幽玄の奥駈道トリカブトの群落ネットの中の花畑日時2025年9月21日(日)メンバー増田彦増田み阪口松村片桐小渕(CL記)3ヶ月前、クサタチバナの時期に90番から登った折、満開のクサタチバナに続いて、まだ花の無いトリカブトの葉の群生が道の両側に広がり、この場所が花開いたら、紫色に染まると想像しながら歩いた。行者還山行はもう10年来の恒例であるが、クサタチバナの時期のみで、夏の終わりに登るのは初めてである。午前2時頃に前線が通過し、30分暴風雨となった。4時で上がる予報であったが、5時に出発しても小雨が降り続き、和佐又トンネルを抜けて309号に入る頃、やっと青空がのぞき始めた。7時に90番到着。一番乗りである。熊鈴を鳴らしながらゆっくりとリハビリ登山を開始する。もう知り尽くした道なので、時間をかければ後期高齢者でも楽に登れる。タイタン広場まで順調に登る。タイタンは2、3年前に倒木が運転席を直撃し、それからの傷みが激しい。ヤマップ情報によると、5日前にこの場所で熊目撃情報があり、緊張しながらもここで休憩。再出発してしばらくの林道跡の頭上はシロヤシオの木々が続くが、シロヤシオもクサタチバナより満開の時期が早い。一度だけ名残のシロヤシオを見たが、その時はサラサドウダンも咲いていた記憶がある。近年の地球沸騰化で山の花の時期も変わり、私の60年の経験則も狂いだした。坂を登り詰めると奥駈道に合流する。少し南の一のタワから行者小屋までの奥駈道は私の最も好きな道である。そして今日は雨上がりのため、一面に霧が立ち込め幽玄の世界の趣いっぱいである。通い慣れた登山道を鋭角に曲がり、石灰岩の斜面を注意しながら登ると、花畑が始まる。3ヶ月前、白い花が満開だったクサタチバナは5cmほどの細長い種を付け、来年の季節を期待させる。クサタチバナをぬけると今日の目的のトリカブトである。が、ここのトリカブトも三峰山と同様に葉が真っ黒に枯れている。だが、この群生地は場所も広く、数も桁違いに多いので生き残った株や日陰で無事に咲いている株だけでも相当の数である。歓声を上げながら紫色を楽しむ。続いてコバイケイソウの群生の場所であるが、なんと、すべての株が真っ黒焦げで立ち枯れしていて、まるで山火事のあとの様に見える。霧の中の立ち枯れが、痛々しく改めて今夏の猛暑のすごさを感じた。すこし歩いて行者小屋に到着、小屋内に入り、ブランチをとり、今日のピークはここまでとする。食後、小屋外に出ると寒い。極楽でも沢山余っているのか、風も吹く。ウインドブレーカーが必要な季節になった。帰路、再び立ち枯れのコバイケイソウ、紫のトリカブトを愛でながら歩く。すると、往路では気付かなかったが、保護ネットの中で黄色の花が満開である。ほとんどは黄舟草だが、奥の方には「雄宝香」(オタカラコウ)が2本満開である。黄色の小菊を段々に重ねたような花である。毎年6月に通る時には草ばかりで何の花を保護しているのか解らなかったが、(葉が大きかったので衣笠草でも咲くのかと想像していたが)こんな黄色の花々が咲いているとは・・・。直後すれ違ったorangeさんの情報によると、黄レンゲショウマも奥の方に見られるらしい。お話を聞いているorangeさんの足元にアケボノソウの株が・・・。90番分岐で一休みして下山は転げるように下る。分岐から下はうそのように霧ははれた。行者小屋手前の一帯は花園である。