2026年06月01日
調査者 星つかみプロダクション
兎猫まさあき
※文中にある難字や特殊読みは本資料末尾にて読みを記載しております。
調査日 2026年05月29日
調査地 熊本市立図書館 さま
調査資料① 新明解語源辞典(三省堂)
じゃり(砂利)
小石。また小石に砂のまじったもの。「さざれ石(細石)」の「さざれ」から転じたものという。
サザレ⇒ザレ⇒ザリ⇒ジャリと転じたという(大言海)。
江戸時代の歌謡集『松の葉』(元禄十六年)には、「通ひし路の辺ざり取る池の水鏡」とある。
例:「梅が香や砂利しき流す谷の奥」(俳諧・猿蓑・四)
調査日 2026年05月30日
調査地 熊本県立図書館 さま
調査資料② 日本語オノマトペ辞典(小学館)
じゃりじゃり
①[音]
小石、砂などがふれ合ってきしる音や砂などをかんだりしたときの音。
「靴底の金具をジャリジャリさせて、ゆるい歩調でやってきた」(不在地主・小林多喜二)
②[さま]
手ざわりや見た目が、粗くひっかかりのあるさま。ざらざら。
「下髯のじゃりじゃりと延びた頬の皮は、言ひ尽し難い」(小鳥の巣・鈴木三重吉)
「埃で足がじゃりじゃりする会場には」(ノリソダ騒動記・杉浦明平)
しゃりっ
①[音・さま]
薄っぺらなものや、軽いものなどがつぶれるなどしてたてるかすかな音。適度な張りがあって、手ざわり、歯ざわりが心地よいさま。
「中味がミゾレのような、シャリッとした状態になったときが、シャーベットのできあがりですから」(デザート365・服部広治)
「揚げたては衣がシャリッとして、囓ると前歯に音がする」(音の晩餐・林望)
②[さま]
張りのあるさま。
「お福は、結城絣をしゃりっと着こなし」(ぼんち・山崎豊子)
じゃりっ
[音]
小石などのような小さくかたくていくらか重いものが、触れあいながら落ちたてる音。小石や砂のまじったものなどを、急にかみくだいたりしたときの音。
「彼は疾駆しようとして、<略>一歩を踏み出した時、じゃりっと其爪先を打って財布が落ちた」(土・長塚節)
おまけ
調査資料② 日本語オノマトペ辞典(小学館) より
オノマトペのもと:しゃり・じゃり
「しゃり」は、薄くてかたいものや、ちいさくてかたいものがこすれ合う音を表す。また、ややかたいものを刃物などできざんだりする時の音を表すこともある。清涼感や爽快感を伴う表現である。
「じゃり」は、「しゃり」に比べて音が大きく、小石や砂などの小さくかたいものがこすれる音を表す。不快な印象を伴う場合もある。
[しゃりの語群]
しゃりしゃり・じゃりじゃり
しゃりっ・じゃりっ
しゃりり・じゃりり
[表現]
「しゃりしゃり」は古くからあることばで、『日葡辞書』(一六〇三~〇四)には「足で氷を踏んだ時、または鍋で湯が沸いている時のようにものが音をたてる様」という表現がある。
現代では「しゃりしゃり」は、食感表現によく使われ、調理の専門家に調査したところ、かき氷やシャーベット、ナシ、レンコンなどによく使われていた。氷の粒や張りのある植物の繊維がスプーンや歯に当たってこすれて砕かれるときの感じを表す。とても心地よい食感だ。多くの人に使われることばで、二〇〇四年に首都圏の一般の人を対象とした調査では、七割以上の人が食表現として認識していた。
「しゃりしゃり」には軽快感や清涼感が伴う。べたつくような不快感はまったくない。たとえば、薄い紗の織物も、しゃりしゃりとした手ざわりで、肌にさらりと軽く当たり、夏に心地よい。また最近は、布がさらっとして張りのある風合いを表すときに、「シャリ感」という語がふつうに使われている。
「しゃりしゃり」の類似の語には、「さくさく」や「しゃきしゃき」などがある。いずれも、何かをかんだときの軽快で小気味良い食感と音を表している。こうして考えてみると、saやshaの音は、繰り返すと、歯切れがよく、軽快な感じがする。粘りや弾力などとは無関係なことばだ。
「じゃりじゃり」も、古く、室町時代の『玉塵抄』に記述が見える。「しゃりしゃり」よりも音が大きく、粗くかたい感じを表す。布や紙の手ざわり、砂利や小石を踏む音、かたいかけらが歯に当たったときの感じなどの表現に使われる。たとえば、内田百聞は『続百鬼園随筆』で、砂ぼこりが舞う不快な場面で、「口がねばって、唇はじゃりじゃりして来た」と使っている。
ところで、白飯を「シャリ」ということがある。これは仏教用語で仏陀の遺骨を「舎利」といい、米粒が舎利に形が似ていることに由来するという。また、江戸時代の劇場では、「砂利」が隠語で米を意味したという。かたや「骨」、かたや「小石」と、連想のもととなった物質は異なるものの、シャリも、ジャリも、米をさすというから面白い。
(早川文代)
猿蓑 …… さるみの
下髯 …… したひげ
其爪先 …… そのつまさき
日葡辞書 …… にっぽじしょ
紗の織物 …… しゃのおりもの
玉塵抄 …… ぎょくじんしょう
続百鬼園随筆 …… ぞくひゃっきえんずいひつ
資料
新明解語源辞典(三省堂)
日本語オノマトペ辞典(小学館)
協力機関(調査元機関・敬称略)
熊本市立図書館
熊本県立図書館
調査者
星つかみプロダクション 兎猫まさあき
調査日
2026年05月29日・30日