高分子化学・コロイド界面化学・機能性材料を軸とし様々な研究を遂行しています
この研究では、流れる環境の中で温度変化に反応して特定の場所に付着する粒子が開発されました。この粒子は37°C以上の暖かい場所を自分で見つけて付着し、秒速10mm以上の流れの中でも機能します。牛の脂肪(中心)とアルギン酸とPNIPAM(外殻)の二層構造で作られており、温度上昇で中心部が溶けて付着が起こります。医療分野での薬物の標的送達担体への応用が期待されています
組織工学の分野で、生体組織の再生を支える足場材料の開発が進んでいます。コラーゲンを主成分とする多孔質のゲル(MCCG)を試料した新しい培養方法を提案します。このゲルは、生体内の細胞外マトリックスを模倣し、内部に血管のような構造を持つのが特徴です。実験では、ゲル内部の孔の大きさや数を制御できることを発見。細胞の増殖も効果的に促進しました。この技術は、3Dプリンターのような複雑な装置を必要とせず、生体組織の再生を可能にする方法として期待され。将来的には、組織の再生医療や培養肉の生産などへの応用が見込まれています。
損傷が生じても自ら修復する、あるいは簡易的な処理を施すことで修復される材料を「自己修復材料」と呼びます。ガラスやプラスチック、コンクリート等多くの材料で作製可能ですが、磁器で作られたものはありませんでした。本研究では、UVを照射することで硬化するUV硬化樹脂を磁器内部に充填することで、簡単に傷が修復する磁器材料を作製することに成功しました。
中空コラーゲンゲルは、内部に中空を持つ三次元的なゲル状物質です。私たちの研究室では異方性緩衝液拡散によって調製されたコラーゲンゲルが形成する複数の微細孔からヒントを得て、中空コラーゲンチューブゲルをワンポットで得る方法を見出しました。さらにコラーゲン溶液に光処理を施すことで、より大きな中空を持ち、溶液中でも崩壊しないコラーゲン状チューブゲルの開発に成功しました。生体適合性が高いため組織再生を促進する薬物/細胞デリバリー・システムのための材料としての使用が期待されます。
コラーゲンと磁性粒子を使った微小ビーズ(CMPMBs)を作り、その特徴や使い道を調べました。この微小ビーズは、コラーゲンの濃度で粒子の大きさ、表面のざらざら具合に違いを出すことができました。ビーズを磁石のシートにくっつけたり外したりできることができ、細胞を特定の場所に運ぶことが可能になりました。これにより、微小ビーズが細胞の運び手として使えることが確認され、細胞が移動したり増えたりするのを助けることができました。さらに、このビーズを使うことで、細胞の動きを磁石でコントロールしたり、複雑な組織を作ることが期待できるため、再生医療や組織工学といった分野でより効果的な治療法の開発につながるかもしれません。
この研究では、pHによって性質が変わるコラーゲンハイドロゲルについて調べています。このハイドロゲルはリボフラビンを助剤としてUVを使って作られ、UV照射時間を変えることで材料の強度やpH応答性が調整されました。テストの結果、ハイドロゲルはしっかりとした構造を持ち、水の吸収能力がpHによって変わることが分かりました。線維芽細胞の増殖テストでは、時間が長いほど細胞密度が増え、生体適合性が確認されました。この研究は、UV架橋されたコラーゲンハイドロゲルが、組織修復や薬のデリバリーなどの医療分野で役立つ可能性を示しています。
マイクロカプセルはマイクロサイズで内包物質の保護や徐放作用をコントロールできる粒子です。最近では,汗をかく又は,衣料をたたくと薫る衣料用の芳香剤や,味の長持ちするガム,こすると消えるペンなど数々のヒット商品がマイクカプセルの機能を利用して生み出されています。私たちの研究室では スマートマテリアルとして知られる刺激応答性ゲルと同様の機能をマイクロカプセルに持たせることで,心臓のように拍動できるカプセルの調製に成功しました。この粒子の新奇な特性を利用して,糖を認識すると効果的に薬剤を放出できる担体,炎症部を認知し効率よく接着する薬剤担体の作成に取り組んでいます。
エレクトロスピニングと呼ばれるプロセスを使って、生きた微細藻類をポリビニルアルコール (PVA) ナノファイバーに包装する方法を発見しました。この方法は、微細藻類を安定に保ち、効率的に光合成を利用して酸素を生成し続けるのに役立ちます 。 PVAナノファイバーは小さく、PVAの濃度を変えることで直径を制御できます。微細藻類を加えると繊維が薄くなり、溶液の厚みが増します PVAナノファイバーにカプセル化された微細藻類は、膜状の場合よりも高い速度で酸素を生成および消費できることがしめされました。そのため、酸欠環境での酸素供給材料や持続可能な農業などの用途に役立ちます。
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