円周率を求めて和算家の挑戦

江戸時代の前期に和算は隆盛期を迎えた。和算家、村松茂清(1608-1695)、関孝和(1642-1708)、建部賢弘(1664-1739)、松永良弼(1692-1747)が円周率を求めて挑戦した奇跡を辿り、パソコン(Windows XP)で追体験した。

円周率は下記の桁まで正しく求められた。

・村松茂清:小数点以下7桁 :3.1415926

・関 孝和 :小数点以下12桁 :3.141592653589

・建部賢弘:小数点以下41桁 : 3.141592653589793238462643

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円周率を算出する原理は円に内接する正多角形の周の長さを求めることである。

正多角形の辺数が大きくすればするほど、正多角形の周の長さは円周に近づく。この原理に基づき最初に円周率を扱った数学書は『算俎(さんそ)』である。この書は村松茂清が寛文3年(1663)に著した。『算俎』によると、村松茂清は正32,768角形の周の長さから円周率3.1415926を求めた。

関孝和は正32,768角形、正65,536角形、正131,072角形の各周の長さを計算し、円周をこの三つの数を等比数列のとして扱う手法を発見して、小数点以下12桁までの円周率を求めた。この手法は関孝和の門弟の松永良弼により解明された。

幼き頃より関孝和に仕えた建部賢弘は関孝和の成果を引き継ぎ発展させて小数点以下41桁までの正しい円周率を求めた。