研究
Research interests
現在および過去の地球、さらには一般的な惑星に対し、大気の化学を中心に表層環境の理解を目指します。以下3つの手法を軸にできたらと思います。
室内実験
1. 素過程の理解
2. 代理指標の開発
数値モデル計算
素過程を組み合わせ、地球や惑星環境の理解
数式の解析
直感的に振る舞わない現象の理解
1. 物質が生成・消費される素過程の理解は地球や惑星の表層環境を考える上での基礎です。このような素過程はよく理解されているものの多いですが、そうでないものもあります。
主に実験的なアプローチを試みています。
「反応速度定数」などの数値化に成功すると、実験を行った限られた条件だけでなく、様々な環境の条件に外挿できます。
進行中の研究: 一酸化炭素ガスの非生物消費プロセスおよびその速度の解明(アストロバイオロジーセンタープロジェクト研究、反生命指標の確立: 一酸化炭素に富む惑星大気)
2. 数億年以上の過去の地球環境は、地層の岩石を利用し復元できる可能性があります。しかし、生命活動にかかわるような特に知りたい情報(例えば大気組成、地表温度、海水組成など)を直接的に復元できることはまれです。
そのため大気組成などを反映し、かつ地層に残りやすいような代理指標(プロキシ)を確立することが重要です。地球化学の分野では「同位体の比」がよく使われます。(主に安定同位体比が使われます)
※同位体は同じ元素でも重さが違う原子です。重さが違うと反応の速度が違うため、反応の履歴を残すことがあります
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地球科学、化学、生物、物理など分野を問わず、数式やモデルの複雑さや分析装置の限界、計算資源の限界など様々な理由で「近似」が使われます。ここまでは当然のことですが...
「同位体比」のようなマニアックな指標を扱っていると、分析の都合上定義された指標と熱力学から導かれた定理、混合などもっと単純な数式で書ける現象などが入り混じります。そして簡単に扱うために特に意識せず近似が入ります。
その結果、非線形の直感的でないデータが得られた時、それが実際に起きるのか、近似に起因する見かけ上のものなのかわからなくなります。そしてこれが天然の観測のデータとの比較に重要な影響を及ぼす場合もあります。
簡単な計算でも意外な結果が得られる場合があります。
(イラストは「いらすとや」よりhttps://www.irasutoya.com/)
過去の研究: Endo et al. (2015)
硫黄同位体(32S, 33S, 34S, 36S)ごとの二酸化硫黄SO2の吸収スペクトルを測定した。36SO2の吸収スペクトルを初めて決定し、SO2光解離反応の同位体分別係数を高精度(~1%)で決定した。
過去の研究: Endo et al. (2022b)
低温低圧でのSO2の硫黄同位体分別の測定。低温ほど同位体分別係数が大きくなり、実験に成功した最低温度の約−46°C (対流圏界面の温度に匹敵)では室温に比べて3~4倍の大きさになった。温度が低いと同位体分別が大きくなるメカニズムは解明できなかったが、吸収スペクトルの温度依存性が関係していると推測している。
iMac pro (2017)