1)僕は鍼灸師ですが、それほど鍼灸を使いません。お灸は全くしません。本来のお灸は高齢の方はご存知かとおもいますが、もぐさで皮膚を焼ききる治療でした。僕自身も経験あるのですが、あの熱さで一瞬そこの痛みがわからなくなり治った気になりますが、そのあと皮膚がケロイド状になり皮膚が突っ張った状態になり、予後はよくありません。かといって気持ちいい程度であるならば、お灸である必要がありません。温熱療法のほうが面積もあるし具合がいいです。もぐさのエキスが皮膚から吸収されるとか、アロマ効果というならば、燃やしている最中の副流煙の害も相当だと思います。
2)鍼に関しては、正直わかりません。20年勉強してきてこんなことをいうのはおかしいですが、経絡自体よくわかりません。痛みの治療に関しては経絡よりも、関節、筋肉、神経のほうが重要です。筋肉の硬結が出来やすい場所がツボである場合は多いです。その硬結を取る手段として、鍼を用いる手技を長年勉強し治療もしてきましたが、問題点があります、硬結は点ではなく面で存在します。それを毛先ほどの鍼では取れません、取ろうとしてそこに20~30本鍼を打つこともしました。打つのもしんどいし、打たれるのもしんどいです。
3)逆に日本には経絡治療とよばれる打っているのか打っていないのかわからないような繊細な鍼治療があります、いろいろ勉強しました。僕には高尚すぎてわかりませんでした。打っているか打っていないかわからないなら、打たなくていいやと思いました。
4)地球に住む人間の体は絶えず重力に抗って、いろいろなバランスをとりながら生活しています。そのバランスが崩れたときに、痛みとなって知らせてくれます。普通の治療はベッドに寝て治療し、最後に座って、ちょっと立って終わりですよね。無重力でいくら整えても、起き上がる座る立つ歩くという重力下での動作をした瞬間バランスは崩れます。僕も散々やってきています。
5) バランスを取るということはすべての生命がいろいろな手段を用いてやっています。植物は根っこを広くか深く、枝を左右に伸ばすなど。人間は唯一2足歩行で立位がメインで座位と臥位3つの姿位で生活しますので、それぞれでバランスを取る必要があるためにかなりバランス機能が複雑になっています。
6)三半規管、眼球運動はバランス維持においてはものすごく重要ですが、あご、鎖骨、骨盤、膝関節、足関節など身体のいろいろなところにバランスを取るためのセンサーが備わっていてそれぞれが相関関係にあります。人間のようなロボットを作るのが難しいのはバランス機能が複雑が故です。
7)そんな複雑に入り組んだバランス機能に障害が出ると痛みになります。腰が痛いから腰を診る、レントゲン、CTを撮るシップを貼る、痛み止めを飲む、効かないのは当然かも知れません。鍼灸整体の治療では腰の痛みを足のつぼで治すことがあります。それでは不十分ですが、痛みへのアプローチとしては先人の知恵は勉強すべき価値がたくさん有ります。
8)バランス機能の大半は関節にあり、関節は靭帯で覆われていて、筋肉によってコントロールされています。筋肉は膨張と弛緩します。鍼灸整体では筋肉を弛緩させますが、それでは筋肉の半分しかアプローチしていません。筋力トレーニングでは筋肉を膨張と弛緩両方アプローチしています。
9)もうだいたい、筋力トレーニングの必要性は理解していただけたかとおもいます。
10)そういうわけで、当ジムでは動きの中から身体をご自身で整え、鍛えていい循環を生み出すためのお手伝いをしています。お客さんに動いていただきご自身で直していただきたいのです。治るのに奇跡はないです、ゴッドハンドも必要ないです。自身の努力、決意しかありません。他力本願も治らない要因です。
2015年に安曇野に移住し、2016年に私が長年やりたかったトレーニングジムを開設しました。
この世界に入りまして約20年あまり、開業しまして10数年、痛みが無くなる方と全然良くなる気配がない方がどうしても出てきます。だめな方はあの手この手を使いますがだめです。そのことを考えている時、患者さんによく、「先生は、自分の体はどうして治しているのですか?」聞かれまして。「とにかく、動かして治しているのですよ。」とお伝えしていました。
その時に「自分でなんとか治すぞ!」という前向きな考えと、人に依存し過ぎない姿勢がかなり重要だと気づきました。
そう思ってからは、色々なトレーニング方法を勉強しました。ピラティス、ジャイロトニック、初動負荷理論などなどです。
どのトレーニング方法も素晴らしく身体を変える力が当然あります。ただ、利用する方がお金がかかりすぎる、そもそもマシンが導入出来ないなど、様々な壁がありました。
長年かけてゆがんできた身体を変えるには、利用する方が気軽に来れて継続できる環境が必要です。