これは現実の用語を説明するための資料ではなく、架空世界の内部でのみ通用する独自の語彙を収集する、どこか怪しげな資料である。
収められているのは、組織側では日常的な処理として扱われている、妙に無機質な漢語や、現実には存在しない組織制度を表す名称である。現実の事件や犯罪を直接想起させる語をそのまま用いるのではなく、架空世界の事情に合わせた言葉へと置き換えることで、現実とは異なる独自の語彙体系を形作っている。
それらは実在する学術用語でも、一般社会で使われる専門用語でもない。架空世界の仕組みや価値観を理解し、共有している者たちの間でのみ意味が通じ、ひそかに流通している妙な漢語である。外部の人間から見れば意味不明でありながら、その世界に属する者にとっては、ごく当たり前の処理や制度を指す言葉として機能しているのである。
人間を通常の生活圏から秘密裏に移動させる「�͛́Ṵ͚̉̿U̵ͮ̂ͧ̌ͦ͡�̭̗͙̼̘̰͑͒͘�̮͔̗̘̝͌」に相当する悪界用語
表向きは「招く」だが、実際には拒否できない。
対象者を組織側へ迎え入れるための処理。本人の意思や同意を必須とせず、組織側が必要と判断した対象者を所定の場所へ呼び寄せ、受け入れる場合に用いられる。移送方法や収容後の状態ではなく、対象者を組織側へ迎え入れることを記録する区分。
人目につかない形で移送する。
対象者を外部から認識されない形で指定された場所へ移動させるための処理。対象者の意思や移動理由ではなく、移送の秘匿性を主眼とする。回収や収容そのものを示すものではなく、対象者の移動および移送先を外部に認識されない状態で処理する場合に用いられ、移送完了をもって秘送済と記録する。
「人を収める」という組織独自の用語。
対象者を組織の管理下へ収め、組織側の人員として登録・編入するための処理。対象者の回収や移送そのものではなく、個人を組織の管理単位へ移行させることを主眼とする。所定の登録、身分区分の付与および管理対象としての編入が完了した時点で収人済と記録する。
組織が対象を徴収して移動させる。
必要とされた対象者を組織側で回収し、指定された場所へ移動させるための実施処理。対象者の所在から回収し、組織側が指定した地点まで移す回収・移動そのものを指す。秘匿性や強制性、収容後の管理状態ではなく、現場における対象者の回収と移送を実施する場合に用いられる。
本人の意思を無視して強制的に連行する「�̻̒ͬ͒̐͜f̷̷̠̫̋̈̀f̸͘̕v̧̬̟ͅ」に相当する悪界用語
強制的な回収。
対象者の意思による協力を前提とせず、組織側の判断によって強制的に回収する処理。拒否や抵抗の有無にかかわらず、必要人員として確保する場合に用いられる。移送方法や収容後の状態ではなく、回収そのものの強制性を記録する区分。
収容と拘束を一語にまとめる。
対象者を組織の管理下へ収容すると同時に、その行動を拘束する処理。本人の意思による離脱を認めず、指定された管理区域に収める。回収や移送の方法ではなく、収容後も拘束状態に置くことを主眼とし、収容と拘束の成立をもって処理完了とする。
制圧したうえで移送する。
対象者を制圧したうえで、本人の意思によらず指定された施設または管理区域へ移送する処理。制圧による確保から移送完了までを一連の実施区分として扱う。収容後の管理状態ではなく、制圧を伴う移送そのものを記録する場合に用いられる。
連行して組織側へ収める。
対象者を現所在から本人の意思によらず連行し、そのまま組織側の管理下へ収める処理。連行と収容を一続きの処理として扱い、移送方法や拘束の程度ではなく、対象者を組織側へ収めることを基準とする。収容完了をもって連収済と記録する。
人間の習慣・態度・行動様式を組織に合わせていく「�̵̧̙̜̳̬ͧͬ�̶̴͇̒͌ͤ�͈̪͉̍�̶̡͉͚̹̄」に相当する悪界用語
従属する性質へ変化させる。
対象者の性質そのものを、組織への従属に適した状態へ変化させるための処理。自立性、反発性、自己決定への固執など、本人の内面的な傾向を対象とし、組織に依存し、その判断を受け入れやすい性質へ調整する。命令への服従を直接形成するのではなく、人間としてのあり方そのものを従属方向へ変えることを主眼とする。
意思や行動を組織側へ馴染ませる。
対象者の日常的な習慣、態度、行動様式を組織の環境に適合させるための処理。生活上の振る舞いや反応を反復的に調整し、組織の規則や慣行を自然なものとして受け入れる状態へ導く。人格そのものを変更するのではなく、組織に対する日常的な馴染みを形成することを主眼とする。
組織への服従状態へ変える。
対象者と組織との関係を、命令する側と従う側として固定するための処理。命令への応答、指示への追従、規則への服従などを対象とし、組織の意思を自己の意思より優先して行動する状態を形成する。性質そのものの変化ではなく、組織からの命令に従う関係を成立させることを主眼とする。
人間を規格に合わせる。
対象者の習慣、態度、行動様式その他の人間的要素を、組織が定めた規格に適合させるための処理。個人ごとの差異を処理対象として扱い、組織員として必要な標準状態へ調整する。従属や服従だけを目的とせず、人間そのものを組織規格に合わせて整えることを主眼とする。
思想・記憶・判断基準を書き換える「�̈ͭ͐�̡̮̐ͪ͑̎͐�͍͇̪͆」に相当する悪界用語
思考体系を整える。
対象者の思考体系を組織の運用に適合させるための処理。物事の分析方法、判断手順、優先順位、行動基準などを調整し、組織員として必要な判断方式へ再構成する。対象者が何を信じているかを変更するのではなく、既存の認識をどのように判断へ結び付けるかを整えることを主眼とする。
精神を改造する組織内略語。
対象者の精神構造を組織の運用に適合させるための総合的な改変処理。思想、記憶、価値判断、行動基準、自己認識など、精神活動を構成する複数の要素を対象とする。個別の改変工程を示すものではなく、精神全体を組織に適合させる処理の総称として用いられる。
記憶を改変する。
対象者の記憶および過去の認識を改変するための処理。過去の出来事、人物との関係、自己に関する記など、現在の認識を形成する前提に介入し、組織に適合する記憶構成へ変更する。思想や価値判断そのものではなく、思考の根拠となる記憶を改変することを主眼とする。
思念・信念を別のものへ替える。
対象者が抱く思念や信念そのものを、組織の方針に適合するものへ置換する処理。何を正しいと信じるか、何を守るべきと考えるか、何を当然と受け止めるかといった認識の根本的な拠り所を別のものへ替えることを主眼とする。思考方法を調整する思整とは区別して扱われる。