多摩応用数学セミナー
-第2回開催日程-
開催日:令和1年9月7日(土)
場所:パルテノン多摩 特別会議室(第1回の部屋と異なるのでご注意ください。)
-プログラム-
1.14:30~15:30
講演者:伊藤孝明 (首都大学東京 )
講演タイトル:tropical行列のブロック対角化
アブストラクト:
本講演では、tropical代数(Max-Plus代数)における行列のブロック対角化について考える。
通常の体上の行列に対しては、ブロック対角化の理論が存在し、表現論などに応用されている。
一方tropical代数上の行列は、通常の代数と同様の手法ではブロック対角化することができない。
この問題に対し、Sato,Watanabeはグラフを用いてブロック対角化を得るアルゴリズムを与えた。
本講演では、Sato,Watanabeのアルゴリズムによって得られる行列と元の行列の関係、特に、
得られる行列が元の行列の小行列式を用いて記述できることを見る。本研究は、小山高専の
佐藤宏平先生との共同研究である。
2.15:40~16:40
講演者:佐藤 巌 (小山高専)
講演タイトル : Scattring matrix of a quantum graph
アブストラクト:
量子グラフの散乱行列について2つの表示を与え、それらの関係を論じ、量子グラフの散乱行列に関する行列式表示を与える。
また、グラフGの正則被覆の量子グラフの散乱行列を定式化して、それに関する行列式の分解公式を与える。
さらには、グラフGの新たなL-関数を定義して、その行列式表示を与え、正則被覆の量子グラフの散乱行列に関する行列式を、
GのL-関数の積で表示する。
3.17:00~18:00
講演者:北川義久 (宇都宮大学)
講演タイトル:3次元球面内の平坦トーラスに関する直径予想
アブストラクト:
3次元単位球面 $S^3$ 内の2次元トーラスは,$S^3$ の標準的なリーマン計量から誘導されるリーマン計量の曲率が $0$ であるとき,
$S^3$ 内の平坦トーラスと呼ばれる.
1970年代に,$S^3$ 内の平坦トーラスに関する分類問題が提起され,1980年代に,$S^3$ 内の平坦トーラスをすべて構成する方法が開発された.
本講演では,この構成法による最近の研究成果と $S^3$ 内の平坦トーラスに関する未解決問題の一つである直径予想について解説する.
(参考文献)
3次元球面内の平坦トーラス, 数学,57巻2号(2005), 164--177.
-第1回開催日程-
開催日:平成30年8月10日(金)
場所:パルテノン多摩 第5会議室
-プログラム-
1.14:50~15:30
講演者:佐藤 宏平 (小山高専)
講演タイトル:Min-Plus行列のグラフによる対角化について
アブストラクト:
一般に、Min-Plus代数上のn次正方行列は逆行列を持たず、固有ベクトルの数も次数以下である。
このことから、通常の対角化の類似を行うことはできず、行列の対角化を求める方法は知られていない。
本講演では、固有多項式の根に 由来するグラフから定まる対角化について説明する。
小山高専の渡邉扇之介先生との共同研究である。
2.15:40~16:40
講演者:椋野 純一 (工学院大学)
講演タイトル:複素ニューラルネットワークと自然勾配法
アブストラクト:
複素ニューラルネットワーク(複素NN)とは通常のニューラルネットワーク(実NN)の入力、出力、重みを複素化したものである。
複素NNでの最適化手法として勾配降下法がしばしば使われるが、学習の停滞現象が生じる場合がある。
一方、実NNにおいては情報幾何の視点から考案された自然勾配法が学習の停滞現象に対し良い結果を与えることが知られている。
当講演では、自然勾配法を複素NNへ一般化した最適化手法について述べる。講演内容は松井一先生との共同研究に基づく。
3.17:00~18:00
講演者:佐藤 巌 (小山高専)
講演タイトル : グラフのゼータ関数と量子ウォーク
アブストラクト:
量子ウォークの分野では、グラフの同型問題について、グラフのスペクトラムを通していろいろなアプローチがなされている。
特に、グラフのGrover遷移行列を使った、グラフの同型に関する予想が提出され、Grover遷移行列やそのpositive supportの
スペクトラムが求められた。そして、Grover遷移行列とグラフのゼータ関数の行列式表示に現れる行列が、密接に、関連することが判明した。
グラフのIharaゼータ関数と第2種weightedゼータ関数の行列式表示を用いて、Grover遷移行列等のスペクトラムを、
系統的に与えることができたので、それらについて報告します。
主催者: 鈴木直矢、佐藤宏平
※発表時刻は予告なく変更される可能性があります。
※プログラム内容の前に、サーベイ発表が行われることもあります。第1回は鈴木直矢(秋田高専(当時の所属機関))により「Homological Sensor Networks, Vin de Silva and Robert Ghrist 2007,Notices Amer. Math. Soc., 54(1), 10-17. 」の紹介が行われました。第2回では「SAFE COOPERATIVE ROBOT DYNAMICS ON GRAPHS, Robert W. Ghrist and Daniel E.Koditschek, SIAM J. Control Optim. 40.5(2002),1556-1575 .」及び「Configuration spaces of graphs and robotics, R. Ghrist in Braids, Links, and Mapping Class Groups: the Proceedings of Joan Birman‘s 70th Birthday, AMS/IP Studies in Mathematics, vol. 24, 29-40.」の結果の一部の紹介が鈴木直矢(GEM Partners株式会社)により行われました。