大気中の硫酸塩エアロゾルは、雲を形成するための核(雲凝結核)として働き、地球を寒冷化させる効果があります。その起源は、人間活動や海洋植物プランクトン由来の硫化ジメチル(DMS)、火山噴火が挙げられます。私は、アイスコアをエアロゾル・気候モデルを用いて、過去から現在の大気中の硫酸塩エアロゾル濃度の復元や、その雲放射影響に関する研究を行っています。
ノースウォーター海域は、強い北風と暖流の影響を受けて海氷の生成と流出が繰り返される北極域で最大級のポリニヤです。ポリニヤの形成・維持機構の変化は、その周辺の海氷変動や海洋生物活動、水・物質循環に大きく影響します。過去のノースウォーター海域の海氷変動、海洋生物活動、水・物質循環を理解するために、過去の降雪や大気中に浮遊する不純物(エアロゾル)を保存しているグリーンランド北西沿岸氷床の積雪やアイスコアの採取を行っています。
降水中の水安定同位体比は、水蒸気の起源地域や輸送中の大気環境の履歴を反映しており、水循環を理解する上で有用なツールとみなされています。しかし、降雪粒子が落下する途中の凝結成長・凝集・雲粒付着による水安定同位体比の変化は、観測的知見が乏しく、十分に明らかになっていません。本研究では、できるだけ短い時間間隔で降雪を採取し、その水安定同位体比と降雪粒子の形状を関連付ける研究を行っています。