ゆる文学徒
平山軽
ゆる文学徒
平山軽
文学とは何か。
さまざまな議論がありますが、今回は加藤周一の『文学とは何か』(1950)を引いてみましょう。
医学博士でもあった加藤にとって、文学と科学はどちらも、世界の在り方を知る上で大切な学問でした。ただし両者は、アプローチの方法が正反対です。科学が多くの事物に共通する一般性を探るのに対して、文学は一回限りの・特殊な事例に徹する。そうすることで初めて辿り着ける真理がある、と唱えたのです。
(もちろん、特殊な事例をただ取り上げるだけでは、独りよがりな妄想になってしまいます。いかにして普遍的なものと結びつけるかが、文学者の腕の見せ所となります。)
おかしなもの。矛盾するもの。個人的なもの。余計なもの。
科学や実学の世界からこぼれ落ちてしまった「例外」を、文学はむしろ重宝します。こうした文学に触れることは、多数派に属する読者の眼を見開かせ、少数派の読者の心を軽くするでしょう。
そして何よりも、世の理に反する「例外」を読み取るのは、スリリングで面白い体験となるはずです。
改めて、文学とは何か。
文学とは、特殊事例から普遍を生み出す一個の逆説(paradox)であり、常識を乗り超えていく(para-doxal)ための学問です。
この番組では、そんな文学の入り口へとご案内いたします。
00:00 オープニング
03:00 アンチ哲学の文学者
06:31 古代ローマの喜劇作家
08:15 世界最古のSF作品
10:16 膝丈ぐらいまで燃えている
13:04 衒学を馬鹿にするルキアノス
15:10 知識人へと放つメガンテ
18:48 売買される哲学者
21:40 哲学者たちの復讐
23:54馬鹿にされてもよい語り手
26:53 ルキアノスに関するまとめ
30:55 「アンチ」の二重の意味
33:09 キリストと清酒の作り方
35:33 前提を破壊して前に進む
38:48 ルキアノス精神を継いだ本
44:13 誰が偉いのか分からない
47:08 真の文学を書くために
51:07 どこか納得できない
53:40ソフィストに諭される
57:08カーニバル状態の覆面男
0:00:00 オープニング
0:01:23 AKB48>キリスト教
0:06:17 漫画アニメは純文学を越えた?
0:09:55 ゼロ年代≒第七世代
0:13:42 過言力を身に付けるために
0:14:45 近代文学の終わり
0:18:12 売れない文学に価値はあるのか
0:22:12 ゼロ年代批評のはじまり
0:28:08 ハリウッド化もされたラノベ
0:32:22 人類はみなループ経験者
0:35:36 リアリズムはどこにあるのか
0:40:32 ループものが支持される理由
0:44:04 ハルヒを研究する東大教授
0:45:51 現実には無数の物語がある
0:51:39 メタフィクションの極み
0:58:16 作られた世界でどう生きるか
1:02:18 現代人の三つの選択
1:06:10 近代文学には描けない倫理
1:08:00 ブータンとホラーゲーム
1:11:32 ヱヴァに芥川賞をあげるべき
1:14:07 ゼロ年代批評の世代交代
1:18:28 村上春樹とアダルトゲーム
1:20:45 デタッチメントという選択
1:24:45 リトルピープルという悪
1:29:26 宇野常寛の過言ポイント
1:34:29 批評は間違えてもOK?
1:36:19 ゼロ年代批評の衰退
1:40:43 「推し」を批評できるのか
1:44:19 近代文学が死んでよかった
1:47:04 オタクが批評すべき対象
1:49:56 二周目の世界から
0:00 本日の動画の見所
0:27 ファスト映画は劣っているのか
3:07 ファスト教養は優れている
5:17 ファストを信奉する作家
6:12 芥川賞の創設経緯
7:40 菊池寛のタイムパフォーマンス論
9:47 芥川賞と直木賞の違い
10:50 短編小説の歴史
14:12 短編小説の難しさと芸術性
16:47 短い動画で情報量を詰める難しさ
18:01 短編小説の黄金時代
20:10 ファストが批判される理由
21:24 ファストを突き詰めた結果
24:39 エンディング
0:00 オープニング
1:13 なぜ、小説と書くのか?
2:15 「小説」という言葉の起源
3:28 「小説」は1つの宇宙である
4:07 古代中国における小説はツイート
6:49 とことん、小説は馬鹿にされていた
11:26 文学として発展する要素
12:48 超リアリストの孔子
14:02 紀元前から紀元後へ
15:48 合理主義からオカルトへ
18:39 志怪小説はノンフィクション怪談
20:37 志怪小説はシュールで滑稽な話
26:59 シュールで面白いから後世に残った
28:22 さらに進化する小説
29:25 嘘が許されたから小説は発展した
32:21 文学では「小」が「大」を兼ねる
36:09 小説はビッグバンと同じ
39:37 文学はレトリックでねじ伏せる
42:25 エンディング