5つの提言 ~多摩の暮らしの現場から~
① 子育てと教育に、安心と持続性を
自然環境に恵まれた多摩地域は子育てに適した土壌がある一方、保育・教育の支援体制や施設整備に地域間格差が残されています。保育士・教員の人材不足や待遇の改善など、都全体としての課題と同時に、地域間格差是正にも取り組む必要があります。
都として注力すべき3施策)
・保育士・教員の処遇改善のための都独自制度の強化
・保育・教育施設の整備費補助の重点配分(多摩地域に傾斜配分)
・市町村間格差の「見える化」と財政支援ルールの見直し
② 多摩の地形と交通格差に即した移動インフラの再構築を
坂道や交通空白地帯が多い多摩地域では、特にご高齢者の日常の移動確保が課題です。 23区と比べた交通サービスの差は「多摩格差」の一つともされており、新型交通システムの導入や巡回交通の最適化など、地域に即したインフラ整備が求められています。
都として注力すべき3施策)
・オンデマンド交通・自動運転シャトルの導入支援と実証実験
・巡回交通・地域交通(コミュニティバス等)への都補助の拡充
・公共施設・駅周辺のアクセス改善とバリアフリー整備支援
③ 命を守る防災と包括的な備え
都心では昼間人口集中による帰宅困難が、多摩では日中人口の少なさによる初動遅れが課題です。また、ご高齢者、持病のある方への支援、ペット同行避難、備蓄や避難計画の見直し、ハザードマップの定期総点検など、多摩の特性に合った防災体制が必要です。
都として注力すべき3施策)
・災害時要支援者の個別避難計画整備の標準化と都の技術支援
・避難所の質向上(ペット対応・福祉避難所)の整備支援
・多摩向けハザードマップと災害リスク情報の定期的な更新支援
④ 医療・福祉の強化と持続可能な地域ケアを
高齢化が進む多摩では、介護離職の防止や人材不足対策に加え、地域病院の連携強化や予防医療の充実が欠かせません。保健所の少なさによる対応の遅れも課題で、地域保健体制の見直しが必要です。健康寿命を延ばし、ご高齢者も支える側として活躍できる地域をめざします。
都として注力すべき3施策)
・保健所の機能強化と配置の見直し(多摩地域の再整備)
・地域包括ケア・病院間連携の支援
・予防医療・健康寿命延伸の地域モデル事業の拡充
⑤ 多摩で暮らし、働き、支え合う地域経済を
多摩は本来、自然やゆとりに恵まれた住環境を持ちながら、都心への通勤集中により、生活の質や地域のつながりが損なわれつつあります。多摩で働き、暮らし、支え合える地域経済を育み、緑と調和した持続可能で安心なまちづくりを進めていく必要があります。
都として注力すべき3施策)
・テレワーク・サテライトオフィス等の誘致支援(補助制度)
・中小企業・商店街支援による地域内経済循環の強化
・空き家・空き施設を活用した起業・福祉・交流拠点整備の支援