「魔王城にしゅっぱーつ!」
ボーはそう乗合馬車の中で叫ぶ。
「ちょっとボー。ここは乗合馬車だから。静かにして。」
「ちぇ。面倒くさいの。ねえ、オッチン?」
なんでそこでヤミが出てくるんだ?
「ちょっと、オッチン。起きなきゃ駄目だよ?」
「ん? あ、あぁ、ごめん。寝てた。」
ヤミは珍しく寝ていた。こういうとき、ヤミは静かに座って本でも読んでいるのだけど。
旅の疲れが溜まっているのかもしれない。
「楽しみだねえ。」
「そうやって楽しめるのはボーだけでしょ。」
「そうですよ。こっちはいつやられるかハラハラしてるんですから。」
「あはは。」
いつもの陽気なボーが帰ってきた。
この日常が、いつまでも続くといいな。
・・・もちろん。いつまでもとはいかないだろうけど。
╋╋╋╋╋
まだ、気づかないんだね。シー。
私は、一人心の中でつぶやく。
シー、あなたは知らないのかもしれない。でもね。
この旅は、最初から決まっていたんだ。
・・・あなたが、ここで死ぬことが。
今。思い返すと、懐かしいよね。
みんなで死闘を繰り広げた洞窟も、あの子がいなくなった滝も、 不意打ちされた集落も。
・・・もちろん、あの火山も。
だから、きっと。
あなたはこれからも生きるべきだよ。
私は、運命を知っている。
だからこそ。あなたは今死ぬべきじゃない。・・・馬車に乗る人たちも。
これは、私のわがまま。
でも、叶えるよ。
・・・これで私は、世界一のわがままさんだね。
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