分の力で答えを出すための、手助けをする役割です。
・みなさんは、自分の力で、自由に、ものを考えていきます。どこにも「正解」のない問題に、一人で向かっていかなければならないのは、厳しい体験です。しかし、実は、ワクワクする体験でもあります。自分だけの問いに対し、さまざまな角度から光を当てながら、自分ならではの「答え」を出せるからです。
*卒論のために、卒論を通じて、どういう勉強をするのか?
・「論文を書く」とは、「仮説を立て、他者が納得する形で、きちんと実証する」ということです。それを実現するには、さまざまな見方や方法があります。たとえば、資料を読みこむ、論理学に基づいた推論をおこなう、実験と観察をおこなう、統計のデータを集める、アンケートをとる、現場でフィールドワークをおこなう、ディスカッションを通して発見を得る、など。これらを実行するにあたって、さまざまなスキルを学ばなければなりません。
・フランス語文学文化専攻・語学文学文化コースでは、特に、「資料を読みこむ」ことが重要です。ここでいう「資料」には、文学作品だけでなく、批評やエッセー、研究論文、歴史的なデータ、ネット情報などが含まれます。
・みなさんは、大学において、複数の「資料」を集め、それらとどのように向き合うのかを、学んでいきます。こうした資料解読の方法を学ぶことで、自分が疑問を抱いたことについて、少しずつアプローチできるようになっていくのです。
・資料解読の方法は、一朝一夕で体得できるわけではありません。さまざまな授業を通じて、さまざまな角度から、さまざまなテーマについて、学んでいく必要があります。そうした勉強の末に、卒業論文や卒業課題研究を書く、というゴールが待っているわけです。
・世の中には、出所の不確かな、少ない資料に基づいて、大きな声で自分の主張を述べる人がいます。そのような人たちをよく観察してみてください。彼らの主張は、きちんとした資料解読に基づいているでしょうか? 他人の主張を検証できるようになることも、大学における勉強の意義の一つです。
・蛇足ながら一言!
そもそも「資料を読みこむ」とはどういうことでしょうか? なぜ、複数の資料を読むと、きちんと考えることができるのでしょうか?(本当に、そうでしょうか?) もっといえば、「考える」とは、「学ぶ」とは、どういうことでしょうか? 「考える」「学ぶ」とは、どのようなときに、本当の意味で成立するのでしょうか? たとえば、物事に関する賛否両論を踏まえて意見を述べれば、それだけで「考えた」ことになるのでしょうか?
――このように一歩踏みこんだ問いかけは、大学時代にこそ力強く、突き詰めた形で、問えることでしょう。みなさんが中央大学 仏文専攻に入学した後、ともに考えてみましょう。
卒業論文と卒業課題研究――自由に、多彩に、幅広く。
*仏文専攻 語文コース 各ゼミで、どんな卒論や卒業課題研究が出てきたのか? ほんの一例を紹介します。 NEW!
小野ゼミ
「ブルターニュ地方の信仰と民話 」
「少子化対策の課題と行方ーーフランスの事例を踏まえて 」
「『ペスト』――不条理を生きる者たち」
「ツール・ド・フランスから、日本の自転車ロードレース発展へ」
「フランス型イノベーション・エコシステムは、日本においても構築可能か?」
フェリエゼミ
« La consommation culturelle du Japon en France - Popularité des mangas et animés japonais »
« La relation entre les écrivains chrétiens japonais et la littérature et la culture françaises. L’exemple de Shûsaku Endô. »
« Quelles sont les caractéristiques de la musique française du point de vue d'Erik Satie? »
田口ゼミ
「独仏ペット先進国から学ぶ、 殺処分ゼロを目指す日本の未来」
「宝塚歌劇におけるフランス・ミュージカルの影響」
「フランス語圏アフリカ文学の社会的役割 ―「抗い」の文学としての機能」
「『悲しみよこんにちは』におけるセシルの葛藤と愛の存在」
「ジュール・ミシュレの歴史叙述とそのスタイルーー『フランス革命史』における「フランス」の人格化と革命空間へのいざない」(★超・優秀論文)
前之園ゼミ
「フランスのヒップホップアーティストたちが描く社会の断面ーーフランス語ラップの影響と広がり 」
「多民族国家フランスとサッカー 」
「フランス文学とバレエーー『眠れる森の美女』 」
「モーパッサン『ポールの恋人』研究」
「フランス菓子と日本における洋菓子で重視される点 」
●● ゼミ
「エディット・ピアフと「愛の讃歌」」
「歌が辿る運命 ―ウォータールーロードからオー・シャンゼリゼへ―」
「マンガ翻訳の難しさ ―谷口ジロー『孤独のグルメ』より―」
語文コース 優秀卒業論文 →NEW
*2021年度優秀卒業論文
「ジュール・ミシュレの歴史叙述とそのスタイルー『フランス革命史』における「フランス」の人格化と革命空間へのいざない」(堀内聡太/田口卓臣ゼミ)