バイオマスグループでは、下記3つのテーマで研究を進めています。
(1)新規技術の開発
i 高効率メタン発酵技術の開発(農畜産廃棄物、食品廃棄物を対象として)
ii in-situバイオガス改質技術の開発
(2)メタン発酵消化液の機能性液肥としての価値解明
(3)消化液の低コスト処理と付加価値化のための藻類スクリーニングと産出物の機能評価
下記の研究室紹介もどうぞご覧ください。
廃棄物と廃水から宝物を生み出す ~微生物の力~|研究室にようこそ!|筑波大学 生命環境学群 生命地球科学研究群 生命環境系 (tsukuba.ac.jp)
(1)新規メタン発酵法、新規バイオガス改質法の開発研究
メタン発酵法は、「嫌気性消化」とも呼ばれます。つまり、嫌気性微生物を利用し、無酸素環境で有機廃棄物を分解し、メタンとCO2を主成分とする「バイオガス」に変換できる技術です。バイオエネルギーを生産しながら、廃棄物からの温室効果ガス排出を抑制できることから、CO2削減のために非常に重要な技術です。しかし、現状では、メタン発酵の応用コストが高い、固形物濃度が高い農畜産廃棄物の処理に応用が進まない、酸化等によるメタン生成阻害が発生しやすい、バイオガスの発熱量が低い、等の問題がある。これらの問題を解決するため、新規技術の開発研究を進めています。
新規メタン発酵法の開発には、①農畜産廃棄物を対象とした低コストかつ高効率なハイブリットメタン発酵法の開発、②食品廃棄物を対象とした高付加価値回収型嫌気性発酵プロセスの開発に関する研究を行っています。バイオガスのみならず、嫌気性微生物を用いて、付加価値のある揮発性脂肪酸、ポリマー、生理活性物質等の生成プロセスについて研究しています。
新規バイオガス改質技術の開発には、高価な設備がいらず、メタン発酵槽から直ちに低CO2、低H2Sの高品質バイオガスの生成を目的として、①バイオガス循環法、②バイオガス改質剤、③生物電気化学法、④硫黄酸化細菌を利用した原位脱硫法等に注目し、研究を進めています。
(2)メタン発酵消化液の機能性液肥としての価値解明
メタン発酵後に残る液体は「消化液」と呼ばれ、無機化した窒素、リン等の栄養素が豊富に含まれるほか、安定化した有機物質も多く、植物の成長を促進できる効果が発見されています。最近流行っている水耕栽培や植物工場に化成肥料の代わりに利用できれば、安くて健康な野菜づくりに貢献することが期待されます。しかし、消化液は自然由来のもので、成分が複雑であり液肥としての効果と安全性が懸念されることも多くあります。そこで、私たちの研究室では、消化液の植物成長促進効果の科学的評価、促進効果がある化学成分の解明等、基礎的な研究に取り組んでいます。
(3)藻類を活用した消化液の低コスト処理プロセスの確立
現状、メタン発酵全体コストの約3~5割は、消化液の処理にかかっています。メタン発酵において、有機物の分解により、生物利用可能な有機炭素濃度が低く、アンモニア窒素とリン酸濃度が高くなります。従来の生物学的廃水処理プロセスにおいて、消化液中数百~千ppmの窒素とリンを除去するには、10倍以上の有機炭素が必要となり、別途に有機炭素源の添加によるコストが高くなります。藻類は光合成で増殖し、有機炭素がなくても、窒素やリンを吸収しながら、バイオマスに変換できるため、本研究室は、消化液中の栄養素を効率的に付加価値物質に変換できる藻類のスクリーニング及び処理プロセスの確立を進めています。