大会長挨拶

この度、第77回日本寄生虫学会西日本支部大会を大阪大学微生物病研究所分子原虫学分野の主催によりWeb上で開催いたします。新型コロナウイルス感染症の流行が長引く中、このような形での開催となることをご理解いただければ幸いに存じます。一方で新しいWebツールの発達と浸透により、従来よりも時間や手間をかけることなく、研究成果を発表・議論できるようになったことは歓迎すべき点です。本大会ではこれをフルに活用し、運営していきたいと考えています。


寄生虫による感染症はウイルス性・細菌性感染症と比較し、我が国をはじめとする先進国での流行は少なく、多くは途上国において問題となっています。先進国内での緊急度の低さから、研究のアクティビティはウイルス・細菌研究よりも低下する傾向にあるのが現状です。一方で、寄生虫疾患は有効なワクチンや治療薬の開発が遅れており、その推進は国際的な公衆衛生上、重要な課題となっています。我々、寄生虫学研究者がこの状況においてできることは自身の研究を止めることなく、着実に成果を積み上げていくことだと思います。また、その研究活動を通じ、少しで多くの若い人たちに寄生虫研究に興味を持たせ、その重要性・研究の醍醐味を伝えていくことだと思います。支部大会はこれら二つの点に応える格好の場だと考えます。

すなわち、研究をより良いものとするための発表・議論の場、また学部生・大学院生の初めての成果発表の舞台となります。運営スタッフ一同、寄生虫学研究の継続と発展に少しでも貢献できれば光栄に思います。


例年通り、若手研究者による優秀研究賞(BPA)対象の発表を募集いたします。Zoomの機能を使い、参加者全員で投票し受賞者を決定します。全てのBPA対象演題をお聞きの上で活発にご討議いただき、投票いただければと思います。


大会会期は前回の米子大会を踏襲し、朝から夕方までの一日を予定しています。長い一日とはなりますが、お付き合いいただければ幸いです。


皆様の活発なご発表、ご討議を心よりお待ち申し上げます。


第77回日本寄生虫学会西日本支部大会・大会長

大阪大学・微生物病研究所・分子原虫学分野・教授

岩永 史朗