研究

私はジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡やアルマ望遠鏡、すばる望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡といった大型望遠鏡を使い、遠方宇宙・宇宙初期の銀河の形成・物理的進化を研究しています。

ジェイムスウェッブ宇宙望遠鏡を用いた初期宇宙・初代銀河の探査

ジェイムスウェッブ宇宙望遠鏡 (James Webb Space Telescope; JWST) を用いてビックバン後5億年以内 (133億年前以前) の初期宇宙の銀河を探査するとともに、130億年前の銀河の物理的な性質も調査する予定です。

我々はJWSTの初期観測データから、理論モデルで予想されていた以上に多くの133-136億年前の銀河候補を新たに発見しました。

また120億-130億年前の宇宙に、従来の予想の50倍多い10個の巨大ブラックホールを見つけました。

我々は2022年4月に観測史上最遠方の135億年前の銀河の候補を発見し、NHK、TBS、ニューヨークタイムズ、日本経済新聞等のメディアで報道されました。こちらの銀河候補もJWSTで観測される予定です。

JWSTの宇宙でのイメージ (NASAのウェブサイトより)

我々が発見した135億年前の銀河の候補HD1 (Harikane et al.)

世界最大の遠方銀河サンプルを用いた銀河統計学

すばる望遠鏡の広視野カメラHyper Suprime-Camやハッブル宇宙望遠鏡のデータを用いて世界最大の遠方銀河サンプル(合計約400万個)を構築し、銀河の統計的性質(光度関数、相関関数)や銀河と暗黒物質ハローの関係を調べています。またこの大規模サンプルを使って宇宙の成り立ちを調べる宇宙論的研究も展開しています。

すばる/Hyper Suprime-Camデータから選択した赤方偏移z=4 (120億年前) の遠方銀河の分布図例 (Harikane et al. 2018a)。

我々の研究によって得られた銀河の星形成率とハローへの物質降着の基本関係 (Harikane et al. 2018a)。

遠方宇宙の原始銀河団

すばる望遠鏡/Hyper Suprime-Camのデータを用いて、現在の宇宙の銀河団の祖先である「原始銀河団」を探査しています。我々は2019年に観測史上最遠方の原始銀河団を発見し、NHK、毎日新聞、日本経済新聞、AFP等の各種メディアで紹介されました。

我々が発見した観測史上最遠方の原始銀河団 (Harikane et al. 2019)。

観測史上最遠方の原始銀河団 (赤矢印) のまわりの宇宙の三次元地図 (Harikane et al. 2019)。

遠方銀河の星間物質

アルマ望遠鏡やVLT等の分光スペクトルを使い酸素や炭素などの重元素の輝線・吸収線をとらえることで、遠方銀河の内部の星間物質の物理状態を研究しています。

我々のアルマ望遠鏡観測で検出した赤方偏移z=6 (128億年前) の銀河からの重元素輝線 (Harikane et al. 2020a)。