私はジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡やアルマ望遠鏡、すばる望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡といった大型望遠鏡を使い、遠方宇宙・宇宙初期の銀河や巨大ブラックホールの形成・物理的進化を研究しています。
宇宙の歴史の概略図(Harikane et al.)
ジェイムスウェッブ宇宙望遠鏡を用いた初期宇宙・初代銀河の探査
ジェイムスウェッブ宇宙望遠鏡 (James Webb Space Telescope; JWST) を用いて宇宙初期の銀河や巨大ブラックホールを探し、初代銀河・ブラックホール形成の謎に迫っています。
我々はJWSTの観測データから、理論モデルで予想されていた以上に多くの133-136億年前の銀河を発見しました。
最遠方宇宙で見つかった理論予測を超える活発な星の誕生―宇宙の夜明けは予想以上に明るかった―(東京大学宇宙線研究所, 日経新聞, NHK)
Harikane et al. (2023a), The Astrophysical Journal Supplement Series, Volume 265, Issue 1, id.5, 27 pp. (NASA/ADS, arxiv)
Harikane et al. (2024a), The Astrophysical Journal, Volume 960, Issue 1, id.56, 22 pp (2024), (NASA/ADS, arxiv)
また120億-130億年前の宇宙に、従来の予想の50倍多い10個の巨大ブラックホールを見つけました。
遠方宇宙に大量の巨大ブラックホールを発見 (東京大学宇宙線研究所, 日経新聞, 産経新聞, 朝日新聞, 東京新聞等)
Harikane et al. (2023b), The Astrophysical Journal in press, arXiv:2303.11946 (2023), (NASA/ADS, arxiv)
その中にはlittle red dotsと呼ばれる、新種と思われる天体も含まれていました
Little red dotsに関するレビュートーク (link)
JWST観測により正確な距離が測定された134億光年かなたの銀河CEERS2_588 (NASA, ESA, CSA, Harikane et al.)
発見された120億-130億年前の10個の巨大ブラックホール (NASA, ESA, CSA, Harikane et al.)
すばる望遠鏡の広視野カメラHyper Suprime-Camやハッブル宇宙望遠鏡のデータを用いて世界最大の遠方銀河サンプル(合計約400万個)を構築し、銀河の統計的性質(光度関数、相関関数)や銀河と暗黒物質ハローの関係を調べています。またこの大規模サンプルを使って宇宙の成り立ちを調べる宇宙論的研究も展開しています。
Harikane et al. (2016), The Astrophysical Journal, Volume 821, Issue 2, article id. 123, 23 pp. (NASA/ADS, arxiv)
Harikane et al. (2018a), Publications of the Astronomical Society of Japan, Volume 70, Issue SP1, id.S11 (NASA/ADS, arxiv)
Harikane et al. (2022), The Astrophysical Journal Supplement Series, Volume 259, Issue 1, id.20, 37 pp. (NASA/ADS, arxiv)
日本天文学会誌 天文月報解説記事 (link)
120億年前の銀河周辺のダークマターの存在を初検出 (東京大学宇宙線研究所, 名古屋大学)
すばる/Hyper Suprime-Camデータから選択した赤方偏移z=4 (120億年前) の遠方銀河の分布図例 (Harikane et al. 2018a)。
我々の研究によって得られた銀河の星形成率とハローへの物質降着の基本関係 (Harikane et al. 2018a)。
すばる望遠鏡/Hyper Suprime-Camのデータを用いて、現在の宇宙の銀河団の祖先である「原始銀河団」を探査しています。我々は2019年に観測史上最遠方の原始銀河団を発見し、NHK、毎日新聞、日本経済新聞、AFP等の各種メディアで紹介されました。
Harikane et al. (2019), The Astrophysical Journal, Volume 883, Issue 2, article id. 142, 16 pp. (NASA/ADS, arxiv)
すばる望遠鏡、130 億光年かなたの宇宙に銀河団を発見 (国立天文台, 東京大学, Nature research highlights)
我々が発見した観測史上最遠方の原始銀河団 (Harikane et al. 2019)。
観測史上最遠方の原始銀河団 (赤矢印) のまわりの宇宙の三次元地図 (Harikane et al. 2019)。
アルマ望遠鏡やVLT等の分光スペクトルを使い酸素や炭素などの重元素の輝線・吸収線をとらえることで、遠方銀河の内部の星間物質の物理状態を研究しています。
我々のアルマ望遠鏡観測で検出した赤方偏移z=6 (128億年前) の銀河からの重元素輝線 (Harikane et al. 2020a)。