2024/11/21
(The Ghostly Gaze Illusion: Jenkins, 2007)
近くから見ると、左側の女の子が男の子の方に目を向けているように見えます。しかし、すこし離れて遠くから見ると、今度は右側の男の子が女の子の方に目を向けているように見えます。
2008年の錯視コンテスト(BEST VISUAL ILLUSION OF THE YEAR CONTEST 2008 )でベスト錯視第2位に選ばれたRob Jenkinsの「おばけの視線錯覚」に基づいて作成した画像です。
Jenkins R (2007) The lighter side of gaze perception. Perception, 36, 1266–1268.
この画像は、視線方向だけが違っている2枚の画像を用意して、一方の画像の細かな輪郭情報だけを取り出したもの(下画像左)と、
別の画像の粗い明暗情報だけを取り出したもの(下画像右)を重ね合わせて1枚の画像へと合成したものです。
ヒトの視覚はあまりに細かな明暗の変化や、あまりに広範囲にわたる緩やかな明暗の変化をとらえるのは苦手で、ほどほどの細かさの明暗変化に最も敏感です。このため、上の画像を近くで見ると、粗い明暗情報で描かれた白目と黒目の明暗変化はあまりに緩やかで捉えにくくなります。一方、黒目や瞳孔の細かな輪郭情報ははっきりと目立ちます。
しかし、上の画像を遠くから見ると、今度は細かい輪郭の情報は捉えることが難しくなり、粗い明暗情報で描かれた黒目の位置がより目立ちます。このようにして、見る距離によって感じられる視線方向が変化します。
この錯覚デモは2024.9.21-2024.11.15の期間に名古屋市天白図書館に展示していただきました。