Seminars

Speaker: 角田 峻太郎 (京都大学)

Date & Time: 2019年2月7日午後2-3時

Room: 本郷キャンパス工学部6号館セミナー室A&D

Title: 高対称線上の超伝導ノードのトポロジカル的分類

Abstract: 異方的超伝導体の発見を契機として、対称性による超伝導の分類が1980年代頃から始まった[1-4]。これは結晶点群に基づいて超伝導の「秩序変数」の分類を行うものであり、その結果は超伝導の励起スペクトルの解析において今日に至るまで広く用いられてきた。しかし近年、上記の理論は実際にはBogoliubov準粒子スペクトルの励起エネルギーである超伝導「ギャップ」に対しては正しい結果を与えないことがある、ということが分かってきている。

実際、近年の厳密な超伝導ギャップの分類によって、これまでの秩序変数の分類では予言されなかった種々の非自明なギャップ構造が明らかにされ、理解が進んでいる[5-11]。その中の1つの重要な結果として、Brillouin zone内の鏡映(または映進)面上の全ての線ノードは群論を用いて完全に分類され、その全てがトポロジカル数によって特徴付けられている、ということが挙げられる[9, 10]。

また、非自明な結果は上記の高対称面上の分類に留まらない;Brillouin zone内の高対称線上の群論的分類によって、3回回転や6回回転をもつ線上では正常Bloch状態の角運動量j_zに依存したギャップ構造があることが発見された[5, 11]。そこで本研究では、群論およびK理論の知識を相補的に用いることで、(上記のj_z依存ギャップ構造を含む)高対称なn回回転軸上における結晶対称性に保護された超伝導ノードの分類およびそのトポロジカル数の同定を行う。結果として、群論による分類はトポロジカル的分類と完全に一致することが分かる。さらにセミナーでは、いくつかの候補物質についてもそのノード構造等を議論する予定である。

[1] G. E. Volovik and L. P. Gor'kov, Pis'ma Zh. Eksp. Teor. Fiz. 39, 550 (1984).

[2] G. E. Volovik and L. P. Gor'kov, Zh. Eksp. Teor. Fiz. 88, 1412 (1985).

[3] P. W. Anderson, Phys. Rev. B 30, 4000 (1984).

[4] M. Sigrist and K. Ueda, Rev. Mod. Phys. 63, 239 (1991).

[5] V. G. Yarzhemsky and E. N. Murav'ev, J. Phys.: Condens. Matter 4, 3525 (1992).

[6] M. R. Norman, Phys. Rev. B 52, 15093 (1995).

[7] T. Micklitz and M. R. Norman, Phys. Rev. B 80, 100506 (2009).

[8] T. Nomoto and H. Ikeda, J. Phys. Soc. Jpn. 86, 023703 (2017).

[9] T. Micklitz and M. R. Norman, Phys. Rev. Lett. 118, 207001 (2017).

[10] S. Kobayashi, SS, Y. Yanase, and M. Sato, Phys. Rev. B 97, 180504 (2018).

[11] SS and Y. Yanase, Phys. Rev. B 97, 134512 (2018).