私たちの研究室は、ナノ粒子の配列・配向制御技術とそれを活用したバイオセンシング法の開発に取り組みます。主に使用する材料は、DNAと棒状金ナノ粒子である金ナノロッドです。DNAは遺伝子伝達物質である一方、その塩基配列を設計することにより金属イオン、アミノ酸、タンパク質など様々な分子に対して優れた分子認識能を示すことから、魅力的な生体高分子材料とみなせます。また、金ナノロッドは可視・近赤外光と相互作用し、鮮やかな色を示すだけでなく、その配列・配向によって光学特性を変化させるナノ材料です。このような機能に着目し取り組んでいく私たちの研究に次のようなものがあります。
アミノ酸やタンパク質、DNAなどの生体分子の多くはその鏡像と重なり合いません。このような性質をキラリティー、その異性体を鏡像異性体といいます。鏡像異性体は異なる生理活性を示すため、分子のキラリティーを分析する技術は極めて重要ですが容易ではありません。私たちはごく最近、金ナノロッドがDNAを介して一方向にねじれた(=キラルな)集合体を作ることを発見しました。この現象を活用し、簡便かつ高感度な分子キラリティー分析手法を開発していきます。
関連論文
Chem. Commun. 2024, 60 (82), 11794–11797.
DNAを固体界面(例えば、ガラス基板)に片末端を介して高密度に固定化すると固定化面に対して垂直方向に伸び切った形態をとります。このようなDNA集合体をDNAブラシと呼びます。私たちはこのDNAブラシを足場として利用した金ナノロッド配向制御法を開発しました。この金ナノロッド配向制御技術を利用し、例えば、重金属イオンなど毒性の高い物質をリトマス試験紙のように色変化によって検出する手法を開発していきます。
関連論文
ACS Omega 2017, 2 (5), 2208–2213.
Langmuir 2020, 36 (13), 3590–3599.
この他にも、表面ぬれ性の制御に関する研究に取り組んできました。このような研究にも今後取り組んでいく予定です。
固体表面の水滴除去性能を高めるには、蓮の葉のように水滴に対して高い接触角(=超撥水性)を示す表面を作製するのが最善とされてきました。すなわち、低い接触角(=高親水性)を示す固体表面上を水滴が切れよく滑り落ちることはないとされてきましたものの、私たちはシラン化合物のゾルゲル反応とアルカリ処理法を駆使し、そのような親水滑水性表面の作製に成功しました。このような表面は窓ガラスの汚れ付着の抑止や空調機の省エネルギー化に貢献すると期待されています。
関連論文・関連サイト
Adv. Funct. Mater. 2024, 34 (6), 2310265.
産総研プレスリリース "水になじみやすく、水がスムーズに滑落する透明皮膜"