当事務所の開設にあたり、北空知地方の人口減少について、当事者としての問題意識を持ち、強い危機感を抱きました。
国立社会保障・人口問題研究所が発表している「総人口および指数」にあります、令和2年(2020年)を100とした場合の将来推計人口(DL)を基礎資料とし、経済活動の縮小を想定しています。
将来推計人口を上記の表にまとめてみました。
北海道全体は札幌圏が数値を押し上げているものの、北空知地方は令和12年(2030年)に約8割、令和22年(2040年)に約6割へと逓減していきます。
人口減少が、経済活動へどのような影響を与えるのか、サミュエルソン氏の乗数加速度モデル(Y=C+I)という数式を、深川市にあてはめてみました。この数式では、総生産を消費と投資の合計にしており、消費は将来人口推計をもとに、数値化します。
令和2年の総生産110=消費100+投資10
令和7年の総生産 97=消費88+投資9
令和12年の総生産 87=消費79+投資8
令和17年の総生産 78=消費71+投資7
令和22年の総生産 69=消費63+投資6
経済活動は、生産・流通・消費の繰り返しですから、消費のベースとなる人口が減ることで、単純に5年おきに10%ずつ縮小すると予測できます。
また、設備投資が同じぐらい減るという仮数値を代入していますが、仮に2倍以上投資しても全体の底上げが難しく、やはり総生産は減少していくいことが読み取れます。
深川市の総生産が、5年おきに10%ずつ縮小していき、ほとんどの産業で売上が低下していくことになるとの結論が導き出されました。
人口減少によって、これまでの常識は全て覆ります。
かつて戦後の人口激増が実現した、安全な社会も、過剰なサービスも、豊富な食料品も、すべて根底から崩れ去ります。日常の秩序から、企業と労働者の関係まで、今までとは異なるものになっていくでしょう。
さて、経営者にとって未曽有の艱難辛苦が確実に予測されているにもかかわらず、その発生前の問題解決的行動が、なぜ手当てされていないのでしょうか。
その原因は、さしあたり眼に見えず、いまのところ痛くも痒くもない環境にあると考えられます。かの糖尿病みたいな、治療しないと重篤な合併症になってしまう、自覚症状のない疾患とよく似ていると不安になりました。
そこで、当事務所では、数的ガイダンスを提供し、多角的な「視える化」によって、人口減少の問題点を浮き彫りにします。職業的会計人ならではの、事業環境の変化を警鐘するためにほかなりません。
簡易な一例として、大手小売業について、人口と商圏の数的ガイダンスを提示いたします。
【大手小売業の数的ガイダンス】
①北空知地方は、令和2年(2020年)の総人口33,453人を商圏として大手スーパー5社(生協・アークス・マックスバリュ・ホクレン商事・ふじ)で割拠しているので、1社あたりの絶対商圏は6,690人となります。
②なお、北空知地方から旭川市又は滝川市への機会喪失はあっても、逆はないので加算値はゼロです。
③令和2年(2020年)の時点では、6,690人を損益分岐点とし、大手が撤退せず競合できる水準と認められます。
④書きずらいのですが、令和6年新規出店したダイゼンには立錐の余地がないと言わざるえません。
⑤そして、基準年から10年後、令和12年(2030年)の北空知地方は総人口26,443人の商圏へと縮小します。
⑥約7千人を損益分岐点としましたから、この時点では5社体制は崩壊しており、数年前にダイゼンは撤退し、もう1社もなくなっていると予測されるのです。
⑦さらに、残る4社となっても絶対商圏6,610人(△1.2%)でギリギリの経営状態だと見込まれるのでした。
⑧仮に、令和12年(2030年)の時点で大手5社が残り、10年前より2割以上少ない絶対商圏5,288人(△21.0%)で存続していたら、5社とも損益分岐点を下回る営業を続けていることになります。
⑨もしも10年間、絶対商圏の維持という対策をしてこなかった場合、各社やがて欠損を累積し、共倒れとなると危惧されます。
【大手小売業のまとめ】
令和2年(2020年)の総人口をベースに、大手5社で割り算して、絶対商圏の縮小をあてはめたときに、10年後である令和12年(2030年)には4社しか残らないことを提示させていただきました。
人口の減少は、あらゆる問題を顕在化させます。
いままで当たり前であった財やサービスが、これからは高コストになったり、受けられなくなってしまうという時代になるかもしれません。
また、年齢別人口および指数では、高齢化も著しく進むと予測されることから、生産や流通の従事者層がさらに縮小していくことも避けられないでしょう。
かかる人口減少による経済活動の縮小へ、どのように対応していけばよいのでしょうか?
当事務所は、すでに答えを3つ用意しています!
甚だ僭越ですが、およそ商売は売上を維持していくことが容易ではありません。
しかし、売上高よりも「粗利幅」を維持しなければ、経費倒れとなりジリ貧、やがてドカ貧に陥るでしょう。
よもや赤字となろうとも、買掛金を未払いし、給料手当を遅配し、税金を滞納して、営業を続ける経営者は少なくありません。
しかし、日銭が不足して、借入金の返済に事欠いた瞬間、期限の利益を失い会社は破産します。
そのような事態とならないよう、外部の専門家として、企業のありようを客観的に俯瞰できるので「売上総利益率の下限」を見極め、キャッシュフローを速算し、自己資本比率を重要指標として20%堅守という方針で関与してまいります。
売上から原価を引いた粗利を、簿記では売上総利益といい、経営学では付加価値と称し、いずれも同じものです。
いまの現状はおそらく、需要に対し、供給を行い、需給均衡価格で取引をしていることと思われます。
しかしながら、これからは有効需要が減少していくこと、あわせて、就業人口の減少に伴い供給能力も低下していくこと、の2点がボディーブローのように効いてくるでしょう。
今後、売上高は伸長しません。人口減少する社会とは、有効需要が逓減していく環境だからです。
そのような過酷な環境においては「売上総利益を増加させること」が会社存続に必要な対応であり、翌期に繋がる秘訣となります。
そこで、売上総利益の総量を増加させていくためには、他社または他業種を吸収して売上総利益を増進させることが、単純で明快な問題解決策であると回答します。
人口減少すなわち事業環境の変化に対応しつつ、会社をどのように成長させるのかという要諦は「適格合併により会社を統合し、社長が不採算事業を整理する手腕にある」と申し上げます。
統廃合によるシナジー効果を、短期的なものと長期的なものに分けたうえで、人口減少する社会においては長期的なシナジー効果こそ、会社存続の強い裏付けとなると確信するからです。
その長期的なシナジー効果とは、従業員の数にほかなりません。
繰り返しになるものの、当事務所が意識しているポイントは、売上総利益の増加にあります。
とりあえず「自社だけで事業計画を見直し、なんとかできないか」。
では、なんとかするためには、売上げが増えるか、原価が減るか、の2通りの針路があります。
あいにく現状維持では数年後に立ち行かなくなることは海図のように明白なので、座礁しないよう、どちらかに舳先を向けなければなりません。
まず、売上の増加を考えたとき、設備投資が有効なものの、融資を受ける場合、金融機関は融資効果及び返済能力を審査するため、新規事業がどのように付加価値を向上させるか厳密に分析するでしょう。
重要なポイントは、投資目的が何かということに尽きます。なぜ重要かといえば、目的地である有効需要が存在しなければ、投資しても売上に達しないからです。
例えるなら、もしも友人から石炭販売店や畳屋を始めたいと相談されたなら、いまさら有効需要が見込めないことは誰の目にも明らかなので、まず思いとどまるよう説得するでしょう。高級食パン店やタピオカ屋でも同様の説得が始まると思います。
これらのように、他人の商売はよく見えるものですが、自らの事業は遠くから客観的に見れないものではありませんか。
つぎに、原価の減少を考えたとき、無理を通せば仕入先がなくなるので、なかなか手がつけられません。
企業のビジネスモデルというものは、仕入れの組立て構造に依っていることが多いため、システム自体を変えることが難しいためです。その場合、適格分割等のスキームを検討し、ビジネスモデルを再構築します。
当事務所は事業計画の変更に対し、客観的な意見のほか、業種横断的なアイデアも提供できますので、売上総利益の増加に貢献します。
ところで、65歳以上の高齢者が総人口の21%を超えた国家は「超高齢社会」と定義され、すでに日本は達しています。
当事務所は、そのような社会現象についても取り組むべき課題だと認識しています。
いつまでも現役という経営者は有難いのですが、盛者必衰、いつかは潮時を迎えるからです。
一般的に、後継者がいるならば、5年ぐらいかけてノウハウを伝授したのち株券を引き継ぐという絵を描けると思われるものの、現実はジグソーパズルのピースが足りない如く、何かがうまくいっていないのではありませんか。
事業継承は、人と人との直接やりとりなので、昔から難しいと云われています。
鎌倉時代の御成敗式目ですら、第18条に悔い還しという所領相続人の指名撤回が担保されておりました。
いまさらですが、最新の優遇税制があるからやるわけではなく、まず継承させるか否かを考えてみないと何も始まりません。
当事務所では、どなたが継承するのか、血縁者・従業員・第三者に応じた損益を分析し、税金の概算を行います。
オーナー社長が意思決定をするにあたり、ご自身にはどのような有利不利があるのかを場合分けて説明いたします。
一方で、会社の事業を、人には継承させないで、他の会社へ丸ごと引き継ぐ方法が適格合併です。
合併そのものは旧商法にもありましたが、旧制度下において被合併会社が一度清算により課税されるという峻厳なものでした。
現在の合併は、組織再編税制として会社法に肉付けされており、緩い要件を満たすことで、帳簿上の貸借のほか、従業員を含めて合併先会社にそのまま引き継ぐことができます。
すなわち、いくつかの適格要件を満たすことで、
①合併日での貸借を合併先会社へ簿価で引き継ぎ、被合併会社は消滅します。
②従業員個人の源泉徴収税額や社会保険料等は合併先会社で継続されます。
③被合併会社が欠損でなく内部留保が多いとき、前オーナーに税金の問題が発生します。
適格合併は、組織再編を実務上後押しする制度であり、合併先法人においても事業多角化のチャンスと言えるでしょう。
同業合併の事例として、建築会社が、より小規模な工務店を吸収するケースが相当します。
また、異業合併としては、運送会社が、指定整備工場やガソリンスタンドを吸収するケースが考えられます。
どちらも、再編前まで別個に処理していた経理や労務を、本社で一括管理するようになるので、省力化が図られ人的資源に余剰が見込めるのではないでしょうか。
売上総利益、事業継承及び組織再編について説明いたしましたが、それらの最終目標として、労働生産性の向上があります。
「労働生産性」は様々な定義があるものの、当事務所では付加価値労働生産性、すなわち「従業員一人あたりの売上総利益」の向上を目指します。
そして、会社における労働生産性の向上のために、従業員の給与手当を上げる必要性があると考えています。
人口減少だから給与を上げろなどと、なにか突拍子もないことを言っているなと感じられる方もおられると思います。
しかしながら、人口減少の帰趨は客観的な数値ですから、現状のまま売上高と給与水準を維持していくことは困難であり、会社の舵取りを見つめ直す必要があるのではないでしょうか。
分配ベースの向上事例として、社員5人で2千万円の売上総利益(一人あたり4百万円)が、1人辞めても維持できた場合、社員4人で2千万円の売上総利益(一人あたり5百万円)となり、労働生産性は25%も向上します。
その結果に対し、残った4人の給与手当を増額することは、生産性の高い労働に対して正当な対価を与えることであり、従業員の生活を安定させるので、ひいては会社を継続するための分配にあたると考えるからです。
また、従事人数ベースの向上事例として、社員5人で売上総利益1700万円(一人あたり340万円)の会社を、社員11人で5500万円の会社(一人あたり500万円)が吸収合併したとき、合併後は社員16人で売上総利益7200万円(一人あたり450万円)となります。
合併によって、一人あたりの売上総利益が低下したように見えますが、事務や労務全般がまとまり効率化することから、仮に10%の省力化
(社員△1.6人)になるとしたら、社員14.4人で売上総利益7200万円(一人あたり500万円)へ復原するとともに、1.6人分の余剰人員が発生します。
当事務所は、やみくもに給与手当を上げろと言っているのではなく、冒頭で将来人口推計と経済活動縮小とをご覧いただいたように、北空知地方の人口が減少していくことに対応する方法を献策しています。
これからの会社が、労働生産性を向上し、人件費へ適切に資源配分していく解決策を、売上総利益、事業継承及び組織再編に見出しました。
人口減少に伴い、これまで5人でやっていた仕事を、今後4人でやっていくことになるでしょう。
他方、いま1人あたりの仕事量が、これから1.25倍となっていく可能性があります。
仕事そのものを削減しないと、従業員に過重な負担を強いることになるかも知れません。中小企業の仕事とは、人的資源に依存する地味な手作業だからです。
理屈で恐縮ですが、仕事の総量を見直して2割削減すれば、当面は現在の従業員数で事業を続けることができるはずです。
当事務所は、人口減少していく地域社会を見据え、税務会計の省サービス化を提唱します。
せめて経理だけでも、省力化または簡略化することで、会社の人的資源の配分を見直してみませんか。
とりわけ、税務会計について、顧問先が求める「こういうのでいいンだよ」という事務量を見極めます。
もちろん、手は抜きませんが、肩の力を抜いて対応していくことを申し添えます。
ちょっとした工夫が時短をもたらすように、機械化や電子化によって事務を処理する時間を減らしてみませんか。
会計ソフトは、値段・操作・機能のバランスで「弥生会計シリーズ」を推奨します。
初年度1年間の使用料金は、個人会計11,330円(やよいの青色申告25セルフプラン)、法人会計55,000円(弥生会計25スタンダード)、給与計算39,600円(弥生給与Nextベーシックライト)、とのメーカー見積りです。
弥生のホームページにはオンライン版やオプションが多数ありますが、当事務所へ「購入前にご相談いただくこと」で、基本契約だけで大丈夫なのかをアドバイスできます。
当事務所は弥生PAP会員なので、できるだけ低コストにして効果のある業務を提案できることも申し添えます。
そして導入後は、当事務所が相談及び指導を無料でお引き受けいたしますので、弥生「あんしんサポートプラン」は不要となります。
小なりといえども当事務所は、デービッド・アトキンソン氏の著作「新・生産性立国論」のような中小企業改革を念頭に置いています。
しかし、大なりといえども国が、人口減少に軸足を置いた政策へ転換することは全く見込めない状況下にあります。
デービッド・アトキンソン氏は、いかなる指摘及び提言しようとも、新政権にガン無視されているため、まこと残念ですが、破滅の予言者ゆえ白眼視されたカサンドラ王女の轍を踏むことになるでしょう。
ささやかながら、当事務所としては「国と過去は変えられない、会社と未来は変えられる」というポリシーがありますので、ご理解いただける経営者と一緒に歩んでまいります。
迫りくる人口減少問題に対処し、新しい環境へ適応できる企業こそが生存して、事業を続けていくのだという歴史的所産が、当事務所のポリシーに反映されているのです。
説明責任とは、よく見かける言葉ですが、もともとアカウンタビリティの和訳で、経営陣が株主へ企業情報を開示する義務のことです。今日では、幅広い利害関係者に対し、より広い範囲の情報開示を指すケースが多くなっています。
当事務所は、依頼された内容は、必ず依頼人のみに報告いたしますが、そこで自分の仕事が終わるのではないと心得ています。
税理士として、決算期ごとの申告内容を説明することは責務の一環であり、税務官公署だけでなく、必要に応じて金融機関等へ臨場し自らの説明責任を果たします。
その際、融資効果と返済能力について、外部の専門家としての意見も伝えます。
新規の設備投資のうち、中小企業にDXやイノべーションをどうぞという、耳触りのよい謳い文句を仄聞しました。
しかしながら、多くの中小企業の経営者が、デジタル化への導入費用に対して、少なからず違和感を抱いているはずです。
その違和感は「需要のない財を、いくらICTでスマートに供給したところで、売買は成立せず売上増加に繋がらないこと」を直感で看破されているからではないでしょうか。
当事務所は「中小企業等にとってDXは有効需要の増加に効果がない1点をもって成功しない」とハッキリ指摘しておきます。
譬えを引合いにすると、無人島へ最新タッチ自販機を置くような取組みに過ぎませんが、少しでも有効需要の増加に結びつくDXならば、その投資効果を見極める必要があるとも考えています。
当事務所は、自力で調べた客観的なデータに基づき、いわゆる環境問題に対して大いに疑義を持っています。
とりあえず、不自然な設備投資や、怪しい補助金は避けるべきだと思います。
平成23年の国税通則法の改正以前は、税務調査は予見性に乏しく、納税者への説明手続きも整備されていませんでした。
はたまた、銀行融資の審査は厳格で、借入申込は煩雑かつ手間のかかるものでした。
その頃の税理士は、外部機関と納税者との間に立って、さまざまな役割を果たし、問題を解決に導いたと伝え聞いています。
いまや時代は移ろい、外部機関の姿勢も軟化しました。
当時の税務会計サービスを、現在にあてはめると、あれもこれもと総花的であり、顧問料や申告書の費用負担に見合わない過剰さがあるのではないでしょうか。
税理士の業務範囲は多岐にわたります。
しかしながら、当事務所の特長は、それら範囲を少なめに整理するところにあり、顧問先が「こういうのでいいンだよ」と真に必要とする税務会計サービスを提供いたします。
最後に、窮状を晒すようですが、実務経験が少なく、種銭も小さいため機器等が不備なので、どうしても対応できない相談や時間のかかる業務も数多あることを申し添えます。
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