相田研究室ではネットワークインフラの高機能化・高効率化を実現するために様々な研究を行なっています。また近年はネットワークを用いたアプリケーションの研究も行なっており、そこから派生して他のアプリケーション領域における研究にも取り組んでいます。
分散サービス拒否(DDoS)攻撃はWebサーバーに対するサイバーセキュリティ上の大きな脅威です。オーバーレイを用いた従来の対策は、規模拡張性と中小規模の事業者が必要とする低価格性を提供するものの、アプリケーションレベルのDDos攻撃を識別するためには、対策を提供する第三者において、通信の暗号を一旦復号し、再暗号化する必要がありました。本研究では、IPレベルおよびコネクションレベルに加えて第3のクライアント識別レベルを加えることによって、クライアント−サーバー間の通信を復号/再暗号化することなくアプリケーションレベルのDDoSを緩和できるオーバーレイ手法を提案し、プロトタイプを開発しました。
漢字には一般に形・音・義の3要素があると言われますが、今日のコンピュータにおける日本語入力では、漢字は専らその読みを用いてしか入力できません。特に日本語においては同音異字の多さにより単漢字や中韓等の固有名詞の入力に不便を感じることも少なくありませんし、加えてせっかく9万字もあるUnicodeのCJK統合漢字もその多くが読みからではアクセスできません。
そこで我々は形・音・義の中でも魅→鬼+未といった漢字の構造(形)に基づく情報も利用可能な入力法の実現を目指しています。
また既存の構造情報データベースは手動で作成されているため新漢字や創作漢字に迅速に対応できず、また複数の文字コードを参照しているため利用しづらいといった問題を抱えています。これに対しても漢字のフォント画像からこの構造情報を自動で判別するシステムを開発することでの解決を目指しています。
Information Centric Network(ICN)は、トラフィック増大やサーバへの負荷集中、モバイル環境への対応といった近年のネットワークにおける課題を解決するための手法として提案されているネットワークアーキテクチャです。これまで行われていたIPアドレスを用いて通信相手を特定する“ノード対ノード“の通信に対し、ICNではコンテンツ名を用いて通信相手を特定する“ノード対コンテンツ“の通信を行います。本研究室ではこのICN上で用いるロードバランシング、通信速度向上などを考慮したパケットルーティング技術に関する研究を行なっています。
クラウドコンピューティングが広く普及した現在、それを支えるデータセンタの肥大化が問題視されています。この問題を解決するために、データセンタ内で用いられている仮想環境の場所を切り替えるマイグレーションと呼ばれる技術を用い、負荷分散を実現する方法が注目されています。またコンピューティング資源をあらゆる場所に設置し、地域分散型の処理を行うことを目指したエッジコンピューティングにおいても、端末の移動に対応するためにこのマイグレーションが必要と考えられています。相田研究室ではこのマイグレーションについて、より負荷が小さくシームレスに切り替えが実現できる手法の研究を行なっています。
この研究では、多様な計算資源の処理の基本条件やその可否の判定法等を確立するために、処理のプリミティブレベルに注目し、処理要素が表現と解釈から成るものとして、処理を写像と捉えた枠組で処理の形式化を目指し、処理が統一的に記述できることを示すことを目的としています。今現在は、処理の要素間変換について、表現を変換する場合、解釈を変える場合のそれぞれを状態遷移で表し、論理記述言語Zを用いた記述を試みています。