冊子づくりの基本
Zineのような冊子を作るにあたって役に立ちそうな基本の知識を簡単にまとめておきます。もっと深く知りたいという人はリンク先も参考にしてください。
①本の構成
基本的な本の構成を簡単に説明します。
表紙:本の一番外側の部分です。
見返し:表紙と扉の間にある紙です。無くてもよいものですが、あると高級感が出ます。使う紙を差し色にしたり、柄をつけたり、工夫次第で個性を出せる部分です。
扉:本の中身の一番最初のページです。タイトルや作者名などが入ります。
はじめに(序文):本題に入る前に、その本を作った動機や、主旨が書いてあるページです。
目次:見出しをまとめて掲載しているページです。
本文:見出しや文章で成っている本の中身のことです。
あとがき:作者の書き上げた感想が書いてあるページです。
奥付:主に書籍名・著者名・発行者名(出版会社)・印刷所名・発行年月日・定価・著作権表記などを記載したページです。
Zineにおいては表紙・本文・奥付さえあれば成り立つのではないでしょうか。あとは、入れても入れなくても自由です。
奥付はその本の責任の所在をはっきりさせるために必要です(例えば、落丁があった場合に購入した人が連絡できるようにしておく)。書き方に決まりはなく、最低限、タイトル・著者名・連絡手段が記載されていればOKです。ただし、自宅の住所や電話番号を記載するのはトラブルにつながる恐れがあるのでお勧めしません。他のZineなども参考にしてみると良いでしょう。
(参考リンク⇒自費出版の教科書)
④ノンブル
ノンブルとはページ番号のことです。必ず付けなくてはいけないものではないですが、ページが多くなる場合には、読みやすさのためにも作りやすさのためにも付けることをお勧めします。
ノンブルは右ページは右下、左ページは左下に、本文のテキストよりも小さい文字で入れることが一般的ですが、紙面の下中央にしたり、デザインとして大きく付けたり、アレンジしても構いません。本のノド(綴じている部分)に寄りすぎると見えづらくなるので、その点は注意しましょう。
ノンブルは、右綴じの場合は左ページが奇数で右ページが偶数、左綴じの場合は右ページが奇数で左ページが偶数になるように付けます。
(参考リンク⇒冊子製本キング)
⑤図版の保存方法
本には文章だけでなく、図版(写真や地図やイラストなどの画像)を用いることも多いです。原稿データを作る際、図版の保存方法においていくつかの注意点があります。
カラーモードをCMYKにする:
スマホやカメラで撮った写真は大抵RGBというカラーモードになっています。目で見たままを写し出すために光の三原色で色を表現しているからです。しかし、印刷する場合にはCMYKというカラーモードに変換する必要があります。C(シアン)・M(マゼンタ)・Y(イエロー)・K(ブラック)の4色のインクで色を表現するからです。
(参考リンク⇒WAVE)画像解像度を300〜350dpiにする:
Zineに画像を使うときは、まず最初に高解像度の設定で写真を撮っておく必要があります。紙媒体ではデジタル媒体よりも解像度(画素の密度のこと)を十分高くしておかないと、印刷した際にきれいに表現できないからです。例えば、インスタグラムなどのSNSにあげる画像は低解像度でも十分きれいに見えますが、そのデータを紙に印刷すると粗くボヤけた画像になってしまいます。
(参考リンク⇒小西印刷所)
カラーモードと解像度は、印刷会社に製本を依頼するときには必ず求められるルールです。自前でプリントする場合には気にしなくても構いませんが、知っておくとよりクオリティの高い作品が作れると思います。
⑥トンボと裁ち落とし
トンボと裁ち落としは、原稿データの作成において必要になる要素です。
トンボ:
トンボ(トリムマーク)は、仕上がりサイズで断裁するための位置を記すマークのことです。裁ち落とし:
印刷で生じるズレを想定して、原稿データは余白を付けて制作しておきます。その余白部分を断裁によってを切り落とすことを「裁ち落とし」や「断ち切り」と言います。また、裁ち落としする部分を「塗り足し」や「ドブ」と言います。
印刷会社に製本を依頼するときには大抵トンボと裁ち落としを付けて原稿データを作成するように求められます。
ワークショップでは「B:和綴じ」の制作においてトンボを入れた本文用紙を扱いました。紙の端まで画像を入れたデザインにするために必要だったからです。
「A:ホチキス中綴じ」のように、紙の端から数ミリに何も要素がないデザインであれば要らない場合もありますが、知っておけばデザインの幅が広がります。