研究室では週一回以上は必ず魚の標本を作っていて、その際いかにきれいな標本写真を撮影するか、
とことん追求しています。標本写真以外でも、調査中に出会った魚の水中写真なども撮影しています。
ここでは緒方の趣味で撮影された魚の写真を紹介できればと思います。
魚を提供してくださった皆様にこの場をお借りしてお礼申し上げます。
オオメジロザメ
Carcharhinus leucas (Valenciennes, 1839)
これまで撮影してきたメジロザメの仲間の中でもダントツで体が太くがっしりしていて硬い。
2025.04.06更新
ミミズハゼ属魚類
Luciogobius Gill, 1859
有名なハゼの研究者が2019年に発表した論文から、日本中の魚好きがミミズハゼの仲間をさがしまくるという、ミミズハゼ探査時代が始まった。僕もそれなりに頑張って探しては見たが、最初2年くらいはあまり成果が得られなかった。この魚たちは水際に堆積した礫や転石の下によくいるが、どのような堆積の下にどのような種類がいるのかを理解するまで、SNSで情報を得たり、有識者に話を聞いたりするまでは分からなかったからだ。
しかしここ数年でようやく掘り当てられるようになり、これまで宮崎県で記録のなかった種も数種類探し出せた。まずはナンセンハゼという種類を後輩と見つけ、2021年に報告した(URL)。そして2023年には鹿児島大学の方と共同で、さらに6種を記録することができた(URL)。結果、宮崎県沿岸では2023年4月現在で12種のミミズハゼ属魚類が記録されている。
以下に宮崎県で得られたミミズハゼ属魚類11種の写真を載せます。まだ僕も現場で種を見分けられるまでの目の肥え方はしておりませんが、標本作製と写真撮影を通して初期よりかは分かるようになってきました。まだまだ未確認の種類もいると思うので、今後も探したいです。
形(顔付き)や色など、よく見ると結構異なる。上記の11枚は全部別種とされている。
2023.04.21更新
コクテンアオハタ
Epinephelus kupangensis Tucker, Kurniasih & Craig, 2016
門川湾周辺で一通りの魚を集め、2021年に図鑑が出版された後も、追加種は続々と集まっておりました。それは漁師さんからの頂き物や自分たちで採集した種類が多い中、SNSで見つかるということもありました。
釣り人の方がSNSに釣果を載せることはよくあり、僕はそのような宮崎県の釣り人の釣果を普段から意識してみるようにしています。まだ僕らが宮崎県で見たことないような魚が載っていたり、めったに見られないくらい美しい魚(漁で採集される魚は多少傷が入ったりするのですが、釣られた魚は状態が良いことが多い)が載っていたりします。
今回紹介するこのコクテンアオハタも、SNS上にあがっていたものを見つけ、釣りあげた方に連絡を取り頂いたものです。結果としてこの種類は宮崎県沿岸初記録で、さらに国内2例目(正式に知られる標本としては4個体目)として記録されました(Research Gate)。加えて色々調べてみた感じだと、本種の写真の中で世界一きれいな写真も撮れたと自負しています。
水圧で多少眼が出ているが、体色などが美しく、状態が良い。
ひれを広げた後は、その前と比べ物にならないくらいかっこよくなる。
2023.01.11更新
バケヌメリ
Eleutherochir mirabilis (Snyder, 1911)
この魚を知ったのは、学部4年生の時だったと思う。
研究室配属1年目で色々あって参加できなかった冬の調査の標本を同定・計測していると、背ビレが一つしかない魚が出てきた。調査を重ねているとまれに、奇形の魚に出会うので、今回もその類だろうと後回しにしていた。しかし同様の標本が10個体近く出てきたときにはさすがに調べ始め、エラ近くに見覚えのあるトゲを見たときに、まさかネズッポ?と思ったのもはっきりと覚えている。そこで魚類検索のネズッポ科を開けるとすぐに背ビレが一つしかないバケヌメリという魚のイラストが目に入った。
これか、でも分布が神奈川までだ。もしバケヌメリなら記録物やん。
結局いろいろと調べていくうちに確信に変わり、記録論文にしようと思い立ったのだが、手元には生鮮時の写真もなく、ヒレも閉じた標本だけ。図鑑を見たり、ネットで調べてたりしてもきれいで鮮明な写真がなかった。このあたりから異常なほどにこの魚を生で見て、きれいな写真も残したいという欲が芽生え始めた。過去の調査の場所と採れた時期、他の海域での採れた情報などを調べてまとめ、この魚がいるであろう砂浜に通い、どのあたりで、どういう日に、どのように捕まえるかという脳内シミュレーションを何度も行っていた。
宮崎県の沿岸の砂浜海岸はサーフィンの名所なだけあって、ある程度の波は常にある。さらに冬場は風が強い日が多く、そういう日は波が高くなる傾向も強い。僕の頭の中では、冬場の波が穏やかな日に、膝くらいまで水に入って投網をすればいつかは出会えるという算段だったので、その日を待ち続けた。
ある3月末にちょうど良さげな天候の日があり、手の空いてた後輩と一緒に向かい投網をすることに。何回投げても思い通りにはならず、ラスト5投くらいで帰ろうかと話しながら網を回収して、次の投げに入ろうとしたら、網に引っかかってる魚っぽいものがあることに気が付いた、というか見たと同時に叫んでたかもしれない。
バケヌメリや!!
もう興奮したし、なんなら2匹目も網の下に落ちていて、慌てて回収しバケツに入れた。そのあとはすぐ実験所に帰り、水槽写真などを満足いくまで撮影し,貴重な資料として標本に。もちろん僕の最善の力できれいに整え,バケヌメリの記録の中では世界一きれいで、この魚の魅力を最大限に残せたと思える標本写真も撮影出来た。その後何度も原稿直しつつも無事、記録論文(Research Gate)になった。
以上がこれまでの中でも結構、印象に残ってるバケヌメリという魚との出会い。
普段から調査の時は目の色変わるが、ターゲットが決まっていたこの時は真剣そのものだった。
砂に同化する色だし、網に入っててもすぐには気づけなかった。いい思い出。
あらかじめ下アゴの唇部分に突起があることを勉強していたので、しっかりと撮影出来た。
2021.09.14更新
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