製本しよう
ワークショップで作ったZineの製本方法について解説します。こちらを参考に、ぜひ自宅でも製本に挑戦してみてください。
①製本の準備
製本の前に作業する環境を整えます。
ある程度の広さがある、平らで安定した机の上で作業します。紙に汚れがつかないよう、机はきれいに拭いておきましょう。
手の皮脂や汚れが紙につかないよう、手も洗ってきれいにします。水分で紙がふやけないように、手の水気はしっかり拭きとっておきましょう。
カッターの切れ味が悪くなっているようであれば、刃を折って切りやすくしておきます。
準備が整ったら、さっそく製本してみましょう。
※カッターや縫い針を扱うので、怪我をしないようによく注意しましょう。カッターの刃や針が紛失しないようにしっかり管理しましょう。
②「A:ホチキス中綴じ」の製本方法
とても基本的で簡単な製本方法です。完成品のサンプルはこちら。
制作時間目安:15〜20分
1)材料・道具を用意する
2)原稿を印刷する
プリンタに本文用のA4用紙をセットして、両面に原稿データを印刷します。天地が合うように気をつけましょう。
3)本文の紙を切る
印刷した本文用紙を横半分に折り、輪になった部分にカッターを入れて切り離します。
4)表紙用の紙を切る
表紙用の紙を横21cm×縦14.9cmに切り出します。ホチキスで止める位置に鉛筆で薄く印をつけておきます。
5)重ねて綴じる
表紙の紙1枚と、本文の紙2枚をページ順に重ね、ずれないようにダブルクリップで挟みます。(クリップの跡がつかないように、いらない紙を2枚ほど噛ませるとよいです)
表紙の紙が上になるように持ち、中綴じホチキスで印をつけたところ2カ所を留めます。
6)仕上げ
ダブルクリップを外し、ホチキスの留め金が背になるように半分に折ったら、出来上がりです。
③「B:和綴じ」の製本方法
和綴じの本来の作り方は難易度が高めなので、作りやすく簡略化した製本方法を紹介します。完成品のサンプルはこちら。
制作時間目安:30〜45分
1)材料・道具を用意する
原稿データ:
Zineの中身を用意します。データの作り方は「事前準備」を参考にしてください。本文用の紙:
B4の普通紙4枚。表紙用の紙:
特殊印刷用紙から好きなものを選びましょう。A4サイズ1枚分程度が必要です。
特殊印刷用紙とはファンシーペーパーやファインペーパーと呼ばれる、色や模様が付いているちょっと高級な紙のことです。竹尾などの紙専門店や世界堂で購入できます。綴じ糸:
レザークラフト用の麻糸(太)50〜60cm程度。麻糸は手芸用品店や通販で購入できます。綴じるための道具:
鉛筆・カッター・カッターマット・定規・ダブルクリップ・ホチキス・スクリューポンチ(ハンドドリルでも可)・木槌(金槌でも可)・縫い針(厚地用の太い針)・ハサミ・ボンド・蜜蝋(なくてもよい)・ダンボールなどが必要です。
スクリューポンチやハンドドリルは、手芸用品店や安いものなら100円均一でも購入できます。
2)原稿を印刷する
プリンタに本文用のB4用紙をセットして、原稿データを印刷します。片面印刷で4枚出力します。
3)本文の紙を切る
印刷した本文用紙を、カッターを使ってトンボ位置で断裁します。
★断裁するときのポイント:4辺すべてを切り終わるまでトンボが切り離されないように、カッターで切るのはトンボとトンボの間のみにすること。また、紙の向きを変える際はカッターマットごと動かすとよいです。
4)本文を重ねて留める
断裁した本文用紙4枚をそれぞれ縦半分に折ります。折った紙をページ順に重ね、ホチキスで2カ所留めます。ホチキス跡が目立たないよう木槌で叩いて金具を平らにします。(いらない紙をあてて叩くとよいです。金槌でやる場合は力を入れすぎないように注意)
5)表紙用の紙を切る
表紙用の紙をカッターで切って、横16cm×縦11cmの紙を2枚作ります。そのうち1枚には、綴じ穴をあける位置に鉛筆で薄く印をつけておきます。
6)綴じ穴をあける
本文の紙束を表紙用2枚の紙で挟んで重ね、ずれないようにダブルクリップで挟みます。(クリップの跡がつかないように、いらない紙を2枚ほど噛ませるとよいです)
紙束をカッターマットやダンボール等を重ねて敷いた上に置き、印をつけたところ3カ所にスクリューポンチまたはハンドドリルで穴をあけます。(穴の径は1.5mm程度)
7)麻糸で綴じる
麻糸を60cm弱の長さに切って、蜜蝋をつけます。(蜜蝋をつけるのは、糸をコーティングして毛羽立ちや緩みを防ぐためですが、蜜蝋がなければやらなくても構いません)
縫い針に麻糸を通して綴じていきます。まずは、糸の端をボンドで糊付けします。
順番に綴じ穴に糸を通していきます。
綴じ終わりを結んで糸を切ります。
8)仕上げ
ダブルクリップを外したら、出来上がりです。
④補足:表紙の作り方
表紙は、そのZineの顔となります。
今回のワークショップでは、「好きな紙を選べる」という点を重視したので、表紙の紙には何も印刷しませんでした。
しかし、実際にZineを制作する時にはタイトルや作者名、画像やイラストなどを表紙に印刷したいと思うことでしょう。(もちろん何も印刷しないデザインを選択することもできますが)
表紙の作り方について簡単に解説します。
【データの作り方】
表紙のデータを作るときは、トンボつきで表紙のデータを作成し、表紙の紙(仕上がりよりひとまわり大きいサイズ)へ印刷してトンボで断裁します。
今回ワークショップで作った2種類の冊子について、表紙のデータの設計図を載せておきます。
※無料ツール「Canva」を使って表紙の印刷データが作れるように、仕上がりサイズに設定済みのテンプレートを作っておきました。使い方は「事前準備」と同様です。
【紙の選び方】
表紙に印刷する場合は、紙の種類も印刷に適したものを選ぶことが大事です。特殊印刷用紙は、印刷にも対応しているものが多いですが、使用するプリンターによって、厚すぎるもの、凹凸が強いもの、ツルツルしているものは印刷ができない場合があります。
また、特色を取り扱えるプリンター以外は、C(シアン)・M(マゼンタ)・Y(イエロー)・K(ブラック)の掛け合わせで色を表現しています。普通のプリンターでは、濃い色の紙に淡い色のインクで表現することは難しいので、その点に気をつけて紙を選びましょう。
※例えば、普通のプリンターでは黒い紙に白いインクで表現することはできません。白い紙に黒いインクを使って、白くしたいところを残すように印刷することはできます。
コンビニプリントやセルフプリントサービスを利用する場合は、紙を持ち込めないことが多いです。ただ、店舗によっては数種類の紙を用意していてそこから選べる場合もあるので、調べてみると良いでしょう。
【印刷ではない方法】
他にも、プリンターを使わずに1冊1冊手描きしたり、版画やスタンプを使って表紙を作るという方法もあります。もちろん手間はかかりますが、少部数であればこそできる表現であり、それこそがZineの魅力の一つでもあります。
ぜひ、いろんなアイディアで個性の光るZineを作ってみてください。
参考図書
今回のワークショップ及びこのサイトでは、こちらの書籍を参考に手製本してきた中で、自分なりに簡易的にアレンジした方法を紹介しています。
様々な綴り方について、手製本のやり方を丁寧に解説している本なので、おすすめです。
「手で作る本」山崎曜(文化出版局)