公開動画は会場で上映した状態でのスライドですので画像が見にくいですが,ご了承ください.
同様のスライドで再演ご希望のある方はdorsals@jeans.ocn.ne.jpまでご連絡頂き,ご相談ください.
https://youtu.be/qa70nEp6UtM?si=0VZjuK5I9nRsdLOE
2025/07/24
公開動画は会場で上映した状態でのスライドですので画像が見にくいですが,ご了承ください.
同様のスライドで再演ご希望のある方はdorsals@jeans.ocn.ne.jpまでご連絡頂き,ご相談ください.
https://youtu.be/xeWAQn1gWyQ?si=xG2KVfbQGmQadygU
2025/07/10
公開動画は会場で上映した状態でのスライドですので画像が見にくいですが,ご了承ください.
同様のスライドで再演ご希望のある方はdorsals@jeans.ocn.ne.jpまでご連絡頂き,ご相談ください.
https://youtu.be/uYMFK05yjh4?si=7rWdnEjymtBM09MO
2025/05/20
公開動画は会場で上映した状態でのスライドですので画像が見にくいですが,ご了承ください.
同様のスライドで再演ご希望のある方はdorsals@jeans.ocn.ne.jpまでご連絡頂き,ご相談ください.
https://youtu.be/7EfNcAFNHpI
2025/05/10
ビーチクリーン時の砂浜海岸に生息する生物への配慮についての内容をできるだけ多くの人に知って頂きたく英語バージョンを作成しました.英語の間違いなどが多少あるかもしれませんが,ほとんどの意味は問題なく伝わる内容となっていると思います.もし英語圏の方など国外のお知り合いにも共有して頂けると大変嬉しいです.
https://youtu.be/DF81MTT05C4?si=ldacdNjnck5_-GMk
2025/04/29
「市では、令和8年度から令和17年度までの10年間を展望した、新たなまちづくりの基本指針となる「第5次館山市総合計画」の策定を進めています。
そうした中、「館山市総合計画審議会」のご意見をいただきながら、目指すべき将来都市像や基本目標など、総合計画における長期的なビジョンを示す「基本構想(案)」がまとまりました。
そこで、本案をより良いものとしていくため、市民の皆様から広くご意見を募集します。
皆様から寄せられたご意見を参考にしながら、最終案を決定してまいりますので、率直なご意見をお寄せくださいますよう、お願いいたします。」
館山市ホームページより引用
以下,提出意見内容です.
原案ページ「第3章 基本目標 p20~22 」
提出意見
本文には「地球温暖化を抑制するゼロカーボンシティ(脱炭素都市)への転換を軸に、多様な主体との協働・連携により、持続可能な社会の構築を目指し、資源の効率的利用や環境保全を重要視する資源循環型社会や地域循環共生、GXを推進し、豊かな海と緑を感じる心地よい住環境の確保を目指します。」とあります。
環境汚染の減少を目指し、炭酸ガス排出の抑制を目指すことは既に常識の段階に入っており、当然大切ですので具体的にどのような方策でカーボンゼロを進めていくのかに大変興味があります。
カーボンゼロを目指すために山を切り開き太陽光パネルを敷き詰めていくような方向性は自然環境への配慮と将来の移住希望者やすでに在住している市民の生活環境への影響、そのうえ観光地であることを踏まえても大きなマイナスとなるはずであり、「豊かな海と緑を感じる心地よい住環境の確保を目指」すという姿勢に対して、矛盾が生じてしまいます。
その点十分に考えて進めていくことが必要になり、大変難しい課題と思われます。新しいものを加えて現状を変えていくという方法では経済的にも負担が増すばかりで、それらを維持していくための財政を人口減少が確実な未来の若者へ大きな負担として残すことにもつながり、基本目標2にある『「こどもまんなか」社会の実現』とも相反する状況となってしまいます。「加えていく(増やしていく)」ことだけでなく避けられない人口減少(=財源減少)に合わせ,市が消費や投資を「減らしていく」ことで二酸化炭素の排出量削減を達成することで将来の市民への負担の軽減につなげ、結果的に将来への不安の少ない豊かな市民の暮らしにつながると考えます。将来の出費や収入減少といった不安を抱えていては消費も進まないのは当然のことと思います。
原案ページ「第3章 基本目標 p20~22 」
提出意見
「10年後の姿▶ 豊かな自然がいつもある」という市が目指す姿について基本目標4の中には具体的な内容がありませんでした。そもそも「豊かな自然」とは何なのかについて議論が必要でしょう。
脱酸素などの環境保全は全地球的な問題で大前提となるものであり,同時に市内に大変貴重な自然を有する館山市政が重視すべき環境保全とは何かを考えなおす必要があります。昨今「環境保全」という言葉だけが独り歩きしていますが、このような場合の「環境」という言葉には「人間が暮らすために良好な空間」という視点と「自然なままの本来の生態系」という大きな相反するものが実在していながら,これまで曖昧に「環境保護」などと表現され、その都度都合よく利用されています。その両方(ヒトと自然)のバランスを取りながら、嘘のない保全ができるかどうかが館山市の「自然」の価値が失われるか、世界中の人から見ても本物と評価され,世界中の人々もターゲットとした観光、移住への効果へ繋がるかどうかの大きなポイントと考えます。ここを正しく進めていかなければ南房総への自然を求めての観光と移住は縮小していくでしょう。
これは基本構想3の「『人生100年時代』にふさわしい生涯学習の推進、市民と共に地域の歴史と文化を守り育てるほか、新たな楽しみ方や自然環境を活かしたスポーツの推進」という内容に直接繋がるもので、「文化を守り育てる」は過去のものを継承することと同時に未来に向けて新たな文化を育てることを含むはずです。今の時代に館山市が自然との共生に成功することができれば,未来にはそれが館山市の文化のひとつとして確立され、引き継がれていくでしょう。
また「自然環境を活かしたスポーツ」を行ってきた人々は世界中で自然の中でのスポーツを経験している場合が多く,自然を見る目が大変肥えていますから、正しく行わなければむしろマイナス評価を受けて観光,移住に悪い影響が出る可能性があります。
それらを踏まえて,正しい方向性を理解したうえで今すぐに始めれば、どこか他の地域で進められていく姿のコピーとしてではなく、先端的とまでは言えないまでも時代を先取りした例のひとつとして評価されるでしょう。繰り返しになりますが,環境の悪化状況からしても「すぐに行う」ことが必要です。
具体的には南房総の海岸線の保全は最も重要です。「自然」の中で海岸は非常に細く分断されやすく、その独特の生態系は非常に脆いにも関わらず、砂浜にしか生きることができない動植物の存在は館山市においてはこれまでないがしろにされてきました。館山市にはアカウミガメの産卵地があり、絶滅危惧種のチドリの産卵、全国の自然海岸の減少により数少なくなった海浜性の植物がまだ自然状態で観察できます。また砂浜に漂着する貝類は遠方から訪れるビーチコーマーの注目を集め「聖地」とまで言われる状況もありますが,海岸清掃の過剰など含め漂着貝類の減少が近年になって,その誘因力を弱めています.
これら本当の意味の自然を保全するということは、個々の生き物を護るのではなくその生息環境を保全しなければなりません。どこかに押し込めて「保護」とするのも難しい対象ですが、できたとしても本物(本当の姿)とは言えません。そういった生き物が生息する場所だけでも自然のままの環境を維持し、環境ごと保全することで自然の価値を深く理解している人にも「本物の海の自然がある町」として評価され、館山市の先見性は将来大きく評価されるでしょう。
同時にそれら対象生物の生息環境への配慮を重視し、観光導入の抑制と集中化を避けることも必要です。現状では沖ノ島の例があり、あの小さな島とそれに繋がる砂浜に導入する人の量としては多すぎ、特に夏季には自然をのんびりと楽しめるような場所ではなくなってしまっています。そのうえ生息する生物(例えば飛来する鳥類、海浜植生など)への負荷も発生しているはずですが、その評価が十分に行われていません。保全を行う上でまず調査からはじめ、それに対応した適切な管理を行うことも市の姿勢を示すことになります。そういう部分に十分に投資を行う事が嘘のない自然共生型観光の町を目指すうえで重要です。
「本当の環境保全」のために自然環境ごと保つことは経済的にも負担が少ないうえ、疑似自然に飽き飽きしている観光者層にも訴えることになります。そのままの本物の自然海岸は日本中、世界中で貴重なものです。過去に堤防などで加工してきた海岸線を場合によっては昔の自然な海岸に戻していくということも正しく行うことが出来れば自然を取り戻した例として評価されるでしょう。それでいて堤防など構造物の維持費を削減することにもつながります。そしてそこに実際に自然物が戻ってくれば、自然物の状況にも余裕が生まれ自然と観光とのバランスもとれていくはずです。ただし津波対策をはじめとした防災とのバランスは重要です.しかしそれも自然物を利用して自然が本来持ち合わせている適応力に人が助けてもらうシステムを目指す事で両立できることが多々あります.砂丘を強固に保っている海浜植生の保存は2017年の台風による高潮被害の際に十分に検証していれば効果が分かっていたはずです.また最近局所的に被害が大きくなった飛砂の問題にも海浜植物に対する姿勢が影響している場合があり,海浜植物の保存は防災の視点でも重視すべき対象と言えます.
30年程前に館山市の姉妹都市であるアメリカのワシントン州ベリンハム市に行ったことがありますが、館山市のモデルとして最適な本物の自然が残された素晴らしい環境でした。環境について深く掘り下げてきた歴史の長いアメリカの、市民の自然に対する姿勢も深まっている姉妹都市に、自然に対して市のとるべき姿勢を打診してみるのも良いかもしれません。
「その他、お気づきの点や市の事業に対するご意見がございましたら、以下にご記入ください。」
提出意見
北条海岸から那古海岸にかけて頻繁に見かける館山市による海岸清掃での野焼きは,観光の受け入れ窓口である市街の海岸で他地域から観光で来られる人々には大変不快に思われる場合があります。
ダイオキシンの問題から始まり,一般に野焼きは公害と捉えられています。
少なくとも都市部在住者にとって野焼きは常識の範囲ではなくなっている中で,あの規模の煙は現在では大変珍しいものになっています。
自然を求めて館山に来た人にとって,あの煙は「いなかだなあ」という印象しか残さないでしょう。
また海岸清掃や海岸地形改変をも含め,市による「海岸調整」と捉え書き加えると,砂浜に重機が侵入して作業している様子も自然を求めて来た人には大きなマイナスイメージです。
先日も平群川河口での重機作業が見られましたが,鳥を見に来たらしき方が「ここも変わっちゃったね…」と話していました。おそらく「ここも」というのは那古のどんどん川河口での同様の作業痕跡を見てのことと思われました。
河口は干潟と言える部分もあり,鳥類の餌場や繁殖場所として重要ですし,それらを求めて遠くから訪れる人もあるという事です。つまり「煙と重機は環境保全と相反する強いイメージがある」という事です。
時代遅れという意味での「いなか」ではなく,良い意味での,自然豊かで素朴さのあるという意味での「田舎」らしさを活かしていく視点を期待します。
2025/04/19
第2回から録画公開する事にしました.
当日ご参加頂いた方々に感謝申し上げます.
公開動画は会場で上映した状態でのスライドが写り込んでいるだけですので画像が見にくいですが,ご了承ください.
同様のスライドで再演ご希望のある方はdorsals@jeans.ocn.ne.jpまでご連絡頂き,ご相談ください.
https://youtu.be/7EfNcAFNHpI
2025/04/06
2024年に館山市内や長生郡一宮のパタゴニアストアなどでお伝えしたビーチクリーン時の砂浜海岸に生息する生物への配慮についてのスライドを基に講演時に口頭でお伝えしていた内容の一部をテロップで加えた動画です.
是非ご覧いただき,次回のビーチクリーンご参加の際に話題にして頂ければ幸いです.
https://youtu.be/JcdQey-nsmE?si=fODggtqxGyj9TiMf
2025/03/13
2025/07/24追記:千葉県による返答が公開されました.
PDF意見提出者名無記名.
「千葉東沿岸海岸保全基本計画(案)」に対する意見と県の考え方
https://www.pref.chiba.lg.jp/.../documents/ikenkekka.pdf
「東京湾沿岸海岸保全基本計画(案)」に対する意見と県の考え方
https://www.pref.chiba.lg.jp/.../documents/ikennkekka.pdf
返答のほとんどはコピペとなっていますが...
内容を以下に掲載しておきます.
(※WEB公開版は位置省略→****と記す)
南房総ゾーンおいて以下エリア毎に確認している保護対象種の生息状況(筆者調査情報)をお伝えしこれら動植物への配慮を期待します.
以下に触れる種は環境省乃至千葉県により保護指定されています.ハマボウフウ(千葉県:要保護生物 (C)),スナビキソウ(千葉県:要保護生物 (C)),ヤマトマダラバッタ(千葉県:重要保護生物 (B)),コチドリ(千葉県:重要保護生物 (B)),シロチドリ(環境省:絶滅危惧Ⅱ類 (VU),千葉県:最重要保護生物 (A)),アカウミガメ(環境省:絶滅危惧ⅠB類 (EN),千葉県:最重要保護生物 (A))に指定.
グンバイヒルガオは千葉県では保護未指定ですが,日本最北限越冬繁殖地を含む北限地域であることから越冬群落は非常に希少であり,生態の保存が本種の生態解明と気候変動の状況記録に置いて重視される状況があるため,今後の保護種指定の可能性も考え十分な配慮を必要とする種と言えます.また,これまで北限とされてきた宮崎県で絶滅危惧II類(VU)に指定されており,繁殖分布域外の地域においても,熊本で絶滅危惧IA類(CR)(熊本県,2019),長崎で絶滅危惧IB類(EN)(長崎県,2022),大分で絶滅危惧IA類(CR)(大分県,2022),愛媛で絶滅危惧IB類(EN)(愛媛県,2022),高知で絶滅危惧IB類(EN)(高知県,2022),京都で要注目種(京都府,2015)に指定されています.引用:「グンバイヒルガオの越冬繁殖分布の北限新記録と千葉県南部における生息状況」藤田 健一郎・藤田 直子 観音崎自然博物館研究報告たたらはま No. 28(2024)
シロチドリ,コチドリの繁殖については過去の海岸加工により既に面積の少なくなっている砂地とその周辺を加工する事で本種繁殖の際に雛の隠れ場所などとして必要な植生の減少や想定外の砂浜縮小について十分に配慮が必要と考えられます.同時に海岸線の漂着有機物の量の減少によって本種餌生物の減少も起きないよう水際や前面の海面下の生態系にも配慮する必要があります.
上記保護対象種の生息地において人為的な影響による海岸環境のダメージとして,徒歩での多数の観光者のアクセスがあります.海浜植生の踏圧は植生の分布に影響を与え,海岸に産卵されたチドリの卵と雛が砂地の色合いに対しての擬態を伴って存在しており巣(卵)は県などによって保護されているわけでなく,その現状の中で人々のアクセスを進めると希少生物への害が大きくなる可能性が高まります.ウミガメの巣(産卵位置)も全てが発見,保護されているわけではなく,運が悪ければ踏圧での被害の可能性があり得ます.その事から広範囲で自由なアクセスではなく水辺までの生物種に対して配慮した誘導路を整備し,特に後浜と砂丘面を保護した海岸全体で生物保護エリアを大きく保つ必要があると考えます.この考えは「砂浜海岸の生態学」A.C.Brown・A.Mclachlan著 須田有輔・早川康博訳 東海大学出版のP310-313「勧告:人間活動の影響」を参照下さい.
海浜植生の分布に伴って日本固有種で千葉県重要保護生物 (B)に指定されているヤマトマダラバッタが該当エリアの広い範囲で局所的に生息していることを確認しています.本種は台風でも波の来ない砂丘を伴った海浜植生がある程度密生している海岸であれば今も生息している可能性がある一方で海岸の人為的な改変頻度が過去に高かった地域では全く生息が見られません.そのため海岸の改変作業時の負荷を含めた環境変化により既に分断され狭められている生息地が更に狭められ,台風での避難場所として機能していると考えられる奥行きがあり植生で満たされた砂丘が失われる事で本種生息の存続が絶たれる可能性があると考えます.このことから先だった分布調査と生息地での十分な配慮をお願いします.
以下,対象とした種の主な生息地を記します.
**** スナビキソウ
**** コチドリ繁殖
**** コチドリ繁殖
**** ハマボウフウ群落
**** コチドリ繁殖
**** グンバイヒルガオ最北限群
**** コチドリ繁殖
**** シロチドリ越冬及び繁殖の可能性(幼鳥確認)
**** ヤマトマダラバッタ生息 シロチドリ繁殖の可能性(南隣の海岸において繁殖があり,同様の環境を有している為)
**** シロチドリ繁殖 ヤマトマダラバッタ生息
鴨川・千倉ゾーン(鴨川市境界~千倉海岸)
○「3-3-2. 環境面における各ゾーンの保全の方向」について(該当ページ:3-4)
鴨川・千倉ゾーンは「~地域と自然が融合したふれあいの海辺づくり~」として「海岸保全施設の整備にあたっては、陸域・海域の生物の生育・生息状況を十分に把握し、生育・生息域の保全・再生方策の導入を検討し、周辺の自然環境に与える影響を最小限に抑えるものとする。既に設置されている施設等については、地域の自然環境の再生や周辺環境との調和に配慮し、生物の生育・生息が減少・消失した箇所では、必要に応じて改善策を検討していく方針とする」,「かつては広く分布していたハマヒルガオや上陸が僅かとなったアカウミガメなどの動植物の生育・生息の場の回復を目指して、進入防止・看板類等の保護対策や、保全のための啓蒙活動の充実、また、日常的なモニタリング、愛護活動を促進するなど、保護管理のための体勢づくりを支援する。」とあります.しかしながらその基盤となる実際の生物の生息状況について未記載が多いように見受けられます.当方で調査して来た以下の希少種をはじめとした砂浜海岸性生物についての配慮を求めます.
○ウミガメ産卵地について(該当ページ:3-4)
「3-2-2.環境面における各ゾーンの現況と問題点・課題」内「○多様な動植物の生息・生育環境の保全」においてウミガメの上陸地としての記載がないが2000年代初めからの調査でこの区間の多くの砂浜(千倉海岸 瀬戸地区,千倉海岸 三原地区,和田海岸 海発地区,和田海岸 大原地区,和田海岸 白渚地区,和田海岸 和田浦地区)で産卵上陸を記録しており,毎年日本ウミガメ協議会への報告に記載されています.名倉漁港海岸,白浜海岸 滝口地区,白浜西部漁港海岸,白浜海岸 根本地区,平砂浦海岸 布良地区,平砂浦海岸 平砂浦地区がウミガメ産卵地であることを十分に配慮すべきです.本種産卵に適した砂浜の奥行きの保存と砂丘斜面の傾斜角,それらを維持する海浜植生群維持もアカウミガメの繁殖に関わるため,保存が図られることを期待します.アカウミガメは環境省:絶滅危惧ⅠB類 (EN),千葉県:最重要保護生物 (A)に指定されています.
○シロチドリ,コチドリ産卵地について(該当ページ:3-4)
「3-2-2.環境面における各ゾーンの現況と問題点・課題」内「○多様な動植物の生息・生育環境の保全」においてシロチドリとコチドリの産卵地としての記載がありませんが,当方調査によりこの区間の砂浜で産卵もしくは雛を記録しています.頻度は低いですが,むしろ数が減っている状況を示唆していると考えられます.特に千倉海岸 瀬戸地区では十分な調査が行われていない状況で重機による海岸清掃が定期的に行われており既に問題があることが本種減少に影響していないか懸念しております.本2種は砂浜の後浜最前線から砂丘斜面植生内まで全ての位置が産卵適地であることから,砂浜環境改変によって生息状況に大きく影響が出る可能性があります.また特に繁殖時期(2-8月)の工事の影響も考えるべきでしょう.シロチドリは環境省:絶滅危惧Ⅱ類 (VU),千葉県:最重要保護生物 (A)に指定,コチドリは千葉県:重要保護生物 (B)に指定されています.
○海浜植物について(該当ページ:3-4)
「3-2-2.環境面における各ゾーンの現況と問題点・課題」内「○多様な動植物の生息・生育環境の保全」においてグンバイヒルガオについて記載されていませんが,****位置にグンバイヒルガオの越冬繁殖群落が存在しています.この群落は現在太平洋岸最北限の越冬繁殖群落であり.グンバイヒルガオは千葉県では保護未指定ですが,日本最北限越冬繁殖地を含む北限地域であることから越冬群落は非常に希少であり,生態の保存が本種の生態解明と気候変動の状況記録に置いて重視される状況があるため,今後の保護種指定の可能性も考え十分な配慮を必要とする種と言えます.また,これまで北限とされてきた宮崎県で絶滅危惧II類(VU)に指定されており,繁殖分布域外の地域においても,熊本で絶滅危惧IA類(CR)(熊本県,2019),長崎で絶滅危惧IB類(EN)(長崎県,2022),大分で絶滅危惧IA類(CR)(大分県,2022),愛媛で絶滅危惧IB類(EN)(愛媛県,2022),高知で絶滅危惧IB類(EN)(高知県,2022),京都で要注目種(京都府,2015)に指定されています.引用:「グンバイヒルガオの越冬繁殖分布の北限新記録と千葉県南部における生息状況」藤田 健一郎・藤田 直子 観音崎自然博物館研究報告たたらはま No. 28(2024)
また****にはハマナタマメ群落が複数存在しており,これも記載されていません.本種は千葉県要保護生物 (C)に指定されています.
上記2種含め,砂浜に見られる海浜植生には海流散布によって種子が漂着し発芽する種が多く見られることから,現在自生している植生の生息環境を保持するだけでなく,今後未来に漂着種子が自然的に分布を広げる可能性を阻害しない海岸環境を維持する必要があります.
館山・白浜ゾーン(千倉漁港~洲崎)
○「3-3-2. 環境面における各ゾーンの保全の方向」について(該当ページ:3-4)
館山・白浜ゾーンは「~人々が集う憩い・安らぎの美しい海辺づくり~」として「海岸保全施設の整備にあたっては、陸域・海域の生物の生育・生息状況を十分に把握し、生育・生息域の保全・再生方策の導入を検討し、周辺の自然環境に与える影響を最小限に抑えるものとする。既に設置されている施設等については、地域の自然環境の再生や周辺環境との調和に配慮し、生物の生育・生息が減少・消失した箇所では、必要に応じて改善策を検討していく方針とする」,「かつては広く分布していたハマヒルガオや上陸が僅かとなったアカウミガメなどの動植物の生育・生息の場の回復を目指して、進入防止・看板類等の保護対策や、保全のための啓蒙活動の充実、また、日常的なモニタリング、愛護活動を促進するなど、保護管理のための体勢づくりを支援する。」とあります.しかしながらその基盤となる実際の生物の生息状況について未記載が多いように見受けられます.以下の希少種をはじめとした砂浜海岸性生物についての配慮を求めます.
○ウミガメ産卵地について
「3-2-2.環境面における各ゾーンの現況と問題点・課題」内「○多様な動植物の生息・生育環境の保全」においてウミガメの上陸地としての記載がありませんが2000年代初めからの調査でこの区間のほとんどの砂浜(平砂浦,布良,根本,滝口,名倉)で産卵上陸を記録しており,毎年日本ウミガメ協議会への報告に記載されています.名倉漁港海岸,白浜海岸 滝口地区,白浜西部漁港海岸,白浜海岸 根本地区,平砂浦海岸 布良地区,平砂浦海岸 平砂浦地区がウミガメ産卵地であることを十分に配慮すべきでしょう.砂浜の奥行きの保存と砂丘斜面の傾斜角,海浜植生維持も本種の繁殖に関わる事項で,本種の保存を図るためには同時に産卵環境の維持が必要です.
○シロチドリ産卵地について
「3-2-2.環境面における各ゾーンの現況と問題点・課題」内「○多様な動植物の生息・生育環境の保全」においてシロチドリの産卵地としての記載がありませんが,この区間のほとんどの砂浜(****)で産卵もしくは雛を記録しています.本種は砂浜の後浜最前線から砂丘斜面植生内まで全ての位置が産卵適地であることから,砂浜環境改変によって生息状況に大きく影響が出る可能性がある.また特に繁殖時期(2-8月)の工事の影響も考えるべきでしょう.本種は環境省:絶滅危惧Ⅱ類 (VU),千葉県:最重要保護生物 (A)に指定されています.
また同様の海岸でコチドリも繁殖しており,シロチドリと同様の生態であることから同様の懸念がある.コチドリは千葉県:重要保護生物 (B)に指定されています.
同時にこれらの海岸はシロチドリ,ミユビシギ,その他シギ,チドリ類の越冬にも利用されている事を確認しており,同様に配慮が必要と考えられます.
○海浜植物とヤマトマダラバッタについて
「3-2-2.環境面における各ゾーンの現況と問題点・課題」内「○多様な動植物の生息・生育環境の保全」において千葉県要保護生物 (C)となっているスナビキソウについて記載されていませんが,****において長年生息を記録しています.
また****においてグンバイヒルガオの越冬繁殖群落が存在しています.グンバイヒルガオは千葉県では保護未指定ですが,日本における北限地であることから越冬群落は非常に希少であり,生態の保存が本種の生態解明と気候変動の状況記録に置いて重視される状況があるため,今後の保護種指定の可能性も考え十分な配慮を必要とする種と言える.これまで北限とされてきた宮崎県で絶滅危惧II類(VU)に指定されている(宮崎県,2015).また,繁殖分布域外の地域においても,熊本で絶滅危惧IA類(CR)(熊本県,2019),長崎で絶滅危惧IB類(EN)(長崎県,2022),大分で絶滅危惧IA類(CR)(大分県,2022),愛媛で絶滅危惧IB類(EN)(愛媛県,2022),高知で絶滅危惧IB類(EN)(高知県,2022),京都で要注目種(京都府,2015)に指定されている.引用:「グンバイヒルガオの越冬繁殖分布の北限新記録と千葉県南部における生息状況」藤田 健一郎・藤田 直子 観音崎自然博物館研究報告たたらはま No. 28(2024)
また海浜植生にはグンバイヒルガオ,ハマナタマメをはじめとする海流散布によって種子が漂着し発芽する種が多く見られることから,現在自生している植生の生息環境を保持するだけでなく,今後未来に漂着種子が自然的に分布を広げる可能性を阻害しない海岸環境を維持する必要があります.
海浜植生の分布に伴って日本固有種で千葉県重要保護生物 (B)に指定されているヤマトマダラバッタが該当エリアの広い範囲で局所的に生息していることを確認しています.本種は台風でも波の来ない砂丘を伴った海浜植生がある程度密生している海岸であれば今も生息している可能性がある一方で海岸の人為的な改変頻度が過去に高かった地域では全く生息が見られません.そのため海岸の改変作業時の負荷を含めた環境変化により既に分断され狭められている生息地が更に狭められ,台風での避難場所として機能していると考えられる奥行きがあり植生で満たされた砂丘が失われる事で本種生息の存続が絶たれる可能性があると考えます.このことから先だった分布調査と生息地での十分な配慮をお願いします.
○「3-3-3. 利用面における各ゾーンの保全の方向」について(該当ページ:3-8)
南房総・白浜ゾーンでは以下のように記載されています.「人為的な影響による海岸環境のダメージが危惧されている。利用を規制し保護区域(波食台、海食洞、海食崖等)として資源を守っていく区域を定めるなど、保全すべき自然環境と地域ニーズに沿った海岸利用の棲み分けを行っていくことを目指すものとする。」また「「ほぼ全線にわたり海岸線付近に国道他の道路が走っており、海岸近くへのアクセスは良好といえる。ただし、水際へのアクセスは岩礁海岸が多い地形的特性により、近づくことが困難な場所が多い。海と地域住民の日常生活は密接に結びつきながら地域文化を形成してきたが、現在は、生活形態や産業形態の変化により海との結びつきが薄れつつある。サイン施設や散策路、駐車場の整備など水辺へのアクセス性の向上を図る整備を行う。」
上記の中で「人為的な影響による海岸環境のダメージ」には観光者の多数入浜による海浜植生の踏圧があり,また海岸に産卵されたチドリの卵,雛が砂地の色合いに対しての擬態を伴って存在し,ウミガメの産卵も見逃した産卵の存在がある可能性が十分にあり,確認されている巣(卵)も県によって保護されているわけではありません.その現状の中で人々のアクセスを進めると希少生物への害が大きくなる可能性が高まる懸念があります.その事から広範囲なアクセスではなく水辺までの適切な誘導がなされた後浜と砂丘面を保護した誘導路を整備し,海岸全体では生物保護エリアを大きく保つ必要があると考えます.この考えは「砂浜海岸の生態学」A.C.Brown・A.Mclachlan著 須田有輔・早川康博訳 東海大学出版のP310-313「勧告:人間活動の影響」をご参照ください.
また岩礁海岸へのアクセス向上にも触れられていますが,岩礁海岸は危険度が高く,実際に転倒する観光者が普通に見られる事から安易なアクセスを進めるべきではないと考えます.以前,アクセスがしやすい遊歩道近くの岩礁に入った観光者が転倒し気絶し救急車で運ばれる場面も見ています.磯へのアクセスがあると,特に夏季に人目につかない磯で泳ぐ観光者がコロナ禍以降増えており遊泳中の事故の増加も考えられます.観光者は長年磯に接して来た近隣住民とは岩礁に対する対応が全く違い看板などの注意喚起看板程度ではそれを補えないと考えます.また磯とその合間にある漂着有機物の多い小さな砂浜は渡り鳥や近隣で繁殖する鳥類の貴重な餌場となっており,人の流入量が増す事でそれらを阻害する可能性が高まります.更に人がアクセスしにくい海岸が残されていることがそれら鳥類の休息地や越冬地を保ってきていました.これら越冬地や餌場となっている海岸の全てで鳥類の生息状況が調査されているわけではないことから,「保全すべき自然環境と地域ニーズに沿った海岸利用の棲み分け」は難しいため,これまで既にアクセスされてきた場所に絞ってアクセスを許し,アクセス向上と安全確保に集中する方向性で考える必要を感じています.
2025/02/09