山間地環境計画学研究室について
青森県を含む北東北では、古くから森林資源の利用がなされ、農業を基幹産業として発展してきました。この地域は降水量が比較的少ないでありますが、近年、青森県下北半島北部(2021)、青森県全域(2022)などで豪雨による土砂災害が多発しています。そのため、災害に強い地域の基盤の整備が急務です。また,白神山地を中心に豊かな森林環境有する青森県では,景観維持や環境保全への取り組みも重要です。当研究室は、山間地域の持続的な保全・利用、そしてそのための防災を目指して研究を行っています。
研究内容の詳細は、弘前大学研究者総覧やresearchmapをご参照ください!
1.土砂災害の発生メカニズムの解明と災害対応
近年の北東北では、不安定な風化物質や氷期の堆積物が崩壊するこが多く、地形判読や現地踏査を通じて崩壊場所・形態を推定できます。当研究室は、デジタル技術やICT(情報通信技術)を活用して地形・地質調査を進め、地域の土砂災害対策に反映させることを目指します。また、地域で災害が発生した場合(火山災害、雪崩災害、洪水災害なども含め)には、災害対応に協力します。
海外の激甚災害時においても国内外の行政機関や大学の研究者と協力して積極的に参加して対応します。調査で得た知見を関係機関および行政機関とも討議・共有することで、研究成果の社会実装を進めることを目指します。
2.世界遺産白神山地を含む地すべりが多い森林地域での斜面の変動把握手法
人工衛星データなどのデジタルデータの活用により、広範囲にわたる地すべりの監視と計測を高精度で行うことを目指します。これにより、地すべりの発生状況や進行状況を迅速かつ正確に把握し、早期警戒システムの構築に貢献します。また、多時期の地形データを用いて高密度の地表面変位ベクトルの計算をし、すべり面の形状を推定することで、効果的で効率的な地すべり対策のための新たなアプローチを開発しています。
樹木年輪年代学の技術を用いて、過去の地すべりの発生履歴を復元し、地すべりの発生メカニズムや頻度を解明します。本研究の目的は、単に履歴を推定するだけでなく、樹木が地すべりや地形変形を「センサー」として記憶することを応用し、事前防災対策の効率化と効果向上を目指して、地すべりリスクの評価や予測精度を高め、自然環境に配慮した土砂災害対策の策定に貢献します。
3.地すべり地を資源として地域振興を諮る手法
白神山地の環境教育・観光資源となりうる地すべり地がもつ地形景観や植生生態について地学や地生態学的な視点から研究に取り組んでいます。調査を通じて、地形の成り立ちや地すべり地形と植生分布の特性がどのように関係しているかを解明します。また、調査で得た情報を基に、来訪者が理解しやすい案内資料を作成し、ガイドが現地での活動に役立つ教材を作成します。本研究は、深浦町、藤里町、八峰町などとの共同研究として、地域課題の解決に取り組んでいます。これらの研究成果は、地すべり地を地域資源として活用し,環境保全思想の普及や住民参加の促進等を通じて、白神山地の魅力向上や地域の活性化に貢献します。
4.持続可能な防災・減災策
気候変動に伴う豪雨による土砂流出の増加に対し、災害復旧が急務です。しかし、過度な土砂抑制は新たな環境問題を引き起こす可能性があるため、生態系に配慮したバランスの取れた環境保全型の土砂災害対策が求められています。
当研究室は、森林などの生態系を活かした防災・減災の手法に焦点を当て、地域の資源を活用して、地域社会や経済、自然の特徴に適した土砂災害対策を検討しています。発展途上国も含めた世界の防災と環境保全の両面で貢献することを目指します。
5.国際連携によるグローバル課題の解決 ― 日本、台湾、そして世界をつなぐ架け橋
・ネパールにおける森林等の生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)の有効性に関する研究(2023年10月~現在に至る)
発展途上国では、さまざまな森林植生が存在し、森林は資源として山地農業で堆肥・飼料・燃料等として多用されます。ヒマラヤ山脈を擁するネパールでは、土砂災害が多発しており、経済的にコンクリート等強靭な構造物による対策が難しく、道路斜面の保全や河川護岸等で植生や自然石が多用されています。近年、国際的に森林等の生態系を活かした防災・減災(Eco-DRR)が注目されているが、ネパールでは,森林資源の伝統的活用にEco-DRRの素地がすでにあるともいえます。このような背景を活かし、ネパールでの簡易な砂防工法の開発研究を進め、山岳地域の発展途上国に適した砂防計画手法の研究に取り組んでいます。
・台湾と日本の斜面災害多発地域の交流で実現する地域防災力の強化に関する自治体との連携事業(2019 年 8 月~現在に至る)
台湾と日本の斜面災害多発地域の交流で実現する地域防災力の強化について、台湾の九分二山国家地震記念公園との栗駒山麓ジオパークとの国際交流(交流締結(2019 年 9 月-現在に至る)、日台技術交流ワークショップ(2020 年 11 月 20 日、2021年 11月 24 日(オンライン開催))、特別共同展示会(2021年 4 月1 日-9 月30 日) )、共同商品開発(2023年~2024年)に携わっており、地域の発展に貢献しています。
・二国間交流事業(JPJSBP120199908)「大規模土砂災害対策に資する深層崩壊と土砂生産の予測」 (2019年4月1~2022年3月31日)
「大規模土砂災害対策に資する深層崩壊と土砂生産の予測」について、台湾と日本の比較研究を行い、ワークショップ(2019年は現地開催;2回実施した)も共催しました。日本側の研究者と、台湾側からは中興大学、成功大学、文化大学、中央地質調査所などの研究機関の他、実際に防災の行政機関である農業部農村発展及び水土保持署などからの参加もあり、研究交流・議論を行うことができました。特に、台湾側には本課題の指導的立場にある研究者、防災対応を担当する行政官などが参加したことから、研究成果のうち社会に現実的に適用可能性が期待され、安全・安心な社会構築に貢献しています。
・2015年のネパールゴルカ地震と関わる災害調査・復旧対応 (2015年11月~2018年5月)
2015年のネパールゴルカ地震による崩壊箇所について、衛星画像判読による抽出した1万3千箇所を超える崩壊データベースを作成し、その分布特徴を解明し、被災国の貴重な電源資源である水力発電所や道路の復興について、提言することができました。そのデータベースを無償で世界中に公開(https://japan.landslide-soc.org/archives/4713)し、ネパール政府関係機関や自然災害防止に関する国際研究機関(ICIMOD)にも提供し、災害復旧に貢献しています。
We are recruiting students for both the Master's and Doctoral programs!! Feel free to reach out to me for more details.
修士課程の入試説明会は、5月に行われています。修士課程入試日程は春期や秋期などによって異なりますので、詳しくは弘前大学大学院入試日程(農学生命科学研究科)や 弘前大学大学院入試情報をご参照ください。
博士課程は、弘前、岩手、山形の3大学で構成される岩手大学大学院連合農学研究科に所属し、当研究室(弘前大学)で研究を進めます。博士課程の募集の詳細については、岩手大学大学院連合農学研究科の入試情報 をご確認ください。
当研究室では、日本学術振興会(JSPS)などのポストドクターも随時受け入れています。
関連分野で受け入れ先をお探しの方は、ぜひお気軽に鄒までご連絡ください。
研究室の歴史
2025年4月 准教授 鄒青穎(昇任)
2022年8月 講師 鄒青穎(昇任)
2019年4月 檜垣大助教授 定年退職
2015年10月 助教 鄒青穎(採用)
2003年4月 教授 檜垣大助(昇任)
1998年10月 助教授 檜垣大助