令和5年度の建築見学会の様子です。
・設計:本間利雄設計事務所・地域環境計画研究室
・音響設計:永田音響設計
・着工/竣工/開館:平成14年6月着工/平成16年2月竣工/ 7月開館
・構造:鉄骨鉄筋コンクリート造 地下2階・地上2階建て
大ホールは1,287席あり、主にクラシック音楽の演奏を目的に設計されている。大きくはね出た2階席と、舞台近くまで伸びるサイドバルコニー席によって、舞台と客席の親密感・一体感を演出している。白い側壁と円柱は「北前船の帆」、天井の曲面は「日本海の波」をイメージしてデザインされ、音響効果にも有効に機能するように計画されている。
ランニングコスト削減の為、1階席には椅子の背もたれ上部から冷気・暖気が噴き出す空調システムが東北で初めて採用された。(全国でもとても珍しい事例)
江戸時代は豪商として、明治時代以降は日本一の地主として知られた「本間家」が創始者となって昭和22年に開館した美術館。元来は本間家別荘と庭園を開放した戦後初の私立美術館である。昭和43年には設計者「伊藤喜三郎」施工者「大林組」が新館を竣工させ、平成24年には「国指定名勝 本間氏別邸庭園(鶴舞園)」となった。
「土門拳」は酒田市出身の昭和を代表する写真家で、リアリズムを追求した報道写真や寺院仏像等の伝統文化を独自の視点で撮影した作品を数多く残した。一人の作家のみをテーマにした世界でも珍しい写真専門の美術館で1983年10月に開館、約13万5千点を収蔵している。(建築家 谷口吉生は土門拳記念館の他、酒田市国体記念体育館も設計。)土門拳と親しかった芸術家たちが各所に自身の作品も提供している。中庭にはイサム野口の彫刻「土門さん」、庭園は勅使河原宏の作品「流れ」など、土門拳と仲の良かった芸術家仲間たちの作品が記念館の空間を彩っている。