五感で感じる自然は気持ちがいいものです。二十四節気、四季のうつろい、自然は時期によっていろいろ変わり、それを感じるのも楽しいものです。風の音、鳥のさえずり、水の音などそこここに 1/f の揺らぎがあるからでしょうか。木々からリラックス効果があるフィトンチッドが出ているからでしょうか。本当のところはよくわかりませんが、自然とのふれあいが健康に良いということが科学的に証明されつつあるようです。
富里の谷津では、いろんな自然体験イベントを行っています。田植え・稲刈り・タケノコ掘り・ザリガニ釣り・昔遊び、挙げればキリがありません。子どもの自然体験、子どもが楽しいだけではありません。企画するスタッフ陣やお父さんお母さんなど大人も楽しいんです。子どもの自然体験に関わる調査で、自然体験を経験した子どもの方が道徳感や社会性が成長するという統計結果がありますよ。子どもの成長にも良さそうです。
谷津を整備するため、イベントが楽しいから、生き物が好きだから、植物が好きだから、いろんな理由で谷津に人々が集まり、一緒に汗を流し、バカ話しに興じます。活動日に集えば誰かがいます。研究者の方、企業の方、市役所の方、なぜかいろんな人が集まります。予想外のことがどんどん起きて楽しいですよ。
普段は谷津に関わらない人々も谷津に集まります。たくさんの大きな鯉のぼりを見るため、舞い飛ぶホタルを見るため、もみじなどの紅葉を見るため、希少な花々を見るためなどいろんな理由で。季節ごとにいろんな顔を見せる観光地です。
富里の谷津は、どこも長い間耕作放棄されて荒れ放題でした。背丈ほどの雑草や竹藪を切り開くことで、キンランやギンラン・カタクリなど数えきれないほどのいろんな植物が蘇ります。湿地を整備して池を作ることで、カエルやトンボ・ホタルなどがたくさん見られるようになります。クヌギやコナラなどの雑木林も整備されていて、生態系の保全に貢献しています。
木には、陽当たりを好む陽樹と陽当たりが少なくても良い陰樹があります。木々の特性、食べられる野草、毒のある植物、種によって違うカエルの鳴き声、湧水の温度、いろんな学びがあります。竹の切り方、紐の結び方、ナイフの使い方など、体で覚える学びもたくさんあります。谷津にくる子どもたちの目はキラキラ、興味津々。実際、大人も驚くほどの自由研修を完成させる子どもさん、何人もいます!
また、たくさんの研究者の方々も頻繁にいらっしゃってます。
竹林を整備すると、大量の枯れ竹が出ます。そのまま放置しておくと、腐敗(微生物の呼吸)により内部の炭素が二酸化炭素として大気に放出されますが、枯れ竹を燃やして炭にすることで、大気に放出されるはずだった二酸化炭素を炭の中に閉じ込めることができます。この炭をバイオ炭と呼びますが、大気に放出されるはずだった二酸化炭素を数トンという規模で回収しています。
最近のゲリラ豪雨は激しさを増しているように思えます。街の中は雨水が浸透しにくいアスファルトやコンクリート、川は直線的な三面コンクリート、降った雨は短時間で下流に流れ、水害のリスクが高まります。
谷津の湿地を整備し、池や田んぼを作ることで、降った雨水を蓄えたり、ゆっくりと流す効果があります。下流川の水害を緩和する効果があるようです。
高台に畑があるので、谷津に湧き出す絞り水には肥料などに由来する窒素分などがあるそうです。これがそのまま下流側に流れると、たとえば、印旛沼の富栄養化・水質悪化につながるとのこと。
谷津の中で、絞り水がいくつもの田んぼを経由して流れたり、クネクネと曲がりくねって流れたり、時間をかけて流れるようにすることで、窒素分が抜けて、水質浄化されて流れるそうです。めざそうよ、泳げる印旛沼!
整備された竹林、下草刈りされた雑木林、斜面林が整備された谷津はきれいで清々しいものです。そこに季節の花々が咲きます。富里の原風景かもしれないなと思います。
谷津は、定期的な活動の中で草刈りを行い、斜面林や水辺の整備をしていますので、いろんなことができます。コンサートを行ったこともありますし、いざという時は大勢の人が集まれます。