調和道丹田呼吸法とは?その道40年のおじいさんが様々な質問に答えます。
調和道丹田呼吸法とは?その道40年のおじいさんが様々な質問に答えます。
カッパ:
いきなり流派って・・・。過去に、こういう質問があったってことですか?
おじいさん:
まあ、そういう事です。調和道協会(現在はNPO法人 丹田呼吸普及会として活動しています)が公益社団法人としての認可を受ける際、特定の流派ではないということを明言することが必要だったのです。
カッパ:
なるほど。そういった経緯があっての質問だったのですね!
おじいさん:
調和道丹田呼吸法は、明治の終わり頃に藤田霊齋が、東洋に伝わる様々な 呼吸法を体験的に研究整理して、体系づけたものです。 したがって、これを『特定の流派』の呼吸法というのは適切ではありません。
藤田霊齋が創始したといっても、何か特殊な呼吸法を創案したというよりは、東洋で古来から行われている様々な道に含まれている呼吸法の最も基本的な部分を体系的に身につけられるように整理したものといえます。 したがって、各方面で行われている呼吸法を含む道、技法などとは衝突矛盾するものではなく、むしろそれに役立つものです。
実際にも、健康法ということだけでなく、ヨーガ、気功、禅、太極拳、合気道、武道などを習っている人も呼吸法の基本ということで、調和道丹田呼吸法の実修に参加してい ます。
別な表現をすれば、調和道丹田呼吸法は『丹田呼吸の専科』、上記の諸道諸派は特定の目的のための『丹田呼吸の応用科』ともいえます。 調和道丹田呼吸法は、名称はともかく、創始当初から『より普遍的な道』を目指していたのです。
藤田霊齋は、この呼吸法が国民の身心の健康の維持と増進に果たす役割を重視して、昭和2年に公益活動を行う団体として、社団法人調和道協会を設立しました。 当協会は、より普遍的で基本的な健康法と不特定多数の国民を対象とした公益活動を目指しており、『特定の流派』の普及活動を行う意図は当初からありません。
ちなみに、この呼吸法に対する呼び名は、戦前は、調和息法、戦後は調和道丹田呼吸法 あるいは、調和道丹田呼吸健康法と呼んでいます。
カッパ:
そうだったのか〜。丹田呼吸法は様々な道を歩む上での基礎となるものってことですね!
カッパが趣味でやっている茶道にも役に立つってことですね!
おじいさん:
調和道丹田呼吸法は丹田呼吸をいつでも、どこでも、誰もが、正しく、安全に、易しく実修できるように体系化したものです。
カッパ:
わーい!
いつでも、どこでも、誰もが、正しく、安全に、しかも簡単って!
最高じゃないですか♪
おじいさん:
一般には、下腹部に力を入れる、あるいは腹圧をかける呼吸のことを丹田呼吸といいます。
しかし、それだけでは不十分であり、上体の力を抜かないと『いきみ』や『力み』になり、かえって危険なことになりかねません。
カッパ:
えっ!危険なこと!?
おじいさん:
そうなんです。
そこで、いきみや力みの危険を防ぐために上体の力を抜きリラックスさせ、下半身には気力を充実させて下腹部に腹圧がかかる状態で呼吸を行うのが、調和道丹田呼吸の特徴 といえます。
もっと簡単に言えば、『上虚下実』の『腹圧呼吸』といえます。
ちなみに、『上虚下実』は道祖・藤田霊齋による造語です。 言葉だけでは適切な説明が困難であるので、実修により会得してもらうことになります。
カッパ:
上体はリラックス、下半身は気力充実かあ〜。
おじいさん:
このように、調和道丹田呼吸法は丹田呼吸ではあるが、いつでも、どこでも、誰もが、 正しく、安全に、易しく、実践できるように、いくつかの工夫を加えた実修プログラムを用意しています。
その特徴を大きく整理すれば以下のようになります。
「いきみ」や「力み」を防止し、安全に丹田呼吸が習得できる工夫がなされている。
ただ単に『下腹部に力を入れる』では、誤って『いきみ』『力み』などのいわゆる努責作用になり、血圧や脳圧の上昇、 鼠径部ヘルニア(脱腸)などを引き起こす危険があります。 従って、上体の力を抜く『上虚下実』の姿勢や、随所で息を漏らす『漏気』などを 併せて行いこの危険を回避するようにしています。
古代から伝えられた丹田呼吸法を、現代の呼吸生理学で裏打ちし、単なる精神主義や妄信に陥らずに進化していけるように配慮している。
藤田霊斎の頃から研究されていたことではありますが、特に調和道協会2代目会長の村木弘昌医学博士が半生をかけてこの課題に取り組まれました。もちろん一人の人間によって呼吸生理学のすべてが解明されるわけではなく、今で も、各方面の学者が呼吸の人体に与える影響について研究を進めていますが、村木先生はその第一歩を築いたといえます。
素質に恵まれた人しか入っていけない難行苦行の道ではなく、誰でもが、場合によっては病弱者でも身につけられるように、無理のない段階プログラムが用意されている。
現在は幾つかの息法を初級中級および上級に分けて行うよう『実修要項』が定められています。
カッパ:
いつでも、どこでも、誰もが、正しく、安全に、しかも易しく習得できるように色々な研究や工夫がされているんですね!
おじいさん:
吸気呼気に合わせて、胸を上げ下げするのを『胸式呼吸』と呼び、おなじく吸気呼気に 合わせてお腹をふくらませたり凹ませたりするのを『腹式呼吸』と呼ぶことは一般によく知れわたっていると思います。 このほかに、呼気に合わせてお腹をふくらますのを『逆腹式呼吸』といいます。また、 胸部と腹部を同時に使うのを『胸腹式呼吸』といいます。 腹式呼吸あるいは胸腹式呼吸は二木謙三博士(二木式健康法の提唱者)の研究が有名です。
『丹田』という言葉は『下腹部』とほぼ同義語として使っていますので、『腹式呼吸』 と短絡的に理解するのはやむを得ないかもしれません。 しかし、腹圧呼吸は腹部に力が入ることから腹式呼吸、あるいは息を出しながら腹圧をかけることから逆腹式呼吸という理解は、単純すぎて正しいとはいえません。
調和道丹田呼吸法はプログラム化された一連の呼吸法ですから、胸式、腹式、逆腹式などすべての呼吸がその中に含まれています。プログラムの一部を取り出せばそのどれかに該当しますが、全体としてみた場合にはそのどれとも断定できません。
『丹田』は古代中国における身体論で『下丹田』をいい。命を養うイマジナリーな(想 像上の)器官で、下腹部にあるとされているので『臍下丹田』ともいいます。 日本では『肚(はら)』ともいい、元気の源と考えられています。
ちなみに、この呼吸法をヨーロッパに伝えた際に『丹田』では全く理解されないので『横隔膜呼吸法(Respiration Diaphragmatique)』と呼んでいます。
おじいさん:
調和道丹田呼吸法は『健康法』です。
Q1 で述べたように、調和道丹田呼吸法は様々な道に通じており、特定の目的のために特化した呼吸法ではありません。しかしながら、藤田霊斎は、ご自身の体験と様々な実例からこの呼吸法が人間の健康に及ぼす絶大な効果に着目し、これを万民のものとすべく、健康法の重要な要素として体系化したのです。
『健康』という言葉には深々の意味があり、調和道丹田呼吸法では、身心の健康、つまり肉体面と精神面の健康を指します。 当然のこととして、この呼吸法は精神修養の道にも通じていますので、実修者が望めば そのために役立てることができますが、一部のヨーガや坐禅のようにそれに特化しているわけではありません。
ちなみに、世界保健機関(WHO)では、『健康とは身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態であり、たんに病気あるいは虚弱でないことではない』としています。
丹田呼吸法は肉体と精神を癒しあるいは鍛え、人間が本来持っているはずの自然治癒力 ・免疫力を高める方法です。わが国古来から伝わる呼吸法を生理学的に裏付け体系化し、 何時でも何処でも誰でもが実践し易く改良を加えております。この呼吸法は横隔膜を十分に動かして肚を鍛え、血液循環を良好にすることで現代病(自律神経失調症やストレス等)、生活習慣病(ガン・脳卒中・心臓病等)の予防対策など、究極の健康法として期待できます。
カッパ:
究極の健康法! ぜひ、身につけたいな♪
おじいさん:
調和道では、『正しい呼吸による健康の維持と増進』を、基本理念としております。 この基本理念を具現化していく上で、特定の宗教の枠は必要ないと考えております。 宗教を否定しているのではありません。 調和道丹田呼吸法の道場では、様々な宗教を信じる者も無宗教者も、実修に参加しておりますが、宗教活動は一切禁止しております。
おじいさん:
医療行為は医師法により無資格者が行うことは固く禁じられております。 当協会では医療行為あるいは医療類似行為は一切禁止しております。 当協会の理事には医師もおりますが、医療活動を行っているわけではありません。 医療に関わりの深い問題に対処するために、適切な助言を求めることはあります。
おじいさん:
昔は『強健術』のように、病者を鍛えるような負担を強いるおそれもあったのですが、 現在は、『養生法』のように病者を癒す効果を重視し、無理なく実修できるように進化しております。 しかし、この呼吸法は病気に対する治療法ではありませんので、病者が自己責任で実修される場合でも、担当医に相談されることを強く奨めております。
カッパ:
お医者さんにまずは相談ですね!
おじいさん:
一つには、呼吸法を実修する人の内面に関する調和を表しています。 調身・調息・調心といって、身体を調え、息を調え、心を調えるのがこの呼吸法の基本 となるからです。この三者を一体となるまで調和(シンクロナイズ)させるのがこの呼 吸法の極意となります。調和道丹田呼吸法では、動息心の調和あるいは息腹心の調和と表現しております。
もう一つは、呼吸法を実修する人とその人の外界、つまり大自然と実修者が呼吸を通じ て調和していくという、深い意味も込められています。
この『調和道』を当協会は固有名詞として使用していますが、上に述べた意味での調身 ・調息・調心の三者の調和は、より普遍的な意味を持つものです。Q1 において列挙し た様々な道においては、名称は異なるが、それぞれの極意としているものです。たとえ ば相撲道においては『心・技・体』の一体化をその極意としているようにです。 たとえ『調和道』と名乗らなくても、内容においてはそれぞれに『調和の道』を目指しているのです。
調和道丹田呼吸法は、調身・調息・調心を象徴化した名称を使用しているのです。
カッパ:
そっか〜。自分もみんなも全部がハーモニーとなって生きていけたらハッピーだね〜♪
おじいさん:
藤田霊斎が体系化した調和道丹田呼吸法は、昭和2年に設立された社団法人 調和道協会が伝承し、一般に普及しかつ後世に伝承していく役割を担いました。その後、平成24年に公益法人に関する法律の制定を受け、公益社団法人 調和道協会に移行しましたが、平成30年に残念ながら解散しました。現在は、NPO法人 丹田呼吸法普及会が、その役割を引き継いで活動してます。
NPO法人丹田呼吸法普及会では、各地の認定教室や認定指導員の紹介を行っています。まずは、お近くの教室に問い合わせてみてください。お近くに教室がない場合は、オンライン実修も行っています。