野生の思考を書いた、社会人類学者、レヴィーストロースが提唱したブリコラージュ(寄せ集めて自分で作る・ありあわせの道具でやりくりすること)を手掛かりに、自然を生かしたデザインやアートを実践するプロジェクトです。大学の森に足を踏み入れ、地域の人たちと協同で里山を整備しながら、そこで発見する様々な素材から何か作ったり、表現につなげたりする活動を通じて、野生の思考を獲得することを目指しています。

紙は書くだけでなく、暮らしに使う道具や衣服、建築、家具、美術など、様々なデザインや芸術表現の共通素材として長く利用されてきました。紙の多くは、竹やコウゾ、桑など身近にある自然素材を使って作られていましたが、輸入した木材パルプを原料とした洋紙が工場で大量生産されるにつれ、身近にある自然素材は顧みられなくなりました。本プロジェクトでは、「身の回りにある素材で紙を漉く」を基本コンセプトとして、身の回りや地域にある自然素材を生かしたデザインや美術表現を考えていきます。

サステナブルで再生可能な竹は、古くから世界中で衣、食、住、文字の記録楽器漁具遊具家具日用品など暮らしの身近なところで使われていましたが、竹がプラスチック素材に置き換わることで、活用されなくなり、その結果、各地の竹林は、放置され竹害を引き起こしています。このプロジェクトでは、大学の竹林を整備(古竹伐採、枝打ち、竹の間伐、竹の堆肥化、下草刈り、マーキングなど)をしがら、そこで収穫した竹を使ったデザインを考えていきます。