筑波大学大学院理工情報生命学術院
生命地球科学研究群 生物学学位プログラム
先端分子生物科学分野
微生物代謝学研究室
生命地球科学研究群 生物学学位プログラム
先端分子生物科学分野
微生物代謝学研究室
研究室の概要と目指すもの
キーワード
代謝(アミノ酸生合成、炭酸固定、エネルギー獲得)、酵素、生化学、
微生物(細菌、古細菌、独立栄養生物、好熱性生物)、応用微生物学、農芸化学、
生命の起源と進化、融合研究(生化学と触媒化学・物理化学)
お知らせ 2025.06.16更新
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大学院説明会&研究室紹介が行われます@筑波大学
私も参加&ポスター掲示を行います 終了しました
詳しくは生物学学位プログラムのHPをご覧ください
最近の研究テーマ
同じ反応を触媒する酵素は、我々ヒトのものも、植物のものも、微生物のものも同じ起源を有していることが多々あります。一方で、生物によって異なる起源(タイプ)の酵素を有することもあり、中には各生物が進化の過程で適切なタイプの酵素を選択していることを示唆するものがあります。しかし、その選択圧は多くの場合不明です。そこでわたしたちは、各タイプの酵素が何に適応て誕生し、進化したのか理解しようとしています。
酵素タンパク質の比較および進化に関する考察には、これまで遺伝子もしくはアミノ酸配列を比較する方法が主流であり、一部の解析にはタンパク質の立体構造比較が使われてきました。これに対し、わたしたちの取り組んでいる物理化学パラメータの比較は、既存の方法を用いることができない起源を異にする機能ホモログ間の比較にも使えます。そのため、酵素の多様性や進化を説明する新たなツールとなることが期待されます。
持続的な生命圏の確立には、CO2やCOから有機物を作ることができる独立栄養性生物、そしてそれを可能にする炭酸固定経路の誕生が不可欠であったはずです。しかし、初期生命の炭酸固定経路の姿には未だ特定されていません。近年、炭酸固定経路とアミノ酸の生合成経路は密接な関係があることが分かってきました。しかし、現存生物のアミノ酸生合成経路には多様性があり、未だその生合成経路が不明な生物も多いです。そこで当研究室ではアミノ酸の未知の生合成経路・酵素を同定するとともに、アミノ酸生合成経路と炭酸固定経路の包括的理解を通じて基幹代謝経路の進化の道筋を明らかにしようとしています。
同じ反応を触媒する酵素であっても、どの配列・生物に由来するものかによって性質が異なります。これは適応進化によるものと推定されますが、その選択圧は多くの場合不明です。当研究室では、酵素が何を目指して現在のような進化を遂げたのか、その最適化因子を解明しようとしています。
我々のアプローチのユニークな点は、酵素タンパク質の比較および進化に関する考察に、物理化学パラメータの比較を取り入れる点です。本手法は、遺伝子もしくはアミノ酸配列の比較やタンパク質の立体構造の比較といった既存の方法では比較できない起源を異にする機能ホモログ間の比較にも使えるため、酵素の多様性や進化に合理的説明を与える新たなツールとなることが期待されます。
参考記事&プレスリリース ※原著論文は「業績」をご覧ください
「酵素活性を自在に変えられるのか」日本語の記事
「酵素活性を向上させる因子の発見」
「酵素活性を最大化する理論的な条件の発見」
「セリン生合成酵素と酵素の動力学パラメータの多様性に関する発見と考察 」(プレプリント)
「アミノ酸生合成とCO2 固定経路の密接な関係 グリーンバイオケミストリーから生命進化まで」
化学と生物 Vol.59 No.9 P.458-463 ←PDFをクリックすると原文が読めます
「未知の中心的代謝酵素の探索と性状解析ー 生命の多様性および進化の理解を目指して」(ポストプリント)
農芸化学若手女性研究者賞 受賞者講演要旨
「タンパク質の構造解析からエネルギー通貨の進化の痕跡を探る「ピロリン酸は原始的なエネルギー通貨だった説」をサポートする証拠を発見」(原文)
海洋研究開発機構 超先鋭研究プログラム(千葉の旧所属)研究内容紹介