研究概要

走査型プローブエレクトロスプレーイオン化法(SPESI-MS)の開発と医用応用

 生体組織中のがん領域や、高分子材料中の添加剤分布などの幅広い応用分野において、物質中の複数の化学成分の分布を、網羅的に捉える技術が求められている。これを実現する技術の一つとして、質量分析イメージング(MSI: Mass Spectrometry Imaging)が挙げられる。

 MSIでは、①物質の局所領域に含まれる化学種を、サンプリング・イオン化し、質量分析器で成分分析を行う技術と、②ミクロの分析領域を試料表面上で走査する技術、を組み合わせることで、試料に含まれる化学種の二次元分布を捉えることを可能にする。

 代表的な質量分析イメージングとして、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)が挙げられる。これらの技術はすでに商業化されており、バイオメディカル分野や材料分野で幅広く利用されてきた。近年では、その迅速性・簡便性の観点から、大気圧環境下で実施可能な、アンビエントイオン化技術を用いたイメージング質量分析法に関する研究が注目されている。

 我々が研究を進めている、走査型プローブエレクトロスプレーイオン化法(SPESI)は、アンビエントイオン化技術であり、試料の表面処理を行うことなく、大気圧環境下で化学種の分布を可視化することを可能にする。

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大塚は、大阪大学大学院理学研究科物理学専攻と、大阪大学大学院理学研究科化学専攻に所属し、独創的な質量分析装置の研究開発とそれを用いた応用研究を行っています。

質量分析は、物理学・宇宙地球科学・化学・生物学・ライフサイエンス・環境科学・農学など様々な分野と関わっています。当研究室では物理学をベースとした装置開発を核として様々な分野の研究者と連携しながら分野横断型の研究を進めています。質量分析に関する装置開発を行っている大学の研究室は世界でも非常に珍しい存在です。

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